[8月13日15:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 東北工科大学]
大学構内にあるプール。
そこではボーカロイド達が束の間の休息を取っている。
本来は水泳部が使うプールなのだが、ボーカロイド達に開放された。
特に最年少の鏡音リンが1番はしゃいでいる。
敷島:「皆して都合良く水着を持って来たとは……」
シンディ:「いつでも急に入った仕事に対応できるようにってことみたいね」
エミリー:「既にその辺りは学習したようです」
敷島:「そうか……。まあ、ボーカロイド達はそれでいいとしても……」
敷島は自分の両脇に立つ秘書達を見た。
敷島:「何でお前達も水着なのか、説明してもらおうか?」
エミリー:「急な仕事に対応できるようにする為です」
シンディ:「同じく」
敷島:「お前達は関係無い!」
リン:「しゃちょー!一緒に入ろうYo!?」
敷島:「総責任者の俺が暢気に入るわけにはいかんよ」
リン:「えー!?」
敷島:「レンタルは2時間だけだから、それまで入ってていいってさ」
リン:「うん、わかった!」
シンディ:「じゃあ、私達はボーカロイド達を見ていますから」
敷島:「ああ、よろしく頼む」
敷島はプールサイドを歩いた。
すると、更衣室の方から平賀がやってくる。
平賀:「敷島さん」
敷島:「ああ、平賀先生。どうも、すいません。何だかうちのボカロ達の為だけに、わざわざ水泳部のプールを貸してくれて……」
平賀:「たまたまうちの水泳部が合宿中で、ここにはいないんです。ちょうど良かったですよ。学生達も大喜び」
平賀が指さした所、フェンスの外には人だかりができており、学生達が写真を撮ったりしていた。
平賀:「別にいいですよね?」
敷島:「プールをタダで借りておいて、『撮影禁止』なんてケチくさいことは言いませんよ。人間のアイドルじゃないんですから」
水着に関しても、彼女達のイメージカラー通りである。
例えばMEIKOは赤のビキニだし、先ほどのリンも黄色が目立つビキニだ。
平賀:「それにしても懐かしいんですよ、ここは」
敷島:「そうなんですか?」
平賀:「七海の耐水性の実験を、このプールでやったんです。真水の中でも泳げることが分かって、その後は海水の耐性実験で海に連れて行きましたけどね」
敷島:「そうだったんですか。海の中でもOKということになりましたね」
平賀:「でもさすがに、長時間の潜水は危険だということが分かりましたので、ロイドでありながらダイビングの装備は必要ということが分かりましたよ」
敷島:「別に呼吸する必要は無いのにねぇ……」
七海を初めて海に連れて行ったのは、平賀1人だけだったそうだ。
敷島:「あの時の話、とても面白かったですよ」
平賀:「いや、今からしたら恥ずかしい逸話ばっかりですよ」
七海にスイカ割りをやらせてみた。
目隠しで完全に視界を奪った後、平賀はスイカを小脇に抱えてしまった。
しかし七海は赤外線カメラでスイカの位置を正確に割り出し、棒をスイカに突き刺して見事に穴を開けた(平賀が抱えていたので、叩き割ることができなかった)。
平賀が交代してチャレンジしたが、振り下ろした棒はスイカではなく、七海のビキニブラを剥ぎ取ってしまった。
プチ暴走した七海は、平賀を海の沖の方へ殴り飛ばしてしまった。
敷島:「プッ、くくくく……はははははははは!」
平賀:「笑いたかったら、素直に笑ってくださいよ」
敷島:「いやいや、すいません。日本初のメイドロイドの実験も大変だなぁと」
平賀:「何でも初物は、作った本人が責任を持って体を張った実験をしませんと」
敷島:「それがおかげで量産体制にまでなって、今やPepper君並みの普及率じゃないですか。凄い凄い」
平賀:「さすがに廉価版はポンコツでしたね。反省すべき点です」
と、そこへ……。
村上:「よお。今日の実験会場は、ここで良いのかね?」
敷島:「村上教授!」
平賀:「村上先生、別に実験ってわけではないですよ。あくまで、敷島エージェンシーさんの福利厚生です」
敷島:「ボーカロイド達はうちにとって、大切な商品です。彼女らの大敵である熱を取り去ってやることは、とても大事です」
