[10月3日11:30.天候:晴 宮城県遠田郡美里町藤ヶ崎 JR小牛田駅]
私達は善場主任達の車で、JR小牛田駅まで送ってもらった。
善場主任達はこれから隣町の大崎市へ向かい、車を返却して、それから新幹線で帰京するという。
私達は先に仙台市へ向かったパールや斉藤絵恋さんと合流する必要がある為、同行はできなかった。
いや、もちろん、仙台まで新幹線に乗るという手もあるにはあるのだが、何だか勿体ない。
善場主任はその費用は出すと言ってくれたが、何もそこまで急ぐ必要もあるまい。
私達は昼食にリサを焼肉食べ放題に連れて行き、そして今日中に帰京すれば良いのだ。
古川駅から出ているのは、何も新幹線だけではない。
JRバスもあるのだが、もしも渋滞に巻き込まれて遅れようものなら、さすがにリサがキレるかもしれないと思った。
もちろん、在来線だって事故などの遅延が無いわけではないが、確実性を期して小牛田駅まで送ってもらった由。
同じ町内だからと、そこまでは車で送ってもらえた。
善場:「それでは、今日もありがとうございました。また今後とも、よろしくお願い致します」
愛原:「いえ、こちらこそ、お役に立てて何よりです」
善場:「リサへの御褒美ですが、後で領収書を出して頂ければ支給致しますので」
愛原:「ありがとうございます」
あれ?でも、それだと絵恋さん達と一緒に食べたらマズいのではないか?
しかし、それは善場主任は何も言って来なかった。
駅構内に入る。
改札口は自動改札機があり、Suicaが使用できる。
愛原:「あ、ちょっと待った」
高橋:「何スか?」
ローカル駅ながら駅員はいて、“みどりの窓口”もある。
但し、指定席券売機は無い。
愛原:「帰りの新幹線のキップを買って行く」
私は用紙に記入した。
そして、記帳台の上にある時刻表で、何の列車にするかを決める。
愛原:「食ってからになるから……。で、やっぱ仙台始発の列車がいいよな……。この列車、空いてるかなぁ……」
高橋:「あの2人の分も買ってやるんスか?」
愛原:「帰りは一緒の方がいいだろ?」
リサ:「そうだね。LINEしとく」
リサは自分のスマホを取り出した。
リサ:「後でお金払うって」
愛原:「ああ、分かった」
私は用紙に記入して、窓口の駅員の所に持って行った。
愛原:「席、空いてますかね?」
駅員:「空いてますよ。5名様ですと、3人席と2人席、横並びにしますか?」
愛原:「そうですね。それでお願いします。……で、できれば、先頭車両とか空いてますか?」
駅員:「先頭車……1号車ですか?空いてますよ」
愛原:「横並びで?」
駅員:「横並びで」
愛原:「そこでお願いします」
駅員:「分かりました」
駅員は慣れた手付きで、タッチパネル式の端末を操作する。
これを簡易的にしたものが、指定席券売機なのだろう。
あれが登場した時、まさか駅員しか扱えないはずの端末を客が扱うことになるとは思いもしなかった。
駅員:「それでは5名様分、お取りできましたので……」
愛原:「ありがとうございます。あ、領収証お願いします」
駅員:「かしこまりました」
因みにこの予約の仕方だと、あの2人の分も入ってるんだよな。
後で2人分の金額を除いた請求書を改めて作る必要がありそうだ。
駅員:「ありがとうございました」
愛原:「どうもー」
しかし、いくら仙台始発とはいえ、速達列車をよく希望通りに取れたものだと思う。
後で時刻表の列車編成表を見たら、かなり長い編成の列車であることが分かった。
東海道新幹線と違い、編成両数が固定されていない(車両形式も固定されていない、故にホームドアも設置できない)東北新幹線は、まだそういう所が面白いのかもしれない。
愛原:「新幹線に乗るまで、これは俺が預かってておこう。乗る時に渡すから」
リサ:「分かった。サイトーにも伝えておいた」
愛原:「ありがとう。それじゃ、まずは電車に乗ろう」
今度はSuicaで自動改札機を通過した。
それから東北本線上り列車のホームに向かう。
