報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち”より、ボツネタ

2014-01-08 20:37:16 | 日記
[1月5日15:00.ユタの家(威吹の部屋) 威吹邪甲&威波莞爾]

「先生、お餅が焼けました」
「おっ、そうか。今日のおやつは、お餅か」
「これで在庫は全て無くなりました」
「うん。もはや餅の時期も終わり。名残の餅というわけだな」
 威吹は餅を1つ手に取った。
「ユタ殿がお昼過ぎに出かけたようですが……」
「うん。法道院?とかいう寺で、スリハンドクの劇があるのと、法話会があるんだとか言って……」
「何ですか?その、釈迦牟尼仏の弟子みたいな名前の劇は?」
「いや、釈迦の弟子の名前らしいんだ」

[同日16:00.JRA銀座ウインズ 藤谷春人&佐藤公一]

「ざけんじゃねぇ!このクソ馬ぁ!!」
 ボゴーン!
「いてぇよォ……クスン……」
 ↑自販機に八つ当たりして自爆。

 ガラガラ……ガコーン!

「ありゃ?缶コーヒー、誰か忘れてる。ラッキー」
 サトーが殴った拍子に出て来た缶コーヒーをタダで手に入れる藤谷。
「オルフェがいなくなって、ますますワケわかんねーレースになったからな。でもまあ、収支プラス2000円じゃ、トントンってとこだな」
 藤谷、軽い足取りで払戻機に向かった。

[同日同時刻 再びユタの家(威吹の部屋) 威吹邪甲&威波莞爾]

「先生、どうしたらユタ殿のようなS級“獲物”を手に入れることができますか?」
 カンジは至って真面目な顔で、威吹に茶を出しながら聞いた。
「そうだなぁ……。こればかりは、コツってのは無いんだ。本当に運だよな。オレだって運が良かったんだ。もし悪いままなら、今頃まだ狐の石像に閉じ込められたままだろう」
「そうですか……」
「だが、1つ方法はある」
「何でしょうか!?」
「基本的に盟約者1人につき、“獲物”は1人までという掟だが、例外があるのは知ってるな?」
「あ、ハイ。えーっと……『“獲物”の配偶者並びに、その子孫に至るまでの所有を認む』と……」
「ユタの両親はあいにくと丙種(C級の旧称)だが、恐らく先祖に特種がいたと思われる。その先祖返りで、ユタの霊力は一見何の脈絡も無く特種なんだろう」
「ということは……」
「ユタの血を引く子孫達の中に、特種の霊力を持つ者が現れる可能性は高い。最初の“獲物”は譲渡が認められていないが、子孫に関しては“獲物分け”が認められているから、もしその中に特種の者が現れたら、カンジに譲るよ」
「本当ですか!」
「だから、それまで待つのも1つの案だな。それまでの間に、別に特種を手に入れられればそれで良し。もしダメなら、ユタの子孫の中にそれが現れるのを待つのみ」
「はい」
「しかし……アレだな」
「何ですか?」
「確かに特種の“獲物”を食らえば、捕食者の妖力は倍増どころではないほどの割合で物凄く強化することができる。しかし、カンジ。オレは偶然手に入れただけだからいいようなものの、お前はどうしてそこまで特種を欲しがるんだ?正直、丙種や乙種(B級の旧称)であっても、聖職者などであれば、そこそこの妖力上昇は期待できるんだぞ?」
「それは……」
「まあ、オレの剣技を身に付けたいという理由と同じかな?」
「そうなんです」
 聞けばカンジはちゃんと話すことだろう。
 しかし、どうやら若いのにそこまで力を求めるということは、何か大きなものを背負っていると思った。
 威吹だって封印前、まだカンジよりも若かった頃、強くなることに憧れていたから、彼の気持ちが分からないでもない。
 とはいうものの、どうも強さの方向が違うような気がした。
 威吹の場合、最初は里での利権奪取のため(要は強くなることで幅を利かせたいというもの)、さくらに惚れてからは、数多の妖怪から狙われる彼女を守りたいがための強さ。
 カンジはどちらとも違うようだ。
(逆に、ユタが羨ましくなってきた)
 と、威吹。

[同日16:45.JRA銀座ウインズ 藤谷春人&佐藤公一]

「営業終了まであと15分でーす!払戻の方はお急ぎくださーい!」
 緑色の制服を着た整理員が広報する。
「あ、なに?お前、顕正会員だったの?」
 藤谷はサトーを見てびっくりした。
「ざけんじゃねぇ、法華講員!折伏の精神も無ぇからって、ギャンブルやってやがってよ〜!」
「お前、ヒトのこと言えねーだろ!自分だって、9時10分からいたくせに!」
 ※JRA銀座ウインズの開場時間は9時10分。
「俺んとこは誓願達成したからいーんだよっ、ああっ!?」
「うるせっ!どうせ入信報告書の枚数稼いだだけで、即日退転者続出だろうが!」
「誓願達成できなきゃ意味無ぇーだろうがっ!ああっ!?」
「うちの寺じゃ、退転者出す方が問題だっつーの!」
「仏種蒔きゃそれでいいんだよ、ああっ!」
「浅井会長の平成25年の誓いはどうなった!?」
「んなもん覚えてねーよっ、ああっ!?」

