報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「日曜日の夕方から夜」

2024-11-14 20:22:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月11日16時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家]

 私とリサはレイチェルと別れた後、近所のスーパーに立ち寄って、夕食や明日の食材などを買って来た。

 愛原「今日の夕食は、シチューだそうだ」

 これなら沢山作っても、リサが食べる為。
 買ったのは牛肉なので、ビーフシチューになるだろう。
 カレー用・シチュー用のゴロゴロ肉だけでなく、安いブツ切り肉も購入しておいた。
 リサが沢山食べる為。
 もちろん、他の具材となる野菜を購入するのも忘れない。
 ニンジンやジャガイモは定番で、セロリや玉ねぎもオーソドックスだろう。
 あとはビーフシチューの素とか。

 リサ「それはいいね!」
 愛原「ただいまァ」
 パール「お帰りなさい」
 愛原「頼まれていた食材、買ってきたぞ」
 パール「ありがとうございます」
 愛原「はい、ポイントカード返すよ」

 私はパールのポイントカードを返した。
 スーパーで買い物するとポイントが付いたり、貯まったポイントを使えたりするのだが、私はパールのカードを使ってポイントを貯めてあげるに留めた。
 貯まったポイントは、パールが個人的に使っていいことにしている。

 パール「では、夕食の準備に取り掛かります」
 リサ「わたしも手伝うー」

 この家に住み込む為の条件として、寮費を取らない代わりに家事をやってもらうことにしているのだが、それまで高橋と分担できたものが、今はパール1人になってしまった為。
 もちろん私も手伝える時は手伝うのだが、やはり殆どがパール1人でやることが多いのが実情だ。
 それに応える為というのは何だが、ポイントを貯めて使わせてあげるのも報酬の一部だ。
 今回はリサが手伝うようだが。
 シチューは煮込んだりするのに時間が掛かるので、今から取り掛かるのだろう。
 私は残った食材を冷蔵庫や冷凍庫にしまった。
 明日は平日なので、御飯食になるだろう。
 その為の魚も買ってきた。
 リサのヤツは、骨ごとバリボリ食べそうだがな。

 愛原「俺は善場係長にメール送っておく。どうせ日曜日だから今日は返信来ないだろうが、質問したいことや報告したいことがあるからな」
 パール「分かりました」
 リサ「…………」

 リサはレイチェルの話を思い出して、俯いてしまった。
 仮に高橋に執行猶予が付いて釈放されたとしても、BSAAに拘束されるばかりか、そのままアメリカの北米支部“コネクション”対策本部に連行される恐れがある。
 BSAAの本部自体はヨーロッパにあるのだが、どうも最近、あそこでは内紛が起きているようで、その……あまり宜しくない状況なのだそうだ。
 最近のBSAAが強権的になったのは、そのせいだとも言われている。
 今のところはまだ正常な状態の他支部だけでもしっかりしようという心意気の現れなのかもしれないが。
 そういった意味では、世界から見ても進捗の遅い日本の裁判制度には感謝しておいた方がいいかも。
 私はリビングに移って、スマホで善場係長にメールを打った。

 愛原「これでよし」

[同日18時00分 天候:晴 同地区 愛原家3階ダイニング]

 

 メインディッシュは予定通り、ビーフシチュー。

 愛原「梅雨寒の日もあるとはいえ、もうすぐ夏。鍋やシチューのシーズンも、そろそろ終わり。名残のシチューといったところか」
 リサ「私は夏でもいいけどね」
 パール「冷たいスープのガスパチョを、埼玉の家にいた時に作ったことがあります。あれなら夏向きですよ」
 愛原「そうだな。暑い時季になったら頼む」
 パール「かしこまりました」
 愛原「では、頂くとしましょう」
 リサ「いただきまーす!」

 案の定、リサは1人分のボウルに盛られた分だけでは満足できず、何杯もお代わりした。
 不健康な程の食事量だが、食べた物は体内に宿しているGウィルスが自分のエネルギーにしてしまうので、リサ本体に回るエネルギーは大したものではない。
 その為、リサの体型は昔は平均以下のロリ体型であった。
 今は“鬼ころし”で一時的にGウィルスを弱らせることで多少体が成長し、高校3年生女子の平均体型に何とか届くまでになっている。
 また、暴走直前に何度も嘔吐した際、Gウィルスも吐瀉した為、それが却って体の成長を促すこととなった。
 Gウィルスが安定している現在、また成長が著しく停滞している状態だが、おかげで少しは胸が大きくなったらしい。

