リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2007年11月~その1

2007年11月16日 | 昔語り(2006~2013)
ほうき航空00便

11月4日。あわただしいミニ休暇だったけど、けっこう楽しんで、けっこう息抜きになって帰って来た。帰ってきてみたら、仕事の山が一段と高くなっていたけど、ま、いっか。(ほんとにいいのかなあ・・・)

ハロウィーンのせいか、空港は深夜でもないのにがら~んとしていた。別に縁起の悪い日というわけでもないんだけど、とにかくがら~ん。なぜかバンクーバー空港の中にアメリカ行き専用ターミナルがあって、チェックインしたらそのままアメリカの入国管理と税関の手続きをすることになる。着いてからの手続きが不要ということで便利ではあるんだけど、ターミナルにはまともな食べ物屋がないのが玉にキズ。そこで、まずネットでチェックイン。搭乗券を印刷してから家を出て、空港ではまずレストランに直行。そこで食事中に出くわしたのが捕り物劇。私のすぐ後ろで「逮捕します」。カレシと顔を見合わせて、うは!

捕り物といっても静かなものだったけど、やっぱり「ン?」な気分。嘘みたいに静かな入管とセキュリティを通って、アラスカ航空の搭乗ゲート85番に行ったら待っているのは20人ほど。150ほどの席があるんだけど、乗ってみてもせいぜい25人くらい。みんなどこへ行っちゃったんだろうなあ、などと軽口を叩きながら、シートベルトを締めてプッシュバックを待つ・・・待っても、待っても、いつまでたっても動かない。何と、搭乗ブリッジが機体から離れなくなってしまったんだそうな。そんなのってありえな~い、と思っても、飛行機はブリッジにくっついたまま。Treatをあげなかったもんで、空港のお化けがいたずらを決め込んだのかな。ハロウィーンだもん、Trick or treat(いいものくれないと、いたずらするぞ)。

待つこと1時間ほど、やっと離陸して外を見たら、家々の裏庭から打ち上げられる花火がふわふわと漂う人だまのように見えた。かなり盛大なところもあるけど、ひょろひょろ~と上がってくる火の玉はちょっぴり不気味な感じがする。それがあちこちから上がってくるんだから、よけいに不気味。まあ、魔女には出会わなかったけど、やっぱりハロウィーンの夜は何が起きるか分からない。機内では乗客が少な過ぎてあまりすることがない乗務員さんとひとしきりおしゃべり。コーヒーにリキュールを入れてくれた。

サンフランシスコではいつもの通り、歩け、歩けの毎日。金曜日はざっと10マイル、ざっと16キロを踏破。出かけたのはゲイやレスピアンのメッカ、カストロ地区。かってのヒッピーのメッカ、ヘイト・アシュベリーに回って、アラモ・スクエアのペインテッドレディ「7姉妹」へ。(ペインテッドレディというのはサンフランシスコに相当数あるカラフルに塗ったビクトリア朝風の家のこと。)ダウンタウンのユニオン・スクエアまで出たら、お気に入りの「Crate & Barrel」でキッチン用品のショッピング。そこで「電動マティニメーカー」なるものを見つけたカレシ、「これだ!」とばかりに買ってしまった。おいおい、どうやって持って帰るの?

どうやってといって、荷造りは私の仕事になってしまう。マティニメーカーは箱から出し、スタイロフォームを捨てて機内持込み荷物になんとか納めた。でも、調べられるかなと思っていたら案の定、X線を通って出てきたバッグがすぅ~っと後戻り。ああ、やっぱり怪しまれた・・・と思ったけど、結局は中を調べられることなく無事パス。だいたい、電動のマティニメーカーなんて、どうやって説明する?

ミニ休暇のおまけは、またまた1時間送れた帰りの飛行機。これで今年の旅行で定刻に出発したフライトはゼロ。まさにパーフェクトスコア。どうせ遅れるなら全部遅れたほうが話のたねになるかもね・・・?

