報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「東北本線2538Mの旅」

2021-12-12 20:03:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月3日11:30.天候:晴 宮城県遠田郡美里町藤ヶ崎 JR小牛田駅]

 私達は善場主任達の車で、JR小牛田駅まで送ってもらった。
 善場主任達はこれから隣町の大崎市へ向かい、車を返却して、それから新幹線で帰京するという。
 私達は先に仙台市へ向かったパールや斉藤絵恋さんと合流する必要がある為、同行はできなかった。
 いや、もちろん、仙台まで新幹線に乗るという手もあるにはあるのだが、何だか勿体ない。
 善場主任はその費用は出すと言ってくれたが、何もそこまで急ぐ必要もあるまい。
 私達は昼食にリサを焼肉食べ放題に連れて行き、そして今日中に帰京すれば良いのだ。
 古川駅から出ているのは、何も新幹線だけではない。
 JRバスもあるのだが、もしも渋滞に巻き込まれて遅れようものなら、さすがにリサがキレるかもしれないと思った。
 もちろん、在来線だって事故などの遅延が無いわけではないが、確実性を期して小牛田駅まで送ってもらった由。
 同じ町内だからと、そこまでは車で送ってもらえた。

 善場:「それでは、今日もありがとうございました。また今後とも、よろしくお願い致します」
 愛原:「いえ、こちらこそ、お役に立てて何よりです」
 善場:「リサへの御褒美ですが、後で領収書を出して頂ければ支給致しますので」
 愛原:「ありがとうございます」

 あれ?でも、それだと絵恋さん達と一緒に食べたらマズいのではないか?
 しかし、それは善場主任は何も言って来なかった。
 駅構内に入る。
 改札口は自動改札機があり、Suicaが使用できる。

 愛原:「あ、ちょっと待った」
 高橋:「何スか?」

 ローカル駅ながら駅員はいて、“みどりの窓口”もある。
 但し、指定席券売機は無い。

 愛原:「帰りの新幹線のキップを買って行く」

 私は用紙に記入した。
 そして、記帳台の上にある時刻表で、何の列車にするかを決める。

 愛原:「食ってからになるから……。で、やっぱ仙台始発の列車がいいよな……。この列車、空いてるかなぁ……」
 高橋:「あの2人の分も買ってやるんスか?」
 愛原:「帰りは一緒の方がいいだろ?」
 リサ:「そうだね。LINEしとく」

 リサは自分のスマホを取り出した。

 リサ:「後でお金払うって」
 愛原:「ああ、分かった」

 私は用紙に記入して、窓口の駅員の所に持って行った。

 愛原:「席、空いてますかね?」
 駅員:「空いてますよ。5名様ですと、3人席と2人席、横並びにしますか?」
 愛原:「そうですね。それでお願いします。……で、できれば、先頭車両とか空いてますか?」
 駅員:「先頭車……1号車ですか?空いてますよ」
 愛原:「横並びで?」
 駅員:「横並びで」
 愛原:「そこでお願いします」
 駅員:「分かりました」

 駅員は慣れた手付きで、タッチパネル式の端末を操作する。
 これを簡易的にしたものが、指定席券売機なのだろう。
 あれが登場した時、まさか駅員しか扱えないはずの端末を客が扱うことになるとは思いもしなかった。

 駅員:「それでは5名様分、お取りできましたので……」
 愛原:「ありがとうございます。あ、領収証お願いします」
 駅員:「かしこまりました」

 因みにこの予約の仕方だと、あの2人の分も入ってるんだよな。
 後で2人分の金額を除いた請求書を改めて作る必要がありそうだ。

 駅員:「ありがとうございました」
 愛原:「どうもー」

 しかし、いくら仙台始発とはいえ、速達列車をよく希望通りに取れたものだと思う。
 後で時刻表の列車編成表を見たら、かなり長い編成の列車であることが分かった。
 東海道新幹線と違い、編成両数が固定されていない(車両形式も固定されていない、故にホームドアも設置できない)東北新幹線は、まだそういう所が面白いのかもしれない。

 愛原:「新幹線に乗るまで、これは俺が預かってておこう。乗る時に渡すから」
 リサ:「分かった。サイトーにも伝えておいた」
 愛原:「ありがとう。それじゃ、まずは電車に乗ろう」