 愛原「じゃあ、服とか下着とかキツいんじゃないの?」
 リサ「服は大丈夫だね。ただ、ブラが少しキツいかも」
 パール「アジャスター付きの物で、少し伸ばした状態なわけですね?」
 リサ「そうそう。あとはゆったりしたスポブラだから、そうでもないし」
 愛原「合わなくなったらすぐに言えよ。サイズに合う物を着けるべきだろう」
 リサ「そうだね」

 東京中央学園は既に衣替えが終わっており、夏服となっている。
 夏服の中にはブラウスだけでなく、ポロシャツもある。
 ポロシャツの方がゆったりしていて良いかもしれない。

 愛原「あれ?」

 食べていると、テーブルの脇に置いていた私のスマホから通知音が鳴った。
 それはメールが着信した通知音だった。
 私が見て見ると、それと善場係長から。
 日曜日であるにも関わらず、出勤されているのだろうか。
 内容は、『内容、確認しました。高橋被告の手紙も気になりますので、その確認も含めまして、明日お伺いしても宜しいでしょうか?』というものだった。

 愛原「善場係長、明日こっちに来るって」
 リサ「じゃあ、私はどこかに出かけようかなぁ……」
 愛原「なに逃げようとしてるんだよw 学校以外は単独行動が禁止されてるだろ?」
 リサ「うへー……」
 愛原「高橋から届く手紙、係長も確認したいんだってさ。あと、色々聞きたいことがあるそうだ」

 レイチェルの話の内容について質問したから、それについての話でもあるだろうな。

 愛原「あ、パールは気にしないでいいから、高橋の所に面会に行ってやれよ。係長は俺やリサと話がしたいだろうからさ」
 パール「ありがとうございます」

 何とか高橋がアメリカに連れて行かれないよう、根回しできないかな……。
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“私立探偵 愛原学” 「日曜日の午後」

2024-11-14 16:30:42 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月11日15時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 弁護士「……それでは、そういうことで」
 愛原「ありがとうございます。今後とも、宜しくお願い致します」

 弁護士との打ち合わせが終わった。
 今のところ、高橋が執行猶予を取れるかどうかは、50%くらいの確率とのこと。
 まだ余罪の証拠は見つかっておらず、傷害罪のみで、その被害者である私には処罰感情は無い。
 しかしながら、それまで高橋は暴行や他の傷害罪などの前科があり、またいくつかの交通事犯もあることから、裁判官の心証は良い物にはならない。
 また、今回の傷害事件の動機が、あの世界的なバイオテロ組織“コネクション”によるものとあっては、そう簡単に娑婆には出せないという考えになる可能性もある。

 パール「あの弁護士先生、私のことを知っていましたね」
 愛原「それもあるのか?」
 パール「私も前科者ですから……」
 愛原「なるほどなぁ……。それなら高橋のこと、任せて安心かもな。その件、明日、高橋に面会して言ってこいよ。まあ、弁護士さんの方から言ってるかもしれないけど」
 パール「ありがとうございます。マサも先生に会いたがってますよ?」
 愛原「その次は俺が行くよ。何しろ明日、高橋からの手紙が来るんだから」
 パール「それもそうですね」

 弁護士さんに出したお茶などを片付けていると、リサ達がやってきた。

 リサ「先生、そろそろ皆帰るって」
 愛原「そうか。気をつけて帰れよ」
 淀橋「はい。ハンバーガー、御馳走様でした!」
 小島「リサさんは来週から復帰できるんですよね?」
 愛原「ああ。来週の金曜日までだから、土曜日に登校できるかもな?」
 リサ「土曜日じゃ、学食食べれないねぇ……」
 淀橋「学食目的!?」
 レイチェル「私はお話がありますが……」
 愛原「それじゃ、外で話してこよう」
 リサ「ム!わたしも行く!」

