[12月3日10時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 某不動産屋→内見先]
不動産屋「それでは御案内させて頂きます。この近くですので、徒歩での御案内とさせて頂きます」
愛原「はい。よろしくお願いします」
私は高橋やリサを伴い、不動産仲介業者と共に、新事務所兼住居の第一候補となる物件に足を運んだ。
私達が今住んでいるマンションは菊川1丁目になるが、その内見先は2丁目にあった。
具体的には1丁目よりも更に地下鉄菊川駅に近くなり、都営バスの『菊川駅前』バス停にも近くなる。
都道319号線(三ツ目通り)から一本路地に入った場所であった。
その路地は一方通行になっていて、車1台が通れる広さである。
大型でも乗用車クラスなら難無く通れるだろうが、中型以上のトラックは通れないと思った。
せいぜい、宅配便かコンビニ配送のトラックがやっとといった所だ。
それとて通る分にはなので、ここに止めて引っ越し作業をするとなると、少し厳しいものがあるかもしれない。
三ツ目通りに止めて行うことになるだろうか。
不動産屋「中へどうぞ」
見た目は鉄筋コンクリート4階建て。
今住んでいるマンションは築浅だが、ここはもう少し築年数は行っているようだ。
1階はガレージになっていて今は空き家になっている為、シャッターが閉じられている。
その横に、鉄格子タイプのシャッターがあった。
不動産屋が持っていた鍵でシャッターのスイッチボックスを開け、それでシャッターを開ける。
ガラスドアの玄関を開けると、すぐ上に上がる階段があった。
右側にもドアがあり、そこを開けると、ガレージに入れる。
ガレージは車が2台泊まれるスペースがあった。
一瞬、ここにトラックを突っ込んで……とも思ったが、せめて高さは3メートル無いと厳しいだろう。
愛原「……高橋。これ、3メートルあると思うか?」
高橋「……あると思います」
不動産屋「そうですね。ガレージの高さは3メートルあります」
愛原「元々、何の事務所が入ってたんですか?」
不動産屋「機械の保守、メンテナンスを行う企業さんでした」
愛原「なるほど、それで……」
トラックを使う機会もあったのかもしれない。
高橋「何で引越ししていったんスか?」
不動産屋「事業拡大の為だそうで。ここの事務所が手狭になったからとのことで、弊社の方で、もっと大きな事務所を御紹介させて頂きました」
何だか羨ましい話だ。
私もあやかりたい限りだ。
愛原「あれ?これ……」
そのガレージの奥なのだが、何とエレベーターがあった。
ホームエレベーターではなく、業務用のものだ。
小さなマンションにあるような……。
4階建てとはいえ、ビルとしては小規模の建物に、エレベーターなんて無いと思っていた。
不動産屋「あ、はい。エレベーターです」
今は電源が落ちている為、乗ることはできない。
インジゲーターを見ると、地下室は無く、普通に1階から4階まであった。
つまり、ここから直接住居エリアまで行けるということだ。
2階が事務所になっていて、先ほどの階段で上がる。
不動産屋「こちらが事務所スペースです」
愛原「なるほど……」
今の事務所よりは若干狭い。
今の事務所の、事務室部分のみといったところか。
ここに給湯室としてのシンクやトイレ、そしてエレベーターがあった。
空間を仕切る為には……衝立でも置いておくか。
リサ「良かった。トイレは洋式」
愛原「そりゃそうだろ」
不動産屋「因みに、こちらもトイレです」
愛原「ん!?」
洋式トイレの個室の隣にもう1つドアがあり、そこを開けると男子用小便器が1つあった。
高橋「まるでコンビニのトイレみたいっスね」
愛原「あー、確かにな」
洋式トイレは男女兼用だが、それとは別に男子用小便器がある。
その2つの個室の間に、手洗い用の洗面所がある。
なるほど。
コンビニのトイレなどでよく見かけるレイアウトだ。
不動産屋「住居部分、ご覧になりますか?」
愛原「はい、是非」
事務所に続いていた階段は更に上に続いているが、その前に門扉があった。
一戸建て住宅によくある、背の低い門扉。
それがビルの中にあるのは、どことなくシュールだ。
要はこうすることにより、事務所への来訪者が勝手に上がったりしないようにしているのだろう。
尚、郵便受けは先ほどのガラスドアの外側に付いている。
愛原「さすがに階段で3階まで上がるのは大変だな。エレベーターを使いたくなるよ」
高橋「先生、頑張ってください」
尚、階段は3階で終了である。
3階から4階への階段は、住居部分にあるという。
愛原「間取りは確か、4LDKでしたね?」
不動産屋「そうです」
高橋「マジっスか!?」
リサ「今の3LDKSより広い」
愛原「そうだな」
3階部分はダイニングやリビングがあり、和室もあった。
この和室が客間になるのかな?
