報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「富士宮で過ごす」 2

2024-11-03 20:40:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月9日19時30分 天候:曇 静岡県富士宮市富士見ヶ丘 ガスト富士宮バイパス店→ 同市ひばりが丘 セブンイレブンひばりが丘店]

 リサは久しぶりの肉料理やスイーツをお腹一杯食べられて満足したようだ。
 食べた後、リサはトイレに向かった。
 その間、私はタブレットを見て合計金額を確認する。
 ガストはファミレスの中ではリーズナブルな値段だが、さすがに大食いのリサの前に、そのリーズナブルは発揮できなかったようだ。
 これはカードで支払っておこう。
 トイレから出て来たリサは、少し困ったような顔をしていた。

 愛原「どうかしたのか?」
 リサ「あー……この近くにコンビニとか無い?」
 愛原「確か、ホテルの近くにあったぞ?」
 リサ「そこ、行ってもいい?」

 なるべくなら、雨が降り出す前にホテルに戻りたかったが、何だか切羽詰まった様子のリサに、私はコンビニに寄ることを承諾した。
 支払いを済ませて、店の外に出る。
 まだ雨は降り出していなかったが、さっきよりも風が強くなっていた。
 今度の台風は雨台風よりは、風台風のようである。
 リサはスカートの裾を押さえながら、私の後ろについて横断歩道を渡った。

 愛原「コンビニで、何か買いたい物があるのか?」

 お菓子とかジュースとかかな思ったが、リサはスカートの後ろではなく、今度は前を押さえて言った。

 リサ「来そうなの」
 愛原「……ああ、そういうことか」

 どうやら、ナプキンのストックがもう無いらしい。
 ホテルの前を通過し、隣のガソリンスタンドも通過する。
 そして、ようやくセブンイレブンに到着した。
 リサが先に店の中に入る。
 私は私で、何か買って行くことにしよう。
 まあ、缶ビールとおつまみかなw

 愛原「あっ」

 その時、私は酒コーナーに並んでいる、ある物を見つけた。
 それは“鬼ころし”。
 何故かリサにとっては、暴走を抑える唯一の“薬”である。
 リサが暴走した場所は学校だった。
 いくら何でも学校に酒は持ち込めないから、それも災いしたのだろう。

 愛原「後で飲ませないとな」

 私はセブンプレミアムの缶ビールの他に、“鬼ころし”も購入することにした。
 他にも、おつまみなど……。

 リサ「先生、やっぱり飲むんだ?」

 私が下の段の商品を取る為に屈んでいると、リサのスカートが目の前に現れた。
 顔を上げると、籠に自分の買いたい商品を入れたリサの姿があった。
 籠の中にはナプキンの他に、黒い生理用ショーツも入っていた。
 他にはやはり、お菓子とかジュースとか……。

 愛原「ホテルに戻ったら、あとは出発まで自由行動だからな」
 リサ「そうなの?」
 愛原「あ、でも、ホテルの外には出るなよ?」
 リサ「分かったよ。それより、買う物が決まったら、早く行こう。アイスが解けちゃう」

 リサはお菓子以外にも、アイスをカゴに入れていた。

 愛原「分かった分かった。……化粧品とかは要らないの?」
 リサ「あー、それ、ホテルに良さげのあったからそれ使う」
 愛原「……持って帰れないヤツじゃないだろな?」
 リサ「違う違う。ちゃんと、無料配布品だよ」
 愛原「そうなのか?それならいいが……」

 私達は支払いを済ませて店を出た。

 愛原「“鬼ころし”も買ったから、後で飲んどけよ?」
 リサ「分かったよ。わたしも先にそれ飲んどけば、あそこまで変化することもなかったのにねぇ……」
 愛原「変化してて暴れたことは覚えてるのか?」
 リサ「何となく。トイレでゲーゲー吐いた後、頭がボーッとした感じにはなったけどね」
 愛原「吐いた時に、Gウィルスとかも吐いたんじゃないか?」
 リサ「そうかもね。おかげで、少し体質が変わったかもしれない」
 愛原「そうなの?」

 リサは悪戯っぽく悪うと、自分の胸を寄せて上げてみた。

 リサ「胸、大きくなれるかもね?そしたら先生、約束通り、パ○ズリしてあげれるよ?」
 愛原「いつ約束した!?」
 リサ「先生、覚えないの?わたしがまだ中学生の時だよ。まあ、先生、だいぶ酔っ払ってたけどね~。中学生にパイ○リさせようとするとかw」
 愛原「読者に誤解されるようなことを言うのはやめなさい!」

 その時、また強い突風が吹いて、前を歩いていたリサのスカートがピラッと捲れる。
 その下にはカルバンクラインの白いショーツがあった。

 リサ「おっと!こんなことしてる場合じゃない!早くしないと雨が降って来るよ!」
 愛原「全く……」

 食欲が満たされて元気になったのはいいが、大人をからかうのはなぁ……。

[同日20時00分 天候:雨 同地区 スーパーホテル富士宮]

