[8月10日12:30.江ノ島海水浴場 ユタと愉快な仲間たち]
それぞれ海水浴を楽しむメンバー達。
威吹は、
「ふう……。なかなかの美味であった。馳走になった」
海の家で昼食。
ウルトラスーパージャンボラーメンを3杯平らげ、無料にしてしまった。
「侍だ!銀色の大食い侍だ!」
他の客から歓声を受ける威吹だった。
「こ、これで2人目でゲソ……」
アルバイトの女性店員は驚愕の表情を隠しきれなかったという。
「お見事です。先生」
カンジが恭しく言った。
「妖狐ならこれくらい食って当然だな」
「ははっ」
その頃、浜辺では……。
「あー、こりゃちょっとビミョーだね。あなたの彼氏、他に女の影が何人か見えるわ」
「ええーっ!」
「そこのあなた、プロポーズは明日にしときな。明日の方が結婚運いいみたいだよ」
「ありがとうございます!」
「そこのキミ、ここで一気に彼女をホテルに連れ込んだりすると破綻するよ。今日のところは食事でも奢って、様子見の方がいいね」
「わ、分かりました!」
イリーナが水晶玉片手に占いをやっていた。
「はい、次の人〜」
「お、お願いします!アタシ、気になる人が……」
「あー、ハイハイ。(場所が場所だけに、恋の占いがほぼ100パーだね。まあ、いいヒマつぶしにはなるか……)で、どんな人?」
「が、学校の同級生です!」
「あー、水晶玉にも出てるねー。ん?女の子?」
「その好きになった人が、たまたま同じ女子高のコで……」
「……マジで?」
「マジです!」
[同日13:30.同場所 イリーナ・レヴィア・ブリジッド、稲生ユウタ、マリアンナ・スカーレット、蓬莱山魔鬼]
「ツアコンさーん、喉乾いた〜。ジュースぅ〜」
「すっかりツアーコンダクターだな」
マリアは苦笑いしてユタを見た。
「ははは……。じゃあ、ちょっと買ってきます」
「いいよ。ちょうどお客も捌けたことだし、アタシが行ってくるよ」
イリーナは水晶玉をバッグにしまいながら言った。
「いえいえ。今日はもう僕はツアコンでいいんで」
「ユウタ君も働き者だねぃ……」
ユタは財布とスマホを手に、自動販売機コーナーに向かった。
それが運の尽きだということも知らずに……。
[同日13:35.自販機コーナー 稲生ユウタ]
「? あれ?おかしいな。1000円札が入らない……。ん?」
よく見ると、100円釣り切れになっていた。
「マジかよ。参ったな……。こんな時に限って100円玉が……ん?」
その時ユタは、おサイフケータイの使える自販機を発見した。
「おー、大聖人様の御加護だ」
ユタはスマホを出すと、おサイフケータイを……。
「くそ。直射日光で、画面が見えない……」
ユタは画面を逆光にするため、スマホをビーチの方に向け、尚且つ太陽の方向に向けた。
「えーと、おサイフケータイどれだ……」
アプリを探すために、ユタは画面を指でスライド。
と、その時だった。
「あ、そこのキミ」
「はい?」
ユタに話し掛ける者がいた。
20代前半の女性が2人。
ユタより年上。恐らく、マリアと同じくらいの歳だろう。
「ちょっといいかな?」
「は?」
[同日14:00.ビーチ上 ユタ以外の仲間たち]
魔道師達の前にて、ビーチボールで遊ぶ鬼族兄妹と江蓮。
その後ろでは、
「お客さん、木刀で素振りはやめてください!」
「ご、御免……」
「すいませんでした」
木刀で手合せしているのを監視員に注意された威吹とカンジ。
「あの、師匠」
「なぁに?」
ビーチパラソルの下に座る魔道師の師弟。
マリアがイリーナに話し掛けた。
「ユウタ君、戻り遅くないですか?」
「そう言われればそうだねぇ……。ユウタ君が行ってから、どれくらい経つ?」
「約30分ほどです」
「30分か……。ちょっと、いくら何でも遅いかねぇ……。自販機コーナー、すぐそこなのに……」
「えー!何やってんだよ、あのジュースはよ!」
文句を言うキノ。
「おい、オレの“獲物”をジュースにするなよ」
威吹はキノに文句を言い返した。
因みにこの2人、人間換算年齢はだいたい近い。
「案外、逆ナンされてしたりして?」
江蓮はイタズラっぽく笑い、
「!?」
それにびっくりするマリアだったが、キノは否定した。
「あのオタメンにそれは無ェ。まあ、地元のヤンキーにからまれてボコられてるってんなら有り得るだろうよ」
