[5月1日18:00.天候:雨 栃木県那須塩原市 ホテル天長園8Fレストラン]
夕食の時間になり、最上階のレストランに行くと、既にそれは用意されていた。
斉藤社長の名前で予約されているからか、『斉藤様』という札が掲げられている。
リサ:「おお~!御馳走!」
テーブルの上には刺身の他、“ベタな旅館食事の法則”通り、一人鍋もあった。
固形燃料に火を点けて、それで一人鍋をグツグツ煮込むあれである。
その鍋は具材からして、すき焼のようだった。
肉も見た目には霜降りの薄切り牛肉である。
愛原:「やると思ったけど、リサそのまま食べるな!」
リサ:「おっと!」
絵恋:「生のまま食べちゃ、お腹壊すよ?」
リサ:「いや、それなら大丈夫」
愛原:「うん、そこは心配していない」
絵恋:「ええっ!?」
愛原:「暴走の恐れがあるので、生肉食は禁止されてるんだ」
絵恋:「そうだったんですか。でも、うちで食べたステーキ、血のしたたるレアでしたけど、それは大丈夫だったはずじゃ?」
愛原:「レアでもちゃんと火は通ってるだろ?レア以上の焼き加減じゃないとダメだ」
絵恋:「そ、そうなんですか。じゃあ、ブルーやブルーレアはダメってことですね」
愛原:「そういうこと」
そこへ女将さんがやってきた。
女将:「お待たせ致しました。只今、火をお点けします」
高橋:「あ、何だ。点けてくれんのか」
高橋は危うく、自分のオイルライターを点けるところだった。
女将さんがチャッカマンで、固形燃料に火を点けてくれる。
それからおひつを持って来て、御飯をよそってくれた。
女将:「お飲み物は何になさいますか?」
愛原:「私はビールだな、やっぱり」
高橋:「定番ですね。俺もビールで」
リサ:「私もビール」
絵恋:「私も!」
愛原:「おい!」
高橋:「こら!5年早ぇ!」
女将:「ではまず、瓶ビール2本お持ちしますね」
愛原:「ウーロン茶辺りにしておいたらどうだ?」
リサ:「はぁーい」
絵恋:「リサさんがウーロン茶なら、私もそれで……」
飲み物が決まると、別のスタッフが持って来た。
それは女将さんと同様、着物を着ていたのだが、年齢が明らかに若い。
リサ達と同じか、少し年下なくらい。
少女:「お飲み物でございます。瓶ビール2本とウーロン茶2瓶です」
ウーロン茶も瓶で来た。
尚、グラスは最初からテーブルの上にあった。
因みに、最初から栓が開けられた状態で持ってくる。
これには深い理由があるのだ。
飲食店でも、瓶ビールを頼むと栓が開けられた状態で持って来られるだろう?
あれと同じ。
何も、客に開ける手間を省いてあげる為のサービスではない。
正解は、【Webで確認!】。
愛原:「ありがとう」
私は彼女から瓶を受け取った時に気づいた。
彼女の爪がやや長く尖っているのを見てからだ。
それはリサの爪と同じ。
どんなに人間に化けても、どこかしらでボロが出てしまう。
爪は朝切っても、どうしても夕方には長く尖った状態で伸びてしまう。
愛原:「もしかしてキミが、夕方出勤してきたというアルバイトかい?」
少女:「はい、そうですけど……」
愛原:「もしかしてキミ、セーラー服を着て白い仮面を着けてなかったかい?」
少女:「はい、着けてました」
少女はそれが何かといった感じで答えた。
リサ:「私も持ってるの。あなたと同じ仮面」
少女:「そう……なんですか。天長会の『巫女』ですか?『何番』目の?」
リサ:「私、『2番』」
少女:「『2番』!?」
愛原:「リサ。リサ・トレヴァーの番号とは違うんだよ」
少女:「凄いですねぇ!『最も危険な巫女たち』のお1人ですか!?」
リサ:「んん?」
絵恋:「ちょっと!リサさんに気安く近づかないで!だいたい、何よ!?リサさんと同じ髪形して!何様のつもり!?」
高橋:「おい、うるせーぞ!レズクレーマー」
絵恋:「誰がレズクレーマーよ!?」
高橋&リサ:「オマエだよ」
絵恋:「ええっ?!」
女将:「凛ちゃん、やめなさい。お客様に失礼でしょう」
少女改め凛:「あっ、ママ。ごめんなさい」
愛原:「ママ?」
女将:「お恥ずかしい話でございます。これ、私の娘でございまして……」
愛原:「そうなの!?」
リサ:「!」
亜種とはいえ、日本版リサ・トレヴァーが子供を産んでいる!?
