報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「金庫の中身は?」

2024-11-19 20:33:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月12日14時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家]

 高橋が持ち込んだと思われる手作り金庫の中には、アンブレラのカードキーで開く小型の金庫が入っていた。
 大きさは、観光地のホテルの客室などにある貴重品入れと同じくらい。
 カードキーで解錠する、つまり電子ロックということは、その金庫はバッテリーが内臓されていたというわけだ。
 そして解錠する為のカードキーは、今現在のところ、リサが持っている。
 リサから借りようとしたのだが、私とキスしたことで興奮したのか、部屋でオ○ニーを始めてしまっていた。
 終わるまでは、何とも妨害できない。
 仕方が無いので、私達は3階のリビングに移動した。
 もちろん、私はリサにLINEを送ることを忘れない。
 『満足したら、3階まで来い』と。
 それまでの間、私達は3階で考察会を始めた。
 と、その前に……。

 愛原「そういえばパール、お前、高橋の面会はどうした?」
 パール「それが、弁護士の先生からの連絡で、今日はマサ、午前中は検察庁で取り調べがあるからと。そして午後は、弁護士先生との面会があるそうなので、今日は諦めました」
 愛原「そうだったのか。じゃあ、明日にすればいい」
 パール「そうさせて頂きます」
 善場「もし宜しかったら、私も同席させては頂けませんか?」
 パール「善場係長もですか?」
 善場「はい。何でしたら、車で送り迎えしますよ?」
 愛原「係長も、高橋に色々と聞きたいことがあるということですね?」
 善場「そういうことです」
 パール「そういうことでしたら……」
 善場「時間などは、また後で打ち合わせしましょう。それより、金庫の事です」
 愛原「私はリサに関わることが入っているのではないかと思っています」
 善場「と、仰いますと?」
 愛原「まず、外側の金庫が、わざわざリサのクランクで開ける構造になっていたからです。そして、開けてみると、リサのカードキーで開ける金庫が入っていました」
 パール「なるほど。さすがは先生です」
 善場「やはり、そう思いますか?」
 愛原「ええ。ですので、リサからカードキーを借りないことには、どうにもならないかと」

 私がそう話していると、階段をバタバタ下りて来る音が聞こえた。

 リサ「お待たせー!」

 

 リサは何故か服を着替えていた。
 グチョ濡れのショーツを換えるというのなら、まだ分かるのだが……。

 愛原「いや、お待たせーじゃねーよ。何で体操服なんだよ!?」
 リサ「そ、その……着てた服が汗かいて臭ったからぁ……」

 リサは性欲強い時の体臭が、自分でも気にはなるようである。
 だが、服だけ着替えても、体から放つ女の匂いまでは隠せない。

 愛原「他に着替え無かったんかい!」
 リサ「急いでたからさぁ……」

 すると善場係長が溜め息をついた。

 善場「この際、しょうがないでしょう。リサ、『アンブレラのゴールドカードキー』はまだ持ってますね?」
 リサ「う、うん!」
 善場「それを貸してください。今すぐです」
 リサ「わ、分かりましたー!」
 愛原「皆で4階に行きましょう」

 私達はエレベーターで4階に向かった。
 僅か1フロアだけの移動とはいえ、密閉されたエレベーター内に、リサの汗の匂いが立ち込めた。

 善場「リサ、探索が終