 ホテルを目前にして、雨がサーッと降って来た。

 リサ「わあっ!降って来た降って来た!」
 愛原「こりゃたまらん!」

 私達は全力ダッシュで、ホテルに戻る。
 やや濡れてしまったが、ずぶ濡れというほどでもない。
 部屋で乾かせば、明日までには間違いなく乾くレベルだ。

 愛原「着いた着いた!」
 リサ「ギリセーフ!?」
 愛原「……だな」

 と、私は思った。
 いや、確かに私はセーフだろう。
 だが、リサの方はブラウスが透けて、下のブラがうっすら透けてしまっている。
 ……え?ブラウスの下にキャミソールは着ないのかって?
 私が高校生だった頃、女子達、ブラウスの下はそのままブラだったような気がするんだが……。

 愛原「すぐに着替えて、乾かせよ。部屋のハンガーあるだろ?」
 リサ「うん」

 エントランスロビー、エレベーターホールの所に浴衣が置いてある。
 私達はこれを手に取った。

 リサ「ほら、化粧品」
 愛原「ほお……」

 女性客向けに、化粧品の無料配布が行われていた。

 リサ「こういうホテルの化粧品、何気にいいんだよね」
 愛原「なるほどな」
 リサ「これ、あれなの?浴衣に着替えて、お風呂に行っていい感じ?」
 愛原「らしいな。ところが、向こうの朝食会場には行ってダメらしい」
 リサ「ふーん……。自販機コーナーも向こうにあるのにねぇ……」
 愛原「飲み物なら、さっき買って来ただろ?」
 リサ「まあ、そうなんだけど……」

 私達はアメニティを取ると、エレベーターに乗り込んだ。

 愛原「それじゃ、あまり夜更かしするなよ?」
 リサ「分かってるよ」

 私はリサに“鬼ころし”を渡した。
 寝る前には、必ず飲むようにと。

 リサ「先生は明日、何時に起きるの?」
 愛原「6時半くらいかな。朝食はその6時半からやってるらしいんだが、バスの時間が8時半だから。それまでには、さっき通った営業所に行かないと」
 リサ「なるほど、分かった」
 愛原「それじゃ、また明日」
 リサ「うん、また明日」

 私とリサは、それぞれ客室の中に入った。
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“私立探偵 愛原学” 「富士宮で過ごす」

2024-11-03 17:04:09 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月9日18時00分 天候:曇 静岡県富士宮市ひばりが丘 スーパーホテル富士宮→同市富士見ヶ丘 ガスト富士宮バイパス店]

 リサ「シャワー……浴びたよ」
 愛原「それじゃ、食いに行こうか」

 私は東京中央学園夏制服を着ているリサを見て、やっぱりもっと動きやすくて着替えやすい私服の方が良かったかなと少し後悔した。
 制服の方が選ぶ苦労は無いのだが……。

 リサ「どうしたの?」
 愛原「いや、何でもない」

 私はそう言って、先に建物の外に出た。
 リサもすぐ付いてくる。

 リサ「どこに行くの?」
 愛原「この近くにファミレスのガストがある。そこでも肉は食える。そこでいいか?」
 リサ「分かった」

 ホテルの敷地を出て、国道139号線の歩道を北上する。
 ここは富士宮バイパスと呼ばれる区間だ。
 バイパスというからには、どこかに旧国道が存在すると思われるが、県道に格下げになったようで、他に同じ番号の国道は見かけない。
 ガストまでは徒歩5分ほどだが、時折強い風に見舞われる。
 これは何も、大型車が通過する時の風ではなく、台風接近に伴う強風だ。
 私がおがさわら丸に乗っていた時は沖縄辺りをゆっくり北上していたが、本州に入ってから一気に加速するらしい。
 よって、今夜から朝に掛けては暴風雨とのこと。
 これもまた、私が日帰りを強行しなかった理由の1つでもあるのだ。
 台風に追い付かれて新幹線が止まったりしたら、目も当てられないので。
 今夜のところはホテルに泊まって、台風をやり過ごそうと思っている。
 雨が降り出すのは20時頃からだそうなので、急いで食べて戻れば、雨に当たらずに済むだろう。
 ホテルから徒歩5分くらいだし。
 強い風が吹く度、リサはスカートの裾を押さえる。
 リサは制服のスカートを短くしているので。

 愛原「あ……」

 そこで私は、あることに気づいた。
 目ざとくリサがそれに気づく。

 リサ「先生、気づいた?」
 愛原「ま、まさか……」
 リサ「私のブルマ、どうしたの?」
 愛原「ご、ゴメン。忘れてきた」
 リサ「スパッツも?」
 愛原「もっと眼中に無かった」

