[9月9日14:45.天候:曇 JR松本駅→JR中央本線特急“スーパーあずさ”22号9号車内]
〔「2番線に停車中の電車は14時49分発、中央本線上り、特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きです。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
稲生:「先生ともあろう御方は、グリーン車です」
イリーナ:「お気遣い、ありがとさん。でも、あたしゃ貨車でもいいくらいだよ。第一次大戦の頃はお金が無くて、貨物列車に便乗して移動したものさ」
稲生:「第一次世界大戦ですか……」
マリア:「大師匠様の修行を抜け出して放浪してりゃ、お金も無くなりますよねー」
イリーナ:「いやー、それ言われると辛いねぇ……」
マリア:「まあ、確かに今の師匠は金持ちだから、ビジネスクラスどころか、ファーストクラスにも余裕で乗れるけど……」
稲生:「じゃ、マリアさんは窓側席へどうぞ」
マリア:「明らかに師匠のお供として便乗してるよね?本来、私達の立場からするとエコノミークラス(普通車)だぞ?」
稲生:「あっ、えーと……ここしか空いてなくてぇ……」(-_-;)
イリーナ:「いいよいいよ。2人とも頑張ってくれてるし。それに、シベリア鉄道のロシア号の1等車よりも安いしね」
マリア:「1週間も掛けて走る超長距離列車と一緒にしない方がいいと思います」
イリーナ:「じゃ、アタシは寝てるから着いたら起こしてねー」
マリア:「まあ、そうなるか。分かりましたよ」
イリーナはマリアの前の席に座ると、グイーッとグリーン車ならではの深いリクライニングシートを倒した。
大柄なロシア人の体だと、グリーン車の方がしっくり来そうだ。
その為か、乗換前の普通列車のボックスシートは窮屈そうだった。
イギリス人もステレオタイプだと日本人よりデカい感じなのだが、マリアは例外らしい。
大きなグリーン席に座ると体が余る感じだ。
外から発車メロディの音が聞こえてくる。
稲生:「停車駅の少ない列車ですけど、東京に着くのは夕方ですね」
マリア:「その辺、日本の鉄道は正確でいいな」
マリアの感心した通り、列車は定刻通りに走り出した。
E351系のVVVFインバータの音が微かに聞こえてくる。
音が静かなのは、モーターの積んでいないサロ車だからだろう。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「大変お待たせ致しました。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございます。中央本線上り、特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きでございます。停車駅は塩尻、岡谷、上諏訪、茅野、甲府、八王子、立川、終点新宿の順に止まります。……」〕
マリア:「ユウタ、もしかしてこの電車、ワゴン来る?」
稲生:「車内販売ですか?この電車ならやっているでしょう。……あ」
2人は真上の網棚を見た。
そこにはマリアのバッグが乗っかっているのだが、そこからミク人形とハク人形が出てきて、2方向を見据えていた。
稲生:「万全の態勢だ……」
目的は車内販売のアイスクリームである。
もしも車内販売が無かったり、アイスクリームが売り切れだったり、取扱い中止とかだったら、この電車は途中で運転取り止めの憂き目に遭うだろう。
窓ガラスが全部割れる魔法が掛けられたり、或いは基本編成と付属編成の連結器が外れるという事故が起こるかもしれない。
[同日14:57.天候:曇 JR塩尻駅]
〔「ご乗車ありがとうございました。塩尻、塩尻です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きです。次は、岡谷に止まります」〕
ミク人形:「…………」
ハク人形:「…………」
フランス人形の姿のまま荷棚に腰掛け、車販が来るのを待っている。
[同日15:05.天候:曇 JR岡谷駅]