村上:「人間みたいな熱の取り去り方じゃの。もっとも、それが敷島エージェンシーさんの方針か」
敷島:「そういうことです。彼女達はロボットとは違う。人間並みのアンドロイドなのです。従って、ある程度の人間扱いをしてやることはとても大事です」
村上:「うむ、分かった。じゃが、解せぬのはこれなんじゃがのぅ……」
村上が出したのは1枚のチラシ。
平賀:「『ボーカロイド水着撮影会 参加料:1000円』……何ですか、これ?」
敷島:「きっとこれはKR団の謀略!?」(;゚Д゚)
平賀:「いや、KR団は敷島さんが潰したんでしょう!?」
エミリー:「社長、取りあえず現在の参加者が25名です。従いまして、参加料の徴収が……」
敷島:「あっ、こら!」
平賀:「うちの大学で勝手に商売しないでもらえますかぁ〜?敷島さん
」
敷島:「……すいません。後でプールのレンタル料払います」
シンディ:「だからやめとけって言ったのに……。それにこの商売、後でリスクが……」
ロイ:「大変です、博士!バージョンシリーズの集団が大挙してここに押し寄せて来ています!」
村上:「何じゃと!?」
敷島:「し、しまった!このチラシに『人間限定!ロボットはダメぽ
』って入れておくの忘れてたーっ!」
シンディ:「そっち!?」
平賀:「敷島さん、ちゃんと責任取ってくださいね!」
村上:「何という集客力じゃ……」
敷島:「と、取りあえず!」
シンディ:「御命令下されば、私と姉さんであのクソロボット達、鉄塊にしてきます!」
エミリー:「社長、御命令を!」
敷島:「よし、こうなったら俺の責任だ。俺も行くぞ!」
エミリー:「社長!?」
村上:「うむ。男として責任を潔く取る。素晴らしいことじゃ。して、どうするかの?」
敷島は『最後尾』と大きく書かれたプラカードを取った。
敷島:「これで列整理に行くぞ!エミリーはロープを持て!シンディはポールパーテーションだ!」
一同:「排除せんのかい!!」
社長になって日に日に商魂逞しくなって行く敷島だった。
尚、バージョン軍団はちゃんと参加料1000円を全員が払って行ったという。
大学構内にあるプール。
そこではボーカロイド達が束の間の休息を取っている。
本来は水泳部が使うプールなのだが、ボーカロイド達に開放された。
特に最年少の鏡音リンが1番はしゃいでいる。
敷島:「皆して都合良く水着を持って来たとは……」
シンディ:「いつでも急に入った仕事に対応できるようにってことみたいね」
エミリー:「既にその辺りは学習したようです」
敷島:「そうか……。まあ、ボーカロイド達はそれでいいとしても……」
敷島は自分の両脇に立つ秘書達を見た。
敷島:「何でお前達も水着なのか、説明してもらおうか?」
エミリー:「急な仕事に対応できるようにする為です」
シンディ:「同じく」
敷島:「お前達は関係無い!」
リン:「しゃちょー!一緒に入ろうYo!?」
敷島:「総責任者の俺が暢気に入るわけにはいかんよ」
リン:「えー!?」
敷島:「レンタルは2時間だけだから、それまで入ってていいってさ」
リン:「うん、わかった!」
シンディ:「じゃあ、私達はボーカロイド達を見ていますから」
敷島:「ああ、よろしく頼む」
敷島はプールサイドを歩いた。
すると、更衣室の方から平賀がやってくる。
平賀:「敷島さん」
敷島:「ああ、平賀先生。どうも、すいません。何だかうちのボカロ達の為だけに、わざわざ水泳部のプールを貸してくれて……」
平賀:「たまたまうちの水泳部が合宿中で、ここにはいないんです。ちょうど良かったですよ。学生達も大喜び」
平賀が指さした所、フェンスの外には人だかりができており、学生達が写真を撮ったりしていた。
平賀:「別にいいですよね?」
敷島:「プールをタダで借りておいて、『撮影禁止』なんてケチくさいことは言いませんよ。人間のアイドルじゃないんですから」
水着に関しても、彼女達のイメージカラー通りである。
例えばMEIKOは赤のビキニだし、先ほどのリンも黄色が目立つビキニだ。
平賀:「それにしても懐かしいんですよ、ここは」
