リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2008年4月~その1

2008年04月16日 | 昔語り(2006~2013)
4月うららか、春眠の夢

4月1日。4月!一新、刷新・・・ま、気分の転換。カレンダーには誰にも平等に12ヵ月あるんだけど、なぜか自分の生まれ月というのは何となく特別な月という気がするから不思議。穏やかな日差しの春らしい陽気だからというわけでもないんだけど、気分が軽快になったついでにちょっぴりパンクっぽい派手目のワインレッドのハイライトを入れてもらった。外は桜が満開。アイシャドウもちょっとピンク系。見かけの変身は女の特権!

業界のメーリングリストに「国連が不要な言語を禁止することにした」という特ダネリンクが貼ってあった。テロリスト同士は陰謀をたくらむのに英語をしゃべらない。この際余分な言語を廃止して英語だけに統一すれば世界の安全が保障される。言語の数が多すぎると翻訳などに紙の使用量が増えて気候変動が進む原因ともなる。英語に統一すれば地球環境を保全できる。第二言語の学習を強いられることで単一言語の習得に対応している人間の脳にストレスがかかり、多重人格障害の原因になるという研究報告もある。ということで、話者人口の少ないものから不要な言語を段階的に廃止して行くことを検討中である。ちなみに、日本語、フランス語、ポルトガル語、ロシア語は2042年を目途に廃止。ただし、英語がEOL(唯一言語としての英語)となる2049年に向けての問題は、多彩な英語のどれを採用するかということ。アメリカは当然アメリカ英語の採用を主張しているし、カナダ、オーストラリアも自国の英語の採用を推進すべく研究を開始したとされるも、おそらく最終的にはイギリス英語となるであろう。(ケンブリッジ発)

実はESL関連のブログサイトに載った記事なんだけど、コメント欄を見る限りでは本気にした人がけっこういるらしい。あっという間に250件を超えるコメントがついて、そのほとんどが大まじめに懸念したり、憤慨したり。あっはっは。エイプリルフール!今年のエイプリルフール世界トップ10に入れてあげてもいいかな。今日は4月1日だもんね。エイプリルフールのジョークになると、イギリス人の右に出るものなしだよなあ。

だけど、英語だけになってしまうと翻訳商売は上がったりになるなあ。日本中がNOVAみたいなことになるだろうなあ。不要になった外国人英語教師が万の単位で日本中にあふれるぞお。日本人もみんな英語をしゃべるようになるわけだから、英語を使うお仕事があたりまえになるわけで、どうするんだろうなあ。留学産業もきっとかなりの打撃だろうし、ワーホリもあんまり意味がなくなるかも。バンクーバーの経済も打撃を受けるかもしれないなあ。国際結婚だってもう言葉の壁という言い訳がなくなるわけで、夫婦の現実を直視するしかなくなるなあ。外国語の英語をしゃべらなければならないのは不公平だ、と東京やバンクーバーでデモが起きるんだろうか。それに、母語をやめて英語を習得する過程で多重人格障害者が増えると、医療予算が大変なことになるかもしれないなあ。

だけど、2042年のワタシはすっかりボケて、毎日がエイプリルフールになっているかもしれないなあ。すべてうららかな春眠の夢。God’s in his heaven, all’s right with the world・・・世はすべてこともなし。

日本のお札だぞ

4月2日。うはあ、いい天気。夜(というか夜明け前の超早朝に)見る街灯に照らされた夜桜も悪くないけど、青空の下の満開の桜もいいもんだなあ。木の下ではらはら散ってくる花びらをキャッチするってのもおつだなあ。でも、桜は「お、満開か」とチラ見しただけで、後は酒を飲んで、カラオケ歌って、踊って・・・花見というより、桜にかこつけたピクニックみたい。だったら、桜が満開になったから愛でましょう、なんて格好つけなくても良さそうに思うけど、ま、それが日本の伝統ですって言うんだから、はいはい。

大車輪でやっつけた駆け込み仕事を送り出して、ゆうべやっと済ませた決算書類をまとめて、税控除用の領収書のたぐいをチェックして、やれやれ準備完了。今日はトラックでおでかけ。まず会計事務所に寄って、確定申告の資料を受付に置いて来る。ワタシの古巣だけど、知っている顔はパートナー以外はほとんどない。それもそうだ。あの頃の若い見習い君たちがパートナーになっている頃だもんなあ。ああ、年月・・・。