風呂やトイレもここにある。
因みに、さすがに住居部分に小便器は無かった。
こちらもウォシュレット付きの洋式トイレで、リサもホッとしている。
4階部分は部屋が3つあった。
どれも洋室である。
不動産屋「因みに、屋上もありますよ」
愛原「ホントですか?」
屋上へは4階から外階段で上がる感じになっていた。
そこに物干し台がある。
洗濯物はここで干す想定になっているようだ。
確かにこのビル、ベランダが無い。
出窓はあるのだが……。
リサ「ここの屋上で遊べるね」
愛原「マンションと違って、騒音の心配も無いか」
菊川地区には高い建物は建っておらず、高くても10階以下のマンションがせいぜいなので、空は広く感じる。
愛原「あ、因みにエレベーターってどんな感じですか?」
不動産屋「あ、はい。こんな感じです」
エレベーターは4階に止まっていた。
これには理由があって、1階のガレージ、外の道路よりもやや低い位置にある。
これだと集中豪雨の時とか、水が入り込みやすい。
だからガレージの入口に、浸水防止用の衝立があったのだ。
エレベーターを1階に止めておくと、そうなった場合にエレベーターの中に水が浸入する恐れがある。
だから、空き家の時とかはエレベーターを上の階に止めておくのだそうだ。
不動産屋がエレベーターの電源を入れ、ドアを開けると……。
愛原「……狭いな」
さいたま市の斉藤家にもホームエレベーターがあったが、それとどっこいどっこいといった感じ。
内装はマンションや事務所のビルのそれのままであり、ホームエレベーターのような家庭的な雰囲気は無い。
また、ホームエレベーターの定員が2名ないし3名なのに対し、このエレベーターは4名となっていた。
これは今のマンションのエレベーターの定員6名よりも明らかに小さいし、事務所のエレベーターの定員9名よりももっと小さい。
とはいうものの、これがあるだけで、引越しの作業はだいぶ楽になるはずである。
不動産屋「どうされますか?」
これだけ条件がマッチしている物件、他にはあるまい。
愛原「皆はどう思う?」
リサ「わたしはいいと思う」
高橋「案外きれいですしね」
不動産屋「前の方が出られた後で、一応リニューアルはしましたので」
それで新築そっくりな雰囲気にはなっているわけだが、機械的な所にまでは手が入らなかったか、エレベーターの古さなどは目立っている。
恐らく、平成初期くらいの機種だと思われる。
愛原「分かりました。それでは、ここでお願いします」
不動産屋「ありがとうございます」
私はここで契約を決意した。
不動産屋「それでは御案内させて頂きます。この近くですので、徒歩での御案内とさせて頂きます」
愛原「はい。よろしくお願いします」
私は高橋やリサを伴い、不動産仲介業者と共に、新事務所兼住居の第一候補となる物件に足を運んだ。
私達が今住んでいるマンションは菊川1丁目になるが、その内見先は2丁目にあった。
具体的には1丁目よりも更に地下鉄菊川駅に近くなり、都営バスの『菊川駅前』バス停にも近くなる。
都道319号線(三ツ目通り)から一本路地に入った場所であった。
その路地は一方通行になっていて、車1台が通れる広さである。
大型でも乗用車クラスなら難無く通れるだろうが、中型以上のトラックは通れないと思った。
せいぜい、宅配便かコンビニ配送のトラックがやっとといった所だ。
それとて通る分にはなので、ここに止めて引っ越し作業をするとなると、少し厳しいものがあるかもしれない。
三ツ目通りに止めて行うことになるだろうか。
不動産屋「中へどうぞ」
見た目は鉄筋コンクリート4階建て。
今住んでいるマンションは築浅だが、ここはもう少し築年数は行っているようだ。
1階はガレージになっていて今は空き家になっている為、シャッターが閉じられている。
その横に、鉄格子タイプのシャッターがあった。
不動産屋が持っていた鍵でシャッターのスイッチボックスを開け、それでシャッターを開ける。
ガラスドアの玄関を開けると、すぐ上に上がる階段があった。
右側にもドアがあり、そこを開けると、ガレージに入れる。
ガレージは車が2台泊まれるスペースがあった。
一瞬、ここにトラックを突っ込んで……とも思ったが、せめて高さは3メートル無いと厳しいだろう。
愛原「……高橋。これ、3メートルあると思うか?」
高橋「……あると思います」
不動産屋「そうですね。ガレージの高さは3メートルあります」
愛原「元々、何の事務所が入ってたんですか?」
不動産屋「機械の保守、メンテナンスを行う企業さんでした」
愛原「なるほど、それで……」
トラックを使う機会もあったのかもしれない。
高橋「何で引越ししていったんスか?」
不動産屋「事業拡大の為だそうで。ここの事務所が手狭になったからとのことで、弊社の方で、もっと大きな事務所を御紹介させて頂きました」
何だか羨ましい話だ。
私もあやかりたい限りだ。