むにゃむにゃ経営分析

11月5日。ストが終結して以来初めてリサイクルトラックが来て、出しておいたブルーボックスを空にして行ってくれたけど、今度はなぜか普通のゴミのトラックがさっぱり姿を見せない。何やってるんだろうなあ、この人たち。次の月曜日は祝日の振り替え休日だから、収集は火曜日にずれる。まあ、不在だったせいもあってあまりゴミがないから別にいいんだけど、仏の顔も三度までっていうし、仕事ならそれなりにやってもらわなきゃ。

仕事のログを見たら、うひゃ、向こう2週間に6件も入っている。ファイルを数えたら8つ。まだでっかいのが2つも手付かずなのに。こんなへっぽこセクレタリーはクビだ!と叫びたくても、自分をクビにするわけにはいかない。そろそろ「ま、いっか主義」の経営方針を見直さなくちゃならないかな。今年はとにかくやたらと忙しい。会議でも今年は忙しいという人が多数派だった。これも産業のひとつであれば、忙しい人が多いということは需要が増えている証拠でもある。アメリカ翻訳協会(ATA)は会員数1万人強。日本語部門にも800人以上が所属している。サンフランシスコ会議には1800人が集まったそうで、地元有力新聞『San Francisco Chronicle』紙にも「Business is booming for translators(翻訳ビジネスは活況)」という記事が載っていた。今一番ホットなのはテロリストの言語と中国語だそうだ。翻訳業はもろに時代を映す鏡なのかもしれないなあ。

私の仕事ログはスケジュールや請求事務の管理のために7年前に作ったEXCEL形式のファイルで、月間集計と年間の累計があるから、「前年同月比」と「前年比」も一目瞭然。我ながらウマくできていると思っているけど、仕事そのものが増えているのかどうかは、通貨単位が3つあって為替が変動する請求額よりも、請求の基準になる英語の単語数の方が目安になりそうだ。ということで、ちょっと見てみたら、2001年は合計47万3千語。この年は筆頭クライアントの倒産で年間売上の2割が焦げ付いた。カレシとの件が落ち着き始めた頃でもあって、人生とビジネスの厳しさをまとめて(ちょっぴりだけど)悟った気分だった。

翌2002年は思い切って仕事量を減らした年だ。語数は合計33万2千語。ばっさり減らしたつもりだけど、こうしてみるとそうでもないような数字だ。次の2003年は23万6千語に激減。18年間で最低の年だったけど、翌年のATA会議では「去年はきつかった」という人が多かったところを見ると、翻訳業界そのものが不況だったのかもしれない。その後、2004年には38万語に回復、2005年は34万語、2006年は34万6千語とけっこうコンスタントだったのが、今年は10月末ですでに41万語。このままでは2001年に逆戻りしそうな勢いだ。やっぱり今年は「活況」ってことなんだ。ふ~ん、いったい何が起きてるんだろうなあ。

ログを作る前の10年間は「諸般の事情」で仕事に逃避していた時代だったから語数はもっとすごかった。何せ1日10時間、週7日のペースを何ヶ月も続けるというとんでもないワーカホリックだったから、年間で70万語を越えたこともあった。今そんなことをしたら過労死してしまうだろうけど、あの頃は仕事をしていることが自分が生きているという証だったのかもしれないなあ。そっか、確かに今年は忙しいけれども、まだまだ人生を楽しむ余裕はあるってことか。じゃあ、ギアを入れ替えて、ぶっ飛ばそうか。とはいえ、やっぱりもっと遊びたいなあ・・・(遊んできたばかりなのに!)

サーカスがやってくる!

11月7日。やったあ!シルクドソレイユがまたまたバンクーバーにやってくる。今度のは新作として巡演を始めてからずっと待ち焦がれていたCORTEO。2008年6月14日土曜日の午後の部にVIPチケットが取れた。

シルククラブからバンクーバー公演のお知らせメールがあって、今週始まるクラブ会員向けプレセールのお知らせメールを待っていたところだった。メールが来たらすぐにそれっとやらないと、いい席はすぐに売り切れてしまうからおちおちできない。そのメールが来たのに、何と仕事に夢中で、気がついたのは2時間も経ってから。あわくってチケット注文のページを開ける。なぜか週日の夜のVIPチケットはもう完売になっている。え、冗談じゃないよ~。片っ端から公演のある日をクリックして行ったら、土曜日の午後4時の公演にいい席が見つかった。ふぅ~。決まった時間内に注文を済ませないと最初からやり直しになるから、まさに秒読みでデータを打ち込んで、「注文」のボタンをクリック。いつもあわてるなあ、もう。

