[6月21日16:18.天候:雨 東京都千代田区丸の内 東京メトロ東京駅→JR東京駅]
東京駅で電車を降りた稲生達は、JRの方へ移動した。
丸ノ内線からJR横須賀線・総武快速線の乗り場は至近距離にあるが、新幹線は少し歩く必要がある(が、京葉線よりはかなりマシである)。
稲生:「この丸ノ内線、魔界のアルカディアシティで言えば、魔界高速電鉄の1号線になるんだな」
マリア:「ああ。デビル・ピーターズ・バーグから1番街方面ね」
稲生:「そうそう。丸ノ内線っぽいのに、何故か開業当時の銀座線の車両とかが走ってるヤツ」
マリア:「アルカディアは大丈夫なんだろうか……」
稲生:「ミッドガードとの戦争か……」
マリア:「私達は『渡航禁止』の指示が出て来るからね。行こうにも行けない」
稲生:「威吹は無事だといいけど……」
マリア:「そう簡単には死なないだろう、あいつも」
稲生:「まあね。今となれば、一緒に暮らしてた頃が懐かしいなぁ……」
マリア:「『浸れる思い出があるのは素晴らしい』」
稲生:「え?」
マリア:「師匠の言葉さ。1000年も生きてると、浸れる思い出も無くなってくるんだって」
稲生:「そうなの!?」
マリア:「『200年で生きるのに飽きて来る。だから体を交換するんだ』ってね」
稲生:「肉体の衰えのせいじゃなくて?」
マリア:「それもあるんだろうけどね。……なあ、師匠、少し老けたと思わないか?」
稲生:「えっ!?そ、そうかなぁ……?」
マリア:「多分、勇太が初めて私の屋敷に来た時と比べれば、老けたと思わない?」
稲生:「う、うーん……そう言われれば……」
30代の女性が40歳を迎えたといった感じだろうか。
しかし、その年代だとそんなに変わらない気がする。
マリア:「にも関わらず、私の体は小さいままだよ。おかげさまで、school girlの服がまだ着れる」
稲生:「いいことじゃない!僕は好きだよ」
マリア:「称賛どうも。でも、私もそろそろ大人の服が着たいな」
稲生:「イリーナ先生みたいな?」
マリア:「将来的にはそうかな。アナスタシア先生のような黒いワンピースも捨てがたい」
稲生:「それも似合いそうだねぇ……」
マリア:「勇太は相変わらず、スーツか」
稲生:「着慣れた服が1番だよ。もっとも、スーツの上にローブは似合わない。というか、まるで裁判官みたい」
マリア:「コートに加工してもらうといいかもね。あ、でも、それだと夏は着れないか」
稲生:「色々考える余地がありそうだね」
JR東京駅に移動する。
丸ノ内線というからには、当然東京駅は丸の内側からアクセスすることになる。
こちらはJR東日本の管轄だが、もちろんJR東海の東海道新幹線のキップも買える。
それも、券売機で。
稲生:「どうせ新富士までだから、自由席でいいだろう」
稲生は慣れた手付きで指定席券売機を操作した。
指定席券売機と言っても、指定席も買えるという意味で、自由席が買えないわけではない。
マリア:「カード使う?師匠から借りて来た」
稲生:「ありがとう。……って、プラチナカード!?」
マリア:「また別のクライアントから、報酬に新しいプラチナカードもらったらしいよ。世界全てのクレカ会社のプラチナカードをコンプリートする気だよ、あの大魔道師」
稲生:「何だか凄いなぁ……。でも、あえてブラックカードには手を付けないんだ」
マリア:「何故だかね。でも、プラチナカードだけでも凄いよ」
稲生:「そうだね。うちの父さんでさえ、ゴールドカードがいい所なのに。で、このプラチナカード使っていいんだ?」
マリア:「今月で使用期限切れるんだって。で、新しいカードを送って寄越さないから、この政治家には同時に政治生命を断たせるらしいよ」
稲生:「怖っ!」
マリア:「『金の切れ目が縁の切れ目』っていう諺、日本にもあるでしょ?」
稲生:「あるけどねぇ」
稲生はプラチナカードを差し込むと、暗証番号を打ち込んだ。
これで新幹線のキップは購入できた。
稲生:「はい、これ」
マリア:「ありがとう」
乗車券と新幹線特急券が同じ区間のせいか、それらが1枚に纏められて出て来た。
なので、券売機からは2枚出て来たことになる。
稲生はそのうちの1枚をマリアに渡した。
まずはそれで、在来線の改札口に入る。
稲生:「東海道新幹線は向こうだ」
多くの人が行き交うコンコースを、新幹線改札口に向かって進む。
JR東日本の改札機がコーポレートカラーの緑をモチーフにしているのに対し、東海道新幹線の改札機は新幹線の色である青をモチーフにしている(コーポレートカラーのオレンジではない)。
そこから晴れて、東海道新幹線の乗客となるのである。
もっとも、そこが本当にJR東海のエリアなのかどうかは分からない。
営業エリア的にはそうでも、防災区画においては、そこはまだJR東日本の管轄かもしれないのだ。
どうしてそんなちぐはぐなことになっているのかというと、東京駅が旧国鉄時代から存在しているからである。
しかもそこを無理に分割した為に、そういう所にしわ寄せが来ているのである(ので、テロを起こしたければ、そういうちぐはぐエリアで起こすと良い。が、果たしてそこのテロリストのあなた、その場所が分かりますかな?)