敷島:「そうなんですか?」
平賀:「七海の耐水性の実験を、このプールでやったんです。真水の中でも泳げることが分かって、その後は海水の耐性実験で海に連れて行きましたけどね」
敷島:「そうだったんですか。海の中でもOKということになりましたね」
平賀:「でもさすがに、長時間の潜水は危険だということが分かりましたので、ロイドでありながらダイビングの装備は必要ということが分かりましたよ」
敷島:「別に呼吸する必要は無いのにねぇ……」
七海を初めて海に連れて行ったのは、平賀1人だけだったそうだ。
敷島:「あの時の話、とても面白かったですよ」
平賀:「いや、今からしたら恥ずかしい逸話ばっかりですよ」
七海にスイカ割りをやらせてみた。
目隠しで完全に視界を奪った後、平賀はスイカを小脇に抱えてしまった。
しかし七海は赤外線カメラでスイカの位置を正確に割り出し、棒をスイカに突き刺して見事に穴を開けた(平賀が抱えていたので、叩き割ることができなかった)。
平賀が交代してチャレンジしたが、振り下ろした棒はスイカではなく、七海のビキニブラを剥ぎ取ってしまった。
プチ暴走した七海は、平賀を海の沖の方へ殴り飛ばしてしまった。
敷島:「プッ、くくくく……はははははははは!」
平賀:「笑いたかったら、素直に笑ってくださいよ」
敷島:「いやいや、すいません。日本初のメイドロイドの実験も大変だなぁと」
平賀:「何でも初物は、作った本人が責任を持って体を張った実験をしませんと」
敷島:「それがおかげで量産体制にまでなって、今やPepper君並みの普及率じゃないですか。凄い凄い」
平賀:「さすがに廉価版はポンコツでしたね。反省すべき点です」
と、そこへ……。
村上:「よお。今日の実験会場は、ここで良いのかね?」
敷島:「村上教授!」
平賀:「村上先生、別に実験ってわけではないですよ。あくまで、敷島エージェンシーさんの福利厚生です」
敷島:「ボーカロイド達はうちにとって、大切な商品です。彼女らの大敵である熱を取り去ってやることは、とても大事です」
村上:「人間みたいな熱の取り去り方じゃの。もっとも、それが敷島エージェンシーさんの方針か」
敷島:「そういうことです。彼女達はロボットとは違う。人間並みのアンドロイドなのです。従って、ある程度の人間扱いをしてやることはとても大事です」
村上:「うむ、分かった。じゃが、解せぬのはこれなんじゃがのぅ……」
村上が出したのは1枚のチラシ。
平賀:「『ボーカロイド水着撮影会 参加料:1000円』……何ですか、これ?」
敷島:「きっとこれはKR団の謀略!?」(;゚Д゚)
平賀:「いや、KR団は敷島さんが潰したんでしょう!?」
エミリー:「社長、取りあえず現在の参加者が25名です。従いまして、参加料の徴収が……」
敷島:「あっ、こら!」
平賀:「うちの大学で勝手に商売しないでもらえますかぁ〜?敷島さん

敷島:「……すいません。後でプールのレンタル料払います」
シンディ:「だからやめとけって言ったのに……。それにこの商売、後でリスクが……」
ロイ:「大変です、博士!バージョンシリーズの集団が大挙してここに押し寄せて来ています!」
村上:「何じゃと!?」
敷島:「し、しまった!このチラシに『人間限定!ロボットはダメぽ

シンディ:「そっち!?」
平賀:「敷島さん、ちゃんと責任取ってくださいね!」
村上:「何という集客力じゃ……」
敷島:「と、取りあえず!」
シンディ:「御命令下されば、私と姉さんであのクソロボット達、鉄塊にしてきます!」
エミリー:「社長、御命令を!」
敷島:「よし、こうなったら俺の責任だ。俺も行くぞ!」
エミリー:「社長!?」
村上:「うむ。男として責任を潔く取る。素晴らしいことじゃ。して、どうするかの?」
敷島は『最後尾』と大きく書かれたプラカードを取った。
敷島:「これで列整理に行くぞ!エミリーはロープを持て!シンディはポールパーテーションだ!」
一同:「排除せんのかい!!」
社長になって日に日に商魂逞しくなって行く敷島だった。
尚、バージョン軍団はちゃんと参加料1000円を全員が払って行ったという。