祝・開業20周年
2月1日。2月1日。祝・創業20周年!まあ、能天気に自分で「祝」なんて言ってみてもなんだかなあと思うけど。外はどんより小雨もようだし、内はどんより半分寝ぼけまなこだし・・・ん、仕事とは関係ないか。
カレシがきのう庭仕事をしていて、背中の筋肉が突っ張ったのかどうか、とにかく痛くて眠れないと、ベッドの中でごそごそ動いたり、どたっと寝返りを打ったり。おかげでワタシはなかなか寝付けなくて、おまけに咳き込んで息苦しくて半眠状態。そのうち眠りについたことは確かだけど、夢の中で猛犬に吠えかかられて、自分の悲鳴で目を覚ました。午前8時半。せっかく寝ついていたカレシまで目を覚まして、ぶつぶつ。どきどきが落ち着いたところで、また寝なおし。結局は目覚ましがなる前の9時半に起き出してしまった。それにしても、何で夢の中に犬が出て来たのかなあ。どんな夢を見ていたのか、なんだか「バスカーヴィル家の犬」みたいな大きな犬が吠えながら飛びかかって来たことしか覚えていないんだけど。
トニーが来たのが10時過ぎ。下にいて溶剤の臭いがするなあと思ったら、シャワーストールのコンクリートの床に分厚い塩ビのシートを貼り付けていた。なるほど、完全防水だなあ。小1時間ほどして帰って行った後を見たら底に水を張ってある。水で重しをかけたようなものか。さて、カレシが起きてきて、朝食を済ませても電気屋のロウルは姿を見せない。午後2時を回ったところで、マイクに「トニー完了。ロウル行方不明。明日の予定は?」と電報みたいなメールを飛ばしたら、30分ほどしてマイクから電話。明日はドライウォールの工事業者とキャビネットの職人が10時半頃に来るんだそうな。で、肝心のロウルは「もうすぐ行くから」と。のんきだなあ。
ロウルが現れたのはそれから30分後。普通なら「本日は終業」の時間なのに、ほんとにのほほんとした笑顔なもんで怒れない。水がたまっているシャワーストールを見て「お、室内プールかあ。いいねえ」と。カレシは「ビールを冷やすのに使おうか思ってるんだけどね」とやり返して、かなり和んだところで作業開始。最後に天井に換気扇を取り付けて、午後5時過ぎに今日の作業はおしまい。そんなこんなで、開業20周年の今日は、ささっとできる簡単なまぐろ料理と冷やしておいた純米酒でごくささやかにお祝い。
[写真] すっかり定番になったキハダのポケとしょうが醤油を塗ってフライパンで焼いたメバチのステーキ。軽く塩もみした薄切り大根とかいわれを添えて、しそご飯といっしょに、祝・20年・・・。
「がんばったな」ととびきりのハグとキスをプレゼント?にくれたカレシ。屋根裏の断熱材が抜け落ちて冷え冷えした空気がじわっと入ってくるもので、「久しぶりに暖炉に火を入れよう」と薪を持って来た。何年も前に切った庭木だから、すっかり乾燥していてよく燃える。乾燥しすぎているせいか、あまりパチパチとはぜる音がしないけど、ぼうっと炎を眺めて、ふわっと温まるのもなかなかいいもんだ。
[写真:暖炉] うん、忙しがってばかりで、のんびりと暖炉の火を眺めるなんてことはあまりなかったもんね。この先あと何年仕事を続けるつもりか自分でもまだわからないけど、こんなひとときがもう少しあってもいいよねえ、ほんと。それにしても、リビングルームもそろそろ壁を塗り替えなくちゃ・・・。
冬はもうあとどのくらい?
2月2日。火曜日。オリンピックまであと10日だって。知らないよ、暖かだよ。北米では今日は「グラウンドホッグデイ」。冬眠していたグラウンドホッグ(マーモットのこと)がこの日に穴から出てきて自分の影を見たら冬はあと6週間続き、影を見なかったら春はもうすぐそこまで・・・という民間伝承に基づいて、各ご当地のマーモット君に穴から出てきてもらって(ま、人間が引っ張り出すんだけど)、ご託宣をいただくという愉快な行事。19世紀の服装をした大人が集まって、「影が見えぬ。春が来るぞ~」とか、「影が見えた。まだあと6週間は冬だ~」とか大騒ぎする東部が中心のお祭り。西部ではあまりやっていないような。まあ、これがバンクーバーだったら「あと6週間の雨!」てなご託宣になるかもしれないな。
午前9時半に自然に目が覚めて起きた。睡眠6時間半。足りないような気がするけど、ある研究によると寝不足したからと「寝だめ」をしてもあまり効果はないらしい。午前10時。予告どおりの時簡にマイクとキャビネットメーカーのトッドが来た。2人してテープメジャーを伸ばしたり、縮めたりしながら、キャビネットと鏡、トイレのタンクの上につける三角棚の寸法を確認。シンクがほぼ24インチだから、カウンターは30インチ?33インチ?36インチ?特注だから32インチとか34インチも可能だけど、コストは高くなる。ということで、結局33インチにした。スタイルはすっきりシンプルなシェーカー様式、仕上げはワインレッドに近い色。
ちょっと芸術家っぽいトッドと入れ替わりに来たのがドライウォール担当のホーカン。ノルウェイ系かな、がっしりした体格。この商売の人は大きくて重い石膏ボードを扱うからか、大柄の人が多いような気がする。シャワーのタイルの下には水周り専用の耐水性の石膏ボードを貼るから、テープメジャーをしゃかしゃかと伸ばしながら面積を測る。ダウンタウンのコンドミニアムの仕事がオリンピックのあおりで検査官の予約がとれなくなり、思わぬ空きができたのを利用してすぐに来てもらえるらしい。なるほどなあ。ファルコンを送り出して、マイクが「テスト合格」とトニーがシャワーの中にためて行った水を抜いた。そっか、そういうことだったのか。
まあ、これだけがっちり防水したら水漏れなんかしそうにない。黒いシートが塩ビの防水膜。排水口を見たら、元のシャワートレイがいかにちゃちなものだったかがわかろうというもの。四角いのは排水口のふた。真ちゅう製でずっしりと思い。あんまり安っぽいタイルは選べないなあ。
マイクが帰って、今日は「訪問」はこれでおしまい。石膏ボードを貼る前にまだ換気装置のダクトの修復作業がある。抜け落ちた断熱材も入れなおさなければならない。電気配線もほんの少しだけど残っている。人が2人入ったら満員の小さな小さなバスルームだけど、壁の内側には感心するくらい実にいろんな設備が入っている。その作業を狭い空間でやるのに1度に電気なら電気、配管なら配管しかできないもので、それで約1か月という工期になるんだろうな。まあ、石膏ボードを貼って、目地がすっかり乾いたら、後は仕上げと調度品の取り付けだけの段階。タイルを選び、ペンキの色を選び、家中で取り替えることにした照明器具(ざっと16個)を選び・・・こんどはこっちが忙しくなるけど、なんだか嫁入り道具選びみたいで、けっこう楽しくもある時期。うん、もうすぐホームストレッチ!
さて、マイクからお知らせメールがないから、明日は作業は休みということか。ゆっくり寝るか・・・
多国籍な市民ってどこの人?