キノの言葉に、凍り付く面々。
「あ?何だよ?」
「あー……可能性は否定できんなー……」
青ざめる威吹。
「最近のヤンキーは半グレと言って、ヤクザでも手に負えないそうです」
カンジも口調は不安げであったが、相変わらずポーカーフェイスだ。
「ヤクザでは重んじられる見栄も外聞も面子も必要としない連中ですから」
「師匠、ユウタ君の居場所を占ってください」
「よ、よしきた!」
イリーナは水晶玉を取り出した。
「もし仮に蓬莱山鬼之助の言う通りだったら、ミカエラとクラリスに命じて、半グレどもをズタズタにしてバラバラ死体に……。くっ、はははは……チェック・メイトだ」
マリアは最後、快楽殺人者の笑みを浮かべた。
「待てよ、マリア。貴様の勝手にはさせんぞ」
と、威吹。
「何だと?」
マリアは威吹を睨みつけた。
「せめて、証拠に奴らの髪と爪だけは残しておけ」
「出たよ、イブキの侍根性」
キノは呆れて肩を竦めた。
「もう既にツアコンさんはやられてる前提なのん?」
魔鬼は首を傾げた。
「おい、まだか、イリーナ!」
威吹が苛立った様子でイリーナを急かした。
「慌てなさんな。今、ユウタ君の位置・座標を解析してるから」
話す内容は、とても占いには聞こえない。
と、その時だった。
「!」
荷物の中から、誰かのケータイが鳴った。
「オレのだ!」
それは威吹のだった。
あくまで緊急連絡用として、ユタから預かっているものだ。
「ユタからか!?」
威吹は電話に出た。
「もしもし!?」
「あいつも、ケータイくらい使えるようになったか。スマホに進化するのは、何年も先かぁ?」
「シッ」
キノの冷やかしに、江蓮がたしなめる。
「ユタか!?大丈夫か!?今、どこにいるんだ!?」
「ユウタ君、そんなに遠くへ行ってないね。同じビーチだわ」
「け、警察!?一体、どうしたんだ!?」
「あー?あいつ、ジュース買いに行くと見せかけて、自販機荒らしにでも行ったのか?」
キノは腕組みし、首を傾げた。しかし、
「何でだよ!やっぱりヤンキー達にからまれたんで、何とか九死に一生、サツに駆け込んだよ、きっと」
と、江蓮。
一体、ユタの身に何が起きたのだろうか。
それぞれ海水浴を楽しむメンバー達。
威吹は、
「ふう……。なかなかの美味であった。馳走になった」
海の家で昼食。
ウルトラスーパージャンボラーメンを3杯平らげ、無料にしてしまった。
「侍だ!銀色の大食い侍だ!」
他の客から歓声を受ける威吹だった。
「こ、これで2人目でゲソ……」
アルバイトの女性店員は驚愕の表情を隠しきれなかったという。
「お見事です。先生」
カンジが恭しく言った。
「妖狐ならこれくらい食って当然だな」
「ははっ」
その頃、浜辺では……。
「あー、こりゃちょっとビミョーだね。あなたの彼氏、他に女の影が何人か見えるわ」
「ええーっ!」
「そこのあなた、プロポーズは明日にしときな。明日の方が結婚運いいみたいだよ」
「ありがとうございます!」
「そこのキミ、ここで一気に彼女をホテルに連れ込んだりすると破綻するよ。今日のところは食事でも奢って、様子見の方がいいね」
「わ、分かりました!」
イリーナが水晶玉片手に占いをやっていた。
「はい、次の人〜」
「お、お願いします!アタシ、気になる人が……」
「あー、ハイハイ。(場所が場所だけに、恋の占いがほぼ100パーだね。まあ、いいヒマつぶしにはなるか……)で、どんな人?」
「が、学校の同級生です!」
「あー、水晶玉にも出てるねー。ん?女の子?」
「その好きになった人が、たまたま同じ女子高のコで……」
「……マジで?」
「マジです!」
[同日13:30.同場所 イリーナ・レヴィア・ブリジッド、稲生ユウタ、マリアンナ・スカーレット、蓬莱山魔鬼]
「ツアコンさーん、喉乾いた〜。ジュースぅ〜」
「すっかりツアーコンダクターだな」
マリアは苦笑いしてユタを見た。
「ははは……。じゃあ、ちょっと買ってきます」
「いいよ。ちょうどお客も捌けたことだし、アタシが行ってくるよ」
イリーナは水晶玉をバッグにしまいながら言った。
「いえいえ。今日はもう僕はツアコンでいいんで」
「ユウタ君も働き者だねぃ……」
ユタは財布とスマホを手に、自動販売機コーナーに向かった。
それが運の尽きだということも知らずに……。