JRになってから新幹線乗り場が造られた隣の品川駅ではそのようなことはない。
稲生:「ちょっと早いけど、駅弁買って行く?」
マリア:「あー、そうねぇ……。まあ、いいか」
新幹線の改札内コンコースにも売店はある。
そこで駅弁を物色した。
稲生:「おっ、牛タン弁当がある。これにしよう」
マリア:「ハンバーグか。私これ」
稲生:「いいねぇ。じゃあ、これにしよう」
あとはお茶をセットで買った。
稲生:「Suicaで」
店員:「はい、タッチお願いします」
ピピッ♪
店員:「ありがとうございましたー」
駅弁とお茶の入ったビニール袋を提げながら、ホームに向かう。
稲生:「今気づいたんだけど……」
マリア:「なに?」
稲生:「僕達、旅を始めてから1度しか現金を使ってない」
その1回だけ現金を使ったのは、白馬八方バスターミナルの自動販売機だけである。
マリア:「Ah...なるほどね」
高速バスの途中休憩箇所でも、自販機や売店はICカードが使えたので。
稲生:「でも、おかげで、Suicaの減りが早い早い」
マリア:「2万円までしかチャージできないんだっけ?まあ、また無くなったらチャージすればいいよ。このプラチナカードでもチャージできる?」
稲生:「券売機にもよるけど、できるよ」
マリア:「それなら心配ない」
稲生:「そうだね。(JR東海エリアで、そういう券売機がどれだけあるのか不明だけど……。まず、西富士宮駅とかは無いだろうなぁ……。それと……)でも、富士宮市内では少し現金を用意しておいた方がいいかもしれない」
マリア:「どうして?」
稲生:「向こうでカードの使えるタクシーは限られてるし、大石寺境内の売店(仲見世商店街)もキャッシュレスには対応していなかったはず」
マリア:「そうなのか。でも、ATMはどうしよう?」
稲生:「確か、新富士駅の中にある。それを使おう」
銀行のキャッシュカードではなく、イリーナから渡されたプラチナカードで現金を引き出す作戦だ。
この場合、クレジット会社から借り入れる形となる。
マリア:「なるほど。そこは勇太に任せるよ」
稲生:「任せてください!」
ホームに上がると、稲生達は1号車に向かった。
もちろん稲生の趣味である。
東京駅で電車を降りた稲生達は、JRの方へ移動した。
丸ノ内線からJR横須賀線・総武快速線の乗り場は至近距離にあるが、新幹線は少し歩く必要がある(が、京葉線よりはかなりマシである)。
稲生:「この丸ノ内線、魔界のアルカディアシティで言えば、魔界高速電鉄の1号線になるんだな」
マリア:「ああ。デビル・ピーターズ・バーグから1番街方面ね」
稲生:「そうそう。丸ノ内線っぽいのに、何故か開業当時の銀座線の車両とかが走ってるヤツ」
マリア:「アルカディアは大丈夫なんだろうか……」
稲生:「ミッドガードとの戦争か……」
マリア:「私達は『渡航禁止』の指示が出て来るからね。行こうにも行けない」
稲生:「威吹は無事だといいけど……」
マリア:「そう簡単には死なないだろう、あいつも」
稲生:「まあね。今となれば、一緒に暮らしてた頃が懐かしいなぁ……」
マリア:「『浸れる思い出があるのは素晴らしい』」
稲生:「え?」
マリア:「師匠の言葉さ。1000年も生きてると、浸れる思い出も無くなってくるんだって」
稲生:「そうなの!?」
マリア:「『200年で生きるのに飽きて来る。だから体を交換するんだ』ってね」
稲生:「肉体の衰えのせいじゃなくて?」
マリア:「それもあるんだろうけどね。……なあ、師匠、少し老けたと思わないか?」
稲生:「えっ!?そ、そうかなぁ……?」
マリア:「多分、勇太が初めて私の屋敷に来た時と比べれば、老けたと思わない?」
稲生:「う、うーん……そう言われれば……」
30代の女性が40歳を迎えたといった感じだろうか。
しかし、その年代だとそんなに変わらない気がする。
マリア:「にも関わらず、私の体は小さいままだよ。おかげさまで、school girlの服がまだ着れる」
稲生:「いいことじゃない!僕は好きだよ」
マリア:「称賛どうも。でも、私もそろそろ大人の服が着たいな」
稲生:「イリーナ先生みたいな?」
マリア:「将来的にはそうかな。アナスタシア先生のような黒いワンピースも捨てがたい」
稲生:「それも似合いそうだねぇ……」
マリア:「勇太は相変わらず、スーツか」
稲生:「着慣れた服が1番だよ。もっとも、スーツの上にローブは似合わない。というか、まるで裁判官みたい」
マリア:「コートに加工してもらうといいかもね。あ、でも、それだと夏は着れないか」
稲生:「色々考える余地がありそうだね」
JR東京駅に移動する。