ステージから3列目のど真ん中。この前のVAREKAIのときとだいたい同じ位置だから、空中ショーの時は首が凝る。VIPチケットのお値段は前回と同じ220ドル。だけども、フェンスのすぐ外に無料駐車場が確保されるし、TAPIS ROUGE(赤じゅうたん)という専用ラウンジがあって、ショーが始まる前にオードブルとワイン、休憩時間にはデザートのサービスがある。ショーのプログラムは無料でくれるし、おまけに音楽のCDがついてくる。その上、専用のきちんとしたトイレまで用意されていて、屋外の長蛇の列に並ばなくてもいいから、まあ高いなりの価値はある。もちろん、プレセール用の席数は限定されているだろうけど、それでもVIPセクションが2時間で完売というのはすごいなあ。

さっそくメールでEチケットが送られてきた。印刷して、うややしく金庫にしまいこむ。やった、やった。今から胸がワクワクしてしまって、何だか仕事が上の空になってしまいそう。何しろ、来年の話だから、鬼はきっと高笑いしすぎて、おなかがよじれているに違いない。おいおい、来年の6月の話だよ。7ヶ月先なんだよ。今からそんなに浮かれていないで、仕事しなきゃ、また徹夜モードになるじゃないか。だけども、やっぱりわくわく、そわそわしてしまうから、困ったもんだなあ。仕事に戻らなきゃ・・・おい。

金ぴか時代

11月8日。なんか寒いなあと思いつつ目が覚めた。寒いはず。夏時間が終わったのに、タイマー式サーモスタットの時計を戻すのをけろりと忘れていた。おかげで、ヒーターのスイッチが入って、切れる時間が1時間ずれてしまった。夏時間と冬時間があるおかげでこんなときに不便する。玄関と裏口の照明のタイマーはめんどうくさいから、日暮がもっと早くなったらリセットすることにしよう。

サンフランシスコは季節外れに暑かった。23度くらいあったらしい。そのサンフランシスコで貨物船がベイブリッジにぶつかって、バンカー油がかなり流出したそうだ。水曜日の朝、濃霧の中での事故だったらしい。ベイの中に浮かぶあの悪名高いアルカトラズの岩場にも黒い油が打ち寄せているとか。フィッシャマンズウォーフにいつもたむろしているゾウアザラシの大群はどうしているのかなあ。

霧に包まれておぼろに見える赤っぽいゴールデンゲートブリッジもなかなか情緒があっていいけど、ベイブリッジは白っぽいから、霧の中に浮かぶとまたちょっと趣が違う。だけど、濃霧という時はほんとに五里霧中になってしまうから、大きな船だってうっかりドスンということはありえる。でも、橋脚にはバンバーがついていて、大きな船が衝突しても橋の構造そのものには影響が及ばないようになっているんだそうな。そこまで考えたんだったら強度偽装なんてのもなさそう。

それにしても、昨今の日本の偽装ラッシュはすごい。いやまさに「すごい」としかいいようがない。つい最近まで中国野菜は残留農薬がコワイ、アメリカの牛肉は狂牛病がコワイ、どこそこのナニはコワイと、まるで一億総不安症じゃなかろうかと思っていたけど、何のことはない、灯台下暗しで、お膝元で建物の強度は偽装するわ、鮮度は偽装するわ、産地表示は偽装するわ、帳簿は偽装するわ、売れ残りをリサイクルして使いまわすわ・・・これじゃあ、中国も顔負け。要するに、きれいな包み紙で嘘八百を隠して、バレなければいいってことなんだろうか。嘘がばれたら、しおらしく深く陳謝のお辞儀。みんながやるもので、我も我もと右ならえ。もはや「日本製」も信用はできないってことなのかな。どんなにキラキラ金色に輝いて見えても、金メッキはいつか剥げ落ちるわけだから。