 というわけで、留守番をパールに任せて外に出ることに。
 実質的に淀橋さんと小島さんの見送りだな。

[同日15時15分 天候:晴 同地区 珈琲館菊川店]

 まずは淀橋さんと小島さんを菊川駅まで送った後、駅前の喫茶店に入った。

 リサ「わーい!スイーツ、スイーツ!」
 愛原「肉じゃなくて、スイーツ狙いかw」
 レイチェル「珍しいですね。リサなら肉もスイーツでしょうに」
 リサ「わたしだって、たまには甘い物が食べたくなることあるよー」
 愛原「そうかい」

 私はコーヒーだけ注文した。
 私は少女達には、スイーツを選ばせた。
 リサはホットケーキを、レイチェルはチーズケーキを注文した。

 愛原「それでレイチェル、話というのは……」
 レイチェル「愛原センセイを狙っているヤミバイトと呼ばれる連中は、BSAAで捕獲したので安心してください」
 愛原「えっ?警察じゃなくて、BSAAが捕まえたの?」
 レイチェル「はい。BSAAによる取り調べの後、更なる調査の為、彼らは北米支部に移送されるでしょう」
 愛原「ブッ!日本の警察に引き渡さないの!?」
 レイチェル「これは国際バイオテロ事件の1つですので。バイオテロに関しては、BSAAが全て引き受けることになります。その際、BSAAの活動を承認している国家は、警察を介入させてはならないという決まりがあります。もちろん、先に警察が逮捕した場合は、警察の捜査が優先されますが」

 おい、聞いたか、バイオテロに加担している闇バイターども?
 外国に売られたくなかったら、さっさと地元の警察に自首しろ。
 アメリカ行きだぞ?
 しばらく日本に帰って来れねーぞ?

 愛原「それって、あれだよな?その闇バイトの指示役とか、そういうのを集めたリクルーターとかだよな?」
 レイチェル「いえ、実行犯も全員です」
 愛原「パスポート持って無かったらどうするんだよ?」
 レイチェル「BSAAの力で、そんなの関係アリマセン」

 おい、BSAAの力、強過ぎねーか!?
 パスポート持って無くても移送可ってどういう取り決めだよ!?

 愛原「北米支部ってことは、“コネクション”の本部はアメリカにあるってことか?」
 レイチェル「何とも言えません。元々“コネクション”は決まった拠点を持っていないので。そのボスについては、既に分かっているのですが」

 元々アンブレラの幹部だった男が“コネクション”の総帥だってことは分かってる。
 日本で活動しているBSAAは日本地区本部隊と北米支部出向隊であり、主に日本国内で捜査しているのは北米支部である為、日本国内で捕まえた関係者が例え日本人であっても、有無を言わさずアメリカに連れて行くのにも理由があるという。

 レイチェル「ボス以外の幹部が誰か分かっていないのです。もしかしたら、ただの実行犯が幹部かもしれません。それを調べる必要があるからです」
 愛原「それにしても、かなり強引な捜査だねぇ……」
 リサ「まさか、お兄ちゃんもアメリカに?」
 レイチェル「連れて行きたいところですが、先に日本の警察が逮捕してしまいましたからねぇ……。しかも今は、裁判中ですね。釈放されたら、連れて行きますか」
 リサ「ええっ!?」

 や、やっぱり、高橋の為には実刑の方がいいんだろうか?

 愛原「それだけはカンベンしてもらえんかねぇ?」
 レイチェル「私は養成員ですので。一応、本部から先にこれだけの情報は探偵に提供して良いと言われたもので」

 デイライトを通して、日本地区本や北米支部には私達のことが伝わっている。
 世界でも数少ない『制御に成功しているBOW』として、リサは有名だ。

 レイチェル「高橋サンは正体不明です。もしかしすると、“コネクション”の幹部かもしれません。なので、彼は拘束の対象なのです」
 愛原「……うん、素直に“青いアンブレラ”に移籍しといた方が良かったのかもな」

 せっかく執行猶予を勝ち取っても、今度はBSAAに拘束されるってか。
 執行猶予だとパスポートが取れないはずだが、BSAAにはそんなこと関係無いらしい。
 ……後日、善場係長にも確認してみよう。
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