報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「愛原家の引越し前段階」 2

2023-05-16 20:14:07 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月3日10時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 某不動産屋→内見先]

 不動産屋「それでは御案内させて頂きます。この近くですので、徒歩での御案内とさせて頂きます」
 愛原「はい。よろしくお願いします」

 私は高橋やリサを伴い、不動産仲介業者と共に、新事務所兼住居の第一候補となる物件に足を運んだ。
 私達が今住んでいるマンションは菊川1丁目になるが、その内見先は2丁目にあった。
 具体的には1丁目よりも更に地下鉄菊川駅に近くなり、都営バスの『菊川駅前』バス停にも近くなる。
 都道319号線(三ツ目通り)から一本路地に入った場所であった。
 その路地は一方通行になっていて、車1台が通れる広さである。
 大型でも乗用車クラスなら難無く通れるだろうが、中型以上のトラックは通れないと思った。
 せいぜい、宅配便かコンビニ配送のトラックがやっとといった所だ。
 それとて通る分にはなので、ここに止めて引っ越し作業をするとなると、少し厳しいものがあるかもしれない。
 三ツ目通りに止めて行うことになるだろうか。

 不動産屋「中へどうぞ」

 見た目は鉄筋コンクリート4階建て。
 今住んでいるマンションは築浅だが、ここはもう少し築年数は行っているようだ。
 1階はガレージになっていて今は空き家になっている為、シャッターが閉じられている。
 その横に、鉄格子タイプのシャッターがあった。
 不動産屋が持っていた鍵でシャッターのスイッチボックスを開け、それでシャッターを開ける。
 ガラスドアの玄関を開けると、すぐ上に上がる階段があった。
 右側にもドアがあり、そこを開けると、ガレージに入れる。
 ガレージは車が2台泊まれるスペースがあった。
 一瞬、ここにトラックを突っ込んで……とも思ったが、せめて高さは3メートル無いと厳しいだろう。

 愛原「……高橋。これ、3メートルあると思うか?」
 高橋「……あると思います」
 不動産屋「そうですね。ガレージの高さは3メートルあります」
 愛原「元々、何の事務所が入ってたんですか?」
 不動産屋「機械の保守、メンテナンスを行う企業さんでした」
 愛原「なるほど、それで……」

 トラックを使う機会もあったのかもしれない。

 高橋「何で引越ししていったんスか?」
 不動産屋「事業拡大の為だそうで。ここの事務所が手狭になったからとのことで、弊社の方で、もっと大きな事務所を御紹介させて頂きました」

 何だか羨ましい話だ。
 私もあやかりたい限りだ。

 愛原「あれ?これ……」

 そのガレージの奥なのだが、何とエレベーターがあった。
 ホームエレベーターではなく、業務用のものだ。
 小さなマンションにあるような……。
 4階建てとはいえ、ビルとしては小規模の建物に、エレベーターなんて無いと思っていた。

 不動産屋「あ、はい。エレベーターです」

 今は電源が落ちている為、乗ることはできない。
 インジゲーターを見ると、地下室は無く、普通に1階から4階まであった。
 つまり、ここから直接住居エリアまで行けるということだ。
 2階が事務所になっていて、先ほどの階段で上がる。

 不動産屋「こちらが事務所スペースです」
 愛原「なるほど……」

 今の事務所よりは若干狭い。
 今の事務所の、事務室部分のみといったところか。
 ここに給湯室としてのシンクやトイレ、そしてエレベーターがあった。
 空間を仕切る為には……衝立でも置いておくか。

 リサ「良かった。トイレは洋式」
 愛原「そりゃそうだろ」
 不動産屋「因みに、こちらもトイレです」
 愛原「ん!?」

 洋式トイレの個室の隣にもう1つドアがあり、そこを開けると男子用小便器が1つあった。

 高橋「まるでコンビニのトイレみたいっスね」
 愛原「あー、確かにな」

 洋式トイレは男女兼用だが、それとは別に男子用小便器がある。
 その2つの個室の間に、手洗い用の洗面所がある。
 なるほど。
 コンビニのトイレなどでよく見かけるレイアウトだ。

 不動産屋「住居部分、ご覧になりますか?」
 愛原「はい、是非」

 事務所に続いていた階段は更に上に続いているが、その前に門扉があった。
 一戸建て住宅によくある、背の低い門扉。
 それがビルの中にあるのは、どことなくシュールだ。
 要はこうすることにより、事務所への来訪者が勝手に上がったりしないようにしているのだろう。
 尚、郵便受けは先ほどのガラスドアの外側に付いている。

 愛原「さすがに階段で3階まで上がるのは大変だな。エレベーターを使いたくなるよ」
 高橋「先生、頑張ってください」

 尚、階段は3階で終了である。
 3階から4階への階段は、住居部分にあるという。

 愛原「間取りは確か、4LDKでしたね?」
 不動産屋「そうです」
 高橋「マジっスか!?」
 リサ「今の3LDKSより広い」
 愛原「そうだな」

 3階部分はダイニングやリビングがあり、和室もあった。
 この和室が客間になるのかな?
 風呂やトイレもここにある。
 因みに、さすがに住居部分に小便器は無かった。
 こちらもウォシュレット付きの洋式トイレで、リサもホッとしている。
 4階部分は部屋が3つあった。
 どれも洋室である。