2月3日。今日は誰も朝早くから来ないので、目が覚めるまで寝た。だけど、なぜか11時には起きてしまった。ふむ、この2週間の早起きモードが新しい習い性になって来たのかなあ。そういえば、夜中を過ぎる頃になると、まぶたがだんだん重くなって来るような・・・。
掃除の日のなので、シーラとヴァルが来て、いつものようにワタシはヴァルにオフィスから追い立てられる。そこへ、ウェスとダリルが「断熱材を入れに来た」と登場。カレシが冷たい空気が入って来て・・・なんて愚痴っていたから、マイクの方で気を利かせて2人組を送り込んでくれたんだろうな。まあ、もうひとつのスコンスを取り付けるために間柱の間に板を入れて補強する作業があったしね。天井にたっぷりと断熱材を入れて、防湿用の分厚いビニールシートをすきまなくきっちりと貼ったら、あ~ら、それまで感じられた冷気がたちどころにストップ。冷え性とは縁遠い熱血人間のワタシでさえちょっと冷え冷えの感じだったから、いや、うれしいねえ。大半が残った防湿シートのロールをそっくりおいて行ってもらったカレシもうれしくてウハウハ。
みんな帰って、家の中も満遍なく温まって、それっと仕事を片づけてから、息抜きに日本のニュースめぐり。ほんとにオリンピックが好きな人たちなんだなあ。ま、オリンピックにコーフンしているのは関係者と観光客くらいのもので、じわじわと首を絞められるように生活への影響を感じ始めた市民の方はどっちかと言うと熱が冷める一方。オリンピックに浮かれてくる人たちには日常生活からの脱出でも、バンクーバーを日常生活の場としている市民にとっては生活しなきゃならないわけで、生活するためには仕事をしなきゃならない。だけど、だけど・・・なのだ。もっともこんなこと言っていたら、お祭り気分に水を差す無粋なヤツということになるのかもしれないけど。
毎日新聞のサイトにはオリンピックの「総力特集」なんて意気込み満々のページがあって、バンクーバーの紹介記事が載っていた。つまるところは「観光客の目」で見たバンクーバー像なんで、「へえ、外国の人たちにはこんな印象なのか」とけっこう新鮮でもある。だけど、ひとつだけ「多国籍な市民」と言う表現には引っかかるのだ。そりゃあいろんな国から来て、母国の国籍のままの移民はたくさんいる。たしかに人口の半分は白人以外の人種なんだけど、だから「外国人」だらけの「多国籍」な都市ってわけじゃない。ほとんどはカナダに帰化したり、カナダで生まれたりして、カナダに国籍を持っているれっきとした「カナダ人」なのだ。(カナダ国籍の他にいくつも国籍を持っている「多国籍な」人もいることはいるけど。)カレシにバンクーバーは多国籍なんだってと言ったら、即座に「多民族か多文化の間違いじゃないの?」と返って来た。
うん、「多民族」と表現されていたら引っかかることはなかっただろうけど、どうしても「カナダ人(欧米人)=白人」という固定観念が日本人の深層意識に染み付いているのを見せつけられたような気がする。だから、(たとえカナダ国籍になっても)日本人がカナダ人になれるわけがないと言うわけなんだな。たしかに人種は変えようと思っても変えられるもんじゃない。日本人と言う「民族」に生まれたら白色民族に鞍替えしたいと思ってもできるわけじゃない。だけど、「日本」という国籍を持って生まれても、自分の意志で別の国籍を選ぶことができる。日本に国籍があれば誰でも「日本人」、カナダに国籍があれば誰でも「カナダ人」。まあ、日本では目の色、毛の色が違えば、たとえ日本国籍を持っていても「外国人」なんだろうけど。だから、カナダなりアメリカなりの国籍を取った日本人が「私はカナダ人/アメリカ人です」というと、「なんだ、あいつ、かぶれて白人になったつもり」と言われるんだろうな。今の時代、民族と国籍は必ずしも一致しなくなっているんだけど、単一民族国家で生まれた日本人にとっては切り離すことのできない観念なのかもしれない。
なるほどなあ。バンクーバーには「多国籍な」な市民が住んでいるのか。ま、単なる「観光案内」的な記事のたったひと言だし、書いた人の人種観がポロッと出たというだけのことなんだろうけど・・・
モーニングコールで三文の得
2月4日。木曜日。朝っぱら電話が鳴っている。今日はゆっくり寝ていられる日なのに、どこの誰なんだ。寝返りを打って、またしばしうとうと。今度はゲートのチャイムがピンポ~ン。ふむ、しつこいなあ。何も注文してないから、配達があるわけないし、どこの誰なんだ。うるせ~と寝返りを打ったところで、カレシががばっと起き上がった。「誰か来てるよ」と起き出して、窓の外をのぞいて、「お~い、みんな来てるぞ~」。大あわてて着るものを着て、階段をどどどっと降りて、ゲートを開けに行った。ワタシもあわてて着替えだけ。また電話が鳴るから、今度はワタシが起き出して受話器を取る。「起きているかい?」とマイク。うはあ~。
一緒に来たのは換気装置のダクトの工事をするフランクとアジア系の女性。フランクはさっそく作業にかかり、マイクが「キッチンの本棚を担当するクレア」と女性を紹介。ははあ、マイクのパートナーだ。日系四世の大工さん。この頃は女性の大工もめずらしくはなくなって来たけど、アジア系はまだあまりいない。本業は映画のセットの製作だそうで、今は不景気で仕事が少ないから副業の特注家具の製作をやっているんだそうな。日本語は子供のときにおばあちゃんと話をするために日本語学校に行って習ったけど、今はもう忘れてしまったと言う。うん、使わなくなったら必然的にそうなるだろうな。言語だって人間の脳みその機能だから「Use it or lose it(使わないとだめになる)」原則があてはまる。たとえ母語であっても使わなければ遅かれ早かれ鈍ってしまうんだから、必要がないとなれば忘却の彼方になっても不思議はない。でも、覚えた日本語をすっかり忘れて、日本に行ったこともなく、日本人の知り合いもいないというクレアにはそこはかとなく日本人っぽい雰囲気が漂っているから、人間てほんとうにおもしろい。
ガンガン、ガリガリとダクトの工事が進む中で、クレアと本棚のデザインの詰め。彼女の意見を入れて、今ある本箱を他へ移して、出窓の端から端までぶっ通しで3セクションの本棚を造り付けにすることにした。この方が見た目もすっきりするし、引き出しがひとつ増える。ぐっと単純なアイデアなのに、なんで考え付かなかったのかなあ。ま、ものごとは広く意見を聞いてみるべしということ。カレシは植木鉢を置くから、傷がつかないように上にガラスを置いてくれと言う。マイクはシャワーのドアを作るところで切ってもらえるよと言う。う~ん、分厚い強化ガラスを指定の形に切ってもらうと高いよねえ。だけど、見積もり予算なんかとっくに吹っ飛んでしまっているから、今さら高いもへったくれもないか。それに、ガラスの下に絵葉書やワインのラベルを置いてみたらちょっとすてきなインテリア装飾になるかもね。よ~し、それで行こう。
マイクとクレアが帰って、フランクが作業を終えて、午後1時。予定していた通り、タイルを選びに出かける。まず橋を渡って川向こうの推薦一番のところ。中国系のおじさんに「サンプルを持って帰って実際の照明の下で見るといいよ」と言われて、展示ボードに貼り付けてある見本を片っ端からめくるように見て行く。ほとんどがイタリア製。高そうだなあ。「これはグリーン過ぎ」、「これはダーク過ぎ」、「これは茶色が多過ぎ」とダメ出し連発だったカレシが「これだ」と選んだのはわりと明るい青みがかったグレーが基調。さらに別の候補も選んで見るけど、気持は最初に気に入ったものに流れる。念のために第2候補も選んで、結局わずか30分でタイル選びは終了。バスルームの中に借りて来た2枚のサンプル板を並べて、ライトをつけて、ためつすがめつ。第2候補は早々と退場となって、「やっぱりこれだ」というカレシのひと言で第1候補に軍配が上がった。さて、タイルの色合いが決まったから、今度はそれに合うペンキの色選び・・・
さっそくマイクに「決めた!」とメールを飛ばしたら、折り返し「明日は午前8時からドライウォールの作業をするので、悪いけど寝坊はできないよ」とのお知らせ。うはあ、目覚ましは7時半かあ。でも、このドライウォールが一番重要なマイルストーン。これが終わったら、後は完成に向けてまっしぐら。そろそろお祝いのシャンペンの用意をしてもいいかな・・・?
シルクドソレイユが来る!
2月5日。朝が早いからそろそろ寝ようかと思って、最後のメールチェック。うわっ、見逃していた、シルクドソレイユがこの夏に新しいKOOZAをもってバンクーバーに来るというご案内メール。うわっ、大変だ!もう寝ようかなんて言ってる場合じゃないじゃないの、これ。
まだいい席が空いているかなあ。さっそくメンバー用のリンクをクリックしたら、今までのとシステムのデザインが違っていて、合理的。チケットの種類と行きたい日にちと時間と枚数をクリックして、希望のセクションをクリックしたら、空いている席が黄色で表示された。おお、前から2列目の真ん中の通路脇の席が2つ空いている。かぶりつきの最前列は特別のプレミアムで目の玉が飛び出るほど高い。そのすぐ後の2列目。これを見逃さない手はない。注文までの持ち時間がどんどん過ぎる・・・えいっとクリック!クレジットカードの情報を入力して、またクリック!