だけどなあ。実はブロイラーや廃用の鶏だった「比内の地鶏」とか、実は中国産だったうなぎとか、実は外国産だった和牛とかに、「さすがに~は味が違う」、「~は~産しか食べられない」などと舌鼓を打って、いっぱしの食通を気取っていた人たちは、グルメの表示が偽装だったことがばれてしまったようなものだ。王様は素っ裸だったことが世間にわかってしまって、今ごろどんな顔をしているのやら。タイタニック号が一世を風靡した時代をGilded Age(金ぴか時代)というけど、日本のバブル時代もまさにキンキラキンのめっき時代。まあ、消費者も「神さまです」なんて煽て上げられて踊って来たのであれば、狐と狸の化かしあいに見えなくもないけど、金めっきだとも知らずに「やっぱり純金は違う」なんて有卦に入っている図はあんまりカッコよくはないけどなあ。

夢いまだ覚めやらず

11月9日。ゆうべはけっこう嵐っぽかった。シーズン到来というところかな。最近の天気予報で「storm season(嵐の季節)」という言葉をよく聞くのがちょっと気になる。元々バンクーバーは晩秋から春までが雨期で、とにかくよく降るんだけど、どうも荒れることが多くなってきた。気候変動の症状のひとつらしいけど、去年のように大雪を挟んで短期間にミニ嵐が15個なんてのはごめんだなあ。電力会社が売り出す「エマージェンシーキット」を買っておくことにするか・・・

小町にゆかいなトピックが立っていた。『高ビーじゃないけど庶民的なものが嫌い』というタイトルからして何となく自己撞着して聞こえるからおもしろい。まずは「高ビー」という語の意味がわからなくて、やっとのことで「日本語俗語辞書」というサイト(http://zokugo-dict.com/)で「高飛車な人」の意味だとわかった。どうやらバブル時代に高くもない鼻をツンと空のてっぺんに向けて優越感を満喫していた成金族を評して言ったのだろうとは思うけど、本来の「高飛車」の意味からずれている気がする。まあ、自己陶酔しているだけの人に「自分は見下されている」と感じてしまう人の視点からの発想だと思えばわかるような気もするけれど。

要するに、自分はそういう人間じゃないといいながら「庶民的なものが嫌い」といっているところがよけいにoxymoronicでおかしい。「日頃のモヤモヤを語ろう」というのは、「自分は庶民であるべきではないはず」というモヤモヤした焦燥感を語ろうということなのかもしれない。いつも他人に「見下される」ことに警戒していそうな人たちの自衛策としての「こだわり」のようなものが見えてくるからおもしろい。

まず、節約雑誌が嫌いだという。「節約雑誌」などというものがあることさえ知らなかったけど、要は節約は貧乏たらしいからイヤ(でも、生活上は節約せざるを得ない)ということかな。田舎のレストランは(おいしくないから)嫌いというあたりは田舎=劣等という構図がしっかりと描かれている。「都心にいる、隣県や郊外(横浜を除く)のナンバープレートの超高級車」が(安っぽくて)イヤだというのはすごい。高ピーな田舎者は鼻につくから消えてくれということかな。どうりでモヤモヤするわけだ。完全にけちの域に入っている節約は「見苦しい」というのもすごい。見苦しいというのは自分が感じることなんで、他人さまは「完璧なるけち」を楽しんでいるかもしれない。(まあ、他人さまが楽しそうにしているとおもしろくないというあたりも「見下され恐怖症」の症状みたいなところがあるけど・・・)

お礼が手作りのクッキーやケーキだったら「安く済ませたのか」と思ってしまって(イヤ)というのもすごい。こういう人たちは、いくら腕自慢のクッキーやケーキをあげても「貧乏ったらしい」と憤慨するんだろうなあ。もったいない話。(あ、「もったいない」も貧乏たらしい表現かな。)庶民というのは一億総中流階級と信じて日本を発展させて来たその「中流」の人たちだと思っていたけど、繰り返し出てくる「嫌いな庶民的なもの」や「庶民の見苦しさ」なんて表現から察するに、今どきの「庶民」と言うのはちまちまと貧乏たらしく暮らす「他人さま」のことらしい。実はそれが現実の自分の姿でもあるのだろう。つまり、「脱庶民願望」という名の陽炎こそが、庶民的なものが嫌いだという人たちが常日頃感じているらしい「モヤモヤ」の正体なのだろう。バブル時代の一億総非庶民化の夢いまだ覚めやらずというところなのかもしれない。