 不動産屋「因みに、屋上もありますよ」
 愛原「ホントですか?」

 屋上へは4階から外階段で上がる感じになっていた。
 そこに物干し台がある。
 洗濯物はここで干す想定になっているようだ。
 確かにこのビル、ベランダが無い。
 出窓はあるのだが……。

 リサ「ここの屋上で遊べるね」
 愛原「マンションと違って、騒音の心配も無いか」

 菊川地区には高い建物は建っておらず、高くても10階以下のマンションがせいぜいなので、空は広く感じる。

 愛原「あ、因みにエレベーターってどんな感じですか?」
 不動産屋「あ、はい。こんな感じです」

 エレベーターは4階に止まっていた。
 これには理由があって、1階のガレージ、外の道路よりもやや低い位置にある。
 これだと集中豪雨の時とか、水が入り込みやすい。
 だからガレージの入口に、浸水防止用の衝立があったのだ。
 エレベーターを1階に止めておくと、そうなった場合にエレベーターの中に水が浸入する恐れがある。
 だから、空き家の時とかはエレベーターを上の階に止めておくのだそうだ。
 不動産屋がエレベーターの電源を入れ、ドアを開けると……。

 愛原「……狭いな」

 さいたま市の斉藤家にもホームエレベーターがあったが、それとどっこいどっこいといった感じ。
 内装はマンションや事務所のビルのそれのままであり、ホームエレベーターのような家庭的な雰囲気は無い。
 また、ホームエレベーターの定員が2名ないし3名なのに対し、このエレベーターは4名となっていた。
 これは今のマンションのエレベーターの定員6名よりも明らかに小さいし、事務所のエレベーターの定員9名よりももっと小さい。
 とはいうものの、これがあるだけで、引越しの作業はだいぶ楽になるはずである。

 不動産屋「どうされますか?」

 これだけ条件がマッチしている物件、他にはあるまい。

 愛原「皆はどう思う?」
 リサ「わたしはいいと思う」
 高橋「案外きれいですしね」
 不動産屋「前の方が出られた後で、一応リニューアルはしましたので」

 それで新築そっくりな雰囲気にはなっているわけだが、機械的な所にまでは手が入らなかったか、エレベーターの古さなどは目立っている。
 恐らく、平成初期くらいの機種だと思われる。

 愛原「分かりました。それでは、ここでお願いします」
 不動産屋「ありがとうございます」

 私はここで契約を決意した。
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“私立探偵 愛原学” 「愛原家の引越し前段階」

2023-05-16 16:16:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月2日16時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 リサ「ヨドバシ、トイレが終わったら次は給湯室!」
 淀橋「分かりました!」
 リサ「コジマは応接室やって!」
 小島「はーい!」

 ヒマな時のアルバイトとして、事務所の掃除に来てくれる『魔王軍』のメンバー。
 夏場はリサの命令で体操服にブルマ姿でやってくれるが、さすがに暦の上では冬の今の時期は、リサ以外はジャージである。
 学校指定のものであり、スクールカラーの緑を基調としたものである。
 ブルマもまた、かつて学校指定だったものを再現したもの。
 ギリギリ在庫のあったものをリサは手に入れていたのだが、変化後はサイズが合わなくなったので、別メーカーの似たような色のブルマを穿いている。
 尚、東京中央学園では脇にラインが入ることはなく、無地である。
 これは、スカートの下にインナーとして穿く時、違和感が無いように考慮したものだという。

 愛原「すまないねぇ、皆……」
 高橋「掃除なら、俺の知り合い達も呼んできますが?」
 愛原「後で警察にお掃除される恐れがあるので、遠慮しておくよ」

 そこまで言って、ふと気づく……。

 愛原「掃除は遠慮しておくにしても、力仕事は頼めたりするかな?」
 高橋「バッチ来いです!」
 愛原「いや、明日内見に行く物件なんだが、もしもそこに決めた場合、結局はこの近くなんだよな。別に引っ越し業者としても売り上げになるだろうから嫌がらないだろうが、できれば安く抑えたい」
 高橋「なるほど。それなら大丈夫っスよ。ケンカと力仕事だけが自慢の脳筋連中なら、何人か集められますよ」
 愛原「いや、ケンカはせんよ?……でもまあ、それは助かる」
 高橋「どんなのがいいっスか?」
 愛原「まず、近くとはいえ、大きな荷物を運ぶわけだから、トラックを運転できる奴がいいな」
 高橋「大丈夫っス。産廃業でトラック乗り回してるヤツがいるんで、そいつを呼びますよ」
 愛原「産廃業者か……。積んでいるのはゴミじゃないから、なるべく丁寧な運転をしてもらいたいもんだ」
 高橋「俺から言っときますよ。あとは?」
 愛原「まあ、重い什器とか運んでもらうわけだから、やっぱ力仕事ができるヤツがいいな」
 高橋「任せてください」
 愛原「あれだぞ?梱包とかできる人間、呼んでくれよ?」
 高橋「大丈夫っス。運送屋で働ているのがいるんで、そいつは梱包できるはずっス」
 愛原「そうか……って、運送会社に知り合いいんの!?」
 高橋「は、はい。主に家具とか運んでる会社だってんで、普段の荷物からして、力仕事には自信があるはずですよ?」
 愛原「そこに頼めばいいんじゃん!そこの会社、紹介してくれよ?」
 高橋「わ、分かりました」
 愛原「この近くなの?」
 高橋「江東区にある運送会社っス」
 愛原「江東区か。隣の区だな。家具を普段から運んでる会社ってことは、引越しとかもやってるんじゃないの?」
 高橋「どうっスかねぇ……。ちょっと、聞いてみます」
 愛原「頼むよ?」

