報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「お昼に帰って来たパール達」

2024-11-24 21:05:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月13日12時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 昼時になって、ようやくパール達が帰って来た。

 善場「愛原所長、こんなお昼時に申し訳ありません」
 愛原「いや、いいですよ。午前中の仕事は終わりましたし、午後は忙しくないですし」
 善場「それでも、お昼休みの時間ですね。お話は午後からで宜しいでしょうか?」
 愛原「分かりました。お車はガレージに置いたままで構いませんので」
 善場「助かります。では、また13時に」
 愛原「よろしくお願いします」

 善場係長は、そう言ってエレベーターで1階に下りて行った。

 愛原「ご苦労だったな、パール?」
 パール「いえ、遅くなりまして申し訳ございません。すぐ、昼食の用意をしますので!」
 愛原「いや、いいよ。今、リサが作っているから」

 私は給湯室を指さした。
 そこから、何かを炒める音が聞こえて来る。

 パール「リサさんが?何を作ってらっしゃるのでしょう?」
 愛原「高橋特製ホットドッグを再現しようとしているらしい。パールは可能だが、リサもそうしようとしているらしい。レシピは教えたんだろ?」
 パール「はい、それはもう……」

 キャベツを千切りにしたものとソーセージをフライパンで炒め、それを背割りコッペパンに挟んでオーブンで焼くだけのシンプルなものだ。

 パール「それでは、私はコーヒーでもお入れしましょう」
 愛原「悪いな」

 パールは給湯室に向かった。
 先に出て来たのはパールだったが、炒める音は無くなり、代わりにオーブントースターから香ばしい匂いが漂って来た。
 一応、ちゃんとれレシピ通りには作れているようだ。

 リサ「できました!」

 リサが給湯室から出て来ると、手にはトレーを持っていた。
 その上にはホットドッグが2つずつ載った皿が3つある。
 高橋が作った物と違い、やや焦げ目が目立った。
 まだ、不慣れということだ。

 愛原「おー、できたか!なかなか上手くできたじゃないか!」

 私はリサの頭を撫でてやった。

 リサ「エヘヘ……」(∀`*ゞ)
 パール「コーヒーも入ってますし、頂きましょう」
 愛原「そうだな。いただきます」

 私はホットドッグを頬張った。
 なるほど。
 高橋のよりもやや焼き方が劣る所はあるが、何回かやっていれば上達できるレベルだと思われた。

 愛原「うん、美味い」
 パール「リサさん、メイドになれますよ」
 リサ「わたしは先生だけのメイド。どこからどう見ても忠実な性奴隷」
 愛原「それはメイドじゃねぇ!」
 パール「先生、仕事の依頼内容はどんな感じでしたか?」
 愛原「ああ、そうそう。それな」

 私はパールに仕事内容を話した。
 すると、パールは目を丸くした。
 そして、意外なことを言った。

 パール「その廃墟、斉藤家の別荘だった所です」
 愛原「は!?」
 パール「そして、アンバーは斉藤家のメイドの1人です。私と違って正規雇用ではなく、どちらかというと、そちらの別荘担当でしたので、あんまり面識はありませんが。でも、名前と顔なら知っています。多分、アンバーも私のことを、顔と名前は知っているでしょう」

 斉藤元社長は、雇ったメイドに宝石名を付ける謎ルールを行っている。
 大体は本名に則った名前を付けることが多い。
 パールの場合は、そのまんま。
 『霧崎真珠』だから。
 因みにアンバーとは、琥珀のこと。