イタリアの白いトリュフ

11月10日。雨の予報のはずがすがすがしいくらいの好天。街路樹の木の葉がほとんど落ち切ってしまったせいか、キッチンの窓から見る景色はやけに広々としている。11月11日が祝日で月曜は振り替え休日の三連休。まあ、いつもの通りぜんぜん関係な~いという感じで、朝食が終わったらそれっとばかりに仕事にかかる。実をいうと日曜日中に終わらせて納品するファイルが4つもあるのだ。どうしてこんなことになっちゃったんだろうと思っても、時は遅し。やるっきゃない・・・

今日のディナーはWest。何年か連続でバンクーバーのレストランのナンバーワンになったところ。先週Lumiereのシェフ、カナダ唯一の「料理の鉄人」ロブ・フィーニーが実質オーナーの出資者とけんかをしてやめてしまったという食道楽にはショッキングなニュースが流れた。ニューヨークで修行したという28才のシェフを連れて来てキッチンの実権を明け渡せといわれたら、私だって「やめた!」ってことになるだろう。オレはシェフで会計士じゃないんだとはいっているけど、「失業中」を利用して「起業家講座」でも勉強した方がいいと思うなあ・・・

そんなわけで、このままLumiereからは足が遠のいてしまいそうだから、このWestで食べることが増えるかもしれない。Westのシェフとフィーニーは、Le Crocodileのオーナーシェフの下で修行したいわば兄弟弟子。でも、ふたつを比べたら、う~ん、鼻の差でWestというところかな。少し早めに家を出て、レストランの近くにあるMeinhardtというグルメショップで買い物。12年もののバルサミコ酢に鴨のパテ、ウィスキー入りのマーマレードとアルマニャック入りのアプリコットジャム、ついでにオリーブのタペナードを買った。ほんとに食べたくなるものがいっぱいあって楽しい。

食道楽ムードが盛り上がったところで予約の6時にレストランへ。ヴェスパーで乾杯。メニューを見てほぼ決まったつもりでいたら、担当のジェームスさんが今日のスペシャルの「暗唱」を始めてころりと心変わり。ファーストコースは私はイタリアの白いトリュフのリゾット、カレシはブリのセビチェで、メインは揃って雉の胸肉。ジェームスさんのお勧めでニュージーランドのドライな白ワインにした。イタリアの白いトリュフは今が旬なんだそうで、リゾットの上にうす~くうす~くスライスしてある。立ち上る香りの印象は強烈だ。一口食べた印象はもっと強烈。まさに天国の味。こんなすてきなものを地中深くに隠すなんて、神様もちょっとイジワルだなあ。前菜が32ドルってのは前代未聞だけど、百聞は一口にしかず・・・極上の味!

雉はぽっちゃりやわらかくておいしかった。カレシは「小さい鳥かと思ってたけど、意外と大きいんだ」と感心する。そういえば、北上川のほとりをとことこ走っていた雉はあまり大きくなかったけど、あれは野生。これはレストラン用に育てているものだから大きいわけかな。クセがなくてとっても美味だった。デザートはカルダモン風味のパンナコッタ。微妙にエキゾチックですごくおいしかった。ああ、おいしいものをたっぷり食べた後はやっぱり心の底から体の隅々までシアワセだなあ。これだから食道楽はやめられない。

嵐去って

11月12日。やれやれ、すご~い嵐だった。4つも納期が重なって、ウンウン言いながら最後のを終えたのが午前5時。風がゴオゴオと唸っていた。ときどきどこかでガッチャーン。どこかのゴミ箱が吹っ飛んだのかもしれない。これがこの冬のミニ台風第1号かな。おかげで目が覚めてばかりであまり眠れなかった・・・

落ち葉や折れた枝の山はさすがに台風一過の観。月曜日の今日はきのう11日のRemembrance Day(戦没者記念日)の振替休日。静かでいい。残り時間6日になったやっと大仕事にかかれるかと思ったら、そこは極楽とんぼのこと、ウンウン言っている最中で深く考えずにOKしたのか、2日はかかりそうな仕事を入れてしまっている。どうみたって最後の大仕事は5日はかかりそうなのに。この分ではまたまた来週末は徹夜モードかなあ。もうこうなったら破れかぶれで今年は1千万をめざそうか・・・なんてとんでもないことは考えない方がいいと思うけど、ほんとに何やってんだか、もう・・・