 今度はSuicaで自動改札機を通過した。
 それから東北本線上り列車のホームに向かう。
 2番線は東北本線下りホームだが、折り返しの設備が付いており、上り方向にも出発信号機が設置されている。
 そこまでは逆走で出発するということだ。
 下り線を支障することにはなるが、上り線は支障しないので、折り返しの間、上り線を貨物列車が通過して行くこともあるという。

〔この電車は東北本線、普通、仙台行きです〕
〔This is the Tohoku line train for Sendai.〕

 ホームに下りると、既に4両編成の電車が発車を待っていた。
 ボックスシート付きの新型車両で、2両編成を2台繋いだものではなく、4両固定編成のタイプだった。
 これは仙台都市圏では基本的に地方型ワンマン運転を行わず(仙台空港アクセス線が都市型ワンマンで運転される程度)、2両編成で運転されることが無い為(利府支線や仙台空港アクセス線を除く)、それ専用の車両なら、最初から4両編成でいいじゃないかということで登場したという。
 その為、他の2両編成はワンマン運転の機器が搭載されているが、4両編成にはワンマン機器は備わっていない(自動放送はある)。

 愛原:「ここでいいか」

 先頭車両の進行方向左側にあるボックスシートを確保した。
 首都圏のそれよりもシートピッチは広く、窓の下にドリンクホルダー付きのミニテーブルが備え付けられている。

〔「11時47分発、東北本線上り、普通列車の仙台行きです。発車までご乗車なり、お待ちください。尚、この電車のドアは本来、自動では開きませんが、新型コロナウィルス対策による換気促進の為、自動で開閉します。お客様の御理解、御協力をお願い致します」〕

 リサ:「先生、ジュース買ってきてもいい?」
 愛原:「いいよ。俺にもお茶買ってきてくれないか?これ使っていいから」

 私はリサに自分のSuicaを渡した。

 リサ:「分かった。買って来る」

 荷棚に自分の荷物を乗せたリサは、私からSuicaを受け取ると、ホームの自動販売機に向かった。

[同日11:47.天候:晴 JR東北本線2538M列車1号車内]

〔「お待たせ致しました。11時47分発、東北本線上り、普通列車の仙台行き、まもなく発車致します」〕

 小牛田駅には発車ベルやメロディが無い為、新型車両では車外スピーカーに搭載された発車メロディを流す。
 まあ、大宮駅でも聞ける汎用タイプだ。
 ロングシートの旧型車両だと、放送と笛で対応するのだろう。
 列車はドアを閉めて、定刻通りに発車した。
 ホームドアは無い為、車両のドアが閉まれば、すぐに発車する。

〔今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は東北本線、普通、仙台行きです。【中略】次は、松山町です〕

 進行方向窓側に座っているリサは、車内に差し込む日の光に眩しそうにしている。
 最近の電車にはブラインドが付いていないので、直射日光だと眩しい(UVカットガラスにはなっている)。
 ましてや、換気の為に少し窓が開いているので尚更である。
 尚、首都圏の中距離電車のグリーン車には付いている。
 第1形態は鬼同然の姿をするリサだが(今は人間同然の姿である第0形態である)、こうして昼間でも難無く活動できる。
 テーブルの上に置いたジュースを手に取り、それを口に運ぶ。

 リサ:「先生、サイトーがね、ホームまで迎えに来るって」
 愛原:「別にいいのに。どうせ、焼肉食うのに、駅の外に出るんだから」
 高橋:「それに、仙台駅っていくつもホームがあるんですよね?」
 愛原:「そりゃ東北一デカい駅だからな」
 高橋:「この電車が仙台駅の何番線に着くか、分かりますか?」
 愛原:「いや、分からん」

 少なくとも仙石線専用ホームの9番線や10番線、仙台空港アクセス線専用の3番線でないことは確かだが。

〔「ご乗車ありがとうございます。主な駅の到着時刻をご案内致します。【中略】終点、仙台には12時34分の到着です」〕

 リサ:「車掌さんに聞いてくる」
 愛原:「いいよ。わざわざ聞きに行かなくても……」

 もしかしたら、車内を巡回しに来るかもしれないので、その時に聞けるだろう。
 電車は田園地帯を走行していた。
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“私立探偵 愛原学” 「跡地の調査」

2021-12-12 15:23:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月3日10:10.天候:晴 宮城県遠田郡美里町 愛原公一の家跡地]