 パール「本名は……えーと、下の名前は忘れてしまいましたが、小迫(こはく)と言いましたか」
 愛原「珍しい名字だな。でも、そのまんまか」
 パール「そうです。メイドカフェで働いてるサファイアがこっちに誘ったそうなのですが、断られたとか……」
 愛原「向こうに実家でもあるのか?」
 パール「かもしれません」
 愛原「ふーん……」
 リサ「パールの知り合いか……。ヤバい性格?」
 パール「鬼のような性格ですよ」
 リサ「ほお!?」
 パール「『角が生えておらず、本当に人肉は食べない』だけの鬼みたいな女です」
 愛原「パールがそんな言い方をするということは、アンバーも前科者ということだな。何だ?パールみたいに、誰か殺したことあるのか?」
 パール「はい」
 愛原「そうか。……って、あっさり答えるなよ!」
 パール「DV彼氏を殺した罪ですね。いわゆる、過剰防衛です。本当なら懲役2ケタ食らうところを、正当防衛の部分と差し引かれまして、懲役8年で済みました」
 愛原「ある意味、パールに似ているんだな」
 パール「私の場合は未成年でしたから、女子少年院で済みましたが、アンバーは21歳でやらかしたので、普通に女子刑務所です」
 愛原「ん!?すると、アンバーの方がキミより年上か!?」
 パール「はい。アンバーは30過ぎてますよ?」
 愛原「……顔は美人かな?」
 リサ「先生!?」
 パール「御主人様は、顔立ちの良い女しか雇わなかったのは御存知ですよね?」
 愛原「そ、それもそうだな。あ、あー……スリーサイズは分かるかな?」
 リサ「先生……!」(# ゚Д゚)

 リサは牙を剥き、私に赤い瞳で睨み付けてきた。

 パール「具体的な数字は分かりませんが、胸とお尻は私より明らかにサイズ上でしたよ。……あ、今思い出しました。そういえば、1回だけ会ってました。あの時と変わっていなければ、あの当時、金髪にして、頭にお団子を2つ作ってましたね」
 愛原「なるほど、そうか。あ、あー……善場係長にも、明日、仕事があると伝えておかなくては……」
 リサ「わたしも行くからねっ!?」
 愛原「わ、分かってるよ」
 パール「あの……先生」
 愛原「何だ?」
 パール「確かにアンバーは見た目美人ですけど、やめといた方がいいですよ?別に、リサさんがどうのこうの以前に、私から見てもヤバいヤツだなと思いましたから」
 愛原「キミだって、10代の頃はシリアルキラーだと噂されてたらしいが?」
 パール「本当に殺したのは1人だけです。あとはせいぜい病院送りにしただけで。だけど、アンバーは『結果的に1人だけだった』というだけで、ヘタしたらもっと殺して死刑になっているような女だと思いましたが」
 リサ「ますますわたしの出番だね。わたしが先生を守ってあげるからね」
 パール「私も同行しましょうか?」
 愛原「いや、パールはいいよ。事務所を空にするわけにはいかないし。それに……」

 今のパールは高橋のおかげで丸くなったが、人殺しの目付きをしている女同士が鉢合わせになったら、『流血の惨を見る事、必至であります』。
 え?リサはどうなのかって?
 リサはまだ顔や名前を知らないだけマシだ。
 とにかく、善場係長が来たら、この事を報告しなければ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「新しい依頼」

2024-11-24 15:56:09 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月13日07時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 愛原「おはよう」
 パール「おはようございます、先生」

 私が3階のダイニングに向かうと、既に朝食の用意は出来上がっていた。

 

 今朝はベーコンエッグ。
 1つ目玉のタイプだが、ベーコンが多い。
 リサ向けの朝食と言える。
 本当に卵料理は洋食にも和食にも使えるから、汎用的だ。

 リサ「おはよう」

 リサも起きて来た。

 愛原「おはよう」
 パール「おはようございます」
 愛原「今日は高橋に面会に行く日だな」
 パール「はい。善場係長は、8時に迎えに来てくださいます」
 愛原「8時か。まあ、ちょうどいい時間かな」

 東京拘置所の面会受付開始時間は、平日の8時30分から。
 そして、面会時間は9時から。
 その前に差入店に立ち寄って、差入品を購入することも考えているそうだ。
 高橋のような未決囚は、基本的に独房に入れられる。
 他人への配慮が必要無い分、話し相手がいなくて寂しいということもある。
 未決囚は既決囚よりも規則が緩いとはいえ、暇でしょうがないというのはあるようだ。
 そんな時、マンガや雑誌などの読み物を差し入れしてあげると喜ぶのだとか。