〔「ご乗車ありがとうございました。岡谷、岡谷です。飯田線ご利用のお客様は、お乗り換えです。……」〕
ミク人形:「……!」
ハク人形:「……!」
フランス人形の姿のまま荷棚に腰掛け、車販が来るのを待っている。
少し苛立ってきたもよう。
[同日15:12.天候:雨 JR上諏訪駅]
〔「上諏訪ぁ、上諏訪でございます。ご乗車ありがとうございました。特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きです。次の停車駅は、茅野です」〕
ミク人形:「……!!」
ハク人形:「……!!」
フランス人形の姿のまま【以下略】。
だいぶ苛立って来たもよう。
[同日15:17.天候:雨 JR茅野駅]
茅野駅は『かやの』ではなく、『ちの』と読む。
〔「……当駅を出ますと、甲府まで停車致しません。停車駅にご注意ください」〕
ハク人形:「」
ミク人形:「」
ドアが閉まって電車が走り出す。
ついに痺れを切らしたマリアのファミリア(使い魔)たるメイド人形達。
荷棚から飛び降りると、通路を走って行った。
稲生:「あっ、どこ行くの!?大変です!マリアさん!」
マリア:「……んあ?」
マリアも少し寝落ちしていた。
稲生:「ミク人形達が!」
マリア:「何っ!?」
〔「茅野からご乗車のお客様、お待たせ致しました。ご乗車ありがとうございます。特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きでございます。これから先、甲府、八王子、立川、終点新宿の順に停車致します。途中、甲府には15時54分、八王子には16時49分、立川には16時58分、終点新宿には17時24分の到着予定です。……」〕
[同日15:25.天候:雨 特急“スーパーあずさ”22号3号車内]
ポテンヒット:「だからよぉ、姉ちゃん。ケンショーなんかよォ、相手にしなくていいんだよっ、ああっ!」
サトー:「ああッ?テメー、ポテンヒットよぉ、オメーはよー、ケンショーに何回入信したと思ってだよっ、ああっ!?」
車販嬢:「あのー、お客様、そろそろご注文の方よろしいでしょうか?」
サトー:「ああッ!?だからさっきから言ってんだろーがよぉ、ビール1つ&お酌付きってよォ!ウヒョヒョヒョヒョ!功徳だぜーっ!」
ポテンヒット:「ああっ?!サトー、んなこと言ってるからよー、いつも競馬はよー、負けっ放しなんだよっ、ああっ!?たまには大宮競輪にでも来いや、ああっ!?」
車販嬢:「あのー、お客様、失礼ですが、こちらではそのようなサービスは致しておりま……」
サトー:「ああっ!?テメーはよー、マ◯コに穴開いてんのかよっ、ああっ!?」
この酔っ払いどもwww
ミク人形:「」
ハク人形:「」
ポテンヒット:「んっ?」
サトー:「ああっ?」
[同日15:54.天候:雨 JR甲府駅]
〔♪♪♪♪。「ご乗車ありがとうございました。まもなく甲府、甲府です。身延線はお乗り換えです。お客様にお知らせ致します。先ほど車内で怪我人が発生致しました。その為この電車、甲府駅で怪我人の救護を行います。救護活動の間、しばらく停車致します。お急ぎのところ、大変ご迷惑をお掛け致します。……」〕
ミク人形:「おいしーね♪」
ハク人形:「おいしーね♪」
車販からようやくアイスクリームを手に入れた2体のメイド人形。
再び荷棚の上に座って、御機嫌良くアイスクリームを口に運んでいた。
ポテンヒット:「う、ううーん……チャリでバスをマクろうとしたらダンプにぶつけられた気分だぜ、ああっ……」
サトー:「痛ぇよォ……クスン……」
車掌A:「大丈夫ですか?もうすぐ駅に着きますからね」
車掌B:「一体、何があったんだ?」
車掌長:「……えー、現在お客様2人は頭部からの出血が激しいもようです。どうぞ」
稲生:「ま、マリアさん……?」
マリア:「最悪この電車が脱線して渓谷に落ちていたことを考えれば、ケガ人救護によるダイヤ乱れで済んで良しとしよう」
イリーナ:「マリアも段々アタシに似て来たねぇ……」
※ポテンヒットさん、(勝手に)友情出演あざざざざざーっす!
