報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「週末くらいは穏やかに」 3

2024-11-12 20:26:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月11日12時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 マクドナルド菊川駅前店]

 私は森下駅前のパチンコ店から、徒歩で隣の菊川駅まで歩いた。
 都道50号線、新大橋通りを東進するだけで良い。
 徒歩10分くらいで、隣の菊川駅に着いてしまう。
 電車でも、ものの1~2分で着いてしまうような距離だ。

 リサ「あっ、先生!」

 反対側の菊川駅の入口で、リサ達が待っていた。
 私の言った通り、ちゃんとリサは体操服から私服に着替えてきていた。
 白いTシャツに、デニムのミニスカートを穿いている。
 他の友達は、淀橋さんと小島さん、そしてレイチェルだった。

 愛原「よお、リサ」

 私は信号が変わると、横断歩道を渡って合流した。

 リサ「パチンコしてたの?」
 愛原「ちょっとな……」
 小島「ギャンブルする人だったんですか。ちょっと意外……」

 小島さんは蔑むように、眼鏡を掛け直しながら言った。

 リサ「お酒も飲むよ?」
 小島「知らないんですか、魔王様?お酒は百薬の長なんですよ?」
 淀橋「何で酒は基準ユルいの?」
 愛原「た、ただの息抜きだよ!それより約束通り、ハンバーガー奢るから、好きなの頼んでくれ!」

 あとは、パールにも買って行ってやろう。
 パールはいつも通り、フィレオフィッシュのセットを希望したが。

 リサ「じゃあ、早速注文しよう。Lサイズでもいいんだよね?」
 愛原「う、うん」

 それは想定内だが……。

 愛原「レイチェル、本当にヘリで俺達のバスを追ったのか?」
 レイチェル「ハイ。ヘリにはガトリングガンが搭載されてまして、いざとなったら、それでバスを銃撃するように言われました」
 愛原「おい!他の乗員乗客は!?」

 リサだけをピンポイントで狙撃するのではなかったか?

 レイチェル「リサから放たれるGウィルスなどの流出を警戒したようです」
 愛原「何だか凄いねぇ……」
 リサ「えっへん!」
 愛原「いや、褒めてねぇ!」

 6人分のハンバーガーのセットだったから、少し待たされた。
 また、できた商品も大きな袋2つ分であった。
 ……宅配ピザ頼む方が楽だったか?
 因みに代金は、既に私が財布の中から払っている。
 案の定、4桁は軽く行ったが、それでも諭吉先生が出て行くことは無かった。

 店員「お待たせしましたー!」
 リサ「わたしが持つー!」
 愛原「いや、待て!これはレイチェルに持ってもらおう!」
 レイチェル「私ですか?」
 愛原「うん。俺達だと、途中でリサがつまみ食いする恐れがある」
 レイチェル「それはいいですが、両手が塞がってるとやりにくいですね」
 愛原「ああ、そうか。じゃあ、1つは俺が持とう」
 レイチェル「了解です。要はリサがつまみ食いしようとしたら、発砲して良いのですね?」
 愛原「BSAAに許されてる範囲でシクヨロ」
 リサ「むー……!」

 リサは眉を潜めてむくれ顔になった。
 横断歩道を渡って、事務所へと向かった。

[同日12時45分 天候:晴 同地区 愛原家3階ダイニング・リビング]

 エレベーターは小型の4人乗りなので、私が先にハンバーガーの袋だけ持ってエレベーターに乗り、若い女の子達4人は階段で上がってもらった。

 愛原「ただいまァ」
 パール「お帰りなさいませ、先生」
 愛原「ハンバーガー買って来たぞ。パールはフィレオフィッシュだったな?」
 パール「ありがとうございます。首尾の方はいかかでしたか?」
 愛原「4円パチで5000円突っ込んで、○万○千円の儲け」
 パール「さすが先生です!」
 愛原「でも高橋なら、それにプラス、スロットで更にン万円稼ぐんだろ?俺、スロットはできないからなぁ……」

 そこへバタバタと階段室から入って来るリサ達。

 リサ「早く食べよ!わたし、ビッグマック!!」
 淀橋「はいはい」
 パール「先生のを先に出してあげましょうよ。先生はてりやきバーガーでしたね?」
 愛原「おっ、ありがとう」
 淀橋「私はダブチ」
 小島「私はチキン」
 レイチェル「ビッグマックは私の分もありますからね、リサ!?」
 リサ「分かってるよー!」

 私がパチンコに勤しんでいる間、少女達はリサにそれまでの学校の出来事などについて教えてあげたそうだ。
 それまでもLINEなどでちょこちょこ連絡は取っていたようなのだが、やはり直接会った方が詳しい話ができるというものらしい。
 あとは、リサが停学の間に進んでしまった勉強とか。
 リサが停学1ヶ月を食らってしまったが為に内申点がガタ落ちになり、東京中央学園大学の付属高校からの推薦に入れなくなってしまったことをリサが話すと、何とも言えぬ雰囲気になったようだ。

 小島「この前の中間テスト、受けられなかったんだからしょうがない部分はありますよね……」
 リサ「短期大学部なら、推薦で行けるかもとは言われた。でも、それだとミキと一緒に行けないんだよねぇ……」
 淀橋「ミキ?」
 小島「この前の修学旅行の時、ひょんなことから知り合った、秋田の秋北学院のコだよ。そのコも鬼なんだって?」
 リサ「私みたいな元人間じゃなくて、ガチの鬼の一族だよ。潰れる前のアンブレラが、血を採りに行ったこともある」
 淀橋「まさか、リサのその鬼の姿って、そのせい!?」
 愛原「それは分かんないよ。少なくとも、その秋北学院のコの一族は頑として断ったらしいからね。ただ、他の地方にもそういう鬼の末裔がいるんだとすると、そちらでは血を提供してしまった可能性がある」
 小島「まるで、“彼岸島”みたいですね」
 愛原「あー……そう、だな……。“彼岸島”ねぇ……」

 “青いアンブレラ”が病院船を保有している理由って、もしかして、“彼岸島”みたいな島が実際にあって、そういう所に出入りする為だなんてことは……考え過ぎか?

 愛原「食べ終わったらどうするの?」
 リサ「ゲームでもする」
 愛原「なるほど、そうか」
 リサ「先生はまたパチンコ?」
 愛原「いやいや。下の事務所にいるよ」
 リサ「えっ?でも、今日は休み……」
 愛原「高橋の担当弁護士さんが来てくれることになった。その事についての話さ」

 私が、高橋の執行猶予の為には弁護士費用を惜しまないことが分かった途端、随分と親身になってきたもんだ。

 レイチェル「あの事ですか……」

 レイチェルは私の頭部を見て言った。
 レイチェルはBSAAの関係者として、一応私の事は知っている。

 淀橋「えっ、高橋さん、また何かしたの?スピード違反?」
 小島「それくらいで弁護士沙汰になるわけないじゃん。ケンカとかして、警察の御厄介になっちゃったんでしょ?」

 どちらもハズレだが、まだ警察の厄介になったという意味では小島さんの方が正解に近い。

 愛原「少なくとも、被害者とは話し合いが付いてるんだ。だから、執行猶予になって欲しいとは思ってる。それを弁護士の先生にお願いしてるところなんだ」

 被害者とは私のことで、今のところ高橋を処罰してやろうという感情は無い。
 ただ、真実を話して欲しいとは思っているがな。
 しかしながら、いずれにせよ、少なくともあいつが私にしたことは、けしてあいつ自身が私に対し、悪意を持ってやったことではないと信じている。
コメント
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