 リサは頬を膨らませて、私の背中をポコポコ叩く。

 リサ「もー!わたしにパンチラしろって!?」
 愛原「氷河期世代の俺が高校生だった頃、女子達は皆、スカートの下はそのままパンツだったんだよ!」

 スパッツが普及する前に、ブルマの方を先に廃止にしやがったもんだから……。

 リサ「先生以外の男には見せたくないのに!」
 愛原「悪かった!じゃあ、せめてストッキングでも……」
 リサ「蒸れるからヤダ!」

 そんなことをしているうちに、ひばりが丘交差点に差し掛かる。
 ここは富士急静岡バス富士宮営業所がある交差点で、ガストはその向かいにある。
 つまり、目的地に行くには、私達も交差点を渡らなければならない。

 愛原「ほら、そこにバスが止まっているだろ?明日は、そこからバスに乗るから」
 リサ「高速バス?」
 愛原「そう」
 リサ「チケットは?」

 私はスマホを取り出した。

 愛原「もうウェブ予約で購入している」
 リサ「ちゃんとわたしと隣同士?」
 愛原「もちろん!」

 私は大きく頷いた。
 そして信号が青になり、横断歩道を渡って、私達はファミレスに入店した。
 夕食時だからか、店内は賑わっていたが、それでも2人用のテーブル席にすぐ座ることができた。

 愛原「リサ、何でも好きな物頼んでいいからな?お前の『出所祝い』でもあるんだから」
 リサ「ありがとう。何か、刑務所から出て来たみたい」
 愛原「はっはっは!うちには、ムショ上がりの男女が2人いるからな!」
 リサ「……お兄ちゃんは、また刑務所暮らしになるのかぁ……」
 愛原「そうならないよう、弁護士の先生にお願いしてる。被害者は俺だ。でもその俺が、高橋に対する処罰感情が無いことは伝えてある。他の余罪について、警察は立件を諦めた。今のところ、高橋に問われてる罪は、俺の頭をいじくった傷害罪だけだ」

 医師法での立件は無理。
 殺人未遂罪での立件も、そもそも高橋には殺意が無く、というか、警察が高橋の殺意の証拠を掴むことはできなかった。
 脳をいじくるということは、ややもすれば命に関わることだから、未必の故意とか、その証拠を掴もうとしたらしいが……。
 高橋は手先が器用で、もしかしたら、本当に“コネクション”のメンバーなのかもしれない。
 その事が、逆に殺人未遂罪での立件を妨害し、傷害罪での立件に留まるということになったのだろう。
 傷害罪の刑罰は、『15年以下の懲役または50万円以下の罰金』である。
 高橋を刑務所に入れない為には、罰金刑で済ませれば良い話だ。
 だが、刑罰は当然選べない。
 しかも少年法が適用されていた頃とはいえ、高橋は過去に暴行罪や傷害罪で少年院や少年刑務所に収監されていたことがある。
 当然、裁判所はそういった過去も見るだろう。
 ましてや高橋の背後関係的に、国際バイオテロ組織のメンバーともあれば、後者は有り得ないだろう。
 となると、どうしても『15年以下の懲役』になるわけだが、幸いにして、被害者は私1人だ。
 私自身は処罰感情が無い、つまり実質的に示談が成立しているようなものだから、その場合は執行猶予が付くこともあるという。
 問題は、高橋の背後関係だ。
 国際バイオテロ組織“コネクション”のメンバーだとなったら、実刑は免れないだろう。
 テロ活動の一環だということが分かったら、また別の罪で再逮捕されることになるかも。
 今のところ高橋は、“コネクション”の正規メンバーだとは話しておらず、警察もその証拠を掴めずにいる。
 闇バイトのようなものに応募しただけだと話しているらしいが、その経緯について高橋は黙秘している。
 これで、執行猶予がつくかどうか……。

 リサ「わたしとしては、刑務所に入る代わりに、お兄ちゃん1発殴っておきたいけどね」
 愛原「オマエが殴ったら、頭が無くなるから、それはカンベンしてやってくれ」
 リサ「はーい」

 リサは当たり前のようにサーロインステーキを所望した。
 それだけではなく、トッピングでソーセージや唐揚げ、ミニハンバーグをプラスすることも忘れない。
 私は、ハンバーグにしておいた。

 愛原「あとはドリンクバーだな」
 リサ「先生、ビール飲まないの?」
 愛原「お前を無事に家に連れて帰るまでは、飲んだくれになれないな」
 リサ「わたしは大丈夫だよ。逃げたりしないよ」
 愛原「そうじゃなくて、バイオテロ対策だよ。まだ、安心はできないらしいからね」
 リサ「そうなんだ……」
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