〔「2番線に停車中の電車は14時49分発、中央本線上り、特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きです。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
稲生:「先生ともあろう御方は、グリーン車です」
イリーナ:「お気遣い、ありがとさん。でも、あたしゃ貨車でもいいくらいだよ。第一次大戦の頃はお金が無くて、貨物列車に便乗して移動したものさ」
稲生:「第一次世界大戦ですか……」
マリア:「大師匠様の修行を抜け出して放浪してりゃ、お金も無くなりますよねー」
イリーナ:「いやー、それ言われると辛いねぇ……」
マリア:「まあ、確かに今の師匠は金持ちだから、ビジネスクラスどころか、ファーストクラスにも余裕で乗れるけど……」
稲生:「じゃ、マリアさんは窓側席へどうぞ」
マリア:「明らかに師匠のお供として便乗してるよね?本来、私達の立場からするとエコノミークラス(普通車)だぞ?」
稲生:「あっ、えーと……ここしか空いてなくてぇ……」(-_-;)
イリーナ:「いいよいいよ。2人とも頑張ってくれてるし。それに、シベリア鉄道のロシア号の1等車よりも安いしね」
マリア:「1週間も掛けて走る超長距離列車と一緒にしない方がいいと思います」
イリーナ:「じゃ、アタシは寝てるから着いたら起こしてねー」
マリア:「まあ、そうなるか。分かりましたよ」
イリーナはマリアの前の席に座ると、グイーッとグリーン車ならではの深いリクライニングシートを倒した。
大柄なロシア人の体だと、グリーン車の方がしっくり来そうだ。
その為か、乗換前の普通列車のボックスシートは窮屈そうだった。
イギリス人もステレオタイプだと日本人よりデカい感じなのだが、マリアは例外らしい。
大きなグリーン席に座ると体が余る感じだ。
外から発車メロディの音が聞こえてくる。
稲生:「停車駅の少ない列車ですけど、東京に着くのは夕方ですね」
マリア:「その辺、日本の鉄道は正確でいいな」
マリアの感心した通り、列車は定刻通りに走り出した。
E351系のVVVFインバータの音が微かに聞こえてくる。
音が静かなのは、モーターの積んでいないサロ車だからだろう。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「大変お待たせ致しました。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございます。中央本線上り、特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きでございます。停車駅は塩尻、岡谷、上諏訪、茅野、甲府、八王子、立川、終点新宿の順に止まります。……」〕
マリア:「ユウタ、もしかしてこの電車、ワゴン来る?」
稲生:「車内販売ですか?この電車ならやっているでしょう。……あ」
2人は真上の網棚を見た。
そこにはマリアのバッグが乗っかっているのだが、そこからミク人形とハク人形が出てきて、2方向を見据えていた。
稲生:「万全の態勢だ……」
目的は車内販売のアイスクリームである。
もしも車内販売が無かったり、アイスクリームが売り切れだったり、取扱い中止とかだったら、この電車は途中で運転取り止めの憂き目に遭うだろう。
窓ガラスが全部割れる魔法が掛けられたり、或いは基本編成と付属編成の連結器が外れるという事故が起こるかもしれない。
[同日14:57.天候:曇 JR塩尻駅]
〔「ご乗車ありがとうございました。塩尻、塩尻です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きです。次は、岡谷に止まります」〕
ミク人形:「…………」
ハク人形:「…………」
フランス人形の姿のまま荷棚に腰掛け、車販が来るのを待っている。
[同日15:05.天候:曇 JR岡谷駅]
