万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

トライベイ・キャピタルに見る‘焼き畑’的な太陽光発電バブルの巨悪

2023年03月10日 12時53分25秒 | その他
 今般、三浦清志容疑者の逮捕により明るみに出た太陽光発電事業は、地球温暖化問題というグローバルな大舞台の上で繰り広げられてきた投資会社投資ファンド等の悪徳ビジネスの実態をも明らかにしているように思えます。

 報道内容が正しければ、三浦氏が手がけるトライベイ・キャピタルは、‘土地転がし’まがいのビジネスで利益を挙げていたそうです。例えば、固定価格買取制度を追い風として太陽光発電事業への参入を計画し、用地を準備した事業者がいたとします。この情報を入手した同社は、すぐさま同用地に隣接する土地を安値で買い占め、その後、同時業者に隣接地を買い取るように持ちかけるのです(土地の買取に応じない場合は、多額の通過料を請求・・・)。発電した電力を送るための送電線を引くためには、隣接する土地も必要として。そして、提案した土地の価格、驚くべきことに取得価格の10倍というのです。購入価格が1億円であれば売却時の価格は10億円となり、土地を転売するだけで、同社には9億円の利益が転がり込むのです。

 また、最初の容疑が投資詐欺であったように、同社には、詐欺罪の嫌疑もありました。住民の合意を示す書類を偽造して事業委託を受けながら、実際には、住民の反対で計画は頓挫しており、現地は更地のままであったというものです。しかも、出資金10億円の内、横領が疑われている2億5千万円は人件費とも述べていますので(トライベイ・キャピタルの社員は10名程度らしい・・・)、仮に同供述が事実であったとしても、法外な報酬も当然視していたことになります。

 三浦夫妻は揃って東京大学を卒業した学歴をもち、清志容疑者は元外務官僚であり、かつ、外資系大手コンサルティング会社であるマッキンゼーにも勤めた華々しいキャリアがあります。また、国際政治学者の三浦瑠麗氏もマスメディアへの登場により知名度が高く、かつ、政界や官界にも広い人脈がありました。しかも、同社が取得した事業は、低圧事業用太陽光発電所として固定価格買取制度の認定を受けていたそうです。多くの人々が同夫妻を信用し、投資話に引き込まれてしまうのも理解に難くはありません。そして、一件で数億円の利益が上がるのですから(2023年の目標は1000件・・・)、SNS等でも発信されてきた三浦夫妻のリッチな生活も頷けるのです(‘セレブ生活’の公開も、投資を呼び込むために太陽光発電事業の収益性の高さや有望性をアピールするための宣伝活動であったのかもしれない・・・)。

 しかしながら、この悪徳商法、結局は、行き詰まることとなったようです。トライベイの経営は‘自転車操業’であったとされているように、計画が行き詰まった事業も多く、多額の債務も抱えていたようです。その理由としては、太陽光発電所に吹きはじめた逆風によって住民の合意が得るのが難しくなったこと、固定価格買取制度において買い取り価格が下がったこと、そして、同社をはじめとした投資会社の強欲な体質、並びに、経営手法が、一般投資家や新規参入事業者にリスクとして認識されてきたこと、などを挙げることができましょう。実際に、今日では、太陽光発電事業から撤退する事業者や投資家も現れており、トライベイ・キャピタルの大手同業者も倒産しています。

 かくして、いよいよ太陽光バブルは終焉を迎えそうなのですが、同様のバブル崩壊は、実のところ、既に海外においては経験済みです。否、日本国が固定価格買取制度を開始した凡そ10年前の時点にあって、いち早く同制度を導入したスペインでは、太陽光発電事業におけるバブル崩壊が起きていたのです。このことは、日本国政府は、固定価格買取制度を導入すればバブルが発生するリスクを知りながら、敢えて同制度を取り入れたことを意味しています。コロナワクチンにつきましても、海外で健康被害の報告がありながら、日本国政府は、同ワクチンの接種を国を挙げて推進しており、リスク無視で海外の制度や政策を後追いする事例が後を絶ちません。

 日本国政府は、常々海外の政策をグローバル時代の先端的なモデルとして模倣してきましたが、既に失敗した事例まで模倣するのは、あまりにも愚かしいことです。制度的な欠陥が明白なのですから、せめてそれらを是正してから導入すべきです。しかしながら、こともあろうか、当時の民主党政権は、固定価格をドイツの2倍に設定し、欠陥、すなわち、バブル・リスクをさらに増強させる形で同制度をスタートさせているのです。

 ‘愚か’と言ってしまいますとそれまでなのですが、本当に、日本国政府は、欠陥に気がつかない愚かな政府であったのでしょうか。仮に、思慮に欠けた単なる判断ミスではないとしますと、これは、固定価格買取制度のバブル効果を十分に理解した上での計画的な導入であった可能性も捨て切れません。投資額が膨らむバブリングの時に十分な利益を吸い上げ、それが崩壊する前に逃げてしまうという作戦です(トライベイも香港、シンガポール、フィリピンに事業拠点を設けているので、既に海外に資産を移している可能性も・・・)。A国で制度を導入させてバブルを崩壊させた後、B国に移り、B国でも同制度を導入させることに成功すれば、同様の手法で莫大な利益を得ることができます。もちろん、所謂‘太陽光ビジネス’の計画者は、同制度に“政治家の利権”を組み込むことも忘れてはいなかったようです。つまり、太陽光発電事業は、グローバルな視点からすれば‘焼き畑’ビジネスであると見立てれば、日本国政府が制度導入を急いだ理由にも説明が付くのです。

 地球温暖化問題につきましては、科学的な見地からの懐疑論がありながらも二酸化炭素犯人説が定説化し、何れの政府も強引に太陽光発電促進政策を推し進めてきました。しかしながら、本当のところは、この政策、一体、‘誰の利益’のためなのでしょうか。リベラルなグローバル・エリートも保守的なエリートも偽善者か‘偽旗者’であり、政治家やマスコミ、並びに、内外の宗教団体とも結託した巨悪の一味(金融・経済財閥系の世界権力・・・)であるのかもしれません。このままでは、未来永劫にわたって国民は重い負担や損失に耐えねばならなくなりますので、再生エネ事業に組み込まれた反社会的なビジネスや仕組みは、何としても取り除かなければならないのではないかと思うのです。

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