 外から見ていた作者。
「御書読めてませんね〜?あの人達?習い損ないの寛師教学に取り憑かれて、かわいそうに」
「ええ。(俺も人のことは言えん)」
「本当の仏法を知りたいのなら、私の家へおいでなさい。仏法を求めて、千里の道も一歩より、ですよ?」
「考えておきます。沖浦さん。(白馬まで行くのかよ、こんな真冬に!)」
 沖浦さん、友情出演あざざざざーっす!
コメント (2)
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“アンドロイドマスター”より、ボツネタ

2014-01-08 14:41:35 | 日記
[1月1日12:00.宮城県仙台市内のマンション 敷島孝夫&エミリー]

「御雑煮が・できました」
「おっ、ありがたい」
 敷島はお正月特集の新聞を読んでいたのだが、そこから目を話した。
「仙台では御雑煮にお餅は入れないんだ。分かってるな?」
「イエス」
 敷島がお雑煮に箸を付けようとした時だった。
「あっ、そうだ。KAITOがテレビに出るんだった」
 敷島はテレビを点けた。お正月の生番組。他の出演者と共に、初詣で賑わう都内の神社にいた。
「よしよし。KAITOも元気にやってるみたいだな」
 敷島は安心したようにお雑煮に箸をつけた。
「敷島さんは・初詣に・行かれないのですか?」
「俺はいいよ。ケ・セラ・セラ。なるようになるさ。俺が前いた会社だって、毎年高い玉ぐし料払ってさ、祈祷までしてもらったのにM&Aだぜ?やってらんないよ」
「イエス」
 ※“アンドロイドマスター”は“ボカロマスター(リメイク版)”の続編であるため、敷島達は全員無宗教です。
「ミズ池波は・振袖を着て・初詣に・行かれるとの・ことです」
「それを早く言え!」
 敷島は急いでお雑煮を食べた。
「家族旅行で・三重の・伊勢神宮・だそうです」
「それをもっと早く言え!……ったく」
 敷島はチャンネルを変えた。
〔「明けまして、おめでとうございまーっす!」〕
「おっ、リンとレン。こいつらもメジャーになったなぁ……」
 リンは振袖、レンは紋付き袴姿だった。
「そういえばミクが、新しい振袖のグラビア撮影の写真、送ってくれたっけな」
「イエス。今年の・ボーカロイドカレンダーの・売り上げも・昨年度の・25.67パーセント増との・ことです」
「そうかそうか」
 一応が全て財団所有なので、彼らが上げた売上金が一部、財団の活動資金にプールされている。

[同日13:00.仙台市内 敷島&エミリー]

「平賀先生の所に、年始の挨拶にでも行ってくるか」
「イエス」
 敷島とエミリーはタクシーに乗った。
「青葉区の○○まで」
「はい、ありがとうございます」
 タクシーはすぐに走り出した。
〔「続きまして次の曲、お送りしたいと思います。初音ミクで……」〕
「こっちが収録かな?」
「収録・です・ね」
 ミクの歌声がラジオから流れてくる。
「あー、こりゃ懐かしい。ウィリー討伐の当日に新曲発表したヤツじゃないか」
「イエス」
 都内のドクター・ウィリーが潜伏するビルにダイレクトに向かったのでは、シンディ率いる敵ロボット達に迎撃されるのは目に見えていた。
 そこで表向きはあくまで、年末特別ライブを行うという名目で、ボカロ達を都内まで連れて来た。
 いつも通りにライブを行った後、敷島は一計を案じた。ファン達のアンコールに答え、ミクに秘密の歌を歌わせたのである。
 これは普段、エミリーが研究所で弾いていたピアノ曲に歌詞をつけたものだ。
 エミリーはただ単にピアノを弾いていたのではなく、ウィリーが送り込んだ刺客ロボット(シンディを除く)の命令を強制解除させるため、その電気信号を曲の旋律に変換してピアノ曲にしていたのだった。
 更にその曲に歌詞を付け、ボーカロイド達に歌わせることによって、都内での被害は最小限に済ますことができた。
 もっとも、ビル周辺地域はさすがに被害が出たが。
「さすがに乗り捨てられていたとはいえ、都バスでバージョン達の包囲網に突っ込んで行ったのはやり過ぎだったかな」
 敷島は照れ笑いを浮かべた。
「おかげで・進路を・確保することが・できました。バージョン達は・敷島さんの・動きが・読めなかったようです」
 それはシンディも同じく思っていたらしく、屋内消火栓をぶっ放して進路を阻むロボット達を駆除するという行動をまさか本当に実行されるとは思っていなかったらしい。
「そう言ってくれれば助かる。しかしお前も、気が利くな」
「?」
「今時、バスの車内にも監視カメラが付いてるって、忘れてたよ。その画像を消去してくれて助かったよ」
「イエス」
「ややもすると俺、バス泥棒だもんな」
「イエス……いえ、ノー……。ノー……イエス………」
 エミリーは返答に困ったらしい。

