報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵の富士旅情」 花の湯 2

2020-01-16 19:29:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日07:00.天候:晴 静岡県富士宮市 富嶽温泉花の湯・客室]

 枕元に置いたスマホが朝7時を告げる。

 愛原:「うーん……」

 私は手を伸ばしてアラームを止めた。
 もう朝か……。
 閉めたカーテンの隙間からは朝日が差し込んでいる。

 愛原:「……あれ?」

 私は首を傾げた。
 もう7時だ。
 いつもの起きる時間。
 えっと……。

 愛原:「おい、高橋、起きろ」

 私は隣のベッドに寝ている高橋を起こした。
 さすがに言い付けを守って、私のベッドの中に入って来ることは無かったようだ。
 私は異変を感じていた。
 異変というか、違和感だな。
 しかし、高橋は起きない。
 そこで私は……。

 愛原:「総員、起床!」
 高橋:「!!!」

 私が少年刑務所の刑務官のモノマネをやると、高橋がバッと飛び起きた。

 愛原:「番号!」
 高橋:「いーち!!」
 愛原:「異常なーし!」

 こりゃ本当にガチで高橋のヤツ、少年刑務所への収監歴アリだな。

 高橋:「あれ、先生?」
 愛原:「やっと起きたか。もう7時だぞ」
 高橋:「サーセン。……7時!?」
 愛原:「そうなんだ」

 そうなんだ。
 東北の旅行は一体何だったのかと思うくらい、昨夜は何も無かった。
 いや、これが普通ではあるのだが……。

 高橋:「ガチで何も無かったと?」
 愛原:「そのようだ。また、ハンターだの餓鬼だのタイラントだのと戦うくらい覚悟していたんだが……」

 その為、高橋のベッドの枕元には彼愛用のマグナムが置かれている。
 一応、私もベッドの下にショットガンを隠していた。
 襖の向こうの和室で寝ている高野君も、ライフルを横に置いて寝たはずだ。

 高橋:「外で異変が起きてるのかもしれませんよ?顕正号に乗り込んだ時も、最初に異変に気付いたのは客室の外でしたから」
 愛原:「そうなのか」

 それにしても、相変わらず私は顕正号に乗り込んだ記憶しか無い。
 日本の船会社が所有・運航していた豪華客船、顕正号。
 姉妹船、正信号と共に船内でバイオハザードが発生し、顕正号は海の藻屑と化したという。
 私は乗り込んだ時の記憶まではあるのだが、そこから先の記憶が全くないのだ。
 せめてフラッシュバックでもいいから、何か思い出せないかとは思うのだが……。

 愛原:「ちょっと窓の外を見てみるぞ?」
 高橋:「はい」

 私はカーテンの隙間から、窓の外を覗いた。

 愛原:「何も無いな」

 外を見てもゾンビが歩いていたり、ハンターが歩いていたりすることはなかった。
 普通の地元民らしき人が歩いていて、普通に車が走っていた。

 高橋:「廊下とかは?」

 私はそっとドアを開けて、廊下を見てみた。
 廊下は静かなもので、歩いている人は見かけなかったが、廊下には琴の音色のBGМが流れており、正月であることを示唆している。
 とてもバイオハザードが発生しているとは思えない。
 もしそうなら、こういう感じであっても、それらしい気配はするものだ。
 例えばクリーチャーはよく呻き声とか、叫び声を上げたりするのだが、もし異変が発生しているのなら、その声が聞こえてきたりすることが多い。
 それが全く無かった。

 愛原:「……大丈夫だな」
 高野:「どうしました、先生?」
 愛原:「おっと!」

 そこへ高野君が話し掛けてきた。

 愛原:「昨夜は何も無かったか?」
 高野:「無かったですね。良かったですよ」
 愛原:「そ、そうだな。考え過ぎか」
 高橋:「はい……」
 愛原:「リサ達は?」
 高野:「まだ寝てますよ」
 愛原:「そろそろ起こそう」
 高野:「朝風呂はどうします?」
 愛原:「昨日、2回も入ったからいいや」

 それに、起き掛けで体内の血液がドロドロの状態で入浴するのは、本来ダメらしい。

 愛原:「顔だけ洗ってくるよ」
 高橋:「お供します!」
 高野:「それじゃ、私はリサちゃん達を起こして来ますね」
 愛原:「ああ、頼むよ」

[同日08:00.天候:晴 同施設内・レストラン]