2番線は東北本線下りホームだが、折り返しの設備が付いており、上り方向にも出発信号機が設置されている。
そこまでは逆走で出発するということだ。
下り線を支障することにはなるが、上り線は支障しないので、折り返しの間、上り線を貨物列車が通過して行くこともあるという。
〔この電車は東北本線、普通、仙台行きです〕
〔This is the Tohoku line train for Sendai.〕
ホームに下りると、既に4両編成の電車が発車を待っていた。
ボックスシート付きの新型車両で、2両編成を2台繋いだものではなく、4両固定編成のタイプだった。
これは仙台都市圏では基本的に地方型ワンマン運転を行わず(仙台空港アクセス線が都市型ワンマンで運転される程度)、2両編成で運転されることが無い為(利府支線や仙台空港アクセス線を除く)、それ専用の車両なら、最初から4両編成でいいじゃないかということで登場したという。
その為、他の2両編成はワンマン運転の機器が搭載されているが、4両編成にはワンマン機器は備わっていない(自動放送はある)。
愛原:「ここでいいか」
先頭車両の進行方向左側にあるボックスシートを確保した。
首都圏のそれよりもシートピッチは広く、窓の下にドリンクホルダー付きのミニテーブルが備え付けられている。
〔「11時47分発、東北本線上り、普通列車の仙台行きです。発車までご乗車なり、お待ちください。尚、この電車のドアは本来、自動では開きませんが、新型コロナウィルス対策による換気促進の為、自動で開閉します。お客様の御理解、御協力をお願い致します」〕
リサ:「先生、ジュース買ってきてもいい?」
愛原:「いいよ。俺にもお茶買ってきてくれないか?これ使っていいから」
私はリサに自分のSuicaを渡した。
リサ:「分かった。買って来る」
荷棚に自分の荷物を乗せたリサは、私からSuicaを受け取ると、ホームの自動販売機に向かった。
[同日11:47.天候:晴 JR東北本線2538M列車1号車内]
〔「お待たせ致しました。11時47分発、東北本線上り、普通列車の仙台行き、まもなく発車致します」〕
小牛田駅には発車ベルやメロディが無い為、新型車両では車外スピーカーに搭載された発車メロディを流す。
まあ、大宮駅でも聞ける汎用タイプだ。
ロングシートの旧型車両だと、放送と笛で対応するのだろう。
列車はドアを閉めて、定刻通りに発車した。
ホームドアは無い為、車両のドアが閉まれば、すぐに発車する。
〔今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は東北本線、普通、仙台行きです。【中略】次は、松山町です〕
進行方向窓側に座っているリサは、車内に差し込む日の光に眩しそうにしている。
最近の電車にはブラインドが付いていないので、直射日光だと眩しい(UVカットガラスにはなっている)。
ましてや、換気の為に少し窓が開いているので尚更である。
尚、首都圏の中距離電車のグリーン車には付いている。
第1形態は鬼同然の姿をするリサだが(今は人間同然の姿である第0形態である)、こうして昼間でも難無く活動できる。
テーブルの上に置いたジュースを手に取り、それを口に運ぶ。
リサ:「先生、サイトーがね、ホームまで迎えに来るって」
愛原:「別にいいのに。どうせ、焼肉食うのに、駅の外に出るんだから」
高橋:「それに、仙台駅っていくつもホームがあるんですよね?」
愛原:「そりゃ東北一デカい駅だからな」
高橋:「この電車が仙台駅の何番線に着くか、分かりますか?」
愛原:「いや、分からん」
少なくとも仙石線専用ホームの9番線や10番線、仙台空港アクセス線専用の3番線でないことは確かだが。
〔「ご乗車ありがとうございます。主な駅の到着時刻をご案内致します。【中略】終点、仙台には12時34分の到着です」〕
リサ:「車掌さんに聞いてくる」
愛原:「いいよ。わざわざ聞きに行かなくても……」
もしかしたら、車内を巡回しに来るかもしれないので、その時に聞けるだろう。