 愛原「じゃ、さっさと食べるか。お昼までには帰って来るんだろ?」
 パール「その予定です」

[同日09時00分 天候:曇 同地区 愛原学探偵事務所2階]

 朝食後の洗い物はリサがやった。
 そして時間通り、8時には善場係長がいつもの車で迎えに来た。
 パールはそれに乗って東京拘置所へ。
 手紙の直接差入は認められていないので、私の伝言をパールに伝えておいた。

 愛原「それじゃ、依頼人に電話しよう」

 私は事務所の固定電話で、依頼人の携帯電話に掛けてみることにした。
 すると……。

〔はい、高橋です。ただいま、この電話に出ることはできません。X(旧・Twitter)に、DMを送ってください。Xのアカウント名は、『依頼人ボス』です〕

 愛原「は?!」

 掛けてみると、高橋の声で録音された伝言メモが流れた。
 電話を切って、Xにアクセスしてみた。
 どうも、捨て垢っぽいアカウントがあった。
 試しにDMを送ってみると、確かに依頼人だという。
 『依頼人ボス』という名前は、かつてこの事務所に、探偵業協会から依頼人を斡旋してきた通称『ボス』のことだろう。
 私達みたいな個人営業の探偵業者は、ピンポイントで依頼人を見つけることが難しい。
 そこで探偵業協会が依頼を受けると、その依頼人を斡旋してくれるのだ。
 その際、電話が掛かってくるのだが、『私だ』という一言から始まるので、『まるでボスのようだ』ということから、『ボス』という通称が付いた。
 正体は探偵業協会の役員でもあった斉藤秀樹元社長であったが。
 仕事の関係上、その依頼を匿名でしてくる依頼人もいる。
 その為、私はこの依頼人を、『ボス』と呼ぶことにした。
 依頼人『ボス』の話によると、依頼内容の事故物件は、かつてはとあるセレブの別荘だったらしいのだが、その一家が没落してしまい、残った別荘は何故か買い手が付かず、そのままになってしまったとのことだ。
 その為、今では廃墟同然となっているという。
 とはいうものの、所有権はまだそのセレブ一家の縁者とかにあるだろうから、勝手に調べていいのかと私は質問した。

 ボス「大丈夫だ。あの別荘が建っている土地は、他人の物だ。そしてその土地を管理している管理人にツテがある。土地所有の関係者であれば、調べる権利もあるだろう。実際に別荘の鍵も預かっていると聞く。その者に話を通しておく」
 愛原「それで、報酬は?」
 ボス「【ぴー】万円」
 愛原「……やります」

 思っていたよりも高額な報酬だったので、引き受けることにした。
 因みに、リサの他のブルマの内ポケットに入っていたQRコードのカードは、その別荘で使うものだという。
 なので、それも忘れないようにとのことだ。

 愛原「高橋がいない以上、俺が1人で行くのか……」
 リサ「わたしが一緒に行くよ。お兄ちゃんがいない今、わたしが助手だよ!?」
 愛原「しかし、オマエは学校が……」
 リサ「今週一杯まで停学なう!」
 愛原「……大きな声で言えることじゃないからな?」
 リサ「いつ行くの!?」
 愛原「明日には行こう。パールにも伝えておかないといけないし。契約書も作成して送らないといけない」

 契約書の送付先が埼玉県の私書箱になっているのが気になるが……。
 そもそも、イタズラだったらどうしよう……?

