[12月24日20:04.天候:晴 東京都墨田区江東橋 JR錦糸町駅南口→都営バス錦11系統車内]
リサは本当に焼肉食べ放題で、注文できるメニューを全部コンプリートした。
驚異的ではあるが、しかしこのように広く薄く注文することで、逆にそんなに目立たないということができる。
それに、リサには思惑があるようだ。
リサ:「ケーキの分、お腹を空けておかなきゃ」
ということだ。
同じくテルミナ内で購入したクリスマスケーキを手に、私達は帰りのバスの列に並ぶ。
リサ:「♪~♪」
リサは上機嫌であった。
これなら、今の第0形態(人間形態)から変化することなく帰れそうだ。
愛原:「うん、バスが来たな……」
比較的時間通りにバスが来た。
バスはこの停留所始発ではなく、亀戸駅前から来たバスである。
なので、先客が数人乗っていた。
数人程度で済んでいるのは、錦糸町駅前~亀戸駅前間の本数が少ないからである。
本数が少ないということは、それだけ利用者が少ないというわけだ。
愛原:「お前達、そっちな」
1番後ろの席は先客達で塞がていたので、リサと高橋は空いている2人席に座ってもらい、私はその前の1人席に腰かけた。
往路とは同じノンステップバスであったが、車種が違うので、座席配置も微妙に違う。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは乗客を全て乗せると、ようやく発車した。
この時点で、ほぼ全ての座席が埋まっている。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。この都営バスは菊川駅前、浜町中の橋経由、築地駅前行きです。次は錦糸堀、錦糸堀でございます〕
リサ:「♪~♪」
愛原:「リサ、“エブリンのテーマ”を歌うんじゃない」
リサ:「ん?」
“バイオハザード7 レジデントイービル”のテーマ。
愛原:「リサにはリサのテーマ(https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI 原曲:終焉の始まり)があるだろうが」
リサ:「そうだった」
リサはわざと自分の頭をコツンと叩いた。
窓ガラスに映るリサの瞳は、今は人間と同様の黒であるが、それでも時折、金色に光ることがある。
あくまでも時折なので、『光の反射や加減でそう見える』という言い訳ができる程度。
愛原:「あまりリサは、鼻歌は歌わない方がいいかもな」
リサ:「わたし、音痴?」
愛原:「いや、そうじゃないんだが……」
BOWのボスクラスの中には、何だか歌で手下のクリーチャーを操るヤツとかいなかったっけ?
リサがそうなりそうで怖いのだ。
もっとも、学校でも音楽の授業とかあるわけだから、リサの歌がどこまで危険なのかは分からない。
[同日20:12.天候:晴 東京都墨田区菊川 菊川一丁目バス停→斉藤絵恋のマンション]
〔「菊川一丁目です」〕
バスは特に渋滞にはまることもなく、無事にバス停に到着した。
中扉からバスを降りる。
ここからマンションは、目と鼻の先である。
そしてそれは、今の斉藤絵恋さんが住んでいるマンションも同じである。
何しろ、新大橋通りを挟んだお向かいさんなのだから。
リサ:「ん?」
愛原:「どうした?」
リサ:「サイトーの家……」
愛原:「絵恋さんの家がどうした?」
私が絵恋さんのマンションの方を向いた。
リサ:「誰もいないはずなのに、電気が点いてる」
愛原:「そうなの!?」
絵恋さんの部屋は、確か7階だと聞いた。
この辺りは地価のせいなのか、あまり高層マンションは建っていない。
ましてや、タワマンにあっては【お察しください】。
10階未満の高さのマンションが殆どである。
そして、私のマンションみたいに5階建てというパターンも珍しくはない。
7階を見ると、いくつかの部屋から明かりが漏れていた。
しかし、どの部屋が絵恋さんの部屋なのかは分からない。
リサ:「うん、点いてる。誰かいるみたい」
愛原:「パールか?」
高橋:「いや、そんなことないっスね。さっきからパールのヤツ、社長んち……つまり、絵恋の実家の写真を送って来てますから」
愛原:「じゃあ、電気の消し忘れ?メイドさんらしくない」
高橋:「案外あいつは、そういうのキッチリしてるタイプですよ。ストイックでサイコパスながら、メイドは務まるだろうとは思います」
