[11月13日07時00分 天候:晴 福島県いわき市平四町目 ホテルルートインいわき駅前・愛原の部屋]
枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。
私は手を伸ばして、それを止めた。
愛原「うーん……」
いやあ、昨夜は参ったなぁ……。
何がって?
昨夜、リサにマッサージしてもらった。
それは良いのだが、リサのヤツ、あれほど言ったのに、血中アルコール濃度が上がっている私の血液を吸おうとしたのだ。
最初は注意していたが、ついに我慢できなくなったのか、私に噛み付いてきたのだ。
すぐに引き離し、持っていたスタンガンでリサを取り押さえた。
電撃使いの鬼と化したリサも、電撃されるのには弱いもよう。
それで気絶させた後は、部屋に戻して寝かせておいた。
尚、噛まれた傷は救急スプレーを掛けて治した。
生物兵器を造る為には人命をも軽視したことで悪評高いアンブレラであったが、その製薬技術についてだけは非難する者はいない。
救急スプレーもその1つであり、アンブレラが倒産した後も、その製造技術は各国の製薬企業に受け継がれている。
日本で大日本製薬が受け継いだが、斉藤社長の不祥事により、組織改編され、社名も『ダイニチ』に変わって製造が続けられている。
愛原「起きるか……」
リサに噛まれた所は、止血して救急スプレーを拭き掛けた。
確かに血は止まっているが、まだ傷跡は残っている。
ややもすると、リサに噛まれたことで、特異菌に感染した恐れがある。
それまではTウィルスだったが、今リサが保有しているのはGウィルスと特異菌になっている。
Gウィルスの感染力は弱く、噛まれたくらいでは感染しない。
但し、特異菌は強い。
特異菌によってゾンビ化(本当のゾンビと違って、人間だった頃の名残は無い)したモールデッドに攻撃されるだけでも、感染するほどだ。
一応、私はワクチンを打っているが。
あれから別に、BSAAが出動してきたり、連絡が来たりはなかったので、リサの行動は暴走状態とは認識されなかったらしい。
すぐに気絶させたからかもしれないが。
BOW(生物兵器)と一緒に行動するということは、こういうことなのだと、改めて思い知られた。
私は起き上がると電話を取り、それでリサの部屋へ内線電話を掛けた。
リサ「もしもし……?」
電話の向こうからは、眠たそうなリサの声がした。
まあ、良かった。
もしも化け物に変化していたら、大変なことになっていた。
すぐに電話に出れるということは、普通の状態ということだ。
愛原「もしもし、おはよう。俺だよ」
リサ「先生?」
愛原「俺からのモーニングコールだ。ちゃんと起きて、着替えろよ?着替えたら、朝飯に行くぞ」
リサ「うん、分かった」
私は電話を切った。
どうやら、大丈夫のようだな。
私は、顔を洗いにバスルームに向かった。
[同日07時30分 天候:晴 同ホテル・レストラン“花茶屋”]
私とリサは、朝食会場に向かった。
リサ「先生、昨夜はゴメンね……」
愛原「あー、分かった分かった。こんなこともあろうかと、救急スプレー持ってきて良かったよ」
リサ「グリーンハーブは?」
愛原「それも持って来てる」
リサ「レッドハーブは?」
愛原「既に調合済みだ」
リサ「むー……。わたしって、そんなに信用無い?」
愛原「昨夜の行動で、信用があるとでも思っているのか?」
リサ「う……それを言われると……」
愛原「だろ?」
リサ「わたしの分は?」
愛原「いや、オマエは要らんだろ」
体にダメージを受けても、すぐに回復するので。
美人スタッフ「いらっしゃいませ。おはようございます」
愛原「おはようございまーすこちらのスタッフの方ですか?私、東京で探偵やっている者でして……」
リサ「ナンパすなっ!」
バリバリバリバリバリバリ(リサ、愛原を制止するかのように、後ろから羽交い絞めにし、電撃を放つ)
愛原「ぎゃあああっ!」
美人スタッフ「お、お客様!?」
リサ「大丈夫です。ちょっと感電しただけです。すぐに治ります」