 公一伯父さんの家に続く道は、警察が封鎖していた。
 しかし、政府機関の関係者である善場主任達と、その委託を受けている私達は中に入ることができた。

 愛原:「すっかり跡形も無くなっている」

 敷地内にはBSAAの軍用車やヘリが着陸しており、建物があった所にはテントが張られていた。

 愛原:「この辺が、玄関のあった所かな。ここで、ティンダロスと化した柴犬のジョンと交戦したわけです」
 善場:「なるほど。この時点で、バイオハザードが起きていたわけですね」

 私はジョンとの交戦や、ゾンビ化した秋葉氏との交戦について説明した。

 善場:「一口にTウィルスと言っても、前期型と後期型があります。日本アンブレラが保有していたのは両方です」
 愛原:「確か、前期型がクリムゾンヘッドに変化し、後期型がリッカーに変化するんでしたね?」
 善場:「そうです」

 霧生市では両方がばら撒かれたわけだ。
 それは、ばら撒いた個体が1つだけではなかったことを意味する。
 ティンダロスは概ね前期型を保有していることが多い。
 それで秋葉氏はリッカーではなく、クリムゾンヘッドに変化してしまったわけだ。

 高橋:「姉ちゃん、ゾンビをブッ殺した場合は殺人罪には問われないんだったな?」
 善場:「今更何を言ってるんですか」
 高橋:「それもそうだな」

 人間が生きたままゾンビになるのが、ゾンビウィルスの怖いところだが、あくまでも医師による死亡診断が無いというだけで、医学的には死んでいるものと同じという見解がWHOから出されている。
 その為、ゾンビを殺しても殺人罪には問われない。
 死体損壊罪に問われるかどうかだが、倒したゾンビを更に損壊させた場合は問われる恐れがあるというのが日本の法曹界の見解であるが、しかし秋葉氏のように、クリムゾンヘッドや別のクリーチャーに変化する恐れがある為、それを防止する為にも、更に損壊させるのが望ましいというのが欧米の認識だ。
 クリムゾンヘッド化防止の為には、倒したゾンビをそのまま焼却するのが良いとされている。

 善場:「基本的にゾンビには、襲われてから攻撃をするものです。それは緊急避難が適用されます」

 正当防衛ではなく、緊急避難である。
 これは、ゾンビが公式に『歩く死体』であり、生きている人間に襲われたわけではないからだ。
 日本では基本的人権は、死亡すると失効する。
 失効すると、『物』と同じ扱いになる。
 『物』に襲われたから抵抗すると、それは緊急避難になるわけである。
 分かるかな?
 どうして日本では、殺された被害者よりも、生きている加害者の人権が優先される理由が。
 死んだ人間には、人権が無いからだよ。
 そして日本では、正当防衛はなかなか認められないが、緊急避難はあっさり認められる。
 人権同士が拮抗するか、人権が片側にしか無いかの違いだ。
 人権は尊いが、時に面倒なものである。

 高橋:「よっしゃあ!」
 愛原:「何を今さら……」

 私の説明は続く。

 愛原:「……で、ここの軽トラからチェーンカッターを持って行って、更に家の中に戻ろうとしたら、そこでクリムゾンヘッドになった秋葉氏と交戦したわけです」
 善場:「なるほど」
 高橋:「よくよく考えりゃあ、第1形態のリサと似てるんだよな?」
 善場:「まあ、どちらもTウィルスが関わってますからね。ただ、リサの場合そこにGウィルスを混ぜ込んでいるのと、自由に変化できるという違いがあります」

 クリムゾンヘッドは、どう頑張っても中ボスまでにしかなれないが、リサは大ボスやラスボスを張れる強さがある。

 リサ:「むふー!私の方が強い!」
 善場:「当たり前です」

 説明は家の中に入ってからの事も続く。
 但し、崩壊した家の中に入るのは危険なので、外側から身振り手振りで説明することになった。

 善場:「! それで、そのUSBメモリは!?」
 愛原:「これです。伯父さんの無実が証明されるといいのですが……」
 善場:「それは中を解析してからです。その後は……」

 その時、上空からヘリコプターの音が聞こえて来た。
 BSAAのヘリだろうか?それとも、マスコミ……。

 愛原:「何だ、うるさいなぁ……」

 私は晴れた空を見上げると、民間のヘリコプターがいた。
 どうやら、マスコミのヘリのようである。
 だが……。

 善場:「あの女……!」

 善場主任は、車の中からライフルを持ってくると、ヘリに向かって発砲した。

 愛原:「しゅ、主任!?」
 高橋:「先生、ありゃアネゴでっせ!?」

 高橋がヘリコプターを指さした。
 すると、そこから身を乗り出すように、1人の女が同じくライフルを構えていた。

 愛原:「高野君か!?」
 善場:「“青いアンブレラ”の日本国内活動は認められていません。よって、あのヘリは撃墜します」
 愛原:「撃墜させんの!?」
 高橋:「姉ちゃん、いくらアネゴが嫌いだからって……」
 愛原:「と、善場さん!?」
 善場:「愛原さん。私は、エイダ・ウォンは嫌いです」
 愛原:「あれ、エイダじゃないでしょ!?」

 日本にいるわけないし!