さっそく注文受付の確認メールが来て、数分後にはEチケットが送られてきた。はや~い。さっそく印刷して後生大事に金庫にしまっておいたけど、興奮したおかげで、すっかり目が冴えて、眠れなくなっちゃった。あ~あ・・・
バンクーバーの雪は液体だ
2月5日。午前7時半。また目覚ましがなる寸前に自然に目が覚めた。どうもヘンな癖がついてしまっているみたい。予告通りの8時にドライウォール工事開始。2人がかりで園芸室の天井に石膏ボードを取り付けている間に、マイクが来て、ロウルに代わってスコンスのベースを取り付け、防湿シートをしっかりと密閉。3時間ほどで壁ができあがり、タイミングよく現れたテーピング担当のお兄ちゃんが手際よく継ぎ目に石膏の「泥」に浸したテープを貼って行く。次はテープの上に「泥」を塗り重ねて、乾いたら全体に紙やすりをかけるわけだけど、ここが一番の汚れ作業で、仕事とはいえ職人さんは頭のてっぺんからつま先まで真っ白になるし、いくら防塵処置をしても、換気装置を高速に切り替えてフル運転しても、石膏の白い粉が漂って家のいたるところに降り注ぐ。だけど、ここが必ず通らなければならない試練の胸突き八丁・・・。
地元新聞のサイトを開いたら、真っ先に目に飛び込んできた写真。オーストラリアの選手団が建物の2階分もあるマスコットの「ボクシング・カンガルー」の旗を選手村のバルコニーにはり出したら、IOCから外せとクレームがついたとか。だけど、地元のラジオ局の調査によると、市民は圧倒的に「外す必要なし」。新聞のサイトには「がんばれ。IOC/VANOCの独裁に負けるな」といった市民の応援コメントがずらり。オーストラリアはIOCから正式な要請文書が来るまでは絶対に外さないつもりだとか。IOCなんて他人のお金を使ってお祭り騒ぎをぶち上げるのが仕事だろうに、っとにもう野暮ぞろいの嫌味なおやじばっかりだなあ。楽しく盛り上げなきゃあ、お祭りなんだから。負けるなよ、オージー!バンクーバーっ子がついてるぞ。
まあ、これだから、いくらメディアが「街はオリンピック歓迎ムード一色」なんちゃって煽っても、いろんな世論調査の否定的な回答が多数派になって来るわけだよなあ。ほんとに熱烈歓迎気分で舞い上がっているのは、メディアに煽てられて「感動をありがとう!」と目をウルウルさせるような人たちくらいじゃないのかなあ。まあ、その人たちは存分に楽しんでいるんだろうから、それでいいんだけど。でも、地元メディアが報道しないだけの話で、オリンピック開催地の市民は花嫁の父みたいに、お金を出させられるばかりで結局は邪魔もの扱いだってことが今ごろやっとわかってきた人が増えていることは確かだと思う。世界のメディアは・・・ま、こっちはお客さん気分だし、自国の選手の成績にしか関心がないだろうから、「今や歓迎ムードに包まれています」とか何とか好きなように報道してもらっていいんだけど。
「感動をありがとう!」とすぐに目をウルウルさせるらしいことではまちがいなく団体優勝の金メダルものなのが日本人だろうな。(カナダでも東部に行けば何かにつけて目をウルウルさせて西部人の冷ややかな視線を浴びる団体入賞候補の人たちがごまんといるけど・・・。)日本の新聞のサイトは「一億興奮ムード」の感じがする。どうもわけもなく興奮してハイピッチな声を張り上げているテレビリポーターを連想してしまうけど、まあ、日本の人が求めるからそういうスタイルで報道するってことならそれはそれでいいと思う。とにかくバンクーバーの紹介記事は読んでいるといろいろな視界が開けるようでおもしろい。中にはちょっとばかり海外在住奥さんの「素敵なカナダ生活の情報発信」ブログみたいな感じがしないでもないのもあるけど、訪問者の目線が見えたりしておもしろい。
早々と桜が咲き始めている(雪不足は大丈夫か)という産経新聞の記事を読んでいたら、「例年ならこの時期は雪が降り、気温もぐっと下がるはずなのだが」とあって、思わず、うっそぉ~!ま、雪と氷の冬季オリンピックなんだし、「寒い北国」のカナダなんだしってことで、つい「雪」が頭に浮かんでしまうのかもしれないけど、あんまりいい加減なことを書かないでくれる?たしかに今年は暖冬だけど、例年だってこの時期に降るのは「雨」なの。そりゃ去年は猛烈な寒波だったからクリスマス前後の大雪がまだ残っていたけど、でもあれは異常天候で「例年」じゃないの。今日午後2時の気温はポーチの寒暖計で10度。「平年」の最高気温は摂氏7度、最低気温もプラス1度。だから、例年のこの時期には雪は液体となってバンクーバーに降るんだってば。
まあ、よその国からぽっと来て、知らない街のことを紹介するのは、たとえ言葉が通じても容易なことじゃないと思う。開会式は来週の金曜日。日本のメディアがあっちこっちの街頭でカメラの向こうの日本に向かってきいきい声で「オリンピックの興奮」を発信する光景が見られるかもしれないな。ようするに、メディアの報道を鵜呑みにはしない方がいいのは世界共通ってことなんだけど。
オーケストラの口パク演奏?
2月6日。ほんとにすっかり春の陽気。きのうは猛烈な早起きだったし、いろんな人が次々と出たり入ったりで、かなり疲れた気分になったけど、なんだか久しぶりに正午近くまでぐっすりと寝たような気がする。たまにはベーコンポテトと目玉焼きで朝食。細い短冊に切ったポテトと細切れにしたベーコンをいっしょ炒めると、一人前のベーコンの量は普通の半分でポテトは塩も油も使わずに済むから、コレステロールも塩分も半分以下。これが月に2回くらいならコレステロール満載の卵の数もしれたものだし、食べたいものをがまんしているようにも感じないし、一石何鳥。午後のボストンでやっているホッケーの中継を見ながらゆったりとした朝ごはん。目にもとまらぬ何とかというけど、ゴーリーのルオンゴの反射神経は人間業じゃないんじゃないかと思うくらいにすごい。同点のまま延長に持ち込んで、最後にシュートアウトで勝ち越し点。
今夜はバンクーバー交響楽団のコンサート第2回目。帰りにスーパーで切らしたものを買うつもりで、モールの駐車場に車を置いて、オークリッジ駅から地下鉄に乗ってダウンタウンまで行く。土曜日の夜ということもあって、遊びに行く若い人たちでけっこう混んでいる。かなりがイェールタウンで降りた。シティセンター駅で降りて地上に出たら、グランヴィルストリートはオリンピックの歩行者天国になっていて賑やか。駅からコンサートホールまでは2ブロック半で、車で来るよりずっと便利。天気予報サイトに街中で咲き始めた花の写真がたくさん投稿されていたけど、そのくらいの派手な暖冬なもので、夜になってもストッキングなしの生足でもそれほど寒くない。(元気な若い人たちにいたっては半袖のドレスやTシャツで闊歩しているからすごい。)
今日のコンサートはガーシュウィンで始まって、ガーシュウィンで終わるプログラム。まずカナダ音楽評議会からマエストロに「功労賞」の伝達があって、コンサートの始まり。「今夜はノン・オリンピック・イベントへようこそ」とやったもので、お客はいっせいに大拍手。実はバンクーバー交響楽団はオリンピックの開会式や閉会式の音楽をやることになっていたのを、VANOCが前もって演奏曲目を録音しておいて、本番ではオーケストラの団員は「演奏しているふり」をして、別の指揮者が「指揮」をすると言い出したので、団員は怒り、楽団の理事会は怒り、温厚な人柄のマエストロも怒り、、「VSOはオリンピックに協力しない」という通告を出す騒ぎになって、ニュースを聞いた市民も怒るという事件があった。
ひと騒ぎになってあわてたVANOCがなだめにかかって、結局は「文化オリンピック」には協力するということになったらしい。(VSOが開会式で演奏するのかどうかはしらない。)あのさあ、バンクーバーはロンドンやニューヨークや東京と比べられるような大きな都会じゃないよ、たしかに。お留学だかワーホリだかでたむろしている若い日本人なんか「ダッサいド田舎じゃん」とバカにしているくらいだよ。だけど、オリンピックがどんだけ神聖なものなのかしらないけど、っとにいったい何サマなの?世界中の人が見るオリンピックなんだからと、「もっと見映えのする有名な指揮」を呼んでて来るつもりだったんだろうけど、バンクーバーっ子をバカにするにもほどがある。マエストロ・トーヴィーは人気があるのだ。それに、「口パク」のオーケストラ版なんて、北京オリンピックの口パクスキャンダルを忘れちゃったんかいな、もう。んっとに人をバカにするのもいい加減にしろってくらい、人をバカにしていると思うけどな。
ま、それはもうどうでもいいってことで、第1部はガーシュウィンから親交のあったグローフェ(グランドキャニオン)につないだ後、楽団専属の作曲家の新作。トランペットの交響詩というか、五音音階法のちょっとエキゾチックな響きのある曲。第2部はオリンピック関連のコンペで入賞した若い作曲家(女性)の短い作品で始まって、今夜の呼び物の『ラプソディーインブルー』。ジャズピアニストでもあるマエストロがピアノを弾きながら、立ったり座ったりで大活躍の指揮なもので、満員御礼の聴衆はやんやの大喝采。おまけにプログラムにはなかったガーシュウィンの『霧深き日』をマエストロのピアノとトランペットのデュエットでしっとりと聞かせて、最後に『ポーギーとベス』のメドレーで打ち上げ。ああ、すっきりした!我らが交響楽団にブラヴォー!
