台湾有事の懸念や尖閣諸島問題もあって、近年、日本国の自衛隊とアメリカの米軍との連携強化が図られてきました。この流れは岸田政権に始まったわけではありませんが、今年4月10日で訪問先のアメリカで開かれた日米首脳会談では、日本国の自衛隊と米軍との間の「指揮統制枠組みの向上」が合意されています。同合意は、「未来のためのグローバル・パートナー」と題された共同声明で発表されましたが、アメリカのバイデン大統領は、「日米のパートナーシップは真に地球規模に変化を遂げた。岸田首相の勇気あるリーダーシップのおかげだ」と述べ、‘グローバル’が強調されると共に、岸田首相の‘リーダーシップの発揮’を手放しに礼賛しています。
今日の国際情勢を見ますと、ウクライナ紛争におけるゼレンスキー大統領の不自然すぎるNATOの巻き込み願望や、イスラエル・ハマス戦争におけるこれもまた不自然なイランとの対立激化など、第三次世界大戦への導火線と見られる現象が相次いでいます。その背景には、世界権力による第三次世界大戦計画の存在が推測されるのですが、アジアの発火点は台湾とする指摘もあります。こうした第三次世界大戦計画の文脈から今般の日米連携強化を見ますと、同計画の実在性に対する確信がますます高まってまいります。
今般の日米共同声明にあって同視点から注目すべきは、‘グローバル’並びに‘リーダーシップ’の二つの言葉であるかも知れません。何故ならば、世界権力の視点からしますと、第三次世界大戦を計画通りに引き起こし、大戦争にまで発展させるためには、全世界を二つの対立する陣営に分裂させると共に、各国のトップを‘指揮統制枠組み’に組み込む必要があるからです。
第三次世界大戦のシナリオにおいて設定されている二つの陣営とは、当然に、アメリカを中心とする陣営と中ロ陣営、すなわち、自由主義陣営対全体主義陣営と言うことになりましょう。もちろん、これらの陣営は人為的な誘導によって形成されたものであり、陣営間のイデオロギー対立も、表面上の見せかけに過ぎません(自由主義国にあっても、必ずしも国民の自由が保障されているわけでもなく、民主主義の形骸化も著しい・・・)。世界権力は、対立する両者を上部から操る二頭作戦を展開してきましたので、表面的で分かりやすい対立を演出するだけで構わないのです。
その一方で、世界大戦ともなりますと、両陣営の軍隊を自らの‘指揮下’に置く必要があります。中ロ陣営に関しては、中国では習近平独裁体制の下で‘戦争ができる人民解放軍’に向けた改革を進めてきましたし、ロシアについても、世界経済フォーラムがグローバル・リーダーに選ぶくらいですから、プーチン大統領も、世界権力による人事配置なのでしょう。そして、この必要性からしますと、アメリカと軍事同盟を結んでいる諸国の軍隊については、一先ずは、アメリカの指揮命令系統に取り込む方が好都合なのです。
日本国では、日米同盟における「指揮統制枠組」の見直しに先立って、2024年、つまり今年内に自衛隊の陸海空軍を統括する「統合作戦司令部」が創設される予定です。おそらく、同司令部の設置もアメリカ側、否、グローバルな指揮命令系統の全面的掌握を目指す世界権力からの要請を受けた結果なのでしょう。そして、日米間の「指揮統制枠組み」の見直し案も、その詳細は煮詰まっていないものの、ハワイに置かれているインド太平洋軍の権限強化が主要な改革の柱となっており、同軍が日本国側の「統合作戦指令部」との調整に当たるとされています。
この方針から近い将来において台湾有事等が発生した場合を予測しますと、日本国の自衛隊は米軍の指揮の下で‘現地部隊’として戦わされる、という未来もあり得ないことではありません。そして、仮に両陣営間のミサイル攻撃の応酬となれば、アメリカは後方の安全地帯に身を置く一方で(司令部はハワイに設置・・・)、攻撃対象となった日本国は、壊滅的な被害を受けることともなりましょう。世界権力からしますと、日本国の犠牲などグローバルなシナリオの一幕でしかないのです。因みに、今年の4月4日に公表された「アーミテージ・ナイレポート2024」でも、統合された同盟が謳われています。
世界権力による第三次世界大戦計画には、全世界の軍隊に関する指揮命令系統の完全掌握、並びに、各国のリーダーの座に自らの配下の者を置くことが必要であるとしますと、今般の動きは、まさしく同方向性に沿っていると言えましょう。第三次世界大戦という‘グローバル’な戦争を各国首脳の‘リーダーシップの発揮’において実現するために。