報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「深夜の作戦」

2021-12-08 20:07:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月2日16:00.天候:曇 宮城県石巻市 ホテルルートイン石巻河南インター]

 公一伯父さんの入院した病院から、比較的近い場所にあるホテルに私達はチェックインした。
 車は善場主任達が乗って来たワンボックスに乗った。

 斉藤絵恋:「えっ?私達の部屋は無いの!?」
 善場:「当たり前です。今回、お仕事を依頼したのは愛原所長と高橋助手、そしてリサだけです。あなた達はお呼びでないですよ」
 高橋:「そりゃそうだ」
 絵恋:「今からチェックインすればいいのよ。お金ならあるわ!」

 絵恋は父親から借りたであろう、アメリカンエキスプレスのゴールドカードを取り出した。

 絵恋:「今日から一泊で、ツイン1つかシングル2つ空いてます!?」
 フロント係:「申し訳ございません。あいにくですが、只今満室でございます」
 絵恋:「ウソぉ!?」
 高橋:「けっ、ざまぁ見ろ」
 愛原:「緊急事態宣言が解除されて、旅行に行く人達も増えたからねぇ」

 ロビーには、ちらほら旅行客らしき人達の姿が見受けられている。

 パール:「御嬢様、仕方がありません。他のホテルに泊まりましょう。市内全部のホテルが全て満室というわけではないでしょう」
 絵恋:「どうするの?」
 パール:「石巻駅前なら、観光案内所があるはずです。そこでホテルを紹介してもらいましょう」
 善場:「観光案内所は閉まるのが早いですから、早めに行った方がいいですよ」
 パール:「言われるまでもありません」

 パールは涙目の絵恋を抱えるように、ホテルを出ていった。

 リサ:「何だかサイトーがかわいそう」
 善場:「他人の事を気にするより、自分のことを気にしなさい」
 リサ:「? どういうこと?」
 善場:「今度の仕事は、あなたも参加することになるんだから」
 リサ:「えっ?」
 善場:「まずは荷物を置いて来てください」
 愛原:「分かりました」

 尚、返り血の付いたリサの服は着替えている。

 リサ:「じゃあ、焼肉食べ放題は……」
 善場:「今夜の仕事が上手く行ったら、明日ってことになるね」
 リサ:「ぶー……」

 リサはむくれてしまった。
 どうやら今日で仕事が終わり、今夕食で焼肉食べ放題に有りつけるものと思っていたらしい。

 愛原:「まあまあ、リサ。このホテルにもレストランがあるから、そこで夕食好きなだけ食べなよ」
 リサ:「うーん……」

 私が言うと、リサは納得……。

 リサ:「でも、明日は焼肉食べ放題ね」

 ……していなかった。

 愛原:「分かってるよ」
 リサ:「ダメだったら、先生の肉食べ放題!」
 愛原:「食うなよ!食うなよ!絶対食うなよ!」
 善場:「今のうちに、クリス・レッドフィールド氏を招聘しておいた方がいいかしら?」
 愛原:「念の為、お願いします!」

 部屋に荷物を置いて来た。
 ツインには私と高橋、シングルにはリサが入った。
 因みに荷物は、後でBSAAの人が持って来てくれた。
 やはりというべきか、車はあの戦いでオシャカになってしまったらしい。
 車の中の荷物は無事だったので、それは持って来てもらったというわけだ。

 善場:「レンタカーに関しましては、業務中の事故ということで、デイライトで責任を持ちます。所長はお気になさらないでください」

 とのことだ。
 ロビーで話をすることにした。
 ソファに向かい合って、話をする。

 愛原:「リサが汚れた服を洗いたいというので、コインランドリーに行ってきたもので……」
 善場:「ああ、いいですよ。リサも服とか気にするようになりましたかね?」
 愛原:「そうですね。もっとも、クリーチャーの返り血など、汚らわしくて仕方がないって感じです」
 善場:「それはそうでしょうね」
 愛原:「それで、仕事というのは?」
 善場:「夜、ヴェルトロもしくはその下部組織が愛原公一氏と接触しようとしているようです」
 愛原:「えっ!?」
 善場:「今夜、愛原公一氏が石巻の鮎川港で、接触する予定だということが分かりました」
 愛原:「それはどうしてです?」
 善場:「取引ですね。ヴェルトロ側は、公一氏に偽物を渡されたと知ったようです。それで今回、改めて本物を渡すように迫ったというわけです」
 高橋:「ブチキレ案件じゃねーのか?」
 善場:「どういうわけか、『偽物を掴まされたのは、こちらが用意した報酬が足りなかったからだ』と判断したのか、『改めて100万ドル払うから、今度こそ本物を』と言ってきました」
 高橋:「カネあんな!テロ組織ってのは儲かるのか!?」
 善場:「ピンキリですよ。ヴェルトロの場合、どこか資金を潤沢に提供してくれるバックボーンが付いているのでしょうね」
 高橋:「なるほど……」
 善場:「公一氏はあの通り入院中ですし、その親戚である所長に代理役をお願いしたいのです」
 高橋:「ええっ!?」
 愛原:「重大な任務ですな」
 善場:「はい。大きな危険が伴うと思われます。ですが、親戚だからこそ信用されるとも言えるのです。もちろん、行くのは所長1人だけではありません」