カンガルー、IOCにTKO勝ち
2月7日。いい天気。とにかく暖かい。庭中にチューリップやらヒヤシンスやら、球根の芽がにょきにょき。今日もゆっくり起きて、のんびりと仕事をひとつ片づけて、さて、次はちょっと大きくて急ぎの仕事で、その次はちょっと大きいけど(他からねじ込みがなければ)ほんのちょっと余裕のある仕事、そして今手持ちの最後はちょっと小さい仕事。まあ、現役の商売なんだから、仕事があるのがあたりまえなんだけど。もしも仕事がなかったら、(いくらカレシに年金収入があるといっても)(夫婦別勘定ってわけではないとしても)(もしものことがあったら)ワタシの「生活」が立ち行かない。なんだか括弧つきの「条件」が連なっているけど、つまるところは気持の上での「経済的自立」ってこと。だって、ほんとに「もしものこと」があったら、親なし子なしのワタシは広い世界で「おひとり様」。
さてさて、物議をかもしたオーストラリアの「ボクシング・ルー」の旗はそのまま選手村のバルコニーにとどまることになった。周辺の市が「IOCが無粋なことを言うなら、ぜひ我が町に」と誘致を始めたり、バンクーバー市長が「選手村がだめなら他の場所を提供する」と支持に回ったりで、さすがのIOCも「まあ、いいか」と言わざるを得なかったというところか。ざあまみろ。オーストラリア選手団がカンガルーのファイティングスピリットそのままに、とびきり上から目線のお達しに「はっ、かしこまりましてござります」と引き下がらなかったところが(オリンピックはいいとしても)IOCやVANOCの独裁者ぶりにムカついていた市民に大いに受けたと見えて、各国の旗を売っている店にはぜひ欲しいという問い合わせが殺到しているそうな。ワタシもオフィスの壁に貼って、仕事に疲れてへこたれそうになったら、「ふぁいとぉ~」と拳骨を突き出してみたい気がするなあ。
あと4日だそうだけど、全国ニュースでキャスターに「バンクーバーはさぞ沸いているだろう」と聞かれた地元の女性リポーターが、「どこへ行っても冷めている人に会います。もちろんエキサイトしている人たちもたくさんいますが、どこでもどうでもいいという人が・・・」と言いにくそうに答えていた。いいたかないけど、ワタシの周りでも、待ちきれない人たちよりも「オリンピックなんかもういい」と言う人に出会う確率の方がずっと高い。ま、オリンピックそのものが問題なんじゃなくて、それを運営するIOCやVANOCの度を越した傲慢さが反感を買っていると思うんだけど。
どっちにしてもこれだけ仕事が並んでしまったらオリンピックどころじゃない。だけど、ばね指になってしまった親指が痛いなあ。カクカク言っている関節よりも、指の付け根の方がもっと痛い。腫れているから押すと痛い。何をするのも痛い。仕事が立て込んでいるときに限って、というよりは仕事が立て込んで手指を酷使するからこうなるんだけど、これ、自然に治るのかなあ。そうは思っても心の底では医者に行ってもどうにもなるまいと高をくくっている。というのも、まだ日本にいた若い頃に足の親指の関節が痛くなって、そのたびに違う医者にかかったら3通りの(怖そうな病気の)診断と3通りの(痛い)治療。医療に痛めつけられた関節は不恰好な形になって、未でもときどき痛む。さんざん痛い思いをさせられたから、医者に弄り回されるくらいならちょっとぐらい痛くても我慢した方がよっぽど楽だと思ってしまう。それで大変なことになって医者に「我慢のしきいが高すぎる!」と叱られたりもするけど、そんな大病なんぞめったにしないよというヘンな確信があるらしいのは、さすが極楽とんぼ・・・。
だけど痛いなあ。仕事をしないでいるわけにもいかないし、かといってサプリや薬は好きじゃないし、とりあえず、忘れていた保温手袋を探し出して来て着用。マニアックに仕事をしていた頃に薬局で見つけて買ったもので、自然の体熱を逃がさない素材で温めて、リューマチや関節炎の痛みを和らげようと言うしくみらしい。ちょっと変てこなファッションに見えるけど、指先が出ているからキーを打つのに邪魔にはならなくていい。効果があるのかないのかよくわからないようで、あんがい効いているような気になって元気を出してしまうところも、さすが極楽とんぼ・・・。
さくら、さくら、如月の空は
2月8日。自然に目が覚めたのが午前8時半。とたんにゲートのチャイム。ドライウォールの仕上げをする左官屋のゴードンの登場で、1分待ってもらって、あわてて着替え。アラームを解除して、ゲートを開けに走る。スケジュールがわからなかったので、着いたときに応答がなかったら電話で起こしてくれることになっていたけど、ぴったりの時刻に目を覚ますなんて絶妙のタイミングだけど、たぶん車のドアの音か何かで目が覚めたんだろう。睡眠時間は5時間とちょっと。さすがに眠いけど、ゴードンに作業を始めてもらって、締切が迫っている仕事にかかる。カレシはまだ高いびき。いいなあ・・・
小雨の間に晴れ間が出て、道路向かいの大きな桜の木が全体的にほんのりとピンク色になっている。よ~く見ると、あっちにちらり、こっちにほらりと、桜の花が開いているじゃないの。ふむ、0.1分咲きくらいかなあ。去年は長引いた寒波の影響で開花したのはいつもの年より1ヵ月くらい遅れたけど、今年は記録的な暖冬のおかげで逆に1ヵ月くらい早い。でも、草木は人間よりもよく季節を予知できるらしいから、庭のチューリップの芽もずいぶん伸びたことだし、今年はきっとこのまま春たけなわかな。
起き抜けのばね指の状態がだんだんひどくなりそうだったので、昨夜は伸縮包帯で親指を伸ばした状態に固定して寝てみた。昔、職場での「事故」が原因で小指の付け根を傷めたときに、固定するように言われてその通りにしたら、1週間くらいで伸びたまま頑として動かなくなってしまったことがあった。そのときは動くようになるまで労災で物理療法士のところに数週間もリハビリに通ったけど、4本指でパカパカとタイプを打つことはできても、いろいろと不便。たかが小指なのにぴんと立ったままではものを握るのに他の4本の指に力が入らなくて、人間の5本の指はそれぞれに存在理由があるんだなあと感心した。そういう記憶があるから、固定するのをためらったけど、伸縮包帯で少しは動くように巻いておいたせいか、ん、思ったより調子がいいぞ。