 宿泊者向けに朝食バイキングのサービスがある。

 高橋:「先生、御飯と焼き鮭です」
 愛原:「ありがとう」
 高野:「朝は和食なんですか?」
 愛原:「気分次第だな。今日は和食の気分だ」

 リサに昨夜何か無かったか聞いたが、リサも何も無かったと答えるだけだった。
 逆に昼間に事件があったので、夜間何も無かったのか?いやいや……。

 高野:「先生。今日はどこに行きます?」
 愛原:「そうだな……。休暇村にでも……ん?」

 その時、私のスマホに着信があった。
 相手は善場氏からだ。
 彼女らは正月休み返上なのだろうか。

 愛原:「はい、もしもし?」
 善場:「愛原所長、おはようございます」
 愛原:「おはようございます」
 善場:「今日は何かご予定がありますか?」
 愛原:「いえ、今のところこれとは……」
 善場:「それなら、もし宜しかったら、私達の調査に同行してみませんか?」
 愛原:「調査に同行って、いいんですか?」
 善場:「ええ。むしろ霧生市のバイオハザードの生存者の方に来て頂いた方が、こちらとしても好都合ですので」
 愛原:「別にいいですよ。私達で良かったら、協力します」
 善場:「ありがとうございます。今宿泊している所は、本日チェックアウトされますか?」
 愛原:「ええ。それで今日中に東京へ帰る予定です」
 善場:「分かりました。そのホテルのチェックアウトの時間が10時のようですので、その時にお迎えに上がります」
 愛原:「分かりました。では、その時に……。昨日の駐車場に行けばいいですか?……わかりました。それでは」

 私は電話を切った。

 愛原:「次の行き先が決まったぞ。といっても、現時点ではまだどこかとは言われてないけど」

 私は今の電話の内容を皆に話した。

 高野:「未だに霧生市のバイオハザードの調査は続けられてるんですね」
 愛原:「日本で唯一、それで廃墟になった町だからな」
 高橋:「俺達にしかできない頼み事って何なんスかね?」
 愛原:「分からんが、ゾンビを倒せとかではないだろうな」

 もしかしたら、私達をダシにして、リサに用事があるのかもしれない。
 ……と思ったが、善場氏ならそんな面倒なことはしないだろう。
 リサに用があるのなら、そうだとハッキリ言うはずだ。
 とにかく10時に合流したら、その時に分かるだろう。
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“私立探偵 愛原学” 「探偵の富士旅情」 花の湯 1

2020-01-16 16:02:40 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日20:00.天候:晴 静岡県富士宮市 富嶽温泉花の湯]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 宿泊先に着いた私達は、温泉と夕食を楽しんだ。
 食後はゲームコーナーに行ってみる。

 高橋:「アネゴ、今日こそ決着を付けてやるぜ!」
 高野:「フン、吠え面かかせてやるからね。先生、見ててください!」

 何か、エアホッケーやるだけで随分と勢いがいいな。

 高橋:「ナメんじゃねぇ!」

 カンコンカンコンカンコン冠婚カコカコカコ過去カカカカカカカココココココココ……(延々と続く高橋と高野のラリーの音)

 愛原:「速過ぎて見えん」
 リサ:「第1形態に戻れば見えるかも」
 愛原:「戻らなくていいぞ!」

 高橋と高野君の勝負は私の権限でドローとした。
 次は斉藤絵恋さんとリサの勝負。

 絵恋:「えいっ

 カーン!

 リサ:「ん」

 コーン!

 絵恋:「えいっ

 カーン!

 リサ:「ん」

 コーン!

 愛原:「そう、これだよ。これ……」

 さっきの緊迫した高速ラリーと比べ、この少女達のほのぼのとした低速ラリー。
 癒されるぅ……(´∀`*)

 高野:「先生、癒されます?」
 愛原:「もち!」

〔リーチ!〕

 リサ:「リーチ」
 絵恋:「りーちって何ですか?」
 高野:「あなた達は気にしなくていいのよ」
 愛原:「マリンちゃん!」キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 しかし……。

 愛原:「ヴぇっ!?」

 絵柄がズレてしまい、残念そうに画面から消え去るマリンちゃん。

〔リーチ!〕

 高橋:「あ、先生、こっち来ました」
 愛原:「オマエ、何やってるんだ?」
 高橋:「CRケンショーレンジャーです」
 愛原:「何か、当たりそうにない台だなぁ……」
 高橋:「そんなこと無いっスよ」

