[12月24日12時06分 天候:曇 東京都中央区日本橋浜町 都営地下鉄浜町駅]
〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。はまちょう、浜町。明治座前〕
……何も起こらなかった。
私達を乗せた電車は、無事に浜町駅に到着した。
とにかく、電車を降りる。
浜町駅はカーブの途中にあるので、ホームもカーブしている。
〔1番線、ドアが閉まります〕
電車は短い発車メロディを鳴らした後、ドアを閉めて発車して行った。
そして、カーブの先のトンネルの向こうへと消えて行く。
私達はエスカレーターで、改札口を目指した。
愛原「あっ、善場主任……」
改札口の前には、善場主任が立っていた。
善場「お疲れ様です。愛原所長」
愛原「お疲れ様です」
善場主任は絵恋と早苗を、険しい顔で見比べた。
我那覇絵恋「な、何ですか?」
善場「ふーむ……。相当、特異菌に感染しているようね」
絵恋「特異菌?」
リサ「エレンも適合者。だから、モールデッドにはならない?」
善場「さて、どうかしら……」
そして、善場主任は早苗を見た。
善場「あなたが、斉藤早苗さんね?それとも……白井伝三郎と呼んだ方がいいのかしら?」
いきなりの主任の発言に、私と高橋、リサは息を呑んだ。
絵恋「白井?誰ですか?」
早苗「誰ですか、それ?」
善場「ほお……そう来るわけね」
早苗「私は斉藤早苗ですよ」
善場「まあいいわ。後で調べれば分かることだから。それより、お腹空いたでしょ?この近くのファミレスに行きましょう」
リサ「おー!善場さんの奢り!」
愛原「こら、リサ!」
善場「ウィルス検査を呼び掛けたのは、私ですから、私が持ちますよ。このコ達だけですけど……」
愛原「ですよね」
高橋「おい、そりゃ無ェぜ、姉ちゃん!」
善場「……次の検察庁からの呼び出し、いつになるかしら?確か、起訴猶予でしたっけ?不起訴ではなく、起訴猶予ですよね?」
高橋「くっ……くくっ……!」
愛原「高橋、ここは逆らうな。オマエを起訴じゃなく、起訴猶予にできる力を持っている機関の方だぞ?」
リサ「先生の命令は絶対!」
愛原「というわけで善場主任、私と高橋の分は自分達で出しますから」
善場「所長は御理解が早く、助かります」
食事代の件といい、ここからは善場主任がルールになるから、私達はそれに従うべきである。
[同日13時15分 天候:晴 中央区日本橋浜町 某クリニック]
私達は近くのファミレスで昼食を取った。
リサのヤツ、昼食だというのにステーキを注文しやがった。
ただまあ、善場主任にとっては想定内だったようだ。
私と高橋は、チキンステーキやハンバーグにしておいたが。
意外なのは、斉藤早苗さんも同じステーキを注文したこと。
そして、善場主任の言葉……。
善場「ちょっと、口の中を見せてくれる?」
と、早苗に迫った。
早苗「はい」
早苗はパカッと口を開けた。
すると!