キーを打ちながら気がついたんだけど、スペースバーを打つのは英語のときは右の親指、(ローマ字入力の)日本語で漢字変換するときは左の親指と、なぜか使い分けているからおもしろい。まあ、ワタシは一応95パーセントくらい両手利きなんだけど、年と共に右手の使い勝手が悪くなってきている。もっとも英語と日本語の右左の親指の使い分けは年との関係はなさそうだけど、いつからそうなったんだろう。どうしてだろうなあ。頭の中で言語中枢が住み分けしているのかなあ。不思議・・・
今日はオリンピックの聖火が郊外まで来たということで、ラジオもテレビもその話ばかり。聞くところによると、バンクーバー市内でのリレーにはどういうわけかカリフォルニアのガバネーターことアーノルド・シュワルツネガー知事が参加するんだそうな。え、なんで、なんで?他にもセレブの名前がずらり。ま、バンクーバーはハリウッドノースと言われるけど、映画産業の仕事がハリウッドから国境の北へ流出するのはけしからんと息巻いていたのは当のアーニーだったんじゃないのかなあ。ま、いいけど。州の首相はこの騒ぎの中で施政方針演説をすることにしたらしい。なんだかんだ言っても、そこまで来てしまえばパーティはパーティとして楽しんでしまうもんだから、誰も施政方針なんて聞いていないだろうと踏んでのことかもしれないな。こっそり増税を紛れ込ませないか、ひとつ、こっちの方をじっくり聞いてやるか。
さて、あしたはゴードンが来るのが午前10時半過ぎになるそうで、少し余分に寝られるから、少し余分に夜更かしをして、見直しをすればいいところまで仕事を終わらせてしまおう。(ん?時間をシフトしているだけのような気もする・・・。)
トヨタのちょんぼ、小糸の嘘
2月9日。目覚ましが鳴るの午前10時15分。だけど、今日はゴミ収集の日。まず、8時過ぎにリサイクルトラックのガシャン、ガラガラという音で目が覚めた。ああ、まだ早すぎる!と眠りに戻っていい気分になっていたら、今度はゴミのトラック。まだやっと9時!自動式になってから騒音が大きくなった。おまけに収集できるのはレーンの片側に並んだゴミ箱だけなもので、行くところまで行ったらUターンして反対側のゴミ箱を空けに戻ってくる。つまり、朝のうちにガシャン、ガラガラ、ゴーゴーと3回やられるわけで、その3回目が10時少し前。はあ、目覚ましが鳴るまであと20分もない。目をつぶってもしょうがない。起きて顔を洗って、今日は締切があったっけ・・・とつらつら考えていたら、左官屋のゴードンが「少し早いけど」と言いながら現れた。いいの、いいの。ゴミの日だから。
今日の作業は乾いたしっくいのやすりがけ。紙やすりででこぼこがないように平たく均すんだけど、石膏のほこりが半端じゃない。まだドアが入っていないので、出入り口にビニールシートを張ってほこりが家の中に飛散しないようにしているけど、テーブルの上がそこはかとなく白っぽくなって来る。こっちは換気装置を高速で回して排気。ゴードンはときどき巨大な掃除機で床にたまったほこりを吸い取る。この間カレシは目を覚まさずに高いびきで寝ていたからすごい。ゴードンの後はマイクとタイル屋のブラッドが来て、テープメジャーであちこちを測ってタイルの必要量を見積もり。マイクは帰りがけに「ペンキの色はいつ決まる?」うん、あしたかな。今日は締切が迫っているから。
静かになったところで、ねじり鉢巻もりりしく、片目の隅で時計をにらみながら超特急で仕事の仕上げ。英語教室へ行くカレシを送り出すのに早めの夕食をする日だから、仕事も夕食もぎりぎりでセーフ。あ~あ・・・。両方とも無事に送り出して、ほっとしてゆっくりと新聞を読む。今度はトヨタのカムリがブレーキの不具合でリコールだって。あれもこれもで、えらいことになって来たなあ。なのに、我が家にある2台のトヨタはどっちも(まだ?)リコールの対象になっていないからおもしろい。タコマの方はどうかわからないけど、エコーの方はきっとおチビすぎて部品が違うんだろう。まあ、この調子だと突然にリコールのニュースが飛び込んで来ないという保証はないけど。使わないとすぐにバッテリが上がっちゃうんだけど、これってもしかして・・・?
ウォールストリートジャーナルにあった「トヨタの危機はメイドインジャパンだ」という記事には危機管理の不在が根本原因だとあった。世界に君臨するトヨタもしょせんは日本企業だったということで、まっさきに「穏便に処理するには?」と考えたのかもしれないな。やっとこさ社長が顔を出したと思ったら、頭を下げて「申しわけありません」。日本での会見だからそれで通じるのかもしれないけど、なんだか企業不祥事マニュアルと行動テンプレートそのままの印象で、世界企業のリーダーらしさが感じられない。それに「トヨタのイメージ回復に向けて努力する」ってのも、客のことよりも何よりも会社のこと、それも世間のイメージしか頭にないような印象。まるでアメリカに突っ込みどころを熨斗をつけて差し上げちゃっているように見えるんだけど。基本的にはトヨタの車は優秀なんだから、しっかりせいといいたいところだけど、大丈夫か、トヨタ?
まあ、トヨタのリコール騒動は設計や品質管理の問題なんで、どこの企業にも起こり得ることなんだから、もっと早くに大々的に対策を講じていたらここまで大きくならなかっただろうな。たとえマイナーな問題だと思っても、すぐに外に向かって「問題が見つかりました。これこれの対策を取っています」とやればお客も安心して、信頼が揺らぐこともなかっただろうに。世間に知られたくない、内輪で穏便に済ませたいというのが日本的処世術なのはわかるけど、製品を買う客はトヨタ城の外にいる「世間人」だってことを忘れちゃあいかんぜよ。
トヨタが世間をにぎわしていると思ったら、今度は自動車部品メーカーの子会社が飛行機の座席の強度試験データを偽装していたというニュース。それも会社ぐるみで今に始まったことじゃないというから、こっちはまったくたちが悪い。日本で企業によるいろんな偽装が次々と露呈したのはおととしのことだったか。そんなに遠い過去のことじゃないのに。まずいことが起きたらとにかく「しゃざ~い」と頭をさげてしまえば後は水に流して忘れてもらえるという思想は信用できない。いつも中国製は危ないとか、○○のものは質が悪いとか言うけど、偽装大国になったら目くそ鼻くそでしょうが。緩んだねじを締め直さないと、日本株式会社は整理ポスト行きでっせ。
ペンキの色はふんわり雲
2月10日。今日は作業の予定がない日。存分に寝られると、存分に夜更かししたけど、起きたのは午前11時過ぎ。カレシは10時前に早々と起きてしまったらしい。なんで?誰かが来て下で作業をしているときには高いびきで眠っているのに、静かな日は早く目が覚めてしまうの、ど~して?
