報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「学校であった怖い話」 誰が駒鳥を殺したの?

2021-07-31 20:22:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日18:00.天候:雨 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校1F新聞部部室]

 外は雨が降ってきた。
 雷の混じったゲリラ豪雨だ。
 夏のホラー展開と言えば、雷であろう。
 真冬なら吹雪か。
 もちろん、地域によっては雷付きのゲリラ豪雪が降る所もある。

 栗原蓮華:「まもなくこの部室にやって来る本当の7人目の名前は神田拓郎。3週間前に死んだ3年生の男子です」
 古堂真:「冗談じゃねぇぞ、おい!何であいつがここに来るんだよっ!?」
 蓮華:「古堂先輩は神田先輩のことを御存知なんですか?」
 古堂:「そりゃ、知ってなくもねぇよ。……同じクラスだったからな。だから3週間前に自殺したってことも知ってる」
 笠間:「名前だけならボクも知ってる。見た目はボクよりもフツメンのくせに、あれが『母性本能をくすぐるタイプ』っていうの?それで結構、女子にモテてたって聞いたね」

 さすがは自称イケメンの遊び人、笠間は同じモテ男子のことはクラス違いでも知っているようだ。

 笠間:「でも、イジメの噂は聞かなかったな。まあ、モテる男子に僻んで嫌がらせするヤツとかはいたみたいだけど、石上さんが話した妹さんのイジメとは全然違ったな」
 蓮華:「その神田先輩のことなんですけどね……。笠間先輩の仰る通り、モテる方だったそうで、彼女さんもいらっしゃったそうです。ところが、その彼女さんというのが、とても嫉妬深い人で、束縛するタイプだったそうです。毎晩、直接電話して家にいるかどうか確かめたりとかもしていたとのことです。そんなのLINEで済む話なんでしょうけど、SNSだと誤魔化しやすいということで、毎日電話だそうです」
 笠間:「でも、そのくらいならまだ許容範囲じゃない?ライバルが多いと、どうしてもそうなっちゃうよ。あいつはあいつで、それなりにモテてたからね」
 蓮華:「そうですね。でも、他の女子が近づいただけでしつこく問い詰めたり、ヒステリーを起こしたりと異常だったそうです」
 リサ:「因みに栗原……先輩は、どうしてその話を知ってるんですか?」
 蓮華:「神田さんは男子剣道部員だったから。私は女子剣道部だからね、色々と噂を聞いてたからだよ」
 リサ:「なるほど」
 古堂:「そういやあいつ、剣道部だったな。三段とか四段とか、そんな猛者だったんじゃなかったか?見た目は優男なのによ」
 蓮華:「四段ですよ」
 リサ:「先輩は?」
 蓮華:「私は三段。……話を戻すね。神田さんは、そんな彼女さんに恐怖を感じるようになって、別れたいと思ったそうです。そんな時、神田さんのことが好きだという女子が現れたんです。それでその女子は、神田さんに近づくようになったそうです。もちろん、それを知った彼女さんは物凄くキレたそうです。それでも神田さんは、彼女さんの目を盗んで、新しい彼女と付き合うことにしたそうですよ。ところが、今度はその女子に片思いをする男子が現れましてね、当然彼は神田さんをとても憎らしく思ったそうです。さっき笠間先輩が仰った、『嫌がらせされた』というのは多分そのことじゃないかと」
 笠間:「そうかもしれないね」
 蓮華:「それから何日かして、神田さんは死にました。線路を枕代わりにして、睡眠薬を飲んでそのまま眠ったそうです。そこに電車がやってきて、車輪に頭を轢かれて死んだそうです。頭はもうグシャグシャに潰されて、いわゆる『潰れたトマト』のような状態だったそうです。自殺ということで片付いたそうですけど、真実は不明です。……一応、ここまでが私の知っている話です」
 古堂:「おいおい、もう終わりか!?中途半端だろう!?」
 蓮華:「剣道部で知り得た情報は、ここまでだったので。で、どうして神田さんがここに来るか分かりますか?」
 リサ:「その前に、栗原先輩は、どうして神田さんがここに来るって知ったの?」
 蓮華:「これを見てくれる?」