 高橋はスマホを取り出した。
 それで、その知り合いにLINEを送っているようだった。
 そして……。

 高橋「どうも、引越しは専業でやってるわけじゃないみたいっスね」
 愛原「そうなのか」
 高橋「あいつの会社、主にメーカーから集荷して、運送会社の倉庫に運んだり、そこからニトリとか島忠とかに配送する仕事らしいんで」
 愛原「じゃあ、引越しは頼めないか」
 高橋「ただ、『運ぶだけ』ならできるって話です」
 愛原「運ぶだけ?」
 高橋「はい。よく引っ越し会社にある、梱包サービスとか、荷解きサービスとかはできないらしいんスけど、既に梱包された物を運ぶだけならできるって言ってました」
 愛原「……なるほどな」
 高橋「家具屋って所は、冬場は暇らしいんですよ。忙しいのは、やっぱ年度末とかで……」
 愛原「そうか。引越し業者も、正にそのシーズンである年度末が一番忙しいっていうな!」
 高橋「はい。で、引越しを機に家具を買い替えるってパターンらしいんですね」
 愛原「はいはい!そういうことか。じゃあ、逆に今頼むくらいの方がいいのか?」
 高橋「そういうことになります」

 学習机がメーカーから出るシーズンではあるが、これとて本番は冬休み以降だろう。

 愛原「じゃあ、こうしよう。梱包とか荷解きとかは、高橋の力自慢の友達にお願いしよう。運ぶのは、高橋の知り合いの運送会社にお願いする」
 高橋「なるべく値引きするよう、俺からも言っておきます」
 愛原「頼むよ。掃除とかは……『魔王軍』にお願いするか」
 リサ「任せて!」
 高橋「いいから、オメーは掃除しろ」
 リサ「はーい」

 リサ、高橋に掃除機を当てる。

 高橋「俺を掃除すんじゃねぇーっ!」
 愛原「来週の月曜日、その運送会社に行ってくるか」
 高橋「車なら俺が出しますよ。免停なら、もう解除になったんで」
 愛原「ああ、頼むよ」

[同日17時00分 天候:晴 同事務所]

 高橋は夕食の支度の為に、先にマンションに帰って行った。
 引越しをすれば、こういう煩わしさも無くなるだろう。

 リサ「先生、掃除終わったー」
 愛原「ご苦労さん。はい、バイト代」
 淀橋「ありがとうございます!」

 私は封筒に入った現金を、『魔王軍』『四天王』の2人に渡した。
 尚、残りの2人のうち、上野凛は陸上部の部活があり、残りの桜谷さんは生理中の為、パス。

 愛原「もし良かったら、シャワー室あるから、使っていいよ」
 淀橋「ありがとうございます」
 小島「冬に入っても、さすがに体を動かすと汗かきますね」
 愛原「そのままじゃ風邪引くだろうし、そうなったら申し訳ないから」
 リサ「先生、わたしは?」
 愛原「新型コロナウィルスでさえ食い殺すGウィルスの持ち主が何を言う?」

 ましてや、旧型コロナウィルス(ただの風邪)程度なら、むしろリサのGウィルスを見て慌てて逃げ出すことだろう。
 しかも今、特異菌ともタッグを組んでいる状態らしい。

 リサ「シャワー使用料、1回500円」
 小島「えーっ!」
 愛原「なにしれっとカツ上げしてんだよ。タダでいい!タダで!」
 リサ「それなら、そんな先生の大慈大悲に報恩感謝の念を添えて。はい、ジャージ脱いで」
 淀橋「きゃっ!」

 リサは淀橋さんと小島さんのジャージのズボンを脱がした。
 その下は、リサと同じブルマを穿いている。
 同じ緑でも少し違うのは、既に学校指定の物は製造中止になっており、別のメーカーからそれと似たようなものをそれぞれ購入したからである。
 基本はリサが購入したメーカーに揃えるようになっているようだが、そのリサ自身も、最初は2着購入して、2着とも違うメーカーだったので、そこで統一性が阻害されてしまっているのだ。

 リサ「はい、先生。現役JKのブルマ」
 愛原「どうもありがとう」

 私はリサの好意に答える為、自分のスマホで3人の少女を撮影した。
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