

The Singers Unlimited / Christmas ( 独 MPS 20 20904-0 )
クリスマス・ソングは、やはり何と言ってもコーラスが似合う。コーラス・グループの多くがクリスマス・アルバムを残しているけれど、その草分けが
シンガーズ・アンリミテッドのこのアルバムかもしれない。
ハイ・ローズ解散後にジーン・ピュアリングが作ったグループがこのシンガーズ・アンリミテッドだけど、レコーディングは1人が複数パートを歌い、
全体で4声以上の分厚いコーラスの層を作り、エコーをたっぷりと効かせた壮大な音響で録音した。おそらく教会の聖歌隊をイメージしたのだと思う。
ドイツのMPSレーベルと契約したおかげで、このレーベルの高度な録音技術がそれを可能にした。
このグループはジャズ・コーラスの技術的限界の枠を大きく拡げて、この路線は現代のザ・リアル・グループに引き継がれている。このアルバムも完全
アカペラで、人の声だけで巨大な音楽を作り上げている。取り上げられている楽曲はポピュラー系のものは避けてトラディショナルなものがメインに
なっており、それがアルバム全体の格調を高い印象へと押し上げている。そういう意味では極めて正統派の内容だ。
これをかければ、家の中は見事なまでにクリスマス一色となる。クリスマスツリーもクリスマスケーキも欠かせないけれど、やっぱり何はなくとも
音楽、である。お気に入りのクリスマスアルバムがあるのとないのでは人生の楽しさはずいぶんと違ってくるのではないか、という気がする。