今日のワタシは運動がてらペンキのサンプルを集めに行った。家の前の道路をほぼまっすぐに下りて行ったところにペンキ屋があったはず。といっても、ペンキを買ったのは二階のペンキ塗りをやった4、5年前のことで、一応、ネットで調べたらあることにはなっているんだけど、ほんとうにまだあるかどうかはわからない。なければもっと先に「Canadian Tire」というごちゃごちゃいろんなハードウェアを売っている量販店があって、ペンキも売っている。行きは下り坂。ときどきぽつん、ぽつんと雨。またもやパイナップル特急が接近中らしい。
目ざしたペンキ屋は案の定カーペット屋に変わっていた。しょうがないから、量販店を目ざす。ここまで10ブロック、さらに4、5ブロックで、まあ、モールまで行くのと同じくらい。とにかく運動なんだから、早足で行こう。カナダの国旗をはためかせた車がかなり走っている。これ、ホッケーのカナックスがプレーオフを勝ち進んでいた(何年前だったか)頃から始まったような記憶がある。バンクーバー流の応援というところ。そういえば、カナダ国旗を掲げたり、窓にかけたりしている家もけっこうある。新聞にも聖火が近づくに従って愛国心が高揚していると書いてあったけど、近頃は国際スポーツ=愛国心みたいなところがある。オリンピックは勝つことじゃなくて、参加することに意義があるんじゃなかったのかなあ。愛国心はすばらしい。だけど、他国を負かすことで自国に誇りを感じるってのは、ちょっとなんだかなあ。しかも選手に代理で闘ってもらっているわけで、自分で勝ったわけじゃないんだし。勝敗に関係なく、ごく自然に「我が国」に誇りを持つのが愛国心じゃないかと思うけどなあ。
ごちゃごちゃと狭い店の中の、さらに狭いペンキ売り場で、グレー系やブルー系のサンプルカードを片っ端から集める。どれも色番号のほかに「名前」がついているんだけど、それが「baby blue」とか、「soft cloud」とか、かなり気取った名前。こんなにたくさんある色合いにいちいち名前を考えるのって大変だろうと思ったけど、いろんな空想を働かせてあんがい楽しいかもしれないな。「海中の航海」は海藻の青緑を想定したのかな。「夏のにわか雨」、「湖の青」、「暖かなそよ風」、「海風」。「銀河の青」なんて壮大なのもある。ピンク系の色にはきっとロマンチックな名前がついているんだろうなあ。
照明によって色合いが違って見えるから、バスルームのハロゲンランプの下にざっと並べて、まずは消去法で「イマイチ」を排除する。シャワーと床に貼るタイルにはそれとなくグリーンっぽい色も入っているんだけど、さっと刷いたようなはがね色がどうしても目立つから、青緑系は全部アウト。クールなブルー系に絞って、ああだこうだと、とっかえひっかえでタイルのサンプルと比べた結果、「ふんわり雲」に決定。小さな空間なのでごく薄い色で、天井はクールな白にする。デイライト系のコンパクト蛍光灯の下で見るとパウダーブルーに見えるけど、ハロゲンのランプの下で見ると明るいグレーが浮き出して来て、なんとなく初夏の薄曇りの空を思わせる色合い。完成したら、濃い色の絵の具を混ぜてみて、ステンシルでアクセントをつけてみるか。
壁の色が決まったところで、残るは15、6個の照明器具の選定。でも、バスルーム改装プロジェクトはいよいよ仕上げの段階に入る。誰かが来て作業をするたびに、イメージしていたものが少しずつ現実の色や形を整えてくる一番楽しみな部分で、同時に期待感で心が逸ってくる時でもある。まあ、トイレに行くのにベースメントから二階まで階段を駆け上がるのもあと少しの辛抱だなあ・・・。
聖火が近くを通ったらしい
2月11日。木曜日。雨模様。ま、液体の雪だと思えばいいじゃないのと言いたいところだけど、スノーボードのサイプレスマウンテンは雨、スキーのウィスラーは霧。本番の競技ができるのかどうか、今頃になって心配したって始まらないでしょうが。天気予報によると、週明けまでパイナップル特急が次々と団子で来るんだって・・・。
起床午前9時半。マイクが「my boys」と呼んでいるウェスとダレルがペンキ塗りの下準備に来ることになっていて、それが「10時より早くはならないから、ゆっくり寝られるよ」。だけど、目覚ましをかけておいても、どうしても鳴る前に目が覚めてしまうのだ。やっぱりゆっくり寝たり、早起きしたりの不規則な生活リズムがストレスになっていると見えて、しっかり食べているのに体重は減るし、ストレスなら血圧は上がると思うんだけど、こっちも下がり気味。下が60を切るようになったらちょいとまずいんじゃないかと思うんだけど。特にうんと年をとってからの低血圧は脳への血流が減って危険なこともあるという話だし。どうすりゃいいの?
今日は朝から川向こうの照明器具屋のサイトでウィンドウショッピング。バスルームの鏡の両側につける「スコンス」をキーワードに入れたら、7千いくつもあって仰天。ページあたり30個ずつ表示して見てもいったいどれだけ時間がかかるやら。とりあえず、これはと思うものをパスワードのついた「欲しいものリスト」に入れて行く。リストは30日間保留してくれるらしい。そんなにゆっくり考えている暇なんかないけど。2時になっても誰も現れないから、どこかで交通規制にひっかかったのかと思っていたら、マイクが「緊急事態で今日は行けない」と電話してきた。配管の不具合があって、水もれが発生したんだとか。そりゃ大変だ。じゃあ、あしただね。「先に済ませるところがあるから、ゆっくり寝ていいからね」って、ありがとうね。
時計を見るとまだ2時半。このチャンスにとばかり底をついた野菜や果物を仕入れに行くことにした。作業があるときはやっぱり家を空けられない。スーパーは夜中まで開いているから夕食後でもいいけど、青果屋は7時過ぎには閉店。だから作業が休みの日に行っておかないと食糧危機が迫って来てしまう。ということで、今日の仕入れは大きなトートバッグ2つにいっぱい。帰り道の道路がなんだか車の通りが多いなあと思ったら、カレッジの前の道路には人が溢れている。メインストリートの方もかなりの人。ほっぺたに国旗の赤いカエデをペイントした子供、旗を持った人、オリンピックの赤い手袋をした人。ふむ、ひょっとして聖火リレーが通るのかなあ。通せんぼされてはたまらないと、急いで道路を渡ったけど、どうやら本当に聖火リレーが通ったらしい。きっとインド系の商店街があるからだろうな。いやあ、危なかった。買い物のタイミング、絶妙に良かったねえ。
それにしても、バンクーバーに入った聖火リレー、やたらとセレブが参加しているらしい。たいていはバンクーバーと何らかのご縁があるんだろうけど、てことは、見物に集まった人たちは聖火を見に来たのか、セレブを見に来たのか・・・。まあ、オリンピックはスポーツの祭典と言うよりも「地上最大のショー」みたいなもんだから、それもありだろうな。今、誰が聖火台に点火するのか憶測が飛び交っているけど、1972年の札幌オリンピックの開会式の聖火の入場は印象的だった。たまたま晴れ間が広がったところへ、バレエのような白い衣装の女子高校生が聖火を掲げてスケートで登場。優雅にゆっくりす~いす~いと滑って、聖火台の階段の下で待っていた男子高校生にリレー。あれはかなり意表をついた演出だった。ちょうど青空が広がったのはマザーネイチャーの粋な計らいだったかもしれないな。
もう38年も前か。なつかしいなあ。ワタシは札幌に住んでいて、勤め先のスウェーデンの本社から社員の娘がアルペン種目の選手で行っているから案内してやってくれとの仰せで、選手村まで出かけた。名前はロッテ・セランダー。フィギュア選手のアニタ・ヨハンソンも一緒に来て、若い女の子同士でデパートを歩いて回って楽しかったけど、あれはオリンピックがまだのどかな「祭典」だった時代の話。ジャンプで日本の「日の丸飛行隊」が金銀銅メダルを独占しちゃったのもあの時。日曜日だったけど、みんなテレビに釘付けで、街には人影がなかった。「日の丸飛行隊」って、「○○ジャパン」なんかよりよっぽどかっこいいと思うけどな。オリンピックはいったいいつから品格のない儲け主義のオリンピック商売になってしまったんだろう・・・。
ストレスで低血圧になるの?
2月12日。金曜日。雨模様。午前11時に目が覚めた。ふむ、とうとう「その日」が来たってことか。やれやれ。ま、あとはチャンチャンとやって、ささ~っと終わればそれでよし。こっちは(またもや)いつのまにか仕事が4本。稼がなきゃね。
オリンピックの開会式を待たずにグルジアのリュージュ選手の事故死の悲報。練習中だったそうだけど、なんだかなあ、設備や用具や技術が人間のとっさの判断能力を超えてしまっているような気がするんだけど。ウィスラーのリュージュコースは150キロ以上のスピードが出るんだそうな。人間が箱の中に入っている自動車だってそんなスピードで疾走したら、1秒の判断が生死を分けることになりかねない。ましてやヘルメット以外は身を守るものが何もない小さなそりに仰向けになった変則的な格好で曲線のコースをぶっ飛ぶんだから、乗っているそりを制御する判断はナノ秒単位かもしれない。人間が制御しているようで実はそうじゃないのかもしれない。そうなったらスポーツとは言えないような。研究室や工場でPCに向かっているエンジニアが「選手」を代理にして自分のテクニカルな技を競っているような。まあ、スピードを初めとする人間が体で感じる「快感」はいつも「より強烈に」を求めることはわかるけど、はて、誰が誰の「快感」を追求しているのか・・・?
