万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自ら選択肢を狭めるムバラク大統領

2011年02月11日 16時19分07秒 | 中近東
ムバラク大統領が辞任拒否、デモ隊の高揚は一転失望と怒りに(トムソンロイター) - goo ニュース
 エジプトでは、デモ隊による即時退陣の要求に対して、ムバラク大統領が、”居座り”を宣言したことから、期待を裏切られた国民の怒りはさらに燃え上がっているようです。しかも、大統領の発言は矛盾しているのですから、これでは、火に油を注ぐようなものです。

 ムバラク大統領の発言の矛盾とは、憲法改正を国民に約束しながら、スレイマン副大統領への権限移譲を表明したことです。何故ならば、憲法の規定によれば、大統領が職にありながら、権限を副大統領に移譲した場合には、憲法改正の提案はできない、と定められているからです(エジプト憲法第82条)。つまり、権限移譲の発言は、暗に、憲法改正の約束を反故にすることを仄めかしたと解釈することができるのです。これでは、国民は納得するはずもありませんし、大統領に対する不信感は募るばかりとなります。

 エルバラダイ前IAEA事務局長は、エジプトは爆発すると発言したそうですが、選択肢を狭めているのは、大統領自身なのではないでしょうか。

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4 コメント

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小さな愛犬家 こと関根さん (kuranishi masako)
2011-02-12 07:50:23
 コメントをお寄せくださいまして、ありがとうございました。

 エジプトは、独裁政権の下で発展が妨げられてきました。エジプトの再建のために、アメリカをはじめ、国際社会は、支援の手を差し伸べるべきと思います。
 
 先進国もまた、金融危機という苦難を何度も経験してきました。こちらのほうも、市場の健全化に向けて、出発点に立ったばかりなのかもしれません。
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Unknown2さん (kuranishi masako)
2011-02-12 07:43:10
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 本日未明、ムバラク大統領辞任のニュースが飛び込んでまいりました。まずは、一つの山を越したものと、心より安堵しております。今後とも、混乱が生じることもありましょうが、エジプトの方々には、ぜひ、自国の未来のために頑張っていただきたいと思います。
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ムバラク政権崩壊! (小さな愛犬家 こと関根)
2011-02-12 04:54:46
先生のご主張、期待通り、国際経済の流れに従って、ムバラク政権は崩壊しました。ただ、民主化への道のりにはまだ時間が掛かると思います。「ベルリンの壁崩壊」でも時間は掛かったのです。これ以上の流血は避けられるように、オバマ大統領はしっかり「介入」してもらいたいと思います。
小生は「行き過ぎた市場原理主義」を徹底批判しているのであって、これはかなり進んでいるように見えます。金融危機が生んだ「世界各国政府の協調路線」は評価できる、と思います。
アメリカには、当然に覇権国家を維持しています。金融危機発生の責任を果たして欲しいのです。
健全なアメリカ資本主義はもちるん大歓迎です。
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Unknown (Unknwon2)
2011-02-11 18:02:18
 今のところ、私の予測通りの展開です。アメリカの共和党(宗教勢力や軍産共同体の支持)国家がムバラクを支えるので、粘るでしょう。
 パレスチナ・ゲリラの自爆テロは眉をひそめる行為ですが、実は効果的です。ヨーロッパから、イスラエルに移住するユダヤ人はいなくなるでしょう?さらに、イランの核開発も、それを狙っています。核を撃たなくても、核の脅威があれば移住するどころか、イスラエルから出国する者が絶えなくなるでしょう?もともと、移住することに、さほど抵抗のない国民性ですから。
 イスラエルに住んでいるユダヤ人も、先進国民の例にもれず、少子化が進むでしょう。こうして、一二世代が過ぎれば国家が維持できず、衰退して滅亡するでしょう。アラブ人は100年単位でイスラエルの消滅をねらっているのです。
 イスラエルのラビン元首相は和解しないと、いずれ、滅亡の危機に瀕すると思ったのでしょう。でも、どの国でも、ウヨクもサヨクも過激派の意見が幅を利かすのです。
 ラビン暗殺の例があるので、イスラエルの指導者が壁から撤退するのは極めて困難でしょう。
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