[5月2日16:30.天候:晴 栃木県那須塩原市 ホテル天長園]
愛原:「すいません、ホテル天長園の前で降ろしてもらえますか?」
運転手:「はい、ホテル天長園ですね」
これはタクシー車内での会話ではない。
私達が乗った路線バスは、郊外区域ではフリー乗降制となり、バス停以外の場所でも乗り降りできるのだ。
さすがにホテルの敷地内までは入ってもらえないところがタクシーとの違いだが、それでも便利である。
運転手:「こちらでよろしいですか?」
愛原:「ありがとう。大人4名で」
運転手:「はい」
引率者である私が全員分の運賃をまとめて払う。
運転手:「ありがとうございました」
高橋と絵恋さんがしれっと降りる中、リサだけが上機嫌の笑顔で運転手にペコリと御辞儀しながら降りた。
愛原:「さすがにBSAA、引き上げたかな?」
高橋:「出掛ける前と比べると静かになりましたね」
バスが走り去ってからホテルの敷地内に入る。
駐車場に入っても、関係者の車しか駐車していなかった。
今日も宿泊客は私達だけなのだろうか。
フロント係:「お帰りなさいませ」
建物の中に入り、フロントに立ち寄る。
フロントに預けていた部屋の鍵をもらう為だ。
フロント係:「実は先ほど、こちらに善場様がお見えになりました」
愛原:「善場主任が来たの!?」
フロント係:「はい」
愛原:「それで、善場主任は?」
フロント係:「先ほど御退出されました」
ということは、私には用は無かったということか。
愛原:「BSAAは?」
フロント係:「こちらも先ほど……」
愛原:「そうか……。白井伝三郎を捕まえて帰って行きましたか?」
フロント係:「申し訳ございませんが、そこまでは……」
愛原:「そうか。善場主任は誰と話していた?」
フロント係:「うちの女将と、BSAAの責任者の方です」
愛原:「女将さんね……。後で女将さんとお話しできる?」
フロント係:「かしこまりました。伝えておきます」
愛原:「悪いね」
私はカードキーを受け取ると、1枚をリサに渡した。
そして、エレベーターに乗り込む。
高橋:「善場の姉ちゃんが来てたんですか?」
愛原:「そのようだな。まあ、目的はBSAAの様子見と白井の動向確認だろう。たから、俺達には特に用は無かったみたいだ」
高橋:「BSAAは白井をパクれたんでしょうか?」
愛原:「どうだろうなぁ。俺的はまた逃げられたような気がする。もし拘束できたのなら、善場主任が教えてくれそうなもんだろ」
高橋:「あ、そうか……」
7階に着いて、自分達の部屋に入る。
部屋は清掃されていた。
高橋:「先生、どうします?早速、風呂入りますか?」
愛原:「そうだな。ようやく夕方の露天風呂に入れそうだ」
もちろん浴衣もタオルも洗濯済みの物に交換されている。
リサと絵恋さんは浴衣を持って、襖を挟んだ隣の間へ向かった。
高橋:「先生が気になっているのは、姉ちゃんが女将と話をしたことですか?」
愛原:「そうだ。ちょっと気になるところだ。それに……『上野暢子』について、どれだけ知ってるか、今日教えてくれることになっている」
私的には何らかの血縁があると思っている。
絵恋さんはあえて触れなかったが、リサと凛さんの顔立ちがやや似ているのは偶然とは思えない。
浴衣に着替えると、今度は大浴場に向かった。
愛原:「どうやら今夜も、宿泊客は俺達だけみたいだな」
大浴場の脱衣場に行って、私は言った。
高橋:「もしかしたら、本当は休業中だったんじゃないスかね?」
愛原:「有り得るな」
で、私が1番気になっているのは斉藤社長である。
このホテルを予約したのは絶対に偶然ではないはずだ。
怒られるかもしれないが、この旅行が終わり、報告書を提出する際に聞いてみることにしよう。
因みに温泉は天然のもので、無色透明である。
アルカリ性単純泉とのことだ。
硫黄の臭いがグッと効いた温泉と比べればシンプルなものだが、それがいいという人もいるだろう。
何せ硫黄成分が強いと、アレルギー反応を起こす人がいるくらいだ(作者の弟は鳴子温泉に行った際、硫黄成分にやられて湿疹などの症状を引き起こした)。