少なくとも7時間はぐっすり寝たのに、けさは血圧がきのうの朝より少し下がっている。いたって元気なんだけどなあ。なんだか気になって来た。まだ高齢ではないけど、そうなっても脳梗塞にはなりたくないもんな。ネットを見たら、ストレスも低血圧の原因になるんだとか。ほんまかいな。自分で気づかないストレスがたまっているのかなあ。ストレス因子となると、やっぱり一番は仕事が忙しいとき。それと・・・う~ん、カレシがいる生活もストレス源なのかなあ。時にはイラっと来ることはあっても、ひと昔のような強いストレス源になっているように感じないけど、さて、どうなんだろう・・・。
数字的には「本態性低血圧」に近いんだけど、あるサイトによると本態性低血圧の特徴は、「若い女性に多い」(大ハズレ)、「めまいなどが起こりやすい」(ハズレ)、「体型が痩せ型」(大ハズレ)、「体力がなく、疲れやすい」(ハズレ)「胃腸が弱く、食が細い」(大ハズレ)、「朝が弱く、なかなか起きられない」(ハズレ)、「手足などが冷えやすい」(手の指先以外ははずれ)、「運動が嫌い」(ハズレ)、「頭痛や肩こり等、複数の症状がある」(肩こりぐらい)と、みんなハズレで、当たっていたのは「夜遅くまで起きている」というのだけ。ま、これだって生活時間全体がシフトしただけなんだけど。それにしても、ああだこうだとクヨクヨ、イライラしていて、血圧が天井を突き抜けてしまう人と、逆にストンと落ちてしまう人とがいるのはおもしろいな。ワタシとカレシだって毎日ほぼ同じものをほぼ同じくらい食べていて、カレシは血圧が高めになったし、ワタシは低め。そのあたりが人間の「個人差」のおもし
ろいところかな。
マイクがペンキ塗りに移行するための下準備にクレアと一緒に来て、マイクはシャワーの枠組みの石膏仕上げ、クレアは廊下の壁紙剥がし。クレアは月曜日からまた本業の仕事をするんだそうな。それも沿岸警備隊の巡視船の船内セット。へえ、おもしろそう。いっしょに壁紙をびりびりと剥がしながら、もしもアクション映画で(よくあるように)手当たりしだい壊しまくっているところで監督が「カット、カット」と言ったらどうするの?「壊れたところを元通りにするの」。で、はいこのシーンは終わりってことになったらどうするの?「セットを全部解体するの」。で、もしもまた必要になったらまた組み立てるの?「解体したものは全部廃棄処分だから、また必要なときはまた初めから作るの」。ふ~ん、作っては壊し、作っては壊しって、ギリシャ神話にそんな話がなかったかなあ。なんだかウツになっちゃいそうな感じだけど。「それが映画のビジネスだから」。ふ~ん、人間てのはいったい・・・?
久しぶりのローストビーフ
2月12日。結局のところ、隠れストレスで血圧が下がれば血の巡りも鈍って、熱き血潮も冷め気味になる。まあ、それとはあまり関係ないだろうけど、久しぶりに肉を食べたいなあということになって、今日のディナーはローストビーフ。
魚中心の食生活に移って1ヵ月後くらいにビーフをグリルして食べたときは「こんなもんかなあ」と、ちょっとばかり拍子抜けしたものだけど、ビーフをメインにするのはあれから数ヵ月ぶり。
[写真] サーロインビーフのロースト、シェリーのリダクションソース
魚中心の食生活に移って1ヵ月後くらいにビーフをグリルして食べたときは「こんなもんかなあ」と、ちょっとばかり拍子抜けしたものだけど、ビーフをメインにするのはあれから数ヵ月ぶり。
[写真] サーロインビーフのロースト、シェリーのリダクションソース
ミニポテトのローストと蒸したアスパラガス
ワイン(ピノタージュとシラズのブレンド、南アフリカ)
サラダ
サーロインを三人前くらいの量に切り出したローストは脂身がほとんど見えないから、定番のグレヴィーを作れない。それでは、とお酒の棚を見回して思いついたのが、半分残っていたシェリーのリダクション。ミニのソース鍋にかなりの量を入れて、ちょっと煮立ててアルコールを飛ばしてから、五分の一くらいに減るまでゆっくり煮詰める。味見をしたカレシが少し甘いというので、ビーフストックをごく少量足してみた。
親指くらいの大きさのミニポテトは皮をむかずにそのまま調理して食べられる。ゆでるのはつまらないから、ころころとアルミホイルに包んで、ビーフと一緒にローストしながら、少しだけながら出て来る肉汁を入れて焼いた。これで塩は指先でつまんでパラパラとまぶす程度の量で済む。
うまくちょうど良い焼けぐあいに出来上がったローストビーフに、シェリーのソースを個別のソース入れで添えてみたら、久しぶりの肉料理はことのほかおいしかった。
ワイン(ピノタージュとシラズのブレンド、南アフリカ)
サラダ
サーロインを三人前くらいの量に切り出したローストは脂身がほとんど見えないから、定番のグレヴィーを作れない。それでは、とお酒の棚を見回して思いついたのが、半分残っていたシェリーのリダクション。ミニのソース鍋にかなりの量を入れて、ちょっと煮立ててアルコールを飛ばしてから、五分の一くらいに減るまでゆっくり煮詰める。味見をしたカレシが少し甘いというので、ビーフストックをごく少量足してみた。
親指くらいの大きさのミニポテトは皮をむかずにそのまま調理して食べられる。ゆでるのはつまらないから、ころころとアルミホイルに包んで、ビーフと一緒にローストしながら、少しだけながら出て来る肉汁を入れて焼いた。これで塩は指先でつまんでパラパラとまぶす程度の量で済む。
うまくちょうど良い焼けぐあいに出来上がったローストビーフに、シェリーのソースを個別のソース入れで添えてみたら、久しぶりの肉料理はことのほかおいしかった。
勝つのも負けるのも人間
2月14日。いやあ、まいった、まいった。きのうはシーラが留守番をしている家でヴァルと夫氏のリッチを交えてディナーをして、帰りにスーパーで切らした食品を仕入れて、帰ってきてから仕事を終わらせるという算段だったのが、ワインを飲みすぎて酔っ払ってしまったもので、大番狂わせ。買い物はなんとかできたけど、帰ってくるなりベッドへほぼ直行。せっかく良い天気のバレンタインデイだというのにちょっぴり二日酔い気味でお目覚めとなった。ここんところのストレスで心身ともに疲れていたんだろうな。
招かれた家というのがバンクーバーの南はずれにあるサウスランズと呼ばれる高級住宅地のそのまたブレニムフラッツと呼ばれる牧歌的な地区を通り抜けた川沿いの小さな島にある。玄関を入ったとたんに「うひょ~でっかい」と感じるくらいの邸宅で、庭の向こうはタグボートが往来するフレーザー川。リッチ曰く、「300万ドルは下らないよ」。うは、3億円だ。シーラとヴァルがもう20年近くも掃除をしている家で、奥さんが趣味で描いた躍動感のあるカラフルな絵があちこちにかかっている。三階の屋根裏の小部屋がアトリエになっていて、夏にはきっと日当たりの良いデッキから心地よい川風が入って来るんだろうな。ああ、こんなアトリエで川を眺めながら存分に絵を描けたら至福だろうなあ、とさすがのワタシもちょっとばかし羨ましかった。子供たちがそれぞれ家庭を持って、今住んでいるのは一緒にコンサルタントをやっている心理学者のだんなさんと夫と教育学者の奥さんの2人だけ。いやあ、夫婦2人だけで住むにはちと広すぎるなあ。カレシなんか「お~い、どこにいる~?」と一日中ワタシを探して回ることになりそう。
楽しいひとときだったけど、ちょっと飲みすぎたなあ。スーパーでも自分でわかるくらいの千鳥足だったもん。ちょっと反省しなきゃ。だけど、とりあえず「ハッピーバレンタイン」のキスが先。それから持ち越してしまった仕事を片づけないと納期に間に合わない。良いお天気なのに、気合いを入れて仕事、仕事。頭がくたびれたら合間に改装中のバスルームの外の廊下で壁紙はがし。思い切りよくべりっと剥がすとけっこうストレスの発散になる。子供の頃に張替えをする障子の紙を破らせてもらったけど、人間てのはたぶん誰でも何かしら「破壊願望」みたいなものを持っているのかもしれないなあ。
トヨタがタコマもリコールするというニュースに仰天。ドライブシャフトにひびが入るかもしれないんだそうな。それって、もしもひびが入って運転中に破損したら危なくないのかなあ。うちのタコマにも「召集令状」が来るのかなとちょっと青くなったけど、よく読んでみたら、2010年型だけらしい。我が家のタコマは2008年型。うはぁ、良かった。だけど、ほんとに、世界のトヨタはどうしちゃったの?そのうちにエコーにも不具合があるからリコール、なんてことにならないだろうなあ。あ~あ、もう・・・。
カナダの選手が自国で開催するオリンピックで初の金メダルを取ったんだって。よかったね。なにしろ、他のオリンピックではちゃんと金メダルを取ってくるのに、モントリオールでもカルガリーでも金は1個も取れなかったもんで、まさにカナダのオリンピックスポーツ界の悲願みたいなもの。そのために巨額の選手育成費を投じてやっと悲願達成。そうやってメダルを獲得した選手たちはやがてセレブになってお金をどんどん稼いで、税金をどんどん払ってくれるだろうから、ま、むだではなかったってことかな。オリンピックはやっぱり勝つことに、いや、勝つことのみに意義があるらしい。
昔、アメリカンフットボールの名監督ヴィンス・ロンバーディが言った言葉。「勝つことがすべてではない。勝つことが唯一なのだ」。競争は勝つか、負けるかしかない。となれば、やっぱり勝つほうがいい。だけど、勝つにしてもやっぱり勝ち方(倫理)ってものがあるだろうなあ。それはスポーツにしても、ビジネスにしても、何であれ「競争」のあるところに共通した課題かな。ドーピング(不正)がばれてせっかくのメダル(評判、名声、その他諸々)がフイにならないように、正直にやってちょうだい。
ハッピーバレンタイン!