リサ「牙が生えてる!?」
善場「やっぱり!」
愛原「キミも鬼か!?」
しかし、早苗は動じない。
早苗「ただの生まれつきですよ。この通り、歯並びが悪いんです」
高橋「歯並びの問題じゃねーだろ……」
善場「あくまでも、シラを切るつもりね」
そういうやり取りがあった昼食だった。
リサ「着替えた」
3人の少女は、検査着に着替えた。
ピンク色の検査着だった。
善場「愛原所長方は、適当にお待ち頂いて結構です」
愛原「はあ……」
高橋「俺、一服してきます」
愛原「俺も行こう」
高橋「マジっスか?」
愛原「ああ」
リサ「えー……先生、行っちゃうの?」
愛原「同じフロアに、喫煙所や自販機コーナーがあるから、そこに行くだけだよ。一服し終わったら、また戻って来るよ」
レントゲン技師「愛原リサさん。お入りください」
リサ「は、はい!」
愛原「ほら、言っといで」
私はレントゲン室にリサを送ると、一旦クリニックを出た。
そして、同じフロアにあるリフレッシュルームに向かった。
このフロアには他に共用設備として給湯室の他、クリニック内にあるものとは別にトイレがある。
愛原「喫煙室、他に誰かいるか?」
高橋「今のところ、いませんね」
恐らく、昼休みが終わって間もないからだろう。
私と高橋は自販機で飲み物を買うと、喫煙室に入った。
高橋はすぐにタバコを取り出して火を点ける。
高橋「大丈夫スか?」
愛原「ああ、何とか。それより、あいつらのことだ」
高橋「そうですね。ぶっちゃけ、リサは検査しなくていいんじゃないスか?」
愛原「まあ、リサに関してはついでみたいなこところがあるな。俺が気になるのは、早苗の態度だ。まるで、何もかも想定内といった感じに余裕しゃくしゃくって感じだ」
高橋「そうっスね」
愛原「牙のこともそうだし……。それに、早苗のヤツはリサと違って本当に人食いしている可能性がある」
高橋「マジっスか!?」
愛原「リサが言ってたんだ。『人食いをしないと出ない体臭がする』って」
高橋「あのリサが言うくらいですから、もしかすると……」
愛原「なー?もしかしたら、この検査で何か分かるかもしれんが、分からないかもしれない」
高橋「がっつり検査するのに!?」
愛原「そう」
高橋「そんなことができるんスか?」
愛原「知らん。普通はできないはずなんだけどな。でも、あの態度を見ていると、検査すら誤魔化せる。そんな気がするんだよ」
その時、別の喫煙者が入室してきた。
愛原「じゃ、俺は外で待ってるから」
高橋「はい」
私は缶コーヒー片手に、喫煙室の外に出た。
そして、自販機コーナーの前にあるベンチに座って高橋を待つことにした。
〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。はまちょう、浜町。明治座前〕
……何も起こらなかった。
私達を乗せた電車は、無事に浜町駅に到着した。
とにかく、電車を降りる。
浜町駅はカーブの途中にあるので、ホームもカーブしている。
〔1番線、ドアが閉まります〕
電車は短い発車メロディを鳴らした後、ドアを閉めて発車して行った。
そして、カーブの先のトンネルの向こうへと消えて行く。
私達はエスカレーターで、改札口を目指した。
愛原「あっ、善場主任……」
改札口の前には、善場主任が立っていた。
善場「お疲れ様です。愛原所長」
愛原「お疲れ様です」
善場主任は絵恋と早苗を、険しい顔で見比べた。
我那覇絵恋「な、何ですか?」
善場「ふーむ……。相当、特異菌に感染しているようね」
絵恋「特異菌?」
リサ「エレンも適合者。だから、モールデッドにはならない?」
善場「さて、どうかしら……」
そして、善場主任は早苗を見た。
善場「あなたが、斉藤早苗さんね?それとも……白井伝三郎と呼んだ方がいいのかしら?」
いきなりの主任の発言に、私と高橋、リサは息を呑んだ。
絵恋「白井?誰ですか?」
早苗「誰ですか、それ?」
善場「ほお……そう来るわけね」
早苗「私は斉藤早苗ですよ」
善場「まあいいわ。後で調べれば分かることだから。それより、お腹空いたでしょ?この近くのファミレスに行きましょう」
リサ「おー!善場さんの奢り!」
愛原「こら、リサ!」
善場「ウィルス検査を呼び掛けたのは、私ですから、私が持ちますよ。このコ達だけですけど……」
愛原「ですよね」
高橋「おい、そりゃ無ェぜ、姉ちゃん!」
善場「……次の検察庁からの呼び出し、いつになるかしら?確か、起訴猶予でしたっけ?不起訴ではなく、起訴猶予ですよね?」
高橋「くっ……くくっ……!」
愛原「高橋、ここは逆らうな。オマエを起訴じゃなく、起訴猶予にできる力を持っている機関の方だぞ?」
リサ「先生の命令は絶対!」
愛原「というわけで善場主任、私と高橋の分は自分達で出しますから」
善場「所長は御理解が早く、助かります」
食事代の件といい、ここからは善場主任がルールになるから、私達はそれに従うべきである。
[同日13時15分 天候:晴 中央区日本橋浜町 某クリニック]
私達は近くのファミレスで昼食を取った。
リサのヤツ、昼食だというのにステーキを注文しやがった。
ただまあ、善場主任にとっては想定内だったようだ。
私と高橋は、チキンステーキやハンバーグにしておいたが。
意外なのは、斉藤早苗さんも同じステーキを注文したこと。
そして、善場主任の言葉……。
善場「ちょっと、口の中を見せてくれる?」
と、早苗に迫った。
早苗「はい」
早苗はパカッと口を開けた。
すると!
