日本国は、建前としては民主主義を基本的な価値の一つに据える独立国家です。主権在民を定めた憲法に従い、多党制の元で普通選挙が実施されており、国民は、選挙の都度、‘清き一票’を投票箱に投じています。被選挙権も保持していますので、国民の誰もが選挙に立候補して政治家となることができるはずです。ところが、日本国の現実は、法的な外観とは著しくかけ離れているように思えます。
7月に入り、岸田文雄首相をはじめとして、大手メディアが自民党の次期党首、否、日本国の首相候補と見なす政治家達が相次いで外遊に出かけています。岸田首相は、7月11日から14日にかけてリトアニアとベルギーを訪問し、その後、16日から19日にかけては、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)並びにカタールの中東3カ国を訪れました。河野太郎デジタル相も7月12日から16日の日程でフィンランド、スウェーデン、エストニアを歴訪した後に、17日から22日までの6日間は、ヨルダン、パレスチナ、イスラエルの順で外遊スケジュールを組んでいるそうです。岸田首相と河野デジタル相は、欧州+中東の組み合わせですが、茂木敏充幹事長の場合は、ペルーとブラジルの南米二カ国と東欧のポーランドという組み合わせとなります。同幹事長の日程は、7月9日から17日までの8日間です。
何れの外遊も日本国内にあっていたって評判がよろしくなく、自民党並びに当人達の支持率アップに繋がるどころか、さらなる支持率低下の原因ともなりかねない状況にあります。岸田首相については、海外での目に余る‘ばらまき’が公費のポケットマネー化とする世論批判を浴びています。しかも、国民に対する増税政策とセットの如きに推進されているために、同首相の海外優先の姿勢が下げ止まらない内閣の支持率の主因ともされるのです。今後とも、首相が外遊する度に、支持率も連動して下落してゆくことでしょう。
河野デジタル相については、マイナンバーカードのシステムトラブルが相次いでいますので、推進者にして責任者でもある同相は、目下、渦中の人でもあります。本日も、他者の銀行口座に公金が誤って振り込まれた事件が報じられていました。コロナ・ワクチン接種プロジェクトに際しても、河野氏はワクチン担当相として辣腕を振るい、ワクチンリスクをもデマとして否定した過去もあります。健康被害が明るみに出たことで、国民からの信頼を失う結果を招いたのですが、デジタル化にせよ、ワクチン接種推進にせよ、何れも海外のグローバル利権と密接に結びついています。このため、河野デジタル相の外遊も、国民から海外への利益誘導、即ち、国民に対する背信行為が疑われる要因ともなりましょう。
茂木幹事長に至っては、この時期に海外を訪問するだけの根拠が希薄です。何故ならば、同氏はあくまでも自民という政党の幹事長であって、政府の役職にあるわけではないからです。ペルーとブラジルの南米二国については、来年開催される国際会議の議長国であることから連携強化を訪問理由として挙げ、ポーランド訪問の目的はウクライナの復興支援における意見交換として説明しているものの、これらの目的からすれば、日本国の政府を構成する外相が担うべき仕事であって、政党の幹事長ではないはずです。政府と政党との二重外交ともなりかねず、同リスクは、二階元幹事長が証明したばかりです。以前にも、サングラスに白いスーツ姿の出で立ちで‘バカンス気分’の外遊として批判を受けましたが、今般の茂木幹事長の海外訪問も、国民世論の支持を得られるとは思えません。
それでは、何故、国民からの不評を承知で岸田首相、河野デジタル相、茂木幹事長は、同時期に海外へと旅立っていったのでしょうか。これら三者は、外相経験者という共通項があります。そして、岸田首相は現職としても、他の二者は「ポスト岸田」レースの最有力候補ともされています。もっとも、上述したように、河野氏も茂木氏も国民からの信頼は至って薄く、メディアの世論と実際の世論とは必ずしも一致しません。マスメディアが実施する世論調査では「首相になって欲しい政治家」に選ばれているものの、本当のところは、「首相になって欲しくない政治家」の上位に顔を揃える政治家なのではないかと疑う程です。となりますと、現状でさえ国民から不評を買っているにかかわらず、より支持者が離れるような外遊を敢えて行なうには、それなりの‘政治的な目論見’があったとしか考えられないのです。
岸田首相、河野デジタル相、並びに茂木幹事長の国民には目もくれないような態度は、実のところ、日本国のキングメーカーが海外に存在していることを示唆しているのかもしれません。同三者は、日本国の総理大臣の椅子に座らせてもらうために、各自、自己アピールに励んでいるとも推測されるのです。日本国のキングメーカーとは、おそらく世界経済フォーラムをフロントとする世界権力なのでしょうが、同権力への貢献こそ、総理の椅子を得るための必須条件であるのかもしれません。同推測が正しければ、日本国の独立性も民主主義も形骸化してしまうわけです。そして、何れの外遊の日程にも、7月14日、即ち、フランス革命記念日が含まれているのも、偶然の一致ではないようにも思えてくるのです(因みに、昨年の2022年7月14日には、アメリカのバイデン大統領がイスラエルでラピド首相と会談し、その後、パレスチナとサウジアラビアを訪問している・・・)。