美人スタッフ「は、はあ……」
それから……。
リサ「いただきまーす」
愛原「オマエ、人前で電撃食らわせるなよ……」
リサ「先生が悪いんじゃない。わたしという者がありながら、他の女に……!」
リサ、牙を剥き出し、『鬼の目』になって私を睨みつけた。
愛原「分かった!分かったから!」
リサ「全く……」
最近のビジネスホテルでは、サービス競争が激化している。
朝食サービスもその1つだ。
ビュッフェスタイルなのはベタな法則であるが、それを良いことに、リサは皿に山盛り、料理を載せている。
あと、ドリンクもドリンクバーである。
愛原「映画では、あんなシーンがあったな……」
リサ「何が?」
愛原「“大魔道師の弟子”。主人公のパートナーの魔女が、主人公が本人なのかどうかを確認する為に、自分の好みの飲み物を持って来させるというやり方」
リサ「ほおほお。それで?」
愛原「主人公の稲生勇太は、見事3つの紅茶のブレンドを入れて、パートナーの魔女に本物であることを証明した」
リサ「あれは面白い映画だったね。また観たいな」
愛原「そろそろDVDになっているから、DMMでレンタルできるかどうか探してみるさ」
リサ「もし違う飲み物を持って来てたら、どうなったのかな?」
愛原「『オマエは偽者だ!』とか言って、攻撃魔法でチュドーン!じゃない?」
リサ「なるほど。わたしも魔法使ってみたいなぁ……」
愛原「既に“ライディーン”使えるオマエが何を言う」
リサ「そっかぁ……。これ、魔法なんだ。血鬼術だと思ってた」
愛原「まあ、そうとも言うかもな。とにかく、使うのは敵だけだぞ?」
リサ「あと、先生の浮気対策」
愛原「おおっとぉ!聞こえない!聞こえないぞ!」
私は耳を塞いだ。
リサ「じゃあ、先生。先生が本物かどうか確かめるから、わたしの好きな飲み物持って来て」
愛原「オマエの場合、オレンジジュース一択だろうが。クイズにもならんよ」
リサ「はい、正解。先生、本物~」
愛原「あのなぁ……」
取りあえず、朝は平和なようだ。
枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。
私は手を伸ばして、それを止めた。
愛原「うーん……」
いやあ、昨夜は参ったなぁ……。
何がって?
昨夜、リサにマッサージしてもらった。
それは良いのだが、リサのヤツ、あれほど言ったのに、血中アルコール濃度が上がっている私の血液を吸おうとしたのだ。
最初は注意していたが、ついに我慢できなくなったのか、私に噛み付いてきたのだ。
すぐに引き離し、持っていたスタンガンでリサを取り押さえた。
電撃使いの鬼と化したリサも、電撃されるのには弱いもよう。
それで気絶させた後は、部屋に戻して寝かせておいた。
尚、噛まれた傷は救急スプレーを掛けて治した。
生物兵器を造る為には人命をも軽視したことで悪評高いアンブレラであったが、その製薬技術についてだけは非難する者はいない。
救急スプレーもその1つであり、アンブレラが倒産した後も、その製造技術は各国の製薬企業に受け継がれている。
日本で大日本製薬が受け継いだが、斉藤社長の不祥事により、組織改編され、社名も『ダイニチ』に変わって製造が続けられている。
愛原「起きるか……」
リサに噛まれた所は、止血して救急スプレーを拭き掛けた。
確かに血は止まっているが、まだ傷跡は残っている。
ややもすると、リサに噛まれたことで、特異菌に感染した恐れがある。
それまではTウィルスだったが、今リサが保有しているのはGウィルスと特異菌になっている。
Gウィルスの感染力は弱く、噛まれたくらいでは感染しない。
但し、特異菌は強い。
特異菌によってゾンビ化(本当のゾンビと違って、人間だった頃の名残は無い)したモールデッドに攻撃されるだけでも、感染するほどだ。
一応、私はワクチンを打っているが。
あれから別に、BSAAが出動してきたり、連絡が来たりはなかったので、リサの行動は暴走状態とは認識されなかったらしい。