リサ「牙が生えてる!?」
善場「やっぱり!」
愛原「キミも鬼か!?」
しかし、早苗は動じない。
早苗「ただの生まれつきですよ。この通り、歯並びが悪いんです」
高橋「歯並びの問題じゃねーだろ……」
善場「あくまでも、シラを切るつもりね」
そういうやり取りがあった昼食だった。
リサ「着替えた」
3人の少女は、検査着に着替えた。
ピンク色の検査着だった。
善場「愛原所長方は、適当にお待ち頂いて結構です」
愛原「はあ……」
高橋「俺、一服してきます」
愛原「俺も行こう」
高橋「マジっスか?」
愛原「ああ」
リサ「えー……先生、行っちゃうの?」
愛原「同じフロアに、喫煙所や自販機コーナーがあるから、そこに行くだけだよ。一服し終わったら、また戻って来るよ」
レントゲン技師「愛原リサさん。お入りください」
リサ「は、はい!」
愛原「ほら、言っといで」
私はレントゲン室にリサを送ると、一旦クリニックを出た。
そして、同じフロアにあるリフレッシュルームに向かった。
このフロアには他に共用設備として給湯室の他、クリニック内にあるものとは別にトイレがある。
愛原「喫煙室、他に誰かいるか?」
高橋「今のところ、いませんね」
恐らく、昼休みが終わって間もないからだろう。
私と高橋は自販機で飲み物を買うと、喫煙室に入った。
高橋はすぐにタバコを取り出して火を点ける。
高橋「大丈夫スか?」
愛原「ああ、何とか。それより、あいつらのことだ」
高橋「そうですね。ぶっちゃけ、リサは検査しなくていいんじゃないスか?」
愛原「まあ、リサに関してはついでみたいなこところがあるな。俺が気になるのは、早苗の態度だ。まるで、何もかも想定内といった感じに余裕しゃくしゃくって感じだ」
高橋「そうっスね」
愛原「牙のこともそうだし……。それに、早苗のヤツはリサと違って本当に人食いしている可能性がある」
高橋「マジっスか!?」
愛原「リサが言ってたんだ。『人食いをしないと出ない体臭がする』って」
高橋「あのリサが言うくらいですから、もしかすると……」
愛原「なー?もしかしたら、この検査で何か分かるかもしれんが、分からないかもしれない」
高橋「がっつり検査するのに!?」
愛原「そう」
高橋「そんなことができるんスか?」
愛原「知らん。普通はできないはずなんだけどな。でも、あの態度を見ていると、検査すら誤魔化せる。そんな気がするんだよ」
その時、別の喫煙者が入室してきた。
愛原「じゃ、俺は外で待ってるから」
高橋「はい」
私は缶コーヒー片手に、喫煙室の外に出た。
そして、自販機コーナーの前にあるベンチに座って高橋を待つことにした。