愛原:「ということは……」
リサ:「侵入者!?」
愛原:「ま、まさか……!」
リサ:「ちょっと確認しに行こう」
愛原:「確認しに行こうったって、向こうもオートロックだろう?どうやって入るんだよ?」
リサ:「はい、カードキー!」
リサは定期入れから、絵恋さんのマンションのカードキーを取り出した。
愛原:「そんなもん、どうしてオマエが持ってるんだよ?」
リサ:「サイトーがくれた。『これでいつでも遊びに来ていいからね』だって」
愛原:「な、なるほど。じゃあ、まあ、行ってみよう。高橋、オマエは一応、パールに連絡しといてくれ。何かの間違いかもしれないからな」
高橋:「了解っス」
私達は絵恋さんのマンションに入った。
エントランスのオートロックは、リサのカードキーで開錠する。
それで中に入り、エレベーターに乗る。
〔上に、参ります。ドアが閉まります〕
エレベーターで7階に上がった。
エレベーターは途中階で止まることはなく、どんどん上に上がって行く。
そして……。
〔ピーン♪ 7階です〕
7階に着いて、エレベーターを降りた。
そして、リサの先導で絵恋さんの部屋に向かう。
リサ:「あっちあっち!」
私達はリサの後を追った。
リサ:「この部屋だよ」
愛原:「分かった」
私は、まずドアの向こうの様子を伺った。
具体的には、ドアに耳を当て、向こうから物音がしないか確認したのである。
リサ:「うん、何か聞こえる」
リサは第1形態に戻り、長く尖った耳をドアに当てて聞いていた。
愛原:「オマエ、こんな所で変化……」
リサ:「ゴメン。この方が聞き取り易くて……」
愛原:「いいから早く戻れ!」
バンッ!(玄関のドアが思いっ切り開けられる音)
泥棒A:「よし、今だ!ずらかるぞ!……って、何だオマエら!?」
愛原:「しまった!」
リサ:「ど、どろぼー!」
泥棒A:「うるせっ!!」
バーン!(泥棒A、手持ちの拳銃をリサに発砲する)
泥棒B:「バカ!なに撃ってんだ!」
泥棒A:「し、しかし……!」
至近距離で頭を撃たれたリサ。
普通の人間なら即死確定だろう。
しかし、BOWたるリサが、たかが普通の拳銃程度で死ぬとは私は思っていなかった。
とはいえ、さすがに至近距離で撃たれたことで、衝撃で尻もちをついた上、持っていたケーキを落としてしまった。
泥棒B:「動くな!動くと撃つぞ!」
泥棒A:「よし!そのまま動くな!……邪魔だっ!!」
泥棒Aは、リサの落としたケーキの箱に足を引っかけた。
そして、そのまま踏み潰した上に廊下の向こうに蹴っ飛ばしてしまった。
愛原:「あ……オワタ……」
2人組の泥棒はそのままエレベーターに乗って行ったが……。
泥棒B:「Cが今、車で迎えに来たらしい。まさか、あのダイニチ(大日本製薬の通称)の御嬢様が暮らしているというマンションだから、金目の物が一杯あると思ったら、ドンピシャだったな」
泥棒A:「あとは晴海埠頭から船で逃亡するだけだ」
ズシン!
泥棒A:「おわっ!?」
エレベーター内に衝撃が走り、2階で停止してしまう。
泥棒B:「な、何だ!?地震か?故障か!?」
泥棒達はエレベーターに閉じ込められてしまった。
が、その直後、天井の蓋がこじ開けられて、そこから第2形態まで変化したリサが現れた。
具体的には第1形態よりも爪は鋭く長くなり(“エルム街の悪夢”のフレディみたいな感じ)、背中からは赤黒くて長い触手が数本生えている。
リサ:「キサマらァァァッ!よくも私のケーキを!!楽しみにしてたのにィィィィッ!!」
泥棒A:「ぎゃーーーーーー!!ばけものーーーーーーー!!!」
泥棒B:「う、撃てっ!撃てっ!」
泥棒Aは完全に失神。
泥棒Bはそれでも果敢に拳銃を発砲するが、人間形態の第0形態でもその程度は屁でもないリサ。
ましてや、最終形態の2つ前の状態ではもっと効くはずがなかった(第3形態や最終形態まで変化すると、理性を失う恐れがある為、変化を禁止されている)。
愛原:「リサ、殺すなよ!殺しちゃダメだぞ!絶対だぞ!」
私は非常階段で2階まで駆け下りると、エレベーターのドアをバンバン叩いてリサを注意した。
そうこうしている間に、拳銃の発砲音を聞いた住人からの通報を受けて駆け付けた警察や、リサの暴走(の恐れ)を察知したBSAAが出動してきたりと、現場は大騒ぎとなったのであった。