 蓮華はスマホを見せた。
 蓮華のスマホも、漏れなく『圏外』になっていた。
 その中にある『アルバム』から、画像を出す。

 蓮華:「これは男子剣道部の部室にあった申し送りノートだよ」

 そこには赤い字で、『新聞部に犯人がいるぞ!』『復讐してやる!』『俺の頭をかえせ!』と、書き殴られていた。

 蓮華:「これは昨日、部室で発見されたものです。調べてみたら今日、このような集まりがあるということで、もしかしたらここの参加者に、神田さんを殺した犯人がいるかと思って来てみたんです」
 リサ:「でも、自殺だったんでしょ?」
 蓮華:「警察は、そう判断した。だけど、イジメもそうだけど、自殺する人間には、そこまで追い込まれた背景がある。もしかしたら、誰かに睡眠薬を飲まされて線路の上に寝かされたのかもしれないしね」
 古堂:「だったら俺、1番怪しいヤツを知ってるぞ」

 そう言って古堂は石上を見た。

 古堂:「石上。お前、神田と付き合ってだろう?俺、何度も神田がオマエと仲良くしている所を見てたからな。否定はさせねーぞ。オマエが急いでここまで戻って来たのも、そういうことだろう?」
 石上:「さあ、どうかしら。古堂君も、あまり他人の噂とかを簡単に信じない方がいいよ?私と神田は、たまたま家が近いから一緒に帰ってただけ。そもそも、あいつに特定の彼女がいたなんて話、たった今知ったくらいよ。私が戻って来たのも、強い霊気を感じただけ。さすがに私1人だけ生き残るのも何だと思ったからね。もっとも、さすがにカッターでも勝てない相手だったことに気づいたのはショックだったけど。それより、田口さんだっけ?あなた、神田のことが好きだったらしいね?最近、神田が新しい彼女を作ったって聞いたけど、確か名前が田口真由美……」
 田口:「ちょっと待って!あんた、先輩だからっていっていいことと悪いことがあるよ!私のせいで、神田さんが自殺したっていうの?確かに、私が神田さんのこと好きだったのは認めるよ!でも、他に原因は絶対あったはず!私が、その原因だとでもいうの?!彼が死んで一番悲しかったのは私なのに!そんなこといって……、私は知ってるもの!自分の罪を人になすりつけようなんて、とんでもないやつ!神田さんは自殺なんかじゃない。お前が、彼を殺したんだ!」
 リサ:「タグチ……!?」

 リサは呆気に取られた。
 リサに『捕食』された田口が、物凄い形相で石上のことを睨み付けている。
 だが、それを受け止める石上も負けていない。

 石上:「……証拠は?あんた、私が殺したっていうんだったら、証拠を見せてみなさいな。ヘタなこと言うと、あんたのこと、殺してもいいのよ?」

 そう言って石上は、スカートのポケットの中から大型のカッターナイフを取り出した。
 刃が多少赤く染まっているのは、先ほどリサを斬り付けた時のものだろうか。
 そこへ間に入ったのは、巨漢の2年生、太田友治だった。

 太田:「まあまあ、2人ともそんなに怒らないでくださいよ。皆、変な想像をするのはやめましょう。誰が殺したとしても、ここでは関係のないことじゃないですか。そんなこと言い合って何になるっていうんです?皆で仲よくしましょうよ。ね?」

 だが、ここで新井がゴホンと咳払いして発言した。

 新井:「僕はその話よく知らないんですけど、何だか複雑そうですね。ところで太田君って、もしかして田口さんのこと好きなんじゃないですか?これは、あくまでも想像ですけどね。あなたここに来てから、ずっとチラチラと田口さんのこと見てたでしょ?何かあるんじゃないですか?」

 新井は探るような目で太田を見た。

 太田:「いやっはっはっは!ばれちゃったかな?実は僕、1年生にタイプのコが来たなぁなんて、ずっと田口さんのこと見てたんだよね。もっとも、片思いだけど……。まさか、今日こうして一緒に話ができるなんて思ってもみなかったよ。いや、恥ずかしいなあ!」