 愛原「あ……」
 リサ「ん?」

 銀行のアプリから通知があり、『依頼人ボス』から、着手金が振り込まれたとのことだった。

 愛原「こりゃ、イタズラじゃなくて本気だな」

 私は『依頼人ボス』がイタズラじゃないことを確認すると、急いで契約書を作成した。

 愛原「よっし!あとはこれをレターパックで送るだけ」
 リサ「わたしが出してくるよ」
 愛原「ああ、頼むよ」

 因みに今のリサは、体操服ではなくて、私服に着替えている。
 青いTシャツとデニムのスカートだった。

 リサが赤いレターパックを持って出て行くと、事務所の電話が鳴った。

 愛原「はい、愛原学探偵事務所です」
 ???「別荘の管理人のアンバーです」

 電話口の向こうからは、若い女性の声が聞こえて来た。

 愛原「え?え?え?あなたが、『依頼人ボス』さんの仰っていた管理人さん?」
 アンバー「はい、愛原学様ですね?」
 愛原「そ、そうですが……」

 これは意外だ。
 私はつい、私よりもっと年上の男性が管理人かと思っていたのだが……。

 アンバー「ボスより愛原学様を案内しろと言われました。いつ、おみえになりますか?」
 愛原「契約書を送ったばかりだから、明日には行こうと思ってる。もう既に着手金も受け取ったわけだし」
 アンバー「かしこまりました!」

 普通は契約書を交わしてから着手金を頂戴し、それから仕事に取り掛かるものなのだが、よほど急いでいると見える。
 契約書を交わす前に、既に着手金を振り込んで来たのだから。
 ……こりゃ、レターパックじゃなく、バイク便の方が良かったかな?
 もう出してしまったのは、しょうがない。
 レターパックも速達郵便扱いではあるから、今日出して明日届くシステムにはなっているのだが。
 斉藤元社長の時もそうだったな。
 ほとんど随意契約みたいなもので、依頼書が来たらすぐに着手金をもらって、契約書はその後という変則的過ぎることをやっていたものだ。
 それを思い出す。
 それにしても、『アンバー』と名乗る若い女性管理人も、匿名を名乗るとはどういうことなのだろう?
 どうせ直接会うのだから、今から匿名にしても意味が無いような気がするのだが……。
 ん?そもそも、『アンバー』ってどういう意味だ?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「リサの発見」

2024-11-24 12:14:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月12日21時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原家3階→愛原学探偵事務所2階]

 リサ「先生、このブルマなんだけど……!」

 風呂から上がったリサが、体操服姿で出て来た。
 手には紺色のブルマを持っている。
 ということは……。

 愛原「いや、ブルマ穿いてこいよ!」

 下はカルバンクラインの黒いショーツだけであった。
 こういうのは見えてもいいと思っているのだろうか?

 愛原「で、それがどうした?」
 リサ「これはわたしが元々持ってるヤツで、内側にポケットが付いてるタイプなんだけど……」

 これはリサが学校の購買で購入したものだという。
 今でもブルマを製造しているメーカーは限られてしまっている為、体操服のメーカーとは違う所であるようだ。

 リサ「これもポケットの口が縫い付けられてるの」
 愛原「なにいっ!?」

 私が確認してみると、確かに内ポケットの口が糸で簡易的に縫い付けられていた。

 リサ「まさか、わたしが元々持ってるヤツまでそうなってるとは思わないじゃない?お風呂から上がって穿こうとしたら、気づいたの」
 愛原「……他にも内ポケットのあるブルマはあるか?」
 リサ「2~3着はあったかも」
 愛原「ちょっと調べてみろ!俺はこれを調べてみる。あと、ちゃんと下は穿けよ!」
 リサ「分かってるよ。それにしても、暑いねぇ……」
 愛原「もうすぐ夏だからな」

 いや、暦の上ではもう夏か。
 暑がりの鬼であるリサには、地獄のような日々が始まる。
 昨年の夏も、下着だけで過ごそうとしていたくらいだかな。

 リサ「ラムちゃんなんか、虎柄ビキニだけでOKだよ?」
 愛原「オマエは宇宙人じゃねーだろ!」

 なんて……。
 仕方なく体操服とブルマならOKにしたが、それでも夏は体操服の上着の裾を結んでヘソ出ししようとする。
 私はリビングにある鋏を持って来て、ブルマの内ポケットの口に縫い付けられている糸を切った。
 中を見てみると、そこには……。

 愛原「これは?」

 私はポケットの中から、ある物を見つけた。
 それはQRコードが印刷されたカード。
 白い丈夫な紙の中央に、QRコードが印刷されている。
 でも、これだけだった。
 試しにスマホで読み取ってみたが、ネットに繋がるものではないらしい。
 すると、何に使うものなのだろう?

