[10月6日19:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
高橋:「ええっ、マジっすか!?“顕正”号に姉妹船が!?」
愛原:「そうなんだ。BSAA極東支部が接収して、日本に曳航するらしいよ」
高橋:「危険じゃないですか、それ!」
愛原:「いや、それが大丈夫らしい。ネオアンブレラが中国に隠し持っていたらしいんだな。そのネオアンブレラも潰れたけれども、その残党狩りを行っていたところ、同型の姉妹船があったらしい」
高橋:「同型?名前は?」
愛原:「“正信”号という。かなりそっくりな船らしいぞ?」
高橋:「戦艦大和と武蔵みたいなものですか。あれもかなりそっくりだったらしいですよ」
愛原:「よく知ってるな。もっとも、旧日本軍の戦艦もプラモ好きにはたまらないか」
高橋:「俺のダチにそういうのがいるんです。かなりでっかいスケールのヤツ、作ってましたよ」
愛原:「へー、そいつは是非見てみたいものだ」
高橋:「あっ、ちょっと待ってください。確か写真がありましたよ」
高橋は自分のスマホを取り出した。
それでアルバムのアプリを立ち上げる。
高橋:「あ、あった。これです」
高橋は写真を見せてくれた。
愛原:「あー、なるほど……」
確かにプラモにしてはデカイだろう。
鉄道模型のNゲージに対して、Oゲージぐらいの。
私が呆れたのはそのサイズではなく、その横に止まっている暴走族仕様のバイク。
恐らく、どこかのガレージの中と思われる。
そこで大きなサイズのプラモを作る傍ら、バイクの改造もしているのだろう。
どちらにも旭日旗が掲げられているのは大きな皮肉か。
高橋:「それで先生、ゾンビパラダイスと化した顕正号と違って正信号が安全なのはどうしてですか?」
愛原:「簡単なことだ。BSAAが乗り込んだ時、船を隅から隅まで調べたところ、誰も乗っていない無人の船だったらしいぞ。ゾンビどころか、死体の1つも転がっていなかったってさ」
高橋:「そうですか。で、それがどうして日本に?」
愛原:「日本政府で調べたいことがあるってことさ。ほら、例のカードキー」
高橋:「ああ」
愛原:「全く同型の姉妹船なら、顕正号のカードキーも正信号で使えるだろってことさ」
高橋:「安直ですね。で、それがどうして先生に?」
愛原:「俺達も付き合えってさ」
高橋:「ええっ?」
愛原:「正確には高橋と高野君。俺はもう序盤から記憶を無くしてて使えない。しかしお前達ならしっかり記憶は残ってて、しかもこうやって生き残ってる。あのでっかい船の中を迷わずに行けるだろうってことさ」
高橋:「つまり、仕事の依頼ってことですね?」
愛原:「そういうことさ。後で高野君にも教えてあげよう」
高橋:「どこにやってくるんですか?」
愛原:「そりゃ、いくらバイオハザードが起こって沈没した船の姉妹船とはいえ、そこは腐っても豪華客船だ。日本で豪華客船が来る所と言えば……」
高橋:「横浜港ですね。顕正号もそこから乗りましたよ」
愛原:「それは覚えてるんだがなぁ……。ていうか、コンベンションホールみたいな空間で夕食会に参加したことも何となく覚えてる」
高橋:「あの時は、次の日起きたらゾンビパラダイスになっているなんて思いもしませんでしたからね。そのホールも、ゾンビだらけでしたよ」
愛原:「マジか……」
その時、リサが自分の部屋から出て来た。
トイレに行ったようだ。
愛原:「リサは連れて行くか?」
高橋:「来たって意味無いでしょう」
愛原:「しかし、あのカードキーを寄越して来たのは『リサ・トレヴァー』だぞ?」
高橋:「あいつは別のヤツでしょう?仙台で化け物になったヤツだったんじゃないですかね?」
愛原:「だったらBSAAが嗅ぎ付けても良さそうなものだが……」
高橋:「それよりあれですか?BSAAが日本に正信号を持って来るんですよね?」
愛原:「そういうことになってるよ」
高橋:「英雄のクリス・レッドフィールドとか、いますかね?1度サインと握手もらいたいんスよ」