 太田は照れ笑いを浮かべて頭をかいた。
 ところが、笠間が席を立つ。

 笠間:「……馬鹿らしい。多かれ少なかれ神田に関係のある奴ばかりじゃないの。こりゃ、新聞部の部長が仕組んだ罠だろ?あいつ、神田と仲が良かったからね。もうこれ以上、茶番につき合ってられないから。ボクは帰るからね。あとは君たちで探偵ごっこでもしてなよ」
 蓮華:「待って!神田さんがこっちに向かっているって言ったでしょ!?それまでは帰っちゃダメ!」
 笠間:「はあ?だったら、尚更遭遇する前に帰った方がいいじゃないの?」
 蓮華:「ダメ!今、ドアを開けたら殺されますよ!もう、神田さんは来てるんだから!そして、その扉の向こうに立ってるんだから!」
 笠間:「何だって!?」
 リサ:(BOWの臭いはしない。だけど、確かにドアの向こうに何かいる。“花子さん”がいる時点で幽霊がいることは認めるけど、何でこんなことに……。さすがに幽霊相手じゃ、私は勝てないかもしれない)

 果たして、リサ達の運命や如何に!?
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“愛原リサの日常” 「学校であった怖い話」 7話目が誰が話す?

2021-07-31 14:58:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日18:00.天候:雷 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校1F新聞部部室]

 太田:「……それ以来、竹中さんは行方不明さ。でも、僕はあのお茶の産地であるインドに行ってるんだと思うね。今思えば、僕もあのお茶を飲んでおけば良かったと思ってるよ」

 太田が話してくれたのは、『絶対にトイレに行かない男の話』だった。
 既に卒業した竹中という男子生徒は、登校中、一度もトイレに行かない男ということで有名であったという。
 当時まだ1年生だった太田は、3年生だったその竹中の秘密を探ろうとストーカー紛いのことをしていたが、ある日それがとうとうバレてしまった。
 しかし竹中は怒るどころか、その秘密を教えてあげるという。
 リサもこの話に興味を持った。
 もしかしたらその竹中もまたBOWではないかと思ったのだ。
 但し、リサのネーミングにもなったリサ・トレヴァーとは全く別のBOW。
 例えば特異菌を操るエブリンは、その体の構造上、トイレに行くことはなかったという。
 もしかしたら竹中もと思っていたのだが、そうではなかったようだ。
 父親がインドに出張に行った際、土産に買って来た特殊なお茶を飲むと、トイレに行かなくて済むようになったという。
 具体的にはそのお茶は、とある植物の豆を挽いたもので、飲むとその人体の中で豆が発芽し、体内に寄生する。
 そしてその植物が体内の老廃物を吸い出してくれるので、トイレに行かずに済むのだということだった。
 しかも、別にその植物に体や意識を乗っ取られるわけではないとのこと。
 『こんな素晴らしいお茶、キミにも紹介してあげよう』ということで、竹中は太田を誘ったが、見た目にも不味そうな色合いであり、臭いも凄かったので、とても飲む気にはなれなかったという。
 竹中もそれ以上は無理強いせず、太田もまた日常生活に戻った。
 そして竹中は、ついに一度もトイレに行かないまま卒業。
 家族共々、海外に引っ越して行ったという。

 リサ:(インドか……。確かあそこでも、バイオテロの類って無かったっけ?)
 太田:「何か質問はありますか?」
 リサ:「はい。その……竹中さんのお父さんって、どこの会社で働いていたんですか?」
 太田:「それは聞いてなかったな。何かの外資系の会社で、それで海外出張が多かったって話だ。家族共々海外に引っ越したというのも、その海外に転勤になったからだと聞いてるよ。僕はもしかしたら、インドじゃないかって思ってるんだけどね」
 リサ:(アンブレラも外資系だ……。日本法人はあったけど)
 田口:「ありがとうございました」