〔リーチ!「いいですか~?見てごらんなさい。どうでしょう?」〕

 高橋:「おっ、来た!ケンショーイエローリーチ!」
 愛原:「それ、通常リーチ?」

〔「新潟から来たサトーだぜぇ!あ?俺様が隊長になったからには、全隊員24時間フル折伏だぜぇ!あ?じゃ、頼んます」〕

 愛原:「変な台。どこのメーカーだ?」
 高橋:「A-HOKKE-KOというらしいです」
 愛原:「アホッケコー?知らねーな」

〔リーチ!『学会員が現れた』『学会員と法論で勝て』〕

 愛原:「何が当たりなんだか分かんねーな、この台」

〔「河童君、こんにちはw」「怨嫉謗法はやめなさい!それより功徳を語りましょうね!」〕

 リサ:「お姉ちゃん、私これやりたい」
 高野:「スロット?まあ、スロットならいいか」
 愛原:「パチはダメなのかよ」
 高野:「スロットはカジノにもありますが、パチンコは本場韓国では禁止ですから」
 愛原:「何だその基準」

〔リーチ!〕

 愛原:「おお~っ!マリンちゃん、来てくれた!……よっしゃ!」

〔「あっぱれジャパン♪春夏秋冬~♪四季の色、染めあーげて♪……」〕

 高橋:「先生、サーセン、やっぱこの台、全然当たんねーっス。クソ台です」
 愛原:「だろ?何か怪しいと思ったんだよ」

〔「あぁッ!?折伏が流れただとっ、あ!?オメーはよ~、先生のよ~、お心が分かってねーのかよっ、あぁっ!?」〕

 所詮、在日朝鮮人の心は在日朝鮮人にしか分からないってことで。

 愛原:「お前はそっちでCRバイオハザードなんちゃらでもやってろ」
 高橋:「ガチっスね。それより、CRバイオハザードリベレーションズ2が出たらしいですよ?」
 愛原:「この前、作者が仙台に帰省した時に打ってみたらボロ負けだったらしいぞ」

 雲羽:「くっ……!今年のギャンブル運はクソか……」

〔「クフフフフフ……。横田です。先般の総幹部会における大感動は、未だ冷めやらぬものであります」〕

 高野:(あれ?こいつどこかで見たような……?)
 絵恋:「リサさん、すごーい!」
 リサ:「むふー 連戦連勝」

 リサ、持ち前の能力により、目押しができる為、スロットは強かった。

[同日22:00.天候:晴 同施設内客室]

 愛原:「いやー、いっぱい遊んだな。結局、パチの儲けはどうなんだ?」
 高橋:「4円パチだと赤字、1円パチでカツカツって所っスね」
 愛原:「何だ、そうか。こういう所のパチって出やすいって聞いたんだけどなぁ……」

 シビアな所はシビアなもんだ。

 高野:「すぐに計算できるマサも凄いよ。っていうか……20円スロットで換算しても黒字出したリサちゃんのことも褒めてあげてくださいね」
 愛原:「そ、そうだな。俺もたまにはスロットやってみるかな……」

 私はリサの頭を撫でてあげながらそう考えた。
 リサは目を細めて撫でられた。
 第1形態の鬼の姿になると両耳が長く尖る(いわゆる、『エルフ耳』)が、その状態で頭を撫でてやると、犬や猫の耳みたいにパタッと耳を伏せるので可愛い。

 高野:「また事務所が赤字になるからやめてください」
 愛原:「寝るにはまだ早いな。もう1回温泉入ってくるかな」
 高橋:「あ、それいいっスね」
 高野:「どうせまた晩酌と称して、お風呂上りに飲む気ですよね?」
 愛原:「いや、ま、ちょっとだけだから」
 高橋:「お供します!地獄の果てまでも!」
 愛原:「リサ達はどうする?」
 リサ:「私も入るー」
 絵恋:「私も入ります」
 高野:「じゃあ、私も」
 リサ&絵恋:「どうぞどうぞ」
 高野:「何でだよ!!」

 懐かしのダチョウ倶楽部ネタ。
 まさかそれをJC達がやってくれるとは……。

 愛原:「タオルとかはまた向こうで借りればいいのか?」
 高橋:「温泉入り放題なのが、この宿泊プランのいい所なんですよね」
 愛原:「そうだな」

 というわけで、私達はもう1度温泉へ。
 それにしても、住宅街でちょっとしたバイオハザードに巻き込まれたというのに、今度は何も起こらない。
 この前の東北旅行の時は、夜中に事件が起きたから、まだまだ油断はならないのであるが……。
 
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