リサは本当に焼肉食べ放題で、注文できるメニューを全部コンプリートした。
驚異的ではあるが、しかしこのように広く薄く注文することで、逆にそんなに目立たないということができる。
それに、リサには思惑があるようだ。
リサ:「ケーキの分、お腹を空けておかなきゃ」
ということだ。
同じくテルミナ内で購入したクリスマスケーキを手に、私達は帰りのバスの列に並ぶ。
リサ:「♪~♪」
リサは上機嫌であった。
これなら、今の第0形態(人間形態)から変化することなく帰れそうだ。
愛原:「うん、バスが来たな……」
比較的時間通りにバスが来た。
バスはこの停留所始発ではなく、亀戸駅前から来たバスである。
なので、先客が数人乗っていた。
数人程度で済んでいるのは、錦糸町駅前~亀戸駅前間の本数が少ないからである。
本数が少ないということは、それだけ利用者が少ないというわけだ。
愛原:「お前達、そっちな」
1番後ろの席は先客達で塞がていたので、リサと高橋は空いている2人席に座ってもらい、私はその前の1人席に腰かけた。
往路とは同じノンステップバスであったが、車種が違うので、座席配置も微妙に違う。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは乗客を全て乗せると、ようやく発車した。
この時点で、ほぼ全ての座席が埋まっている。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。この都営バスは菊川駅前、浜町中の橋経由、築地駅前行きです。次は錦糸堀、錦糸堀でございます〕
リサ:「♪~♪」
愛原:「リサ、“エブリンのテーマ”を歌うんじゃない」
リサ:「ん?」
“バイオハザード7 レジデントイービル”のテーマ。
愛原:「リサにはリサのテーマ(https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI 原曲:終焉の始まり)があるだろうが」
リサ:「そうだった」
リサはわざと自分の頭をコツンと叩いた。
窓ガラスに映るリサの瞳は、今は人間と同様の黒であるが、それでも時折、金色に光ることがある。
あくまでも時折なので、『光の反射や加減でそう見える』という言い訳ができる程度。
愛原:「あまりリサは、鼻歌は歌わない方がいいかもな」
リサ:「わたし、音痴?」
愛原:「いや、そうじゃないんだが……」
BOWのボスクラスの中には、何だか歌で手下のクリーチャーを操るヤツとかいなかったっけ?
リサがそうなりそうで怖いのだ。
もっとも、学校でも音楽の授業とかあるわけだから、リサの歌がどこまで危険なのかは分からない。
[同日20:12.天候:晴 東京都墨田区菊川 菊川一丁目バス停→斉藤絵恋のマンション]
〔「菊川一丁目です」〕
バスは特に渋滞にはまることもなく、無事にバス停に到着した。
中扉からバスを降りる。
ここからマンションは、目と鼻の先である。
そしてそれは、今の斉藤絵恋さんが住んでいるマンションも同じである。
何しろ、新大橋通りを挟んだお向かいさんなのだから。
リサ:「ん?」
愛原:「どうした?」
リサ:「サイトーの家……」
愛原:「絵恋さんの家がどうした?」
私が絵恋さんのマンションの方を向いた。
リサ:「誰もいないはずなのに、電気が点いてる」
愛原:「そうなの!?」
絵恋さんの部屋は、確か7階だと聞いた。
この辺りは地価のせいなのか、あまり高層マンションは建っていない。
ましてや、タワマンにあっては【お察しください】。
10階未満の高さのマンションが殆どである。
そして、私のマンションみたいに5階建てというパターンも珍しくはない。
7階を見ると、いくつかの部屋から明かりが漏れていた。
しかし、どの部屋が絵恋さんの部屋なのかは分からない。
リサ:「うん、点いてる。誰かいるみたい」
愛原:「パールか?」
高橋:「いや、そんなことないっスね。さっきからパールのヤツ、社長んち……つまり、絵恋の実家の写真を送って来てますから」
愛原:「じゃあ、電気の消し忘れ?メイドさんらしくない」
高橋:「案外あいつは、そういうのキッチリしてるタイプですよ。ストイックでサイコパスながら、メイドは務まるだろうとは思います」