 こうして、リサを含む6人の話が終わった。
 しかし、7人目がやってくる気配は一向に無い。
 時間も18時になってしまった。
 夏の18時はまだ明るい時間帯であるのだが、何故か外は夕闇が既に迫っているかのような暗さであった。
 それもそのはず。
 窓の外からは雷鳴が聞こえ始めたからだ。
 どうやらついに、ゲリラ豪雨が降って来るらしい。
 豪雨くらいで東京の電車が止まることはないが、しかしなるべくなら遭わずに済むのが望ましい。
 皆がそう思っていたのだろう。
 田口が立ち上がり、最後の締めの挨拶をした。

 田口:「皆さん、本日はお忙しい中、お集まり頂き、ありがとうございました。おかげさまで、良い記事が書けそうです。夏休み前の特集として、大きく取り上げさせて頂きますので、どうかご期待ください。それではお気をつけて……」

 と、その時だった。

 石上:「はぁ……はぁ……はぁ……!」

 突然、部室のドアがいきなり開けられた。
 そこから入って来たのは、汗だくで憔悴した石上暮美であった。

 田口:「い、石上さん!?」
 古堂:「オメェ、帰ったんじゃねぇのかよ!?」
 新井:「嫌ですね。まだ愛原さんのことを狙っているのですか?」
 太田:「ぼ、ぼぼ、暴力はダメだよォ……」
 石上:「良かった……!まだ神田は来てないか……!」
 古堂:「神田!?」
 田口:「それって、7人目の方のことですか?」
 石上:「7人目……!そうとも言えるし、言えないかもしれない……」

 石上は最初に座っていて、今は空いている椅子に座った。
 まるでフルマラソンに参加した後のようだ。

 石上:「神田がここに向かっている!それを知らせに来たのよ!」
 笠間:「はあ!?」

 すると、部室のドアがノックされた。

 リサ:「誰か来た!?」
 石上:「うそでしょ!?いくら何でも早過ぎる!」
 リサ:「そんなに恐ろしい人なんですか?」
 石上:「恐ろしいも何も、そいつは……」

 するとまたドアがノックされて、ドアが開けられた。

 石上:「しまった!鍵を掛けるのを忘れてた!」

 だが、入って来たのは神田という者ではなかった。

 栗原蓮華:「失礼します。七不思議特集の取材会場はここでよろしいでしょうか?」
 リサ:「栗原!……先輩!」

 蓮華は左足が義足になっている。
 これは霧生市のバイオハザードに巻き込まれた時、左足をリサ・トレヴァー『1番』に食い千切られたからである。
 しかし義足ながら、所属は女子剣道部である。
 しかも手に、麻袋に入った日本刀を持っていた。

 蓮華:「私は栗原蓮華。2年3組に所属している者です。急きょ、『7人目の代理』として参りました」
 古堂:「7人目の代わり?どういうことだ?」
 蓮華:「本当の7人目は、まもなくここに来ます。ですが、来たら必ず災いが起こります。そうなる前に、その7人目がどういった人物なのかを説明させて頂くべく、ここに参りました」
 石上:「そうだったの。あの神田からは、逃げてもムダだからね。誰か対応できる者がいないかと思ってここに来たけど、あんたがそうだったのね」
 田口:「よく分かりませんが、このままでは7話目が分からず、困っていたところです。7話目をお話しして下さるのでしたら、是非お願いします」
 蓮華:「分かった」

 蓮華は7人目が座るはずの椅子に座った。
 と、同時に麻袋から日本刀を取り出す。
 これはもちろん、許可を得て所持しているものだ。

 石上:「ふ……。私のカッターでは対処できないと思っていたら、日本刀を持って来たの。でも、それでも倒せるかしらね?」
 蓮華:「それはやってみないと分かりません。さっきから既に名前が出ていますが、本当の7人目の名前は神田。神田拓郎と言います。生前、この学校の3年生であった人です」
 リサ:「生前?」

 本来の7人目が既に故人?
 そして、リサに恐れず大型カッターを振り下ろした石上でさえ恐れる神田という人物とは一体?
 そろそろ終盤に差し掛かる。
コメント (4)
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