 リサ「先生!」

 

 言われた通り、リサは別のブルマを穿いて来た。
 学校用の緑ブルマである。
 今は無地のそれを穿いているが、私が、かつて父方の従姉は、白いサイドラインが2本入った緑ブルマを穿いていたと話したら、それも購入して穿いてくれることがある。

 愛原「何だ!?」
 リサ「もう1着あった!これ!」

 リサは別のエンジ色のブルマを持って来た。
 これは確か、『魔王様の肖像画』の時に穿いたヤツではなかったか。
 『魔王軍四天王』の1人、1年生で美術部の桜谷さんがリサをモデルに描いた肖像画。
 東京都のコンコールに、見事入賞した作品だ。

 愛原「ホントか!」

 私がそれを受け取ると、同じく糸を切った。

 リサ「そっちは何が入ってたの?」
 愛原「これだ。知ってるか?」
 リサ「QRコード?モノレールに乗れそうだねぇ……」

 リサは首を傾げた。

 愛原「モノレール?」
 リサ「この前、修学旅行で行った沖縄。あそこ、モノレールが走ってるでしょ?」
 愛原「ゆいレールか。それがどうした?」
 リサ「あれ、1日乗車券とか、QRコードで乗るんだよ」
 愛原「そういえば、外国の鉄道でも、そういうキップがあるらしいな。でも、これは違うだろうなぁ……」

 私は首を傾げた。

 リサ「そう?」
 愛原「糸が縫い付けられていたブルマは、これだけか?」
 リサ「うん。あとはそもそもポケットが無いし」
 愛原「そうか」

 エンジブルマのポケットの中には、もう1枚、QRコードが印刷された紙が入っていた。
 但し、こちらには、『事故物件調査依頼』と書かれていた。
 何だろう?
 高橋が担当していた事故物件の調査業務のことだろうか?
 こちらはスマホで読み取ると、ちゃんとネットに繋がることができた。

 愛原「ん?」

 スマホの画面には、『事故物件調査依頼書の送信が完了しました。事務所のPCで御確認ください』と、出て来た。

 愛原「これは一体、どういうことなんだ?」
 リサ「事務所のパソコンに、事故物件調査依頼書が受信されたってこと?」
 愛原「ちょっと見に行ってみる。パール、先に風呂入っていいぞ」
 パール「かしこまりました」

 私は2階の事務所に行ってみた。
 リサも付いて来た。
 私の机の上に置いてあるPCを起動させてメール着信を確認すると、確かに新規で依頼書が受信されていた。
 いつもなら都内の事故物件なのだが、今回は少し遠かった。

 愛原「静岡県富士宮市……」
 リサ「う……」

 地区名がよく分からないので、グーグルマップで調べてみた。
 富士宮市も案外広いものだ。
 少なくとも、デイライト静岡事務所の近くではない。
 同じ市内であるのにも関わらず、車でないと厳しい所にある。
 試しに、他にも調査依頼場所についてグーグルマップのストリートビューで見てみたが、カメラは入って行けなかったのか、見ることはできなかった。

 愛原「こりゃあ、現地には車だな」
 リサ「引き受けるの?」
 愛原「高橋がこうして仕掛けていたくらいだで?何かあるに決まってるよ」
 リサ「なるほど……」

 依頼人への連絡先は書かれていたが、名前は書いていなかった。
 いずにせよ、もうこんな時間だ。
 連絡は明日にすることにした。

 愛原「というわけで、一旦戻ろう」
 リサ「善場さんには連絡するの?」
 愛原「うーん……これはどうなんだろう?普通の探偵の業務は、向こうには関係無いし……」

 それに、明日は明日で、善場係長も忙しい。
 一応、依頼人に電話してみて、それで決めることにしよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする