万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

‘コンス問題’から予測する多文化共生主義の行方

2018年11月09日 10時55分00秒 | 社会
 しばらく前から日本国内では、女性の礼儀作法に関して‘コンス問題’なる文化摩擦が起きています。事の始まりは、メディアや一般企業等において、女性が両肘を張り、手先を伸ばしつつ両手を合わせるというスタイルが、‘正式の作法’として登場し始めたことによります。あれよあれよという間にスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどにも広まり、古来の日本の礼儀作法を押しのけて、日本全国に拡散してしまったのです。

 しかもこの新スタイルの礼儀作法、その起源は、朝鮮半島の儒教文化に基づく礼儀作法にあるとする説が有力であり(儒教の発祥地は中国ですので、元の元を辿れば中国かもしれない…)、いわば、朝鮮、あるいは、韓国式の礼法です。「コンス」とカタカナ読みで称されるのも、同礼法が朝鮮半島ではハングルで‘コンス’と呼ばれているからです。言い換えますと、‘コンス問題’とは、日本国古来の伝統的な礼法が、朝鮮半島由来の新来の礼法に取って替られてしまった事例なのです。

 かくも急速にこうした儒教式の礼儀作法が日本国内で広がった理由としては、小笠原流の家元を詐称して名乗る朝鮮・韓国系の女性が日本古来の礼法であると嘯いて教えたとする説や、企業研修などに講師を派遣している日本プロトコール協会の会長が、何故か、韓国系の人物であったからとする説などがあります。正確なところは分からないのですが、あるいは、メディアを含む多数のチャンネルを介して一斉に‘コンス普及活動’が展開された結果なのかもしれません。何れにしても、伝統さえも権威として利用した‘上から’の普及戦略が読み取れるのですが、一般の日本人からしますと、‘コンス’が日本国の正式の礼法となることは、日本社会から自らが親しんできた伝統的な礼法が失われることを意味します。また、日本人同士でも、自国の伝統に従う人と’コンス’に変える人とに分かれますので、強力な社会的分断が生じます。

 そして、この‘コンス問題’こそ、多文化共生主義の未来を予測させるものはありません。何故ならば、程度の差こそあれ、礼儀作法を始め、慣習の多くは、有限の時空を枠組とする社会において広く通用する共通の行動様式でもありますので、‘多文化’が併存することは極めて困難な分野であるからです。‘コンス’に対して一般の日本人が強い違和感を覚える理由も、この点にあります。日常にあってお店で買い物をした一般の日本人は、店員の女性達から韓国・朝鮮式の礼法で挨拶されるのですから、日本国内にいながら、あたかも異国に来たような感覚を持つのです。結果として、日本社会が自らの文化空間を失う一方で、その場を異文化が占めてしまうのです。

 ‘コンス’の全国的な普及の背景には、在日韓国・朝鮮人の人々が多数居住し、社会的な影響力を及ぼしている現実がありますが、今般、入国管理法改正案が成立すれば、今後、朝鮮半島出身者のみならず、中国を含む様々な諸国の出身者の数も増え続けることでしょう。日本国政府は、多文化共生主義を基本に‘移民受け入れ政策’を推進する方針を示しており、‘コンス’と同様に、日本の固有文化は徐々に侵食され、正式な作法や礼法さえも外国由来となるかもしれません。イスラム教徒が増えれば各地にモスクも建設され、礼拝の時間ともなれば、コーランの声が街に響き渡ることでしょう(既に、‘除夜の鐘は騒音であるから廃止せよ’との声もある…)。政府が主導して特定の文化を抹殺すれば、ジェノサイドの構成要素の一つである民族的文化の抹殺行為として批判を浴びるのですが、移民政策の場合には、政府は多文化共生主義に潜む自国文化の排除という側面を巧妙に隠していますし、民間レベルでも一般国民の同調圧力を利用していますので、より悪質であるとも言えます。

 文化とは、特定の時間と空間を枠組みとして成り立ちますので、異文化同士がゼロ・サム関係とならざるを得ない分野が多数存在しています。この事実に目を瞑りますと、一国の内部にあって激しい‘文化闘争’が永遠に続く事態にもなりかねません。この点は、多民族国家よりも、一民族一国家の原則の下にある単一民族国家のほうがより深刻です。多文化共生主義の行き着く先を予測しながらも、日本国政府が移民推進の方針を掲げているとしますと、それは、一般の日本国民、並びに、日本文化に対する背信、あるいは、破壊的行為となるのではないかと思うのです。

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コメント (20)
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