 善場:「そこのBSAAの人、ロケットランチャー貸してください」
 愛原:「ちょっと!」
 リサ:(こういう大人にはならないようにしよう……).

 更にヘリから機銃掃射。

 愛原:「うわっ!?高野君!やめてくれ!」
 高橋:「先生、危ない!」
 BSAA隊員:「皆さん!取りあえず装甲車の中に!」

 近くにいたBSAA隊員が、停車していた装甲車へと誘導した。
 私は慌てたもんで、スッ転んでしまった。
 その衝撃で、USBメモリーを落としてしまう。
 すると、ヘリが低空まで舞い降りてきて、そこから高野君が飛び下りてきた。
 まるで、本物のエイダ・ウォンのような身体能力だ。
 そして、あっという間に高野君は、私が落としたUSBメモリを持ち去ってしまった。
 それが目的だったのか!?

 善場:「待ちなさい!今度こそ逮捕してやる!」

 善場主任は、いつものストイックでポーカーフェイスはどこへやら。
 感情剥き出しで、高野君に銃口を向けた。
 しかし高野君は余裕の表情で、ヘリコプターから下ろされた梯子を掴んで、そのまま上空へと上がって行く。
 そして高野君、ポイッと私達に向かって何かを落とした。

 善場:「エイダ・ウォン!覚えとけよ!!」

 直後、大きな爆発音と光と煙が発生した。
 それは本物の爆弾ではなく、暴徒鎮圧用の模擬手榴弾。
 大きな爆発音と光と煙を出すだけの爆弾だった。

 リサ:(あんな大人にはならないようにしよう……)

 リサは装甲車の奥で小さくなっていたという。
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“私立探偵 愛原学” 「日曜日の朝」

2021-12-12 11:48:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月3日07:00.天候:晴 宮城県石巻市恵み野 ホテルルートイン石巻河南インター・愛原と高橋の部屋→1Fレストラン]

 スマホのアラームで目を覚ました私達。

 愛原:「どれ、今日も仕事だから、さっさと支度するぞ」
 高橋:「ういっス」

 このホテルには善場主任達も泊まっている。
 どうやら、まだ仕事はありそうだ。

 愛原:「すぐに顔洗って、朝飯食いに行くぞ」
 高橋:「うーっス」

 私が顔を洗って髭を剃っていると、高橋が……。

 高橋:「それにしても先生、リサか善場の姉ちゃんの所に夜這いに行かなかったんですね」
 愛原:「行くわけねーだろ。だいたい、何で善場主任?」
 高橋:「いや、もしかしたら姉ちゃん、先生のこと好きなのかなーって」
 愛原:「違ったら善場主任からはマシンガンで蜂の巣、リサからはズタズタに引き裂かれて食われちまうよ」
 高橋:「じゃあ、リサんとこ」
 愛原:「リサからは大歓迎されるかもしれんが、その時は俺が人間を辞める時だ」
 高橋:「それは困ります!」

 と、その時、部屋の電話が鳴った。

 愛原:「おっ、何だ?」

 私が咄嗟に電話に出る。

 愛原:「はい、もしもし?」
 リサ:「『お前も鬼にならないか?』」
 愛原:「どこのアニメキャラだ!?」
 リサ:「先生もBOWになればいいんだよ」
 愛原:「逆!逆!お前が人間に戻る努力をしろ!」
 リサ:「そうだった。もう起きたから、早いとこ食べに行こう」
 愛原:「ああ、分かった。今、準備をしているところだから、もうちょっと待ってろ」
 リサ:「終わったら教えて」
 愛原:「分かってる」
 リサ:「私から行こうか?」
 愛原:「昔みたいにダクトから侵入するのは無しな」
 リサ:「じゃあ、壁ブチ抜いて……」
 愛原:「来なくていい!」

 私は電話を切った。
 朝から元気なBOWだ。
 それから準備を整えて、改めてリサを誘い、朝食会場に向かった。
 会場は昨夜、夕食を食べたレストランである。
 リサは昨夜と同じ服を着ていた。
 いくら洗濯したとはいえ、クリーチャーの返り血が付いた服は着たくないか?