すぐに気絶させたからかもしれないが。
BOW(生物兵器)と一緒に行動するということは、こういうことなのだと、改めて思い知られた。
私は起き上がると電話を取り、それでリサの部屋へ内線電話を掛けた。
リサ「もしもし……?」
電話の向こうからは、眠たそうなリサの声がした。
まあ、良かった。
もしも化け物に変化していたら、大変なことになっていた。
すぐに電話に出れるということは、普通の状態ということだ。
愛原「もしもし、おはよう。俺だよ」
リサ「先生?」
愛原「俺からのモーニングコールだ。ちゃんと起きて、着替えろよ?着替えたら、朝飯に行くぞ」
リサ「うん、分かった」
私は電話を切った。
どうやら、大丈夫のようだな。
私は、顔を洗いにバスルームに向かった。
[同日07時30分 天候:晴 同ホテル・レストラン“花茶屋”]
私とリサは、朝食会場に向かった。
リサ「先生、昨夜はゴメンね……」
愛原「あー、分かった分かった。こんなこともあろうかと、救急スプレー持ってきて良かったよ」
リサ「グリーンハーブは?」
愛原「それも持って来てる」
リサ「レッドハーブは?」
愛原「既に調合済みだ」
リサ「むー……。わたしって、そんなに信用無い?」
愛原「昨夜の行動で、信用があるとでも思っているのか?」
リサ「う……それを言われると……」
愛原「だろ?」
リサ「わたしの分は?」
愛原「いや、オマエは要らんだろ」
体にダメージを受けても、すぐに回復するので。
美人スタッフ「いらっしゃいませ。おはようございます」
愛原「おはようございまーすこちらのスタッフの方ですか?私、東京で探偵やっている者でして……」
リサ「ナンパすなっ!」
バリバリバリバリバリバリ(リサ、愛原を制止するかのように、後ろから羽交い絞めにし、電撃を放つ)
愛原「ぎゃあああっ!」
美人スタッフ「お、お客様!?」
リサ「大丈夫です。ちょっと感電しただけです。すぐに治ります」
美人スタッフ「は、はあ……」
それから……。
リサ「いただきまーす」
愛原「オマエ、人前で電撃食らわせるなよ……」
リサ「先生が悪いんじゃない。わたしという者がありながら、他の女に……!」
リサ、牙を剥き出し、『鬼の目』になって私を睨みつけた。
愛原「分かった!分かったから!」
リサ「全く……」
最近のビジネスホテルでは、サービス競争が激化している。
朝食サービスもその1つだ。
ビュッフェスタイルなのはベタな法則であるが、それを良いことに、リサは皿に山盛り、料理を載せている。
あと、ドリンクもドリンクバーである。
愛原「映画では、あんなシーンがあったな……」
リサ「何が?」
愛原「“大魔道師の弟子”。主人公のパートナーの魔女が、主人公が本人なのかどうかを確認する為に、自分の好みの飲み物を持って来させるというやり方」
リサ「ほおほお。それで?」
愛原「主人公の稲生勇太は、見事3つの紅茶のブレンドを入れて、パートナーの魔女に本物であることを証明した」
リサ「あれは面白い映画だったね。また観たいな」
愛原「そろそろDVDになっているから、DMMでレンタルできるかどうか探してみるさ」
リサ「もし違う飲み物を持って来てたら、どうなったのかな?」
愛原「『オマエは偽者だ!』とか言って、攻撃魔法でチュドーン!じゃない?」
リサ「なるほど。わたしも魔法使ってみたいなぁ……」
愛原「既に“ライディーン”使えるオマエが何を言う」
リサ「そっかぁ……。これ、魔法なんだ。血鬼術だと思ってた」
愛原「まあ、そうとも言うかもな。とにかく、使うのは敵だけだぞ?」
リサ「あと、先生の浮気対策」
愛原「おおっとぉ!聞こえない!聞こえないぞ!」
私は耳を塞いだ。
リサ「じゃあ、先生。先生が本物かどうか確かめるから、わたしの好きな飲み物持って来て」
愛原「オマエの場合、オレンジジュース一択だろうが。クイズにもならんよ」
リサ「はい、正解。先生、本物~」
愛原「あのなぁ……」
取りあえず、朝は平和なようだ。