丸ノ内線というからには、当然東京駅は丸の内側からアクセスすることになる。
こちらはJR東日本の管轄だが、もちろんJR東海の東海道新幹線のキップも買える。
それも、券売機で。
稲生:「どうせ新富士までだから、自由席でいいだろう」
稲生は慣れた手付きで指定席券売機を操作した。
指定席券売機と言っても、指定席も買えるという意味で、自由席が買えないわけではない。
マリア:「カード使う?師匠から借りて来た」
稲生:「ありがとう。……って、プラチナカード!?」
マリア:「また別のクライアントから、報酬に新しいプラチナカードもらったらしいよ。世界全てのクレカ会社のプラチナカードをコンプリートする気だよ、あの大魔道師」
稲生:「何だか凄いなぁ……。でも、あえてブラックカードには手を付けないんだ」
マリア:「何故だかね。でも、プラチナカードだけでも凄いよ」
稲生:「そうだね。うちの父さんでさえ、ゴールドカードがいい所なのに。で、このプラチナカード使っていいんだ?」
マリア:「今月で使用期限切れるんだって。で、新しいカードを送って寄越さないから、この政治家には同時に政治生命を断たせるらしいよ」
稲生:「怖っ!」
マリア:「『金の切れ目が縁の切れ目』っていう諺、日本にもあるでしょ?」
稲生:「あるけどねぇ」
稲生はプラチナカードを差し込むと、暗証番号を打ち込んだ。
これで新幹線のキップは購入できた。
稲生:「はい、これ」
マリア:「ありがとう」
乗車券と新幹線特急券が同じ区間のせいか、それらが1枚に纏められて出て来た。
なので、券売機からは2枚出て来たことになる。
稲生はそのうちの1枚をマリアに渡した。
まずはそれで、在来線の改札口に入る。
稲生:「東海道新幹線は向こうだ」
多くの人が行き交うコンコースを、新幹線改札口に向かって進む。
JR東日本の改札機がコーポレートカラーの緑をモチーフにしているのに対し、東海道新幹線の改札機は新幹線の色である青をモチーフにしている(コーポレートカラーのオレンジではない)。
そこから晴れて、東海道新幹線の乗客となるのである。
もっとも、そこが本当にJR東海のエリアなのかどうかは分からない。
営業エリア的にはそうでも、防災区画においては、そこはまだJR東日本の管轄かもしれないのだ。
どうしてそんなちぐはぐなことになっているのかというと、東京駅が旧国鉄時代から存在しているからである。
しかもそこを無理に分割した為に、そういう所にしわ寄せが来ているのである(
JRになってから新幹線乗り場が造られた隣の品川駅ではそのようなことはない。
稲生:「ちょっと早いけど、駅弁買って行く?」
マリア:「あー、そうねぇ……。まあ、いいか」
新幹線の改札内コンコースにも売店はある。
そこで駅弁を物色した。
稲生:「おっ、牛タン弁当がある。これにしよう」
マリア:「ハンバーグか。私これ」
稲生:「いいねぇ。じゃあ、これにしよう」
あとはお茶をセットで買った。
稲生:「Suicaで」
店員:「はい、タッチお願いします」
ピピッ♪
店員:「ありがとうございましたー」
駅弁とお茶の入ったビニール袋を提げながら、ホームに向かう。
稲生:「今気づいたんだけど……」
マリア:「なに?」
稲生:「僕達、旅を始めてから1度しか現金を使ってない」
その1回だけ現金を使ったのは、白馬八方バスターミナルの自動販売機だけである。
マリア:「Ah...なるほどね」
高速バスの途中休憩箇所でも、自販機や売店はICカードが使えたので。
稲生:「でも、おかげで、Suicaの減りが早い早い」
マリア:「2万円までしかチャージできないんだっけ?まあ、また無くなったらチャージすればいいよ。このプラチナカードでもチャージできる?」
稲生:「券売機にもよるけど、できるよ」
マリア:「それなら心配ない」
稲生:「そうだね。(JR東海エリアで、そういう券売機がどれだけあるのか不明だけど……。まず、西富士宮駅とかは無いだろうなぁ……。それと……)でも、富士宮市内では少し現金を用意しておいた方がいいかもしれない」
マリア:「どうして?」
稲生:「向こうでカードの使えるタクシーは限られてるし、大石寺境内の売店(仲見世商店街)もキャッシュレスには対応していなかったはず」
マリア:「そうなのか。でも、ATMはどうしよう?」
稲生:「確か、新富士駅の中にある。それを使おう」
銀行のキャッシュカードではなく、イリーナから渡されたプラチナカードで現金を引き出す作戦だ。
この場合、クレジット会社から借り入れる形となる。
マリア:「なるほど。そこは勇太に任せるよ」
稲生:「任せてください!」
ホームに上がると、稲生達は1号車に向かった。
もちろん稲生の趣味である。