2月14日。番狂わせの二日酔い気味で、なんとなくかったる~いバレンタインデイ。今年はカードもなし。ま、いろいろ重なってどっちも忙しかったからしょうがないよね。せっかくだから、極楽とんぼ亭特製のディナーで、Happy Valentine’s Day!
今日のメニュー: ゴールデンビーツのカルパッチオ、絹さや、黒オリーブ
マヒマヒのソテー、ほうれん草添え
雉の胸肉、ポートワインソース、小いも、平茸、アスパラガス
(サラダ)
(イチゴのチョコレートフォンデュ)
前からあれこれメニューを考えていたのに、結局はまた手抜きし放題の一見グルメ風簡単料理になってしまった。カウンターに冷蔵庫から出したものをあれこれ並べておいて、どれがいいかな、どうしようかなと思案しながらの即決即行ぶっつけ料理・・・。
[写真] 大ぶりのゴールデンビーツを薄めにスライスして、蒸して、途中で絹さやを加えてもうひと蒸し。塩を振る代わりに缶詰の黒オリーブのスライスを盛り付けたら、ほのかな塩味がビーツの味とぴったり。
[写真] 分厚いマヒマヒは半分の厚さに切って、軽く塩とこしょう。ほうれん草はにRodney’sの辛~いソースをちょっと加えて味にめりはりをつけ、かいわれで彩り。
[写真] ディナーの準備を始める前から雉をポートワインに漬けておいて、準備のいの一番に雉をしっかり焼いて、小いもと漬け汁のポートワインを加えて、ふたをしてとろ火。それからゆっくりとファーストコースのビーツを剥きにかかった。セカンドコースを出す前に平茸を加えて、さらにとろ火。アスパラガスを蒸している間に、フライパンに少しだけ残った汁にポートワインをたっぷり足して、バターを加えて煮詰めるリダクションソース。
サラダの後はイチゴのデザート。やっぱりバレンタインデイはチョコレートがなければ、ということで、チョコレートメルターをテーブルにおいてフォンデュ。今人気のカカオ75%とか何とかのダークチョコレート。ポットの底に残ったのを指先ですくってペロペロ。おいしい。最後には2人とも満足、満腹のバレンタインデイになった。
脳内環境を活性化しなきゃ
2月15日。月曜日。今日は誰かが来れるとしても午後だから、目覚ましなしで起きるのはゆっくり。天気が良くて、道路向かいの桜は2分咲きくらいかな。毎日だんだんとピンクの度合いが増してくる。冬じゃないよ、これ。れっきとした春じゃないの。
朝食を済ませて、また運動がてら歩いてペンキのカラーサンプルを集めにでかけた。今度は廊下の壁紙を剥がした後に塗るペンキ。壁紙を貼った頃はインテリアとして壁紙が流行って、ロールごと水に漬けるだけで貼れるタイプが出回っていたんだけど、今はあまり見かけない。ペンキ屋に行っても、壁紙はおいてあってもほんのおしるし程度に店の片隅にあるくらい。まあ、嗜好は変わるもんなんだけど、分厚いサンプルのバインダーが10冊も20冊もあった時代と比べるとえらい変わりよう。
ということで、壁紙からペンキに変えるには、壁紙を剥がして壁をまっさらの状態に戻さなければならない。ところが、なにしろべりっと剥がしても取れるのは表層だけで、糊がついていた裏紙が残る。水でふやかしてパテナイフなどで擦り取るわけだけど、それが大変な作業。とりあえず、リムーバーを買って来たけど、風通しの良いところで、マスクと防護眼鏡と手袋をして作業をするようにと書いてある。水でふやかした方が時間はかかっても楽かなあ。だけど、作業予定ってものがあるから、のんきに仕事の合間に少しずつってわけにも行かないなあ。カレシはというと、「壁紙を剥がし終わったら、オレがさっさと自分でペンキを塗る」とおっしゃる。ま、ここのところ作業の進行が「遅々」として見えるから、ワタシに「何とかしろ」と遠まわしの圧力をかけているんだけど、もうその手は食わないワタシは「うん、やってみる?」(やるわっきゃな~い。)
たしかに、いろんな人が出たり入ったりして自分の家が半分自分の家じゃないような状態で、何週間も他人の都合に合わせて生活するのは誰にとってもストレスなんだけど、縄張り意識の強いカレシにとっては、それが必要なことだと理性ではわかっていても、情緒的には自分の領域を侵犯されるという不安感が勝ってしまうんじゃないかと思う。それで意識していなくても自分の「覇権」を主張するような行動が出てくるんだろう。情緒的に幼いと言えば幼いのかもしれないけど、たぶんもともと不安感の強い子供だったのが、不安なままで成長してしまったんだろう。もちろん、そのあたりは自分がカウンセリングを受けて学んだことから勝手にそう思っているにすぎないし、ウツっぽいところもあるんだけど、さぞ生きにくい人生だっただろうとは想像がつくし、過去の一連の問題もそこに根っこがあったんだろうと思っている。だけど、それがカレシなんだもんなあ・・・。
壁紙とペンキ塗りの話がなんでこんな話に発展するのかなあ。まあ、改装が始まってから4週間だし、そのあいだ早起きと朝寝坊を繰り返す不規則な生活だし、まだ照明器具の選定が残っているし、カレシの疳の虫が鳴きそうな気配だし、仕事は団子になって入ってくるし、日本国内での移動やホテルの手配もやらなきゃならないし、プレゼンの準備もしなきゃならないし・・・ワタシだってそろそろストレスが水面のすぐ下まで来ているのかもしれないなあ。そうだ、小町横丁にはまだ30代、40代の若さで人生の最盛期にあるのに「疲れる、疲れる」と連呼している人たちがたくさんいるんだから、とっくに還暦を過ぎてしまったワタシが疲れても不思議じゃないかもしれない。ここはまず脳内環境の活性化を考えよう。ま、とにかくなんとかしなきゃってことだけど・・・。