あ、いや、人間だった頃に産んだのかもしれない。
愛原:「それは……人間だった頃?それとも……」
女将:「ご想像にお任せします。凛、御挨拶なさい」
凛:「上野凛と申します。このホテルでアルバイトしています。地元の中学校に通う3年生です。よろしくお願いします」
やはりリサ達より1つ年下のようだ。
愛原:「ん?上野凛……」
高橋:「何スか、先生?」
愛原:「どこかで会ったかい?」
凛:「いいえ……?多分、初めてだと思います」
愛原:「そうか……」
何人ものリサ・トレヴァーと戦ったから、そう思うのかな。
少なくとも、ここにいるリサ・トレヴァー達は私達に敵対することは無さそうだが……。
愛原:「キミは……人を食べたことがあるかい?」
凛:「無いです。……正直、食べたくなる時はありますけど」
愛原:「やっぱりか。そうなった時、どう対処している?」
凛:「お店の売れ残りで、廃棄処分直前の肉をもらって思いっ切りガブリ付きます」
リサ:「おおっ!いいアイディア!私もやりたい!」
愛原:「リサ!」
凛:「私は……元人間ではないので」
愛原:「えっ?」
女将:「娘は……私が今の状態になってから生んだ娘です。でも、この呪われた血は、娘に引き継がれてしまいました……」
愛原:「そうなのか!……はっ!」
その時、私はリサが獲物を狙うかのような目で私を見ているのに気づいた。
『人間に戻らなくても、先生の子供産めるんじゃん!結婚できるんじゃん!だったら今しよ!?』と言いたげな顔だ。
凛:「生まれながらの化け物は生肉にガブリ付きでもしないと抑えられませんが、元人間の『2番』様はそこまでしなくても大丈夫なのでは?」
女将:「凛ちゃん」
愛原:「大丈夫だよ。姿形は人間のままだ。あとは心だ。いかに心を人間の状態に持って行くかだ。彼女も人間の心を取り戻す為に、日夜努力をしているんだよ」
凛:「そう、ですか……」
愛原:「だから生肉食は禁止されてんの!分かった!?」
リサ:「えーっ!一度でいいからやりたーい!」
愛原:「暴走したらBSAAが素っ飛んで来るぞ!」
そこで私、ふと気づく。
愛原:「そういえばBSAAは、あなた達のことを御存知なんですか?」
女将:「そのはずですよ。だいぶ前、事情聴取に来られましたから」
BSAA公認なのか!
女将:「以前にも、『紹介したい者がいる。バスで来るから、待っててくれ』と言われたのですが、何でも、『バスが事故に遭ったので、中止になった』と伺いました」
愛原:「このコロナ禍、貸切バスで利用しに来る団体客の予約が入ってたんだ?」
女将:「いえ。お客様は3名様だと伺いました」
愛原:「ぶっ!3人なのに、貸切バスで来る予定だったの!?贅沢な人達だなぁ!……ん?」
そこで更に私はもっと気づいた。
愛原:「もしかしてそのバス……東北自動車道のどこかで事故に遭ったって話?」
女将:「そうですね。何でも、パーキングエリアで休憩中に、バスが爆発事故を起こしたとのことです」
愛原:「……そのパーキングエリア、矢板北だったりする?」
女将:「そこまでは分かりませんが、確か、矢板近辺だと伺いました」
愛原:「それ、俺達だ!なに、ここで繋がってたの!?」
高橋:「え?じゃああれ、ヴェルトロじゃなくて、BSAAっスか!?どうして!?」
愛原:「いや、知らんよ!」
一体何が起きてるんだ!?