 愛原:「食べたら、善場主任から話を聞くぞ」
 高橋:「まだ仕事あるんスかね?」
 愛原:「多分な」

 予想通り、リサは朝食を山盛りに盛って食べ始めた。

 愛原:「予想通り」
 高橋:「期待を裏切らないヤツですねぇ……」

 高橋も苦笑い。

 善場:「おはようございます。皆さん、起きられましたね?」

 そこへ善場主任がやってきた。

 愛原:「主任、おはようございます」
 高橋:「姉ちゃんも、休み返上で大変だなー」
 善場:「特殊な公務員の常です。もちろん、代休は後でもらえることになっています」
 愛原:「そりゃそうだ」
 善場:「後でお話しがありますので、食べ終わったら、ロビーでお話しよろしいでしょうか?」
 愛原:「いいですよ」
 高橋:「別に今ここでもいいんじゃね?」
 善場:「あなた達はそれでいいかもしれないけど、約1名、人の話を聞いてくれそうにないので」

 私達は一心不乱に朝食を食べているリサを見た。

 高橋:「……確かにな」
 善場:「それに、急ぎではありませんので」
 愛原:「分かりました」

 まずは私達は朝食を取ることにした。

[同日08:30.天候:晴 同ホテル1Fロビー]

 朝食を食べ終えた後で、ロビーに移動。
 そこで善場主任から、今日の仕事の話を聞く。

 善場:「これから再び、あの現場に一緒に行ってもらいます」
 愛原:「伯父さんの家があった場所ですね?」
 善場:「はい。いわば、実況見分ですね。所長達の当時の行動を知りたいので」
 愛原:「分かりました。ただ、現場は爆発して、地下の秘密研究室とかは見れないと思いますが……」
 善場:「はい。1階部分だけで良いので、お願いします」
 愛原:「分かりました」
 リサ:「そうなると、サイトー達は?」
 善場:「テイ良く先に帰ってもらいなさい」
 高橋:「妥当な指示だな」

 高橋も大きく頷く。

 高橋:「パールはともかく、あのレズガキはリサを追って、現場まで追って来そうだ」
 善場:「リサ。親友を公務執行妨害で逮捕されたくないでしょう?東京中央学園の校則では、在学中に逮捕されたら退学……」
 リサ:「分かった。サイトーに注意しておく」

 いくらセレブでも、逮捕歴は消せないからな……。
 逮捕後、すぐに保釈金を沢山積んですぐに出てくることとか、優秀な弁護士を付けるなどして、不起訴処分まで持って行くか……とかか。

 善場:「9時になったら出発しますので、それまでにここに集合してください」
 愛原:「分かりました」

 それから9時になり、私達はホテルをあとにした。
 ここから、小牛田まではいくつかのルートがあり、実は国道よりも県道を行った方が早いらしいのだが、車はあえて国道108号線を行った。
 まあ、ナビ的にも数分しか違わない。
 因みに、国道で行くと現地まで40分くらい掛かる。

[同日09:40.天候:晴 宮城県遠田郡美里町某所 ENOSスタンド]

 伯父さんの家があった町内には予定通り入れたが、現地に行く前に給油をするという。
 国道から外れ、県道沿いにあるフルサービスのスタンドに入る。

 部下:「レギュラー満タンで」
 店員:「はい、ありがとうございます」

 善場主任の部下の人が渡したカードは……組織から貸与されているものだろうか。

 リサ:「ちょっとトイレ……と、ジュース」
 愛原:「行ってらっしゃい」

 リサは車から降りて、トイレに向かった。
 その間、主任はタブレットを取り出して、何かを調べていた。
 恐らく給油というのは、もちろん燃料が少なくなったからというのもあるだろうが、直に現地入りする前に、近況を把握してからというのもあるのだろう。
 あと、何かあって全速力で逃げる時に、ガス欠では困るからというのもあるか。

 愛原:「どうですか、現地の方は?」
 善場:「今、BSAAが崩壊した地下を探索しているようですね。もちろん、我々がこれから行くことは知っているので、特に問題は無いです」
 愛原:「そうですか」

 よもや生き残ったBOWが現れて……なんてことは無さそうだな。
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