次は銀行で円を買う。あれ、外国為替のカウンターがない。案内で聞いてみたら「カウンターでどうぞ」って、へえ、カウンターで買えるのはアメリカドルだけかと思っていたら、今は全部カウンターでテラーがやるんだそうな。まあ、コンピュータでささっと何でもできる時代だもんね。カウンターでの順番を待つ一列の行列に並ぶこと5分。口座から引き落とすのに、デビットカードをスワイプして、暗証番号を押すと、モニターを見ていたテラー嬢が「では、おいくらぐらい?」。そうだなあ、着いた日に必要な当座の予算となるとどのくらい?ま、現金で5万円にしておこう。カレシが横から「印のついていない小額紙幣で」とジョーク。おいおい、探偵小説の読み過ぎだっての。テラー嬢、目をぱちくりさせながら、それでもささっと1万円札を5枚持って来て、1枚ずつ数えて渡してくれる。小切手口座から引き落とすから60歳以上の恩典で手数料はただ。

しめて513ドル。今日のレートは1ドルが約102円。10年前に日本へ行くのに買ったときは65円くらいと、涙が出るくらいの円高だったっけ。一時は125円なんてすごい円安だったけど、102円だってまったく違う種類の涙が出そうなくらい。それに、100円がだいたいカナダでの1ドルって、暗算苦手のワタシには願ってもない便利さ。1万円で100ドル。1万円が高いのかどうかわからないけど、100ドルならそれなりの価値がわかる。でも、なんだかこの1万円札、ちょっと違うような気がするなあ。本物なんだろうけど・・・

久しぶりにRodney'sで心ゆくまで生牡蠣を食べて、蒸したムール貝を平らげて、ついでに自慢のソースを買って、今日のラストストップはコリアンのスーパー。真夜中のランチに手軽でいいインスタントラーメンを買おうということだったけど、並んでいるのは韓国のラーメンがほとんど。ハングルが読めないから、しばし思案投げ首の挙句、これはというのを2つずつ、日本語だけだからどうやら日本製らしい5個入りをひと袋。ついでに、カレシが大好きな魚のソーセージも買い込んだ。出発前夜の土曜日は、我が家のグルメで二人だけのディナーといくかな。

明日は洗濯もしておかなきゃ・・・

雑種民族ばんざい

4月3日。今日から先はまず仕事が入ってこない「安全圏」。教室に出かけるカレシが「履けるソックス」がないというから、そんなに洗濯してなかったかなあと思ったら、何のことはない、左右マッチしたソックスがないと言っている。ほら、と見せてくれたのが何と6足分の「片割れ」。まあ、どれも色が似ていて、ベッドルームの暗めの照明では見分けがつかなくて、ミスマッチで履いたのが洗濯シュートに貯まっているんじゃないの?それにしても、ないないと騒いでいないで、ソックスくらい自分で買ってくればいいのに・・・

今日は2006年の国勢調査から人種や民族に関するデータをまとめた統計が発表された。それによると、自分は民族的に「カナダ人」と答えた人が1千万人以上いたそうだ。ほとんどが祖先がカナダに来てから何世代目かで、母語は公用語の英語かフランス語。1千万人といえば、カナダの総人口3300万の3割。同じように移民が築いた国アメリカとオーストラリアでも自分の国を「民族的出自」とする人が増えているという。もちろん、それが新しい移民に対する差別化表現なのだとしたらとんでもないことだけど、「民族的にカナダ人(Ethnic Canadian)」という自覚はカナダという国家の未来にとって何よりも重要な鍵だと思う。国勢調査では「先祖」とは祖父母以前の世代をいうと定義されているそうだから、数世代を経て純血度が低くなったアジア系も誇りを持って「民族的カナダ人」の欄にチェックしているに違いない。

カレシは自称「五代目カナダ人」だそうな。母方のひいひいおじいさんが植民地カナダに住んだことがあって、そこでひいおじいさんが生まれたらしい。新天地でひと旗揚げに来て撤退したのかもしれないけど、イギリスに帰って成長したひいおじいさんの子供たちのうち、カナダに来てスコットランドから来た木こりと結婚したのが双子の片割れのおばあさん。だからその孫の自分は「五世」だというわけ。父方の方からはイギリス人、ウェールズ人、オランダ人、ドイツ人など雑多な民族の血を受け継いでいるから、どのご先祖さまが何代まで遡るのか誰もわからない。つまり、民族的カナダ人は世界の人種の血が混じったスーパー雑種民族形成途上の姿なのだ。