私達の与り知らぬ所で、何かが動いてるぞ!?どういうことだ?!
夕食の時間になり、最上階のレストランに行くと、既にそれは用意されていた。
斉藤社長の名前で予約されているからか、『斉藤様』という札が掲げられている。
リサ:「おお~!御馳走!」
テーブルの上には刺身の他、“ベタな旅館食事の法則”通り、一人鍋もあった。
固形燃料に火を点けて、それで一人鍋をグツグツ煮込むあれである。
その鍋は具材からして、すき焼のようだった。
肉も見た目には霜降りの薄切り牛肉である。
愛原:「やると思ったけど、リサそのまま食べるな!」
リサ:「おっと!」
絵恋:「生のまま食べちゃ、お腹壊すよ?」
リサ:「いや、それなら大丈夫」
愛原:「うん、そこは心配していない」
絵恋:「ええっ!?」
愛原:「暴走の恐れがあるので、生肉食は禁止されてるんだ」
絵恋:「そうだったんですか。でも、うちで食べたステーキ、血のしたたるレアでしたけど、それは大丈夫だったはずじゃ?」
愛原:「レアでもちゃんと火は通ってるだろ?レア以上の焼き加減じゃないとダメだ」
絵恋:「そ、そうなんですか。じゃあ、ブルーやブルーレアはダメってことですね」
愛原:「そういうこと」
そこへ女将さんがやってきた。
女将:「お待たせ致しました。只今、火をお点けします」
高橋:「あ、何だ。点けてくれんのか」
高橋は危うく、自分のオイルライターを点けるところだった。
女将さんがチャッカマンで、固形燃料に火を点けてくれる。
それからおひつを持って来て、御飯をよそってくれた。
女将:「お飲み物は何になさいますか?」
愛原:「私はビールだな、やっぱり」
高橋:「定番ですね。俺もビールで」
リサ:「私もビール」
絵恋:「私も!」
愛原:「おい!」
高橋:「こら!5年早ぇ!」
女将:「ではまず、瓶ビール2本お持ちしますね」
愛原:「ウーロン茶辺りにしておいたらどうだ?」
リサ:「はぁーい」
絵恋:「リサさんがウーロン茶なら、私もそれで……」
飲み物が決まると、別のスタッフが持って来た。
それは女将さんと同様、着物を着ていたのだが、年齢が明らかに若い。
リサ達と同じか、少し年下なくらい。
少女:「お飲み物でございます。瓶ビール2本とウーロン茶2瓶です」
ウーロン茶も瓶で来た。
尚、グラスは最初からテーブルの上にあった。
因みに、最初から栓が開けられた状態で持ってくる。
これには深い理由があるのだ。
飲食店でも、瓶ビールを頼むと栓が開けられた状態で持って来られるだろう?
あれと同じ。
何も、客に開ける手間を省いてあげる為のサービスではない。
正解は、【Webで確認!】。
愛原:「ありがとう」
私は彼女から瓶を受け取った時に気づいた。
彼女の爪がやや長く尖っているのを見てからだ。
それはリサの爪と同じ。
どんなに人間に化けても、どこかしらでボロが出てしまう。
爪は朝切っても、どうしても夕方には長く尖った状態で伸びてしまう。
愛原:「もしかしてキミが、夕方出勤してきたというアルバイトかい?」
少女:「はい、そうですけど……」
愛原:「もしかしてキミ、セーラー服を着て白い仮面を着けてなかったかい?」
少女:「はい、着けてました」
少女はそれが何かといった感じで答えた。
リサ:「私も持ってるの。あなたと同じ仮面」
少女:「そう……なんですか。天長会の『巫女』ですか?『何番』目の?」
リサ:「私、『2番』」
少女:「『2番』!?」
愛原:「リサ。リサ・トレヴァーの番号とは違うんだよ」
少女:「凄いですねぇ!『最も危険な巫女たち』のお1人ですか!?」
リサ:「んん?」
絵恋:「ちょっと!リサさんに気安く近づかないで!だいたい、何よ!?リサさんと同じ髪形して!何様のつもり!?」
高橋:「おい、うるせーぞ!レズクレーマー」
絵恋:「誰がレズクレーマーよ!?」
高橋&リサ:「オマエだよ」
絵恋:「ええっ?!」
女将:「凛ちゃん、やめなさい。お客様に失礼でしょう」
少女改め凛:「あっ、ママ。ごめんなさい」
愛原:「ママ?」
女将:「お恥ずかしい話でございます。これ、私の娘でございまして……」
愛原:「そうなの!?」
リサ:「!」
亜種とはいえ、日本版リサ・トレヴァーが子供を産んでいる!?