愛原「あれ?これ……」
そのガレージの奥なのだが、何とエレベーターがあった。
ホームエレベーターではなく、業務用のものだ。
小さなマンションにあるような……。
4階建てとはいえ、ビルとしては小規模の建物に、エレベーターなんて無いと思っていた。
不動産屋「あ、はい。エレベーターです」
今は電源が落ちている為、乗ることはできない。
インジゲーターを見ると、地下室は無く、普通に1階から4階まであった。
つまり、ここから直接住居エリアまで行けるということだ。
2階が事務所になっていて、先ほどの階段で上がる。
不動産屋「こちらが事務所スペースです」
愛原「なるほど……」
今の事務所よりは若干狭い。
今の事務所の、事務室部分のみといったところか。
ここに給湯室としてのシンクやトイレ、そしてエレベーターがあった。
空間を仕切る為には……衝立でも置いておくか。
リサ「良かった。トイレは洋式」
愛原「そりゃそうだろ」
不動産屋「因みに、こちらもトイレです」
愛原「ん!?」
洋式トイレの個室の隣にもう1つドアがあり、そこを開けると男子用小便器が1つあった。
高橋「まるでコンビニのトイレみたいっスね」
愛原「あー、確かにな」
洋式トイレは男女兼用だが、それとは別に男子用小便器がある。
その2つの個室の間に、手洗い用の洗面所がある。
なるほど。
コンビニのトイレなどでよく見かけるレイアウトだ。
不動産屋「住居部分、ご覧になりますか?」
愛原「はい、是非」
事務所に続いていた階段は更に上に続いているが、その前に門扉があった。
一戸建て住宅によくある、背の低い門扉。
それがビルの中にあるのは、どことなくシュールだ。
要はこうすることにより、事務所への来訪者が勝手に上がったりしないようにしているのだろう。
尚、郵便受けは先ほどのガラスドアの外側に付いている。
愛原「さすがに階段で3階まで上がるのは大変だな。エレベーターを使いたくなるよ」
高橋「先生、頑張ってください」
尚、階段は3階で終了である。
3階から4階への階段は、住居部分にあるという。
愛原「間取りは確か、4LDKでしたね?」
不動産屋「そうです」
高橋「マジっスか!?」
リサ「今の3LDKSより広い」
愛原「そうだな」
3階部分はダイニングやリビングがあり、和室もあった。
この和室が客間になるのかな?
風呂やトイレもここにある。
因みに、さすがに住居部分に小便器は無かった。
こちらもウォシュレット付きの洋式トイレで、リサもホッとしている。
4階部分は部屋が3つあった。
どれも洋室である。
不動産屋「因みに、屋上もありますよ」
愛原「ホントですか?」
屋上へは4階から外階段で上がる感じになっていた。
そこに物干し台がある。
洗濯物はここで干す想定になっているようだ。
確かにこのビル、ベランダが無い。
出窓はあるのだが……。
リサ「ここの屋上で遊べるね」
愛原「マンションと違って、騒音の心配も無いか」
菊川地区には高い建物は建っておらず、高くても10階以下のマンションがせいぜいなので、空は広く感じる。
愛原「あ、因みにエレベーターってどんな感じですか?」
不動産屋「あ、はい。こんな感じです」
エレベーターは4階に止まっていた。
これには理由があって、1階のガレージ、外の道路よりもやや低い位置にある。
これだと集中豪雨の時とか、水が入り込みやすい。
だからガレージの入口に、浸水防止用の衝立があったのだ。
エレベーターを1階に止めておくと、そうなった場合にエレベーターの中に水が浸入する恐れがある。
だから、空き家の時とかはエレベーターを上の階に止めておくのだそうだ。
不動産屋がエレベーターの電源を入れ、ドアを開けると……。
愛原「……狭いな」
さいたま市の斉藤家にもホームエレベーターがあったが、それとどっこいどっこいといった感じ。
内装はマンションや事務所のビルのそれのままであり、ホームエレベーターのような家庭的な雰囲気は無い。
また、ホームエレベーターの定員が2名ないし3名なのに対し、このエレベーターは4名となっていた。
これは今のマンションのエレベーターの定員6名よりも明らかに小さいし、事務所のエレベーターの定員9名よりももっと小さい。
とはいうものの、これがあるだけで、引越しの作業はだいぶ楽になるはずである。
不動産屋「どうされますか?」
これだけ条件がマッチしている物件、他にはあるまい。
愛原「皆はどう思う?」
リサ「わたしはいいと思う」
高橋「案外きれいですしね」
不動産屋「前の方が出られた後で、一応リニューアルはしましたので」
それで新築そっくりな雰囲気にはなっているわけだが、機械的な所にまでは手が入らなかったか、エレベーターの古さなどは目立っている。
恐らく、平成初期くらいの機種だと思われる。
愛原「分かりました。それでは、ここでお願いします」
不動産屋「ありがとうございます」
私はここで契約を決意した。