愛原:「ま、ホテルの温泉貸し切りなんて、こういうことは滅多に無いぞ。今のうちに堪能しておこうや」
高橋:「そうですね。……先生、思いっ切り嫌な予感がするんですが……」
愛原:「何だ?まさかこの状態でクリーチャーが襲ってくるなんて言うなよ?」
高橋:「まあ、その……ある意味では、そのまさかと言いますか……」
愛原:「はあ?」
高橋:「直接俺達には関係無いと言いますか……」
愛原:「何が言いたいんだ?」
高橋:「隣の女湯も貸切状態じゃないっスか」
愛原:「まあ、そうだろうな」
高橋:「レズガキが2人っきりの時、何をするか大体想像つきません?」
愛原:「あー……。でも、それを言うなら俺達もじゃね?」
高橋はLGBTのGを自称していたが、実際はBであるようである。
で、そんなGだのBだのから見ても、Lは【ぴー】とのこと。
高橋:「先生がお望みでしたら、そのように致しますが!?」
高橋は鼻息を荒くしてきた。
愛原:「変な事したらクビ!」
高橋:「ええーっ?!」
高橋が落胆した。
愛原:「まあとにかく、さっさと背中流してくれや。やってくれるんだろ?」
高橋:「は、はい!もちろんです!」
内湯の洗い場にいる時は気づかなかったが、露天風呂に出ると、すぐ近くに女湯の露天風呂があるのか、少女2人のフザける声が聞こえて来た。
そのうち、明らかに絵恋さんの声が、リサを『性的に襲う』声であったことを特記しておく。
リサのことだから黙って襲われることはなく、むしろ返り討ちにするだろうが、何というか……メンド臭いね。
愛原:「それにしても、何で絵恋さんはLGBTのLなのやら……」
高橋:「さァ……?生まれつきなんじゃないスか?」
高橋は面倒臭そうに答えた。
愛原:「お前のBもか?」
高橋:「俺は……まあ、その……男だらけの鑑別所やら少年院やら少年刑務所やら行ってたもんで」
愛原:「それ、理由になんのか?」
私はこれ以上聞くのをやめた。
何にせよ、ノーマルの私が聞いて理解できるシロモノではないことは分かった。
愛原:「すいません、ホテル天長園の前で降ろしてもらえますか?」
運転手:「はい、ホテル天長園ですね」
これはタクシー車内での会話ではない。
私達が乗った路線バスは、郊外区域ではフリー乗降制となり、バス停以外の場所でも乗り降りできるのだ。
さすがにホテルの敷地内までは入ってもらえないところがタクシーとの違いだが、それでも便利である。
運転手:「こちらでよろしいですか?」
愛原:「ありがとう。大人4名で」
運転手:「はい」
引率者である私が全員分の運賃をまとめて払う。
運転手:「ありがとうございました」
高橋と絵恋さんがしれっと降りる中、リサだけが上機嫌の笑顔で運転手にペコリと御辞儀しながら降りた。
愛原:「さすがにBSAA、引き上げたかな?」
高橋:「出掛ける前と比べると静かになりましたね」
バスが走り去ってからホテルの敷地内に入る。
駐車場に入っても、関係者の車しか駐車していなかった。
今日も宿泊客は私達だけなのだろうか。
フロント係:「お帰りなさいませ」
建物の中に入り、フロントに立ち寄る。
フロントに預けていた部屋の鍵をもらう為だ。
フロント係:「実は先ほど、こちらに善場様がお見えになりました」
愛原:「善場主任が来たの!?」
フロント係:「はい」
愛原:「それで、善場主任は?」
フロント係:「先ほど御退出されました」
ということは、私には用は無かったということか。
愛原:「BSAAは?」
フロント係:「こちらも先ほど……」
愛原:「そうか……。白井伝三郎を捕まえて帰って行きましたか?」
フロント係:「申し訳ございませんが、そこまでは……」
愛原:「そうか。善場主任は誰と話していた?」
フロント係:「うちの女将と、BSAAの責任者の方です」
愛原:「女将さんね……。後で女将さんとお話しできる?」
フロント係:「かしこまりました。伝えておきます」
愛原:「悪いね」
私はカードキーを受け取ると、1枚をリサに渡した。
そして、エレベーターに乗り込む。