 そこで善場主任、リサを見た。

 善場:「リサに護衛してもらいます。それと同時に、この最上級BOWを従えているという事実を見れば、尚更信用に値することになるでしょう」
 リサ:「むふ!私、先生護る!」

 リサは鼻息を荒くして、右手の拳を握った。

 高橋:「で、姉ちゃん、俺は……」
 善場:「足手まといになるだけなので、今回はホテルで待機していてください」
 高橋:「きっつー!」

 本当にストレートな人だ、善場主任は。

 愛原:「港までのアクセスは?」
 善場:「御心配要りません。車で送迎致します」
 愛原:「分かりました」
 善場:「もう物は用意してありますので、あとは作戦通りにやって頂くだけです」
 リサ:「夕食は?」
 善場:「先に食べてからでいいですよ」
 リサ:「やった!」
 高橋:「食う事ばっか。……あ、そうだ。また、あのレズガキとサイコパスメイドが乱入してきたらどうよ?」
 善場:「その時は公務執行妨害で逮捕することになりますね。リサ、東京中央学園では逮捕歴が付いたら退学ですね。親友がそうなってほしくないでしょう?そうならないように、今から注意しておくことですね」
 リサ:「分かった。LINEしとく」

 補導とか書類送検とかだと、停学だったか。
 逮捕後、不起訴処分だったり、裁判後に無罪判決が言い渡された場合は復学も有り得るとのことだが……。
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“愛原リサの日常” 「パールと絵恋」

2021-12-08 11:47:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月2日14:00.天候:曇 宮城県遠田郡美里町某所]

 パールと斉藤絵恋は、遅れて愛原公一の家に向かっていた。

 絵恋:「何だってこんな時に、パンクなんてするのよ!?」
 パール:「申し訳ございません。あとであのバカ、シメておきますので……」
 絵恋:「ガタケの奥まで片道ドライブ、よろしく頼むわよ!」
 パール:「かしこまりました。(仙台)新港高松ふ頭に沈めてもよろしいでしょう?」
 絵恋:「それでもいいわ!」

 パールと絵恋の乗ったバイクがパンクしてしまい、その修理に追われてしまっていた。
 幸いパンクした箇所はバイクショップの近くだったので、何とかそこまで押して歩き、ショップでパンクの修理を急いで行った結果、1時間以上もロスしてしまった。

 絵恋:「もうすぐ愛原先生の伯父様の家だわ。そこの角を曲がって」
 パール:「かしこまりました」

 絵恋がスマホの地図アプリを見ながら言った。
 ところが、角を曲がった途端、パールは急停車。

 絵恋:「きゃっ!?な、なに!?」

 サイドカーに乗っていた絵恋は、衝撃でスマホを足元に落としてしまった。

 パール:「申し訳ありません、御嬢様。前方を」
 絵恋:「えっ!?」

 前方は規制線が張られ、その前にはパトカーが停車し、警察官が立って道を塞いでいた。

  警察官:「この先は事件があった関係で、立入禁止です。何か御用ですか?」

 パールと大して歳の変わらぬ20代の制服警官がやってきた。

 絵恋:「事件って?」
 パール:「おおかた、殺人事件でしょう。たかが暴走族の取り締まりで、こんな大掛かりにはやりませんわ」
 警察官:「そ、その通りです」
 絵恋:「私達、愛原先生の後を追ってここまで来たんです。愛原先生に何かあったんですか?」
 警察官:「愛原先生というと、愛原公一名誉教授ですか。その方は今……」
 パール:「もっと厳密に言うと、愛原公一名誉教授を追って行かれた、探偵の愛原学先生と一緒に行動している助手の高橋とリサ様を追って、私達はここまで来たのです」
 警察官:「失礼ですが、そういった方々とは、どういった御関係で?」
 パール:「助手の高橋は、私の彼氏です(一応)。そして、リサ様はこちらの御嬢様の親友です」
 警察官:「はあ……そうなんですか。とにかく、この先は立入禁止で……」