[同日13:30.仙台市青葉区内の平賀家 敷島、エミリー、平賀一家]

「あっ、いっけね」
「?」
 タクシーを降りた後で、敷島はポンと自分の頭を叩いた。
「平賀先生達の子供に、お年玉やんなきゃいけないんだったな。ポチ袋忘れた」
「大丈夫だと・思いますが」
 長女が3歳、長男が昨年生まれたばかりである。
「まあいいや。もし何だったら、俺が何とか繋ぐから、後でコンビニに行って買ってきてくれ」
「イエス」
 敷島は玄関のインターホンを鳴らした。
「ワンワンワン!!」
「うわっ、びっくりした!」
 玄関から黒と茶色のシェパードが飛び掛かってきた。
「先生、いつの間に、こんな犬を!?」
「ノー、敷島さん。ロボット犬です」
「え!?」
 エミリーが近づくと、
「クゥーン、クゥーン」
 と、エミリーにすり寄るのだった。
「あははは、ごめんなさい。敷島さん」
 家の奥から、平賀が出て来た。
「びっくりしましたよ。いつの間にシェパードなんか……」
「番犬とチビっ子の遊び相手代わりです」
(いや、番犬はともかく、小さい子供の遊び相手にシェパードは無いだろ……)
 敷島は心の中で突っ込んだ。無論、だからといってチワワやポメラニアンでは、番犬には不向きと思われる。よって、
(折半して、柴犬かラブラドール・レトリバー辺りだと思う)

[同日13:40.仙台市青葉区 平賀家リビング]

「明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそ。おっ、七海も元気にしていたか」
「おかげさまで」
 七海がお茶を持ってきた。
「しかし、メイドロボット(七海)がいるのに、それにプラス番犬ロボットとは、いささか物騒ですな」
「そうですか?もしかすると、メイドロボよりも、番犬ロボの方が需要があるかもしれないんですよ。こっちの方が設計しやすいってのもありますし、メイドロボよりも費用は安いんです」
「なるほど。餌も電気代だけでいいですしね」
「そう。狂犬病などの病気の心配もありません。躾なんかも、予め用途や性格を入力しておけば、その心配も無いですし」
「そりゃあいい」
 敷島はお茶を啜った。
「十条先生なんか、馬ロボット作ったって話だからな」
「相変わらずの先生よね」
「ブッ!」
 平賀は隣にいる妻の奈津子(旧姓、赤月)に振った。
「何に使うんですか!?てか、何で作ったんですか!?」
「いや、今年の干支が馬だって理由で……。見てくださいよ、これ」
 平賀は手近にあったノートPCを見せた。そこには年賀メールがあったのだが、
〔「ハッピーニューイヤー!」〕
 馬ロボットに跨った十条が、カメラに向かってピースサインをしていた動画だった。
「ハッピーニューイヤーじゃねーよ」
 敷島は呆れていた。
〔「今年の金杯はオルフェの単勝に3万じゃ!」〕
「オルフェーブルは、去年の有馬で引退しただろうが……。相変わらず、ぶっ飛んだ博士だ」
 敷島は呆れていた。
「こんなのが作った執事ロボットに、お前は惚れてるんだぞ?大丈夫か?」
 敷島は後ろで見ているエミリーに振り向いて言った。
「ノープロブレム。キールは・優秀です」
「エミリーのお墨付きだもんな。たまには七海みたいに、コーヒーと紅茶をブレンドした紅ヒーみたいなギャグ飛ばしてみろってんだ」
「まあまあ。ところで敷島さん、十条先生の所へは挨拶に行かないんですか?」
 平賀が聞いて来た。
「ここから金沢遠いっスよ」
「ははは……」
「……本日の・“エトワール”号・空席あり。予約・可……」
「こら、エミリー!勝手に高速バスの予約するなっ!乗らんっちゅーに!」
「すみません。……アイペックス・エアラインズ・63便・空席あり。予約・可……」
「だから、金沢行かんっちゅーに!」
 すると、平賀夫妻はクスクスと笑った。
「敷島さん、エミリーもキールに会いたくてしょうがないんですよ」
「行ってあげたらどうですか?」
「し、しかし……」
「失礼ですが敷島さん、5日までの御予定は?」
「……お、お察しください。エミリー、“エトワール”号、空席2つあるのか?」
「イエス!」
「予約しといてくれ。来年の元旦」
 プシュー……。
「ああっ、エミリーの頭から煙が!」
「敷島さん、南里先生の御遺作に何てことするんですか!」
「さすがロボット・クラッシャー敷島、ですね」
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