奥さんに教えられて、「飯南のヒガンザクラ」をめざすことにしました。
樹齢四百年になる古木だそうですが、台風か何かで折れてしまったけれど、どっしりとした根本だけが残り、今も桜を咲かせている、というそうで、だったら行ってみようと思ったんでした。
昨日、出かけたとき、たまたまトイレに行った道の駅・茶倉(ちゃくら)というところで、さあ、クルマにもどろうかと思ったら、その上の空がクリンクリンになっていて、空までもが春が来たのを喜んでいるように見えました。
ちょうどの時に、ツバメだって私たちを横切っていきました。
ああ、ツバメもやってきている。センバツ高校野球も始まった。私の花粉症はこれで一応ピークは越えて、あとはずっと少しだけズルズルを引きずるだけです。そうか、いよいよ仲春というところなのか。
松阪市の山側、飯南町というところに来ました。そこの山のふもとにお寺があって、サクラはそこに四百年立ち続けていたといいます。
山里の、わからない道を、案内板と地図で予習しただいたいのところをめざします。もちろんカーナビなんてないし、だいたいをめざしています。そうすると、向こうの方がピンクがかったところが見えてきました。たぶん、サクラがあちらこちらに咲いているからなんでしょう。
ネットからもらってきた情報では、
飯南町向粥見(むかいがゆみ)にある春谷寺(しゅんこくじ)のエドヒガンザクラは、推定樹齢400年、樹高12m、周囲4mという立派な桜で、松阪市の天然記念物に指定されています。
周辺にもたくさんのヒガンザクラが植えられており、咲き始めはピンクに、しばらくすると白色に変わります。
そうか、それらしいぞ、どこにクルマを止めたらいいんだ。来週はサクラ祭りというけれど、今日はまだなのか? と、突き進みました。
クルマを止めて、振り返ると、これがエドヒガンザクラのようです。確かに幹回りは太い。高さは、少し上をなくしてしまった形になっている。
まわりに若いヒガンザクラがあるようですが、若いせいか、まだピンクになっている。一番古い木だけが白くなっています。
一度、お寺の上の山道に沿って植えられた高いところから、下を見てみました。上の若い木はピンクです。一番奥の白い木が主役のエドヒガンザクラ、四百歳です!
では、下に降りて、四百年の木のそばに行ってみなくては!
先ほどもそうだったけれど、昨日の空は真っ青でした。今日はもうかなり春に慣れてきたせいか、空は少しもやがかかっていたけれど、昨日はわりとサッパリしていた。
真下から木を見上げてみます。太いところが本当の四百年で、そこから伸びている細い枝はここ何十年かの枝かもしれない。本当はどれくらいの大きさだったのか、それは想像するしかないけど、かなり大きな木だったんでしょう。
でも、雨や嵐や風には逆らえません。苦しくなったら折れるしかありません。そして、またしばらくしてよみがえるしかないじゃないですか。そういう生き方に学ばなくては!
シルエットはこんな感じ。こちらが空を支えている感じでいいです。
さあ、次から次とお客さんは来るし、駐車場は狭いし、本当ならもっと下の方に止めなきゃいけなかったのを、のこのこお寺のそばまで来てしまったので、もう帰るしかありません。
私たちは、もうしばらく飯南町の散策をしたり、お買い物をしたりしましたけど、わりと満足して帰ってきました。どうして?
それはもう、エドヒガンザクラの耐えてる姿に心打たれたからです。まわりのサクラたちも仲間だとは知らなかった。みんなピンクでした。主役だけは白くなっていた。
老いてなお先取りしていく、進取の気概いいなあ。たいしたもんだ。