あ、いや、人間だった頃に産んだのかもしれない。
愛原:「それは……人間だった頃?それとも……」
女将:「ご想像にお任せします。凛、御挨拶なさい」
凛:「上野凛と申します。このホテルでアルバイトしています。地元の中学校に通う3年生です。よろしくお願いします」
やはりリサ達より1つ年下のようだ。
愛原:「ん?上野凛……」
高橋:「何スか、先生?」
愛原:「どこかで会ったかい?」
凛:「いいえ……?多分、初めてだと思います」
愛原:「そうか……」
何人ものリサ・トレヴァーと戦ったから、そう思うのかな。
少なくとも、ここにいるリサ・トレヴァー達は私達に敵対することは無さそうだが……。
愛原:「キミは……人を食べたことがあるかい?」
凛:「無いです。……正直、食べたくなる時はありますけど」
愛原:「やっぱりか。そうなった時、どう対処している?」
凛:「お店の売れ残りで、廃棄処分直前の肉をもらって思いっ切りガブリ付きます」
リサ:「おおっ!いいアイディア!私もやりたい!」
愛原:「リサ!」
凛:「私は……元人間ではないので」
愛原:「えっ?」
女将:「娘は……私が今の状態になってから生んだ娘です。でも、この呪われた血は、娘に引き継がれてしまいました……」
愛原:「そうなのか!……はっ!」
その時、私はリサが獲物を狙うかのような目で私を見ているのに気づいた。
『人間に戻らなくても、先生の子供産めるんじゃん!結婚できるんじゃん!だったら今しよ!?』と言いたげな顔だ。
凛:「生まれながらの化け物は生肉にガブリ付きでもしないと抑えられませんが、元人間の『2番』様はそこまでしなくても大丈夫なのでは?」
女将:「凛ちゃん」
愛原:「大丈夫だよ。姿形は人間のままだ。あとは心だ。いかに心を人間の状態に持って行くかだ。彼女も人間の心を取り戻す為に、日夜努力をしているんだよ」
凛:「そう、ですか……」
愛原:「だから生肉食は禁止されてんの!分かった!?」
リサ:「えーっ!一度でいいからやりたーい!」
愛原:「暴走したらBSAAが素っ飛んで来るぞ!」
そこで私、ふと気づく。
愛原:「そういえばBSAAは、あなた達のことを御存知なんですか?」
女将:「そのはずですよ。だいぶ前、事情聴取に来られましたから」
BSAA公認なのか!
女将:「以前にも、『紹介したい者がいる。バスで来るから、待っててくれ』と言われたのですが、何でも、『バスが事故に遭ったので、中止になった』と伺いました」
愛原:「このコロナ禍、貸切バスで利用しに来る団体客の予約が入ってたんだ?」
女将:「いえ。お客様は3名様だと伺いました」
愛原:「ぶっ!3人なのに、貸切バスで来る予定だったの!?贅沢な人達だなぁ!……ん?」
そこで更に私はもっと気づいた。
愛原:「もしかしてそのバス……東北自動車道のどこかで事故に遭ったって話?」
女将:「そうですね。何でも、パーキングエリアで休憩中に、バスが爆発事故を起こしたとのことです」
愛原:「……そのパーキングエリア、矢板北だったりする?」
女将:「そこまでは分かりませんが、確か、矢板近辺だと伺いました」
愛原:「それ、俺達だ!なに、ここで繋がってたの!?」
高橋:「え?じゃああれ、ヴェルトロじゃなくて、BSAAっスか!?どうして!?」
愛原:「いや、知らんよ!」
一体何が起きてるんだ!?
私達の与り知らぬ所で、何かが動いてるぞ!?どういうことだ?!