〔「ご乗車ありがとうございました。岡谷、岡谷です。飯田線ご利用のお客様は、お乗り換えです。……」〕
ミク人形:「……!」
ハク人形:「……!」
フランス人形の姿のまま荷棚に腰掛け、車販が来るのを待っている。
少し苛立ってきたもよう。
[同日15:12.天候:雨 JR上諏訪駅]
〔「上諏訪ぁ、上諏訪でございます。ご乗車ありがとうございました。特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きです。次の停車駅は、茅野です」〕
ミク人形:「……!!」
ハク人形:「……!!」
フランス人形の姿のまま【以下略】。
だいぶ苛立って来たもよう。
[同日15:17.天候:雨 JR茅野駅]
茅野駅は『かやの』ではなく、『ちの』と読む。
〔「……当駅を出ますと、甲府まで停車致しません。停車駅にご注意ください」〕
ハク人形:「」
ミク人形:「」
ドアが閉まって電車が走り出す。
ついに痺れを切らしたマリアのファミリア(使い魔)たるメイド人形達。
荷棚から飛び降りると、通路を走って行った。
稲生:「あっ、どこ行くの!?大変です!マリアさん!」
マリア:「……んあ?」
マリアも少し寝落ちしていた。
稲生:「ミク人形達が!」
マリア:「何っ!?」
〔「茅野からご乗車のお客様、お待たせ致しました。ご乗車ありがとうございます。特急“スーパーあずさ”22号、新宿行きでございます。これから先、甲府、八王子、立川、終点新宿の順に停車致します。途中、甲府には15時54分、八王子には16時49分、立川には16時58分、終点新宿には17時24分の到着予定です。……」〕
[同日15:25.天候:雨 特急“スーパーあずさ”22号3号車内]
ポテンヒット:「だからよぉ、姉ちゃん。ケンショーなんかよォ、相手にしなくていいんだよっ、ああっ!」
サトー:「ああッ?テメー、ポテンヒットよぉ、オメーはよー、ケンショーに何回入信したと思ってだよっ、ああっ!?」
車販嬢:「あのー、お客様、そろそろご注文の方よろしいでしょうか?」
サトー:「ああッ!?だからさっきから言ってんだろーがよぉ、ビール1つ&お酌付きってよォ!ウヒョヒョヒョヒョ!功徳だぜーっ!」
ポテンヒット:「ああっ?!サトー、んなこと言ってるからよー、いつも競馬はよー、負けっ放しなんだよっ、ああっ!?たまには大宮競輪にでも来いや、ああっ!?」
車販嬢:「あのー、お客様、失礼ですが、こちらではそのようなサービスは致しておりま……」
サトー:「ああっ!?テメーはよー、マ◯コに穴開いてんのかよっ、ああっ!?」
この酔っ払いどもwww
ミク人形:「」
ハク人形:「」
ポテンヒット:「んっ?」
サトー:「ああっ?」
[同日15:54.天候:雨 JR甲府駅]
〔♪♪♪♪。「ご乗車ありがとうございました。まもなく甲府、甲府です。身延線はお乗り換えです。お客様にお知らせ致します。先ほど車内で怪我人が発生致しました。その為この電車、甲府駅で怪我人の救護を行います。救護活動の間、しばらく停車致します。お急ぎのところ、大変ご迷惑をお掛け致します。……」〕
ミク人形:「おいしーね♪」
ハク人形:「おいしーね♪」
車販からようやくアイスクリームを手に入れた2体のメイド人形。
再び荷棚の上に座って、御機嫌良くアイスクリームを口に運んでいた。
ポテンヒット:「う、ううーん……チャリでバスをマクろうとしたらダンプにぶつけられた気分だぜ、ああっ……」
サトー:「痛ぇよォ……クスン……」
車掌A:「大丈夫ですか?もうすぐ駅に着きますからね」
車掌B:「一体、何があったんだ?」
車掌長:「……えー、現在お客様2人は頭部からの出血が激しいもようです。どうぞ」
稲生:「ま、マリアさん……?」
マリア:「最悪この電車が脱線して渓谷に落ちていたことを考えれば、ケガ人救護によるダイヤ乱れで済んで良しとしよう」
イリーナ:「マリアも段々アタシに似て来たねぇ……」
※ポテンヒットさん、(勝手に)友情出演あざざざざざーっす!