愛原:「ということは……」
リサ:「侵入者!?」
愛原:「ま、まさか……!」
リサ:「ちょっと確認しに行こう」
愛原:「確認しに行こうったって、向こうもオートロックだろう?どうやって入るんだよ?」
リサ:「はい、カードキー!」
リサは定期入れから、絵恋さんのマンションのカードキーを取り出した。
愛原:「そんなもん、どうしてオマエが持ってるんだよ?」
リサ:「サイトーがくれた。『これでいつでも遊びに来ていいからね』だって」
愛原:「な、なるほど。じゃあ、まあ、行ってみよう。高橋、オマエは一応、パールに連絡しといてくれ。何かの間違いかもしれないからな」
高橋:「了解っス」
私達は絵恋さんのマンションに入った。
エントランスのオートロックは、リサのカードキーで開錠する。
それで中に入り、エレベーターに乗る。
〔上に、参ります。ドアが閉まります〕
エレベーターで7階に上がった。
エレベーターは途中階で止まることはなく、どんどん上に上がって行く。
そして……。
〔ピーン♪ 7階です〕
7階に着いて、エレベーターを降りた。
そして、リサの先導で絵恋さんの部屋に向かう。
リサ:「あっちあっち!」
私達はリサの後を追った。
リサ:「この部屋だよ」
愛原:「分かった」
私は、まずドアの向こうの様子を伺った。
具体的には、ドアに耳を当て、向こうから物音がしないか確認したのである。
リサ:「うん、何か聞こえる」
リサは第1形態に戻り、長く尖った耳をドアに当てて聞いていた。
愛原:「オマエ、こんな所で変化……」
リサ:「ゴメン。この方が聞き取り易くて……」
愛原:「いいから早く戻れ!」
バンッ!(玄関のドアが思いっ切り開けられる音)
泥棒A:「よし、今だ!ずらかるぞ!……って、何だオマエら!?」
愛原:「しまった!」
リサ:「ど、どろぼー!」
泥棒A:「うるせっ!!」
バーン!(泥棒A、手持ちの拳銃をリサに発砲する)
泥棒B:「バカ!なに撃ってんだ!」
泥棒A:「し、しかし……!」
至近距離で頭を撃たれたリサ。
普通の人間なら即死確定だろう。
しかし、BOWたるリサが、たかが普通の拳銃程度で死ぬとは私は思っていなかった。
とはいえ、さすがに至近距離で撃たれたことで、衝撃で尻もちをついた上、持っていたケーキを落としてしまった。
泥棒B:「動くな!動くと撃つぞ!」
泥棒A:「よし!そのまま動くな!……邪魔だっ!!」
泥棒Aは、リサの落としたケーキの箱に足を引っかけた。
そして、そのまま踏み潰した上に廊下の向こうに蹴っ飛ばしてしまった。
愛原:「あ……オワタ……」
2人組の泥棒はそのままエレベーターに乗って行ったが……。
泥棒B:「Cが今、車で迎えに来たらしい。まさか、あのダイニチ(大日本製薬の通称)の御嬢様が暮らしているというマンションだから、金目の物が一杯あると思ったら、ドンピシャだったな」
泥棒A:「あとは晴海埠頭から船で逃亡するだけだ」
ズシン!
泥棒A:「おわっ!?」
エレベーター内に衝撃が走り、2階で停止してしまう。
泥棒B:「な、何だ!?地震か?故障か!?」
泥棒達はエレベーターに閉じ込められてしまった。
が、その直後、天井の蓋がこじ開けられて、そこから第2形態まで変化したリサが現れた。
具体的には第1形態よりも爪は鋭く長くなり(“エルム街の悪夢”のフレディみたいな感じ)、背中からは赤黒くて長い触手が数本生えている。
リサ:「キサマらァァァッ!よくも私のケーキを!!楽しみにしてたのにィィィィッ!!」
泥棒A:「ぎゃーーーーーー!!ばけものーーーーーーー!!!」
泥棒B:「う、撃てっ!撃てっ!」
泥棒Aは完全に失神。
泥棒Bはそれでも果敢に拳銃を発砲するが、人間形態の第0形態でもその程度は屁でもないリサ。
ましてや、最終形態の2つ前の状態ではもっと効くはずがなかった(第3形態や最終形態まで変化すると、理性を失う恐れがある為、変化を禁止されている)。
愛原:「リサ、殺すなよ!殺しちゃダメだぞ!絶対だぞ!」
私は非常階段で2階まで駆け下りると、エレベーターのドアをバンバン叩いてリサを注意した。
そうこうしている間に、拳銃の発砲音を聞いた住人からの通報を受けて駆け付けた警察や、リサの暴走(の恐れ)を察知したBSAAが出動してきたりと、現場は大騒ぎとなったのであった。