と、ぶつぶついいながら、夢うつつで引き受けた仕事を開けてみてびっくり仰天。うひゃあ、真っ赤っかだ。小節の見出しだけが普通の色で、あとは全部真っ赤。おまけにやたらと下線を引いてある。目がチラチラするどころか、メラメラと炎上してしまいそう。こういう文書を作る人の色彩感覚はどうなっているんだろう。文書を作っているご当人だってメラメラだろうに、気にならないのかなあ。こんなファイルを2日も見てられないよ~とばかりに、まずはフォーマットの変更。ページ設定を見たら案の定グリッドが設定されている。これを「グリッドなし」に設定して、こんどは普通色のフォントを青に、赤のフォントを普通色に置き換える。これで仕事がやりやすくなる。フォントの色がいろいろ選択できるからって、使わなきゃってことじゃないんだけどなあ。ほんとに人の気も知らないで・・・

この頃どうもコンピュータの足が重くなって来たと思っていたけど、きのう思い切って1時間以上もかかってデフラグしたら、あ~ら不思議(でもないか)、スイスイと敏速になった。考えたら2年以上もデフラグせずに使っていたのだった。ディスクの使用量は25%。元々文書ばかりだからそんなに場所をとらないんだけど、とにかくあっちゃこっちゃに飛び散っているという感じ。たしかに、アプリケーションを3つも4つも立ち上げて、それぞれファイルをいくつも開けたり閉めたりしていたら、そりゃあ、記憶も飛散してあいまいになるはずだ。時間が詰っているときにデフラグなんか始めるから半徹夜モードになってしまったけど、ファイルが開くのを待つイライラが減って気分はすっきり。がんばろぉ・・・

13日の火曜日の極楽とんぼ

11月13日。半分目が覚めて、あ、ゴミトラックの音・・・とひと安心してもう半眠り。10時半の目覚ましで起床。火曜日はカレシの英語教室の日。え、もう火曜日なの?なんだか1週間が始まったばっかりのはずなのにもう半分終わっているような気がする。やだ~。カレシと入れ違いにシーラとジェシーが掃除に来てくれた。私の仕事場は台風と竜巻と地震がまとめてきたようなありさまなもので、コンピュータの周りだけほこりを払って、床に掃除機をかけてもらうだけでいいよってことにした。いつか仕事が休みのときに大掃除をしてくれるというけど、この調子ではいつのことになるやら・・・

それでもやっこらしょと延び延びになっていた仕事にかかったと思ったら、ニューヨークからラッシュがあるけれどもやれるか、と電話。そんなの無理ですってば。きのうはシカゴの会社にも同じことをいったし、その前の日は常連さんにまで「無理」の連発。ほんとに今年はどうなってるんだろう。もう、ムンクの絵になってしまいそう。

だけど、今日は13日。金曜日じゃないけど、やっぱり13日は13日なのか、ウンウン言いながら半徹夜で仕上げて送った仕事、実はまだまだ残りがあった。手違いがあったんだそうな。ええ、そんなのないよ~。だけど、なぜかこの極楽とんぼは地獄の赤い消防車。ついつい張り切ってしまって、よっしゃ~と腕をまくるから困ったものだ。あっちと交渉、こっちと相談で、電話とメールが飛び交って、30分ほどで「緊急モード」発令が決まってしまった。すっかり押せ押せムードになってしまって、4日分の仕事を2日で「やったろ!」と言ってしまうんだから、んっとにしょうのない極楽とんぼだ。また徹夜なるかもしれないじゃん。だいじょうぶなのかいな、ほんまに・・・