地中海にマルタという小さな島国がある。地図を見るとイタリアに蹴飛ばされたシチリアのかけらが落ちたような位置にあって、古代小アジアのフェニキア人に始まり、ギリシャ人、ローマ人、アラビア人、イタリア人、フランス人、イギリス人と、とにかく地中海に船出したありとあらゆる民族が行き当たって、住み着いた観がある。その雑多な血が流れているのが現代のマルタ人。街角で見かける顔だちは南欧風、北アフリカ風、小アジア風、北欧風と、古代から取り込まれて来た民族の遺伝子が現れていて、それがみんなマルタ人で、これがマルタ人という気質を共有している。つまりは、マルタ人という雑種民族があって、マルタ人らしさというひとつの「国民性」を形成しているわけで、ワタシはそこにカナダの未来像を見たような気がした。

発表された統計データを報じた新聞の社説には、「Drop the hyphens and say it together: We’re all proud Canadians(ハイフンを捨てて、みんな声をそろえて言おう: 「我々は誇りあるカナディアン」と)」と大きな見出しがついていた。そうそう。民族を差別化するハイフン(~系)は無用。民族的カナダ人も、自ら市民としてカナダに忠誠を誓った「新カナダ人」も、みんなやがては新しい雑種民族としてひとつの国家を築くカナダ人なんだから。ワタシも大きな声で言おう、「ワタシは誇りあるカナダ人です」と。その上で、「ethnic~(~系)」と言って、やがてカナダ民族形成に寄与する出自民族への誇りを示せばいいのだ。その未来が来た時、たとえば30世紀のカナダ人の「国民性」っていったいどんな感じなんだろうなあ。あんがいその頃には、「地球人」というウルトラ級の雑種民族が君臨していたりして・・・

いざ、しゅっぱ~つ!

4月5日。きのうは何となくもやもやした、ちょっと疲れた気分だったけど、とうとう「前日」になってしまった。連絡先の電話番号やら予約の確認のプリントやらで、出発準備というのは一人旅でも二人旅でも同じくらい労力がいるってことかな。何となく張り切ってないからよけいにそう感じるのかもしれないけど。

土曜日だけど、向こう1週間はたぶん二人とも食生活が変わるだろうからということで、おでかけは中止。カレシが自分でフレンチフライを作って食べるというもので、フライヤーの使い方を教えるのに実際に作ってもらった。電気のフライヤーだから油はあまり高温にならないので、こんがりきつね色にはならないけど、味の方は上々でカレシは「これなら」と満足の様子。ついでに、メインにサラダ以外の温野菜を付け合わせられるように、スチーマーの使い方も実演。なんだか料理教室みたいになって、できあがった極楽とんぼ亭スペシャルのディナーは、サーロインのトルネード風、ポルチーニとアスパラガスのリゾット、蒸したオクラの取り合わせでちょっとおすまし。

食べることについては、あれこれとプランを立てて楽しんでいるようだけど、たぶん半分は友達のところで食べさせてもらったり、弟に声をかけて外で食べることになりそうな気がする。でなければ、電子レンジでチン。大量に作って残った鴨のカスーレがフリーザーにあるし、スープもある。昔ワタシが仕事などで出かけて留守番の時は一晩かかって1週間分の食事を作って冷凍して行った。「ボクの食事はどうなるの?」というカレシだったけど、結局はあちこちで食べさせてもらって、いつもほとんど手をつけていなかった。さて、今回はどういうことになるかなあ。結果報告が楽しみ・・・

カレシの一番の懸念は英語教室のある火曜日と木曜日の朝らしい。目覚ましの時刻はいつも同じだからいいとしても、問題はそれで耳栓をして寝ているカレシが目が覚めるかどうか。いつもは99%ワタシが目を覚まして、やさし~くひじ鉄で起こしてあげる。まあ、目覚ましがないのと同じになってしまうわけ。お目覚めコールの電話を、生徒さんにボランティアしてもらおうか、ママに頼もうか・・・あれあれ、ほんとに大丈夫なのかしらね、この人。寝坊して遅刻なんてことにならなければいいけどなあ。