[同日13:35.自販機コーナー 稲生ユウタ]
「? あれ?おかしいな。1000円札が入らない……。ん?」
よく見ると、100円釣り切れになっていた。
「マジかよ。参ったな……。こんな時に限って100円玉が……ん?」
その時ユタは、おサイフケータイの使える自販機を発見した。
「おー、大聖人様の御加護だ」
ユタはスマホを出すと、おサイフケータイを……。
「くそ。直射日光で、画面が見えない……」
ユタは画面を逆光にするため、スマホをビーチの方に向け、尚且つ太陽の方向に向けた。
「えーと、おサイフケータイどれだ……」
アプリを探すために、ユタは画面を指でスライド。
と、その時だった。
「あ、そこのキミ」
「はい?」
ユタに話し掛ける者がいた。
20代前半の女性が2人。
ユタより年上。恐らく、マリアと同じくらいの歳だろう。
「ちょっといいかな?」
「は?」
[同日14:00.ビーチ上 ユタ以外の仲間たち]
魔道師達の前にて、ビーチボールで遊ぶ鬼族兄妹と江蓮。
その後ろでは、
「お客さん、木刀で素振りはやめてください!」
「ご、御免……」
「すいませんでした」
木刀で手合せしているのを監視員に注意された威吹とカンジ。
「あの、師匠」
「なぁに?」
ビーチパラソルの下に座る魔道師の師弟。
マリアがイリーナに話し掛けた。
「ユウタ君、戻り遅くないですか?」
「そう言われればそうだねぇ……。ユウタ君が行ってから、どれくらい経つ?」
「約30分ほどです」
「30分か……。ちょっと、いくら何でも遅いかねぇ……。自販機コーナー、すぐそこなのに……」
「えー!何やってんだよ、あのジュースはよ!」
文句を言うキノ。
「おい、オレの“獲物”をジュースにするなよ」
威吹はキノに文句を言い返した。
因みにこの2人、人間換算年齢はだいたい近い。
「案外、逆ナンされてしたりして?」
江蓮はイタズラっぽく笑い、
「!?」
それにびっくりするマリアだったが、キノは否定した。
「あのオタメンにそれは無ェ。まあ、地元のヤンキーにからまれてボコられてるってんなら有り得るだろうよ」
キノの言葉に、凍り付く面々。
「あ?何だよ?」
「あー……可能性は否定できんなー……」
青ざめる威吹。
「最近のヤンキーは半グレと言って、ヤクザでも手に負えないそうです」
カンジも口調は不安げであったが、相変わらずポーカーフェイスだ。
「ヤクザでは重んじられる見栄も外聞も面子も必要としない連中ですから」
「師匠、ユウタ君の居場所を占ってください」
「よ、よしきた!」
イリーナは水晶玉を取り出した。
「もし仮に蓬莱山鬼之助の言う通りだったら、ミカエラとクラリスに命じて、半グレどもをズタズタにしてバラバラ死体に……。くっ、はははは……チェック・メイトだ」
マリアは最後、快楽殺人者の笑みを浮かべた。
「待てよ、マリア。貴様の勝手にはさせんぞ」
と、威吹。
「何だと?」
マリアは威吹を睨みつけた。
「せめて、証拠に奴らの髪と爪だけは残しておけ」
「出たよ、イブキの侍根性」
キノは呆れて肩を竦めた。
「もう既にツアコンさんはやられてる前提なのん?」
魔鬼は首を傾げた。
「おい、まだか、イリーナ!」
威吹が苛立った様子でイリーナを急かした。
「慌てなさんな。今、ユウタ君の位置・座標を解析してるから」
話す内容は、とても占いには聞こえない。
と、その時だった。
「!」
荷物の中から、誰かのケータイが鳴った。
「オレのだ!」
それは威吹のだった。
あくまで緊急連絡用として、ユタから預かっているものだ。
「ユタからか!?」
威吹は電話に出た。
「もしもし!?」
「あいつも、ケータイくらい使えるようになったか。スマホに進化するのは、何年も先かぁ?」
「シッ」
キノの冷やかしに、江蓮がたしなめる。
「ユタか!?大丈夫か!?今、どこにいるんだ!?」
「ユウタ君、そんなに遠くへ行ってないね。同じビーチだわ」
「け、警察!?一体、どうしたんだ!?」
「あー?あいつ、ジュース買いに行くと見せかけて、自販機荒らしにでも行ったのか?」
キノは腕組みし、首を傾げた。しかし、
「何でだよ!やっぱりヤンキー達にからまれたんで、何とか九死に一生、サツに駆け込んだよ、きっと」
と、江蓮。
一体、ユタの身に何が起きたのだろうか。