万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の覇権阻止に国際海洋巡視協力体制を

2014年08月01日 15時29分45秒 | 国際政治
ベトナムに巡視船向け中古船6隻供与へ 中国牽制の狙い(朝日新聞) - goo ニュース
 オバマ大統領の”世界の警察官”放棄発言は、”パックス・アメリカーナ”を支えてきたアメリカの財力低下も一因しています。本来であれば、国連の常任理事国である中国もまた”世界の警察官”の一人のはずなのですが、この役割を肩代わりするどころか、アメリカの”警察力”の弱体化の隙を突くかのように、”世界の強奪者”になろうとしてるように見えます。

 海洋帝国の建設を目指す中国の覇権主義は、周辺諸国との間に対立と摩擦を生んでいますが、中国に対して各国が個別に対応するのではその能力には限界があります。否、個別対応では一国づつ潰される怖れがあり、戦略上、得策ではありません。東南アジア諸国を含む安全保障上の対中包囲網の形成と並んで同時に進めるべきは、海洋における国際海洋巡視協力体制の強化です。東シナ海から南シナ海へ、そしてインド洋へと繋がる海域は、何れの国の船舶に対しても航行の自由が保障され、かつ、沿岸国の海洋権益が保護されるべき地域です。この海域を中国が一方的に独占してよいはずもなく、国際法に違反する中国の横暴な行為に対しては、取り締まりを強化しなければならないのです。

 国際海洋巡視協力体制の構築は、これまでアメリカ一国の肩に圧し掛かってきた負担を軽減すると共に、周辺諸国が海洋の安全と自由を護る責任をシェアすることを意味しています。国際社会におけるパワー・バランスの変化に即応することこそ、脅威に晒されている諸国の安全と繁栄を約束するのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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