さて、そろそろ荷物をまとめなくちゃ。東京はかなり暖かいらしいけど、週間予報はあんまり芳しくないなあ。傘が入りそうだけど、持っていくのはめんどうだから日本で買って、おいて帰ってこようかな。何しろ、行きだけは荷物を預けずにすむだけしか持たない「Travelling light」主義なので、ビジネス用はジャケットとハイヒールだけ。後はジーンズで通してしまう。ツーリストだからたいていはどこでもそれで通るんだけど、日本は「年令相応」の身なりにウルサイらしい。まあ、ひょいと肩をすくめて「ニホンゴ、ワカリマセ~ン」で通しちゃえば、愉快な冒険になるだろうなあ。せいぜい1週間の(冒険の)旅なんだから、軽装備で身軽が何よりなのだ。では、いざ、しゅっぱ~つ!!(Rollin’, rollin’, rollin'・・・)

極楽とんぼのおかえり

4月14日。帰ってきた。たかだか1週間でもやはり我が家は心からほっとする。JALの東京‐バンクーバー線は今もバンクーバーからメキシコシティへ飛んでいるのに驚いた。バンクーバー経由のメキシコ線が飛ぶようになってから35年は経っているはず。今はメキシカーナ航空と共同運航しているらしい。今日の機内は団体旅行なのか、ほぼメキシコ人に占領されたかの観があって、席についてベルトを締めるようにいわれてもにぎやかにおしゃべりに夢中でなかなか座ってくれない。英語がわからない人が多いらしく乗務員も少々手を焼いている様子だけど、なにしろ楽しそうで蜂の巣をつついたようにスペイン語が飛び交う。

ワタシの両となりはいかにもメキシコ人という風貌のおじさん二人連れとビジネスマン風の若い中国系の男性。バンクーバーへ帰るのかと聞いたらメキシコシティへ「帰る」という。英語は拙いけどスペイン語はペラペラ。世界のどこにも住み着いて根を張る中国系はほんとにすごいパワーだと思う。夜の飛行だから眠った方がいいんだけど、機内エンターテインメントにゲームがあって、ついソリテアに夢中になってしまった。かってバンクーバーに英語留学したという隣のおじさんにも、セサミストリートを見てかじったスペイン語と英語のちゃんぽんで、ソリテアのやり方を教えてあげた。中国系のお兄さんは黙々と麻雀をやっている。

成田の(なぜか)おみやげ店で売っていた青と紫のシソの種を買ったので、検疫が厳しくなっている昨今のことだから、「植物持込みあり」とまじめに税関申告に書き込んだ。飛行機を降りて入国管理の方へ向かう途中でカレシに電話をしてもしかしたら検査に時間がかかるかもしれないと連絡。というのも、一人で日本から帰って来るとなぜか必ず税関検査に回されて1時間もかかったりしていた。(カレシと一緒のときはそういうことにはならないから何かありそうな気がしてムカッと来るんだけど・・・。)移民官に市販の植物の種を持っていると言うと、農業省の検査カウンターへ行きなさいというのでそっちへ回ったら、警戒厳重そうな?移民局の隣で係官が2人退屈そうに世間話。種の袋を見せたら、「これ、何かの木?」という。いや、ハーブですよと言ったけど、確かに袋の写真は木みたいに茂っている。市販のパッケージは問題はないということで即放免。「申告してくれてありがとうございます」だって。いやいや、市民の義務でしょ?

お酒が入っているから預けたスースケースを引き取って税関へ向かう。また検査場に回されるのかなあと思いつつ申告書を出したら、すっと受け取って、はい、お帰りなさい。え?そのまま出てもいいの?開けてみないの?申告してないものがあるかもしれないよ?ほんっとにいいの?何か半信半疑でロビーへ出て、カレシに電話して「何だかささっと終わって出てきちゃった」と言ったら「寝起きで髪もとかしてないよ」。でも、無精ひげのまま迎えに飛んで来てくれて、しっかりハグ。やっぱり帰って来るって幸せ。

それで、家について第一声が「おい、足がむくんでるよ」。飛行機があまりにも混み合った感じだったもので、搭乗してからずっとトイレに行っていなかったことに気がついた。す~ごいむくみかたで、まるでゾウの足。足首なんか指で押すとポッコリとへこんでしまう。9時間近くトイレなしって新記録だけど、あまりほめられたものじゃないことは確かだよねえ。こういう状態からエコノミークラス症候群が起きるのかな。どおりで足の裏がごろごろした感じで歩きにくかったわけだ。それにしても、われながら呆れるけど、まあ、極楽とんぼのお帰りってことですなあ。さて、明日からは、仕事、仕事・・・