電車は田園地帯を走行していた。
私達は善場主任達の車で、JR小牛田駅まで送ってもらった。
善場主任達はこれから隣町の大崎市へ向かい、車を返却して、それから新幹線で帰京するという。
私達は先に仙台市へ向かったパールや斉藤絵恋さんと合流する必要がある為、同行はできなかった。
いや、もちろん、仙台まで新幹線に乗るという手もあるにはあるのだが、何だか勿体ない。
善場主任はその費用は出すと言ってくれたが、何もそこまで急ぐ必要もあるまい。
私達は昼食にリサを焼肉食べ放題に連れて行き、そして今日中に帰京すれば良いのだ。
古川駅から出ているのは、何も新幹線だけではない。
JRバスもあるのだが、もしも渋滞に巻き込まれて遅れようものなら、さすがにリサがキレるかもしれないと思った。
もちろん、在来線だって事故などの遅延が無いわけではないが、確実性を期して小牛田駅まで送ってもらった由。
同じ町内だからと、そこまでは車で送ってもらえた。
善場:「それでは、今日もありがとうございました。また今後とも、よろしくお願い致します」
愛原:「いえ、こちらこそ、お役に立てて何よりです」
善場:「リサへの御褒美ですが、後で領収書を出して頂ければ支給致しますので」
愛原:「ありがとうございます」
あれ?でも、それだと絵恋さん達と一緒に食べたらマズいのではないか?
しかし、それは善場主任は何も言って来なかった。
駅構内に入る。
改札口は自動改札機があり、Suicaが使用できる。
愛原:「あ、ちょっと待った」
高橋:「何スか?」
ローカル駅ながら駅員はいて、“みどりの窓口”もある。
但し、指定席券売機は無い。
愛原:「帰りの新幹線のキップを買って行く」
私は用紙に記入した。
そして、記帳台の上にある時刻表で、何の列車にするかを決める。
愛原:「食ってからになるから……。で、やっぱ仙台始発の列車がいいよな……。この列車、空いてるかなぁ……」
高橋:「あの2人の分も買ってやるんスか?」
愛原:「帰りは一緒の方がいいだろ?」
リサ:「そうだね。LINEしとく」
リサは自分のスマホを取り出した。
リサ:「後でお金払うって」
愛原:「ああ、分かった」
私は用紙に記入して、窓口の駅員の所に持って行った。
愛原:「席、空いてますかね?」
駅員:「空いてますよ。5名様ですと、3人席と2人席、横並びにしますか?」
愛原:「そうですね。それでお願いします。……で、できれば、先頭車両とか空いてますか?」
駅員:「先頭車……1号車ですか?空いてますよ」
愛原:「横並びで?」
駅員:「横並びで」
愛原:「そこでお願いします」
駅員:「分かりました」
駅員は慣れた手付きで、タッチパネル式の端末を操作する。
これを簡易的にしたものが、指定席券売機なのだろう。
あれが登場した時、まさか駅員しか扱えないはずの端末を客が扱うことになるとは思いもしなかった。
駅員:「それでは5名様分、お取りできましたので……」
愛原:「ありがとうございます。あ、領収証お願いします」
駅員:「かしこまりました」
因みにこの予約の仕方だと、あの2人の分も入ってるんだよな。
後で2人分の金額を除いた請求書を改めて作る必要がありそうだ。
駅員:「ありがとうございました」
愛原:「どうもー」
しかし、いくら仙台始発とはいえ、速達列車をよく希望通りに取れたものだと思う。
後で時刻表の列車編成表を見たら、かなり長い編成の列車であることが分かった。
東海道新幹線と違い、編成両数が固定されていない(車両形式も固定されていない、故にホームドアも設置できない)東北新幹線は、まだそういう所が面白いのかもしれない。
愛原:「新幹線に乗るまで、これは俺が預かってておこう。乗る時に渡すから」
リサ:「分かった。サイトーにも伝えておいた」
愛原:「ありがとう。それじゃ、まずは電車に乗ろう」
今度はSuicaで自動改札機を通過した。
それから東北本線上り列車のホームに向かう。
2番線は東北本線下りホームだが、折り返しの設備が付いており、上り方向にも出発信号機が設置されている。
