報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「青い目の人形」 大石寺 2

2021-06-28 21:05:41 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月22日14:10.天候:晴 静岡県富士宮市上条 大石寺・奉安堂→売店(仲見世商店街)]

 日如上人猊下:「遠ごん各地より深信の当参、願い出により本門戒壇之大御本尊御開扉奉り、無始以来、謗法・罪障消滅、【中略】大願成就の御祈念を、懇ろに申し上げました」

 御開扉の最後に、御内拝に参集した信徒達に向かって、導師たる御法主上人が報告という形で説法する。
 但し、『願い出により』の以降は一言一句全く変わることはない。
 因みにこの御説法の全文を、全て漢字も交えて書き表すことのできる人は凄い。
 多分、このほんの一部分であっても、誤字はあるし、漢字変換できない物も存在する。

〔「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」〕

 この御説法が終わった後で、大御本尊を御安置している厨子が閉じられる。
 この際、一礼をするのがポイント。
 御本尊下付されている信徒なら、何の疑いも無くできる。
 その後で、分厚い二重の鉄扉が閉じられる。
 完全に閉じられるまで、唱題は続く。
 尚、顕正会の青年会館にも、両開き式の鉄扉が備え付けられた仏壇の置かれた広間がある。
 開閉時に唱題をする所は宗門と同じだが、作者をして、『宗教団体らしくなったなぁ』と思ったものである。
 もちろん、そのことを上長達に話したら笑われたが。
 ルーツはこの奉安堂にあったのだろう。
 鉄扉が完全に閉じると、一旦ここで唱題は終わる。
 そして、猊下が立ち上がり、信徒達の方を向いて一礼して下さるので、信徒達はこれに答礼する。
 信徒達は椅子に座ったままなので、どこかの某顕正会のように伏せ拝は行わない。
 そのことについて、某顕正会が色々と言っているらしいが、宗門は馬耳東風である。
 というか、創価学会でさえ指摘しないようなことを顕正会は変に指摘してくるのである。

〔「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……」〕

 そして、猊下を始め、上座にいらっしゃる御僧侶方が引き上げるので、信徒達はそれが終わるまで唱題を続ける。
 これは猊下が『現代における日蓮大聖人』たる存在である為である(なので、御開扉開始時間になって、猊下がお出ましになる際も、信徒達は唱題をして出迎えるのである)。

〔「退場に際しまして、注意事項を申し上げますので、席を立たずにそのままお待ちください。……」〕

 上座の御僧侶方が完全に引き上げられた時、ここでようやく唱題は終わって、退場の案内が流れる。

 田部井:「どうだった?久しぶりの御開扉は?」
 稲生:「はい。御開扉は半年ぶりですが、改めて僕は、例え魔道士であっても、日蓮正宗の信徒なんだなと実感しました」
 田部井:「そうだろうそうだろう。俺なんか3年ぶりだぞ」
 佐野:「洋平は自行もしっかりしないとイカンな」
 田部井:「いや、勤行はやってますよ。家にある御本尊にちゃんと拝めば、大御本尊様に拝むのと同じくらい功徳があるんだから」
 稲生:「『……だから、御登山はしなくて良い。御開扉を受けるのは一生に一度で良い』と嘯いた、某会長みたいなこと言わないでくださいよ」
 佐野:「池田名誉会長みたいなこと言いおって、この野郎」
 田部井:「いやいやいや、言ってませんよ!?」
 稲生:「いや、僕は浅井会長のことを言ったんですけど……」

 退場の順番になって、席を立つ。

 田部井:「藤谷班長から聞いたけど、稲生君、奉安堂の座席のシートピッチを測ったんだって?」
 稲生:「いや、ハハハ……」
 田部井:「どの電車の座席と同じだった?」
 稲生:「首都圏の中距離電車のグリーン車くらいでした」
 田部井:「あの2階建てのか。なるほどなるほど」
 佐野:「2人とも。大御本尊様の御前で、フザけた話はやめい」
 稲生:「はい」
 雲羽・いおなずん・カイドウ:「ギクッ!!」(←左側最前列席で、御開扉開始時間までパチンコ談義してた報恩坊の懲りない面々)

 奉安堂の外に出て、稲生達は仲見世商店街にある喫茶店に向かった。

 稲生:「マリアさん、お待たせー」
 マリア:「ああ、勇太。お疲れ」
 稲生:(眼鏡掛けたマリアもかわいい!)

 マリアは赤い縁の眼鏡を掛けていた。
 別に目が悪いのではなく、ラテン語で書かれた魔道書を手っ取り早く英語に翻訳してくれる魔法具だからである。

 稲生:「それじゃ、行こうか」
 マリア:「ああ」
 稲生:「ここは僕が払っておきます」
 マリア:「ありがとう。勇太は休憩しないの?」
 稲生:「バスの時間があるので……」

 稲生はマリアのお茶とスイーツ代を払った。

 稲生:「それじゃ、行きましょう」

 喫茶店をあとにした。

[同日15:00.天候:晴 大石寺・第二ターミナル→富士急静岡バス車内]

 

 新富士駅行きの特急バスは、土休日は3便運転されるが、平日は2便しか運転されない。
 しかし、それでいいのかもしれない。
 どちらにせよ、下山客は最初の1便目に集中しがちで、2便目以降は空席が目立つほどだからだ。
 やってきた2便目にして最終の下山バスは、全国的にも見られる大型ワンステップバスであったが、2人席が多く配置された、いわゆる『ワンロマ』と呼ばれる仕様であった。
 バスに乗り込んで1番後ろの座席に座る。
 一般の路線バスと違い、運賃は前払いである為、前扉から乗車することになる。
 尚、臨時便とはいえ、ICカードが使える。

 マリア:「勇太のことだから、帰りは高速バスだと思ってた」
 稲生:「僕もそうしたかったんだけど、コロナ禍のせいで全便運休なんだって」
 マリア:「日本は都市封鎖はしないけど、案外交通機関のロックダウンは行ってる?」
 稲生:「バスだけね。鉄道はしないよ」

 以前、ゴールデンウィーク期間中に首都圏の電車を減便してみたら、余計に混雑して却って3密を招いたことがある。
 正に、阿呆の極みである(作者も被害者なので、声を大にして言わせて頂く)。

 マリア:「それ、意味ある?」
 稲生:「無いと思う。ていうか、都市封鎖の一環で全便運休してるわけじゃないから」

 発車の時間になり、バスが発車した。
 14時40分発の第1便は満席に近い状態で出発して行ったが、こちらの第2便はその半分も乗っていなかった。
 まずは在来線の富士駅まで直行する。
コメント
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