一夜明けたら日常

4月15日。あくびが少し出るけど、あまり時差ぼけという感じはしない。日頃の生活パターンは日本の標準時に近いから、海を越えてもあまり時差を感じなかったらしい。過去に23日くらい行き先の標準時に合わせてみたことがあったけど、そのときは全然効き目がなかった。きっと付け焼刃では体のほうがリズムを覚えてくれないのかもしれない。

今日はまず荷物の後片付けから始める。何しろ新宿の東急ハンズでは「各階停車」で買い物をしたもので、こまごまとしたものがある、ある。こと収納や整理整頓に関しては日本はアイデア大国。狭いところにもっとモノを入れようと言うのだから、これは相当な想像力がいる。それがいろいろとあって、みんな欲しくなってしまう。ひとつだけ文句を言うとすれば、何でもプラスチックでやたらとカラフルなのがでちょっと安っぽいというところかな。効率よく収納できる実用性だけで十分だろうと思うけど、やっぱりかわいくてきれいなのが「おしゃれ度」が高いということになるのかもしれない。とにかく、これは便利そうだというものを片っ端から買いまくった。値札を見て、カナダドルに換算して・・・う~ん、円安とカナダドル高のおかげで安い!

びっくり仰天したのは携帯電話用のストラップがファッションステートメントになっていること。それよりさらにびっくり仰天だったのが「デコ電」というヤツ。いやあ、携帯電話という日常の道具を飾り立てて日常でなくしてしまおうということか。蒔絵風だとか、きらきらしたビーズだとか、とにかく誰も持っていない「ワタシだけ」のデザインにしようと言うことか。みんなと同じでなければ不安な反面みんなと同じはいやだという、相反する心理があるのかもしれない。出る釘は打たれるの喩えどおり、他人より目立つことを厭う文化だからこそ、その分だけ自分は目立ちたいと言う屈折した欲求が強くなるのかもしれない。地下鉄で座っていたら前に立った女性の携帯からジャラジャラとぶらさがっている飾りがワタシの鼻先で揺れて、何だか催眠術でヘンな暗示にかけられるんじゃないかと思ってしまった。

乗り物の中などで携帯で大声で話している人はまずいないんだけど、その代わり乗り込んだらまっさきに携帯を開いて、ひたすら画面を注視し、ひたすら親指を動かす。そうでない人はひたすらつかの間の眠り。こういう光景もなんだかちょっと怖いような気がする。怖いといえば、白いマスクの集団。広い横断歩道をどどっと押し寄せてくる人の壁の中に点々と見える白いマスク。つい何か怖い病気でも流行っているのかと思ってしまった。そっかあ、花粉症の季節だったんだ。でも、店のレジや案内所でも白いマスクのままで仕事をしている光景はやっぱり少し戦慄を感じさせるものがある。あのマスクに黒いサングラスでもかけていたら、銀行になんか入れるのかなあ。カナダだったら警官隊に包囲されるだろうなあ。

警官といえば、成田空港に入るゲートで、警官2人がリムジンバスに乗り込んで来てパスポートを調べた。「特別警戒中」なんて大看板が立っていたけど、何を特別に警戒していたのかはついにわからなかった。昔はバスから下ろされて、検査場で愛想のない係官にパスポートを見せ、手荷物の中を調べられてからバスに戻ったけど、やたらとにこにこと愛想のいい警官の方から乗り込んできてくれるのはサービス向上なのかなあ。成田を飛び立つまでにパスポートを調べられた回数は6、7回もあっただろうか。成田向けのときはせいぜい3回だけど、念入りと言えば念入りなんだろうけど、悪く言えば不安神経症なのかも。

さてさて、遊んできたら次は仕事をしなきゃ。ワタシはラップトップもブラックベリーも持ち歩かずに、家を出たら最後、しばらくは音信不通の行方不明になることにしているんだけど、今回はクライアントのオフィスで長い付き合いだけど初対面の担当者の前に座って「行方不明らしいです」なんていったら、「それは困ったものですねえ」と言いながら「ま、すぐに仕事したくて戻って来ますよ」と仕事を送られてしまった。それじゃあ、腕をまくって仕事に戻ることにするか・・・