そこまでは逆走で出発するということだ。
下り線を支障することにはなるが、上り線は支障しないので、折り返しの間、上り線を貨物列車が通過して行くこともあるという。
〔この電車は東北本線、普通、仙台行きです〕
〔This is the Tohoku line train for Sendai.〕
ホームに下りると、既に4両編成の電車が発車を待っていた。
ボックスシート付きの新型車両で、2両編成を2台繋いだものではなく、4両固定編成のタイプだった。
これは仙台都市圏では基本的に地方型ワンマン運転を行わず(仙台空港アクセス線が都市型ワンマンで運転される程度)、2両編成で運転されることが無い為(利府支線や仙台空港アクセス線を除く)、それ専用の車両なら、最初から4両編成でいいじゃないかということで登場したという。
その為、他の2両編成はワンマン運転の機器が搭載されているが、4両編成にはワンマン機器は備わっていない(自動放送はある)。
愛原:「ここでいいか」
先頭車両の進行方向左側にあるボックスシートを確保した。
首都圏のそれよりもシートピッチは広く、窓の下にドリンクホルダー付きのミニテーブルが備え付けられている。
〔「11時47分発、東北本線上り、普通列車の仙台行きです。発車までご乗車なり、お待ちください。尚、この電車のドアは本来、自動では開きませんが、新型コロナウィルス対策による換気促進の為、自動で開閉します。お客様の御理解、御協力をお願い致します」〕
リサ:「先生、ジュース買ってきてもいい?」
愛原:「いいよ。俺にもお茶買ってきてくれないか?これ使っていいから」
私はリサに自分のSuicaを渡した。
リサ:「分かった。買って来る」
荷棚に自分の荷物を乗せたリサは、私からSuicaを受け取ると、ホームの自動販売機に向かった。
[同日11:47.天候:晴 JR東北本線2538M列車1号車内]
〔「お待たせ致しました。11時47分発、東北本線上り、普通列車の仙台行き、まもなく発車致します」〕
小牛田駅には発車ベルやメロディが無い為、新型車両では車外スピーカーに搭載された発車メロディを流す。
まあ、大宮駅でも聞ける汎用タイプだ。
ロングシートの旧型車両だと、放送と笛で対応するのだろう。
列車はドアを閉めて、定刻通りに発車した。
ホームドアは無い為、車両のドアが閉まれば、すぐに発車する。
〔今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は東北本線、普通、仙台行きです。【中略】次は、松山町です〕
進行方向窓側に座っているリサは、車内に差し込む日の光に眩しそうにしている。
最近の電車にはブラインドが付いていないので、直射日光だと眩しい(UVカットガラスにはなっている)。
ましてや、換気の為に少し窓が開いているので尚更である。
尚、首都圏の中距離電車のグリーン車には付いている。
第1形態は鬼同然の姿をするリサだが(今は人間同然の姿である第0形態である)、こうして昼間でも難無く活動できる。
テーブルの上に置いたジュースを手に取り、それを口に運ぶ。
リサ:「先生、サイトーがね、ホームまで迎えに来るって」
愛原:「別にいいのに。どうせ、焼肉食うのに、駅の外に出るんだから」
高橋:「それに、仙台駅っていくつもホームがあるんですよね?」
愛原:「そりゃ東北一デカい駅だからな」
高橋:「この電車が仙台駅の何番線に着くか、分かりますか?」
愛原:「いや、分からん」
少なくとも仙石線専用ホームの9番線や10番線、仙台空港アクセス線専用の3番線でないことは確かだが。
〔「ご乗車ありがとうございます。主な駅の到着時刻をご案内致します。【中略】終点、仙台には12時34分の到着です」〕
リサ:「車掌さんに聞いてくる」
愛原:「いいよ。わざわざ聞きに行かなくても……」
もしかしたら、車内を巡回しに来るかもしれないので、その時に聞けるだろう。
電車は田園地帯を走行していた。