高橋:「善場の姉ちゃんが来てたんですか?」
愛原:「そのようだな。まあ、目的はBSAAの様子見と白井の動向確認だろう。たから、俺達には特に用は無かったみたいだ」
高橋:「BSAAは白井をパクれたんでしょうか?」
愛原:「どうだろうなぁ。俺的はまた逃げられたような気がする。もし拘束できたのなら、善場主任が教えてくれそうなもんだろ」
高橋:「あ、そうか……」
7階に着いて、自分達の部屋に入る。
部屋は清掃されていた。
高橋:「先生、どうします?早速、風呂入りますか?」
愛原:「そうだな。ようやく夕方の露天風呂に入れそうだ」
もちろん浴衣もタオルも洗濯済みの物に交換されている。
リサと絵恋さんは浴衣を持って、襖を挟んだ隣の間へ向かった。
高橋:「先生が気になっているのは、姉ちゃんが女将と話をしたことですか?」
愛原:「そうだ。ちょっと気になるところだ。それに……『上野暢子』について、どれだけ知ってるか、今日教えてくれることになっている」
私的には何らかの血縁があると思っている。
絵恋さんはあえて触れなかったが、リサと凛さんの顔立ちがやや似ているのは偶然とは思えない。
浴衣に着替えると、今度は大浴場に向かった。
愛原:「どうやら今夜も、宿泊客は俺達だけみたいだな」
大浴場の脱衣場に行って、私は言った。
高橋:「もしかしたら、本当は休業中だったんじゃないスかね?」
愛原:「有り得るな」
で、私が1番気になっているのは斉藤社長である。
このホテルを予約したのは絶対に偶然ではないはずだ。
怒られるかもしれないが、この旅行が終わり、報告書を提出する際に聞いてみることにしよう。
因みに温泉は天然のもので、無色透明である。
アルカリ性単純泉とのことだ。
硫黄の臭いがグッと効いた温泉と比べればシンプルなものだが、それがいいという人もいるだろう。
何せ硫黄成分が強いと、アレルギー反応を起こす人がいるくらいだ(作者の弟は鳴子温泉に行った際、硫黄成分にやられて湿疹などの症状を引き起こした)。
愛原:「ま、ホテルの温泉貸し切りなんて、こういうことは滅多に無いぞ。今のうちに堪能しておこうや」
高橋:「そうですね。……先生、思いっ切り嫌な予感がするんですが……」
愛原:「何だ?まさかこの状態でクリーチャーが襲ってくるなんて言うなよ?」
高橋:「まあ、その……ある意味では、そのまさかと言いますか……」
愛原:「はあ?」
高橋:「直接俺達には関係無いと言いますか……」
愛原:「何が言いたいんだ?」
高橋:「隣の女湯も貸切状態じゃないっスか」
愛原:「まあ、そうだろうな」
高橋:「レズガキが2人っきりの時、何をするか大体想像つきません?」
愛原:「あー……。でも、それを言うなら俺達もじゃね?」
高橋はLGBTのGを自称していたが、実際はBであるようである。
で、そんなGだのBだのから見ても、Lは【ぴー】とのこと。
高橋:「先生がお望みでしたら、そのように致しますが!?」
高橋は鼻息を荒くしてきた。
愛原:「変な事したらクビ!」
高橋:「ええーっ?!」
高橋が落胆した。
愛原:「まあとにかく、さっさと背中流してくれや。やってくれるんだろ?」
高橋:「は、はい!もちろんです!」
内湯の洗い場にいる時は気づかなかったが、露天風呂に出ると、すぐ近くに女湯の露天風呂があるのか、少女2人のフザける声が聞こえて来た。
そのうち、明らかに絵恋さんの声が、リサを『性的に襲う』声であったことを特記しておく。
リサのことだから黙って襲われることはなく、むしろ返り討ちにするだろうが、何というか……メンド臭いね。
愛原:「それにしても、何で絵恋さんはLGBTのLなのやら……」
高橋:「さァ……?生まれつきなんじゃないスか?」
高橋は面倒臭そうに答えた。
愛原:「お前のBもか?」
高橋:「俺は……まあ、その……男だらけの鑑別所やら少年院やら少年刑務所やら行ってたもんで」
愛原:「それ、理由になんのか?」
私はこれ以上聞くのをやめた。
何にせよ、ノーマルの私が聞いて理解できるシロモノではないことは分かった。