日本では来週から外国人の指紋と写真を取るそうな。プライバシー侵害とか人権蹂躙とか特定外国人の監視が狙いとか、いろいろな批判や非難はあるけれど、まずも何よりも、そうやって集めた個人のデータが入管や法務省から流出してネット上に垂れ流しなんて事態が起きる可能性を心配したほうがいいと思う。だって、日本の情報管理は目の粗いふるいのようなで、安全は保証されていないもの。まあ、「日本人」にとっては、関係ないってことで気にならないし、関心もないんだろうけど、指紋と顔写真はかなり長い期間保存されるそうだから、セキュリティだけは厳重にしてもらわないと、もしもネット上に流出したなんてことが起きたら国際問題になりかねない。

さて、今日の新聞にその機械のお披露目?の写真が出ていた。ふ~ん、ちょっと見たところではなんだかお子さま用のコンピュータみたいな感じ。使用説明のイラストらしいものが画面に見えている。さすが日本というか、だったら、ハローキティちゃんのかわいいデザインにすればよかったのに。だったら、私はとっておきのスマイルで写真に納まるけどなあ。そ、この極楽とんぼも今度日本へ行ったら指紋と写真を取られる「外国人」なのだ。私がもう「日本国民」じゃなくなったんだということをやっと日本国政府が認めてくれるという感じがしないでもない。だけど、こんなに来日も来る日もキーを叩き続けていたら、指紋が擦り切れてなくなってしまわないかなあ・・・

ぶつぶつ・・・

11月14日。サンフランシスコでにらめっこしたこのカモメ君、油の流出で大丈夫なのかなあ。

これで今年何度目なんだか忘れたけれど、またオールナイトの様相。張り切りすぎだわ、もう・・・

先祖返り

11月15日。うわ~、やった、やった。こちら時間、木曜日・・・じゃない、金曜日午前1時、エマージェンシーのラッシュの仕事を完了。もうちょっと、あとちょっと~と降り立ての大雪をこいで行くみたいな気分でプッシュしていたら、周りがだんだんに白っぽくなってきて、そのうち、朝。これが朝なんだ~。ぶっ通しで14時間やっちゃったわけで、さすがに指が言うことを聞いてくれない。それにしても今年は異常だなあ・・・って、ん、ひょっとして異常なのはブレーキ故障の極楽とんぼ号の方だったりして。

おかげで、木曜日という日は24時間とうとう一睡もせずに過ぎた。起床したのが水曜日のお昼だったから、今のところ、38時間起きているわけだ。爽快なのか、アドレナリン過剰なのか、よくわからないけど、どうもピョンと飛んでみたくなるような気分で、眠くないからまいったなあ。極楽とんぼ、気が触れちゃったのかな。夕食後、ホームストレッチで最後の仕上げをしていたら、あるはずのない文章が見えたり、今手を入れたばっかりのはずの文章が雲散霧消・・・と思ってしまったり。???これって、幻覚なのかなあ。うわ、ハイになっちゃってる。自分のアドレナリンでトリップなんかして、知らないよおお・・・

だけど、韓国のメーカーのタイ製造の東京式インスタントラーメンでランチ。カレシお得意のカスタードアイスクリーム。バナナの味で、とろ~りとおいしい。作るのに2時間もかかったとか。けさのカレシはしんねりむっつり。英語教室があるんだから、先に寝てよっていったじゃない。それなのに、目を覚ましては「まだやってんのか~」なんてのこのこ下りて来るんだもん。それをひと晩に4回もやったら、寝不足になるのはあたりまえ。カレシが明け方まで起きてコンピュータの前に座っていた頃、私が起きて様子を見に下りて来たら、「うるさい!」ってぶっち切れにキレたよねぇ。私のは仕事、アナタのは・・・ふむ?

それにしても、徹夜をするとどうしてこんなに腹ペコになるんだろうなあ。食べたと思ったらすぐにグーッ!深層のどこかで「すわ、飢饉!戦争!洪水!地震!」と太古のサバイバー遺伝子がエネルギーを貯めろと、緊急事態宣言なのかもしれない。いわゆる先祖返りなのかなあ。なんか、クラシックな札幌ラーメンが食べたいな~なんて気がしたり、ビッグマックもいいなあと思ってみたり、とろけるようなフォアグラもいいし、あのトリュフは夢みたいだったなあ。ほんわかとした炊込みご飯もいいし、イカ足のから揚げだっていいし、大根おろしにご飯だけでもいいかなあ。睡眠不足でおなかが減るのは、やっぱり先祖返りかな・・・。