 と、その時だった。
 規制線の向こうで爆弾が爆発する音がしたかと思うと、銃声が聞こえて来た。
 更には、軍用のヘリが離陸して、絵恋達の上空を旋回する。

 パール:「あれはBSAA!御嬢様、どうやら事態は深刻のようです」
 絵恋:「な、何が起きてるの!?」
 警察官:「……了解!」

 警察官は手持ちの無線機で、どこかと交信していた。

 警察官:「申し訳ありませんが、規制線を拡大します。ここから離れてください」
 絵恋:「ちょっと!リサさんはどうしたの!?」
 パール:「事態は深刻のようです。ここから離れましょう!」

 パールはバイクのアクセルを吹かすと、来た道を引き返した。

 絵恋:「リサさぁぁぁん!」

 だが、その上空にいるヘリコプターからこの2人を眺める者がいた。

 リサ:「あそこ!サイトーとメイドさんがいる!」

 リサは第1形態の姿のまま、ヘリの下を指さした。

 高橋:「はあ!?あのストーカー女、ここまで追って来やがったのか!?」
 リサ:「サイトーもストーカー……」
 愛原:「静かにしろ!怪我人がいるんだぞ!」
 高橋:「さ、サーセン!」

 愛原の前に、公一がストレッチャーに横たわっていた。

 BSAA隊員:「石巻赤十字病院に搬送します!」
 愛原:「分かりました!」
 リサ:「車、どうするの?」
 愛原:「後で取りに行くさ。というか、多分、あの戦いで無くなったかもしれん」
 高橋:「弁償が大変ですね」
 愛原:「善場主任が何とかしてくれるさ」
 高橋:「それもそうですね」

 その時、愛原のスマホに着信があった。
 相手は、善場からであった。

 善場:「もしもし。報告をお願いします」
 愛原:「地下は大変な騒ぎでしたよ。結局伯父さんが、飲まず食わずで避難してただけなんですけどね」
 善場:「そうですか……。詳しい話は、現地で伺います」
 愛原:「現地で?」
 善場:「愛原公一名誉教授は、石巻赤十字病院に搬送されるとのことで、我々もそこへ向かっております」
 愛原:「あ、そうなんですか……」

[同日15:00.天候:晴 宮城県石巻市蛇田西道下 石巻赤十字病院]

 この病院にはヘリポートがあるので、そこにヘリコプターを着陸させ、公一はそこから搬入された。
 愛原達も一応、バイオハザードが発生していた中を駆け回っていたので、その検査を受けることになる。
 リサが一番頑張ったもので、地下に潜んでいたネズミやゴキブリがウィルスに感染し、それがクリーチャー化したものを退治した。
 リサについている返り血は、この時に付いたものである。

 愛原:「伯父さんは1週間飲まず食わずだったから、それで衰弱していたらしいな」

 地下には水や食料の備蓄はあったのだが、クリーチャー化したネズミ達に阻まれ、または食い尽くされていた為、取りに行くことができないでいた。
 水は幸い潜んでいた個室に、備え付けのトイレと洗面所があったので、それで事足りたが……。
 愛原達が救助に来る直前、その水が止まったので、気が気でなかったらしい。
 これはリサが1階のトイレを使う際に、水を1階に引くようにバルブを回したことで、地下1階に水が供給されなくなったかららしい。

 高橋:「すると、感染の疑いは無いわけですか?」
 愛原:「伯父さんも、色々と抗体を持ってるだろうからね」
 高橋:「なるほど……」

 しばらくして、善場が病院に駆け付けた。

 善場:「お疲れさまです。愛原所長」
 愛原:「善場主任。到着、早いですね」
 善場:「現場に駆けつけるBSAAのヘリに便乗させてもらいましたので」
 高橋:「凄いコネだ」
 善場:「それより、現場からは遺骨は発見されなかったようですね」
 愛原:「そうなんです。既にヴェルトロに持って行かれたか……」
 善場:「そのヴェルトロのことで、話があります。取りあえず、ホテルへ移動しましょう」
 愛原:「ホテル?」
 善場:「市内にホテルを取りました。皆さん、そこで一泊して頂きます」
 愛原:「ええっ!?というと……」
 善場:「愛原所長の任務は、まだ終わっていないということですよ」

 善場主任、今度は私に何をさせるつもりなのだろうか。
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