愛原:「アホか。少なくとも善場さんの話だと、その人が来るような話は聞いてないぞ。BSAA本部のアドバイザーさんだろ?極東支部に出張るわけないよ。それも、日本地区本部なんかに」
高橋:「マジっすか……」
愛原:「俺はリサも連れて行こうと思ってるんだがな」
高橋:「そうなんですか?」
愛原:「あのカードキーを寄越してきたのが、ここにいるリサの仲間なんだとしたら、リサにしか理解できないメッセージが隠されてるかもしれんだろ?」
高橋:「なるほど。さすが先生です」
愛原:「顕正号を駆けずり回っている時、何かそういうのに気がつかなかったか?」
高橋:「いや〜……。とにかくあの時は、生きて脱出することばかりを考えてましたから……」
愛原:「それもそうか。少なくとも、あの船には『仮面の少女』はいなかったわけだな?」
高橋:「俺は見てませんね」
愛原:「俺『は』?」
高橋:「一時期、アネゴと別行動してた時があったんですよ。その時、アネゴがどういう敵と戦っていたかまでは聞いてないもんで……」
愛原:「なるほどな」
そんなことを話していると、リサがトイレから出てきた。
BOWとしてのリサでも、生物である以上、排泄はする。
愛原:「リサ」
リサ:「なに、愛原さん?」
愛原:「明後日、予定空いてる?」
リサ:「明後日?空いてるけど?」
愛原:「俺達に付き合ってもらうぞ。でっかい船に乗ることになる」
リサ:「! おー!」
リサは両手を挙げた。
高橋:「もしかしたら、オマエの仲間の痕跡があるかもしれねぇんだ。遊び気分じゃねぇぞ」
リサ:「私の仲間?」
愛原:「いや、大したことじゃない。単なる俺の推測だから」
高橋:「先生の立派な推理ですよ。絶対当たってますよ」
愛原:「そういう時、俺の推理は外れるんだよなぁ」
高橋:「先生〜!」
リサ:「明日はサイトーが遊びに来る」
愛原:「それはそれでいいよ」
私は大きく頷いた。
それにしても、顕正号と同型の姉妹船が健在していたとは……。
もしかしたら、それで私の記憶も戻るかもしれない。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
高橋:「ええっ、マジっすか!?“顕正”号に姉妹船が!?」
愛原:「そうなんだ。BSAA極東支部が接収して、日本に曳航するらしいよ」
高橋:「危険じゃないですか、それ!」
愛原:「いや、それが大丈夫らしい。ネオアンブレラが中国に隠し持っていたらしいんだな。そのネオアンブレラも潰れたけれども、その残党狩りを行っていたところ、同型の姉妹船があったらしい」
高橋:「同型?名前は?」
愛原:「“正信”号という。かなりそっくりな船らしいぞ?」
高橋:「戦艦大和と武蔵みたいなものですか。あれもかなりそっくりだったらしいですよ」
愛原:「よく知ってるな。もっとも、旧日本軍の戦艦もプラモ好きにはたまらないか」
高橋:「俺のダチにそういうのがいるんです。かなりでっかいスケールのヤツ、作ってましたよ」
愛原:「へー、そいつは是非見てみたいものだ」
高橋:「あっ、ちょっと待ってください。確か写真がありましたよ」
高橋は自分のスマホを取り出した。
それでアルバムのアプリを立ち上げる。
高橋:「あ、あった。これです」
高橋は写真を見せてくれた。
愛原:「あー、なるほど……」
確かにプラモにしてはデカイだろう。
鉄道模型のNゲージに対して、Oゲージぐらいの。
私が呆れたのはそのサイズではなく、その横に止まっている暴走族仕様のバイク。
恐らく、どこかのガレージの中と思われる。
そこで大きなサイズのプラモを作る傍ら、バイクの改造もしているのだろう。
どちらにも旭日旗が掲げられているのは大きな皮肉か。
高橋:「それで先生、ゾンビパラダイスと化した顕正号と違って正信号が安全なのはどうしてですか?」
愛原:「簡単なことだ。BSAAが乗り込んだ時、船を隅から隅まで調べたところ、誰も乗っていない無人の船だったらしいぞ。ゾンビどころか、死体の1つも転がっていなかったってさ」
高橋:「そうですか。で、それがどうして日本に?」
愛原:「日本政府で調べたいことがあるってことさ。ほら、例のカードキー」
高橋:「ああ」
愛原:「全く同型の姉妹船なら、顕正号のカードキーも正信号で使えるだろってことさ」
高橋:「安直ですね。で、それがどうして先生に?」
愛原:「俺達も付き合えってさ」
高橋:「ええっ?」
愛原:「正確には高橋と高野君。俺はもう序盤から記憶を無くしてて使えない。しかしお前達ならしっかり記憶は残ってて、しかもこうやって生き残ってる。あのでっかい船の中を迷わずに行けるだろうってことさ」
高橋:「つまり、仕事の依頼ってことですね?」
愛原:「そういうことさ。後で高野君にも教えてあげよう」
高橋:「どこにやってくるんですか?」
愛原:「そりゃ、いくらバイオハザードが起こって沈没した船の姉妹船とはいえ、そこは腐っても豪華客船だ。日本で豪華客船が来る所と言えば……」
高橋:「横浜港ですね。顕正号もそこから乗りましたよ」
愛原:「それは覚えてるんだがなぁ……。ていうか、コンベンションホールみたいな空間で夕食会に参加したことも何となく覚えてる」
高橋:「あの時は、次の日起きたらゾンビパラダイスになっているなんて思いもしませんでしたからね。そのホールも、ゾンビだらけでしたよ」
愛原:「マジか……」
その時、リサが自分の部屋から出て来た。
トイレに行ったようだ。
愛原:「リサは連れて行くか?」
高橋:「来たって意味無いでしょう」
愛原:「しかし、あのカードキーを寄越して来たのは『リサ・トレヴァー』だぞ?」
高橋:「あいつは別のヤツでしょう?仙台で化け物になったヤツだったんじゃないですかね?」
愛原:「だったらBSAAが嗅ぎ付けても良さそうなものだが……」
高橋:「それよりあれですか?BSAAが日本に正信号を持って来るんですよね?」
愛原:「そういうことになってるよ」
高橋:「英雄のクリス・レッドフィールドとか、いますかね?1度サインと握手もらいたいんスよ」
愛原:「アホか。少なくとも善場さんの話だと、その人が来るような話は聞いてないぞ。BSAA本部のアドバイザーさんだろ?極東支部に出張るわけないよ。それも、日本地区本部なんかに」
高橋:「マジっすか……」
愛原:「俺はリサも連れて行こうと思ってるんだがな」
高橋:「そうなんですか?」
愛原:「あのカードキーを寄越してきたのが、ここにいるリサの仲間なんだとしたら、リサにしか理解できないメッセージが隠されてるかもしれんだろ?」
高橋:「なるほど。さすが先生です」
愛原:「顕正号を駆けずり回っている時、何かそういうのに気がつかなかったか?」
高橋:「いや〜……。とにかくあの時は、生きて脱出することばかりを考えてましたから……」
愛原:「それもそうか。少なくとも、あの船には『仮面の少女』はいなかったわけだな?」
高橋:「俺は見てませんね」
愛原:「俺『は』?」
高橋:「一時期、アネゴと別行動してた時があったんですよ。その時、アネゴがどういう敵と戦っていたかまでは聞いてないもんで……」
愛原:「なるほどな」
そんなことを話していると、リサがトイレから出てきた。
BOWとしてのリサでも、生物である以上、排泄はする。
愛原:「リサ」
リサ:「なに、愛原さん?」
愛原:「明後日、予定空いてる?」
リサ:「明後日?空いてるけど?」
愛原:「俺達に付き合ってもらうぞ。でっかい船に乗ることになる」
リサ:「! おー!」
リサは両手を挙げた。
高橋:「もしかしたら、オマエの仲間の痕跡があるかもしれねぇんだ。遊び気分じゃねぇぞ」
リサ:「私の仲間?」
愛原:「いや、大したことじゃない。単なる俺の推測だから」
高橋:「先生の立派な推理ですよ。絶対当たってますよ」
愛原:「そういう時、俺の推理は外れるんだよなぁ」
高橋:「先生〜!」
リサ:「明日はサイトーが遊びに来る」
愛原:「それはそれでいいよ」
私は大きく頷いた。
それにしても、顕正号と同型の姉妹船が健在していたとは……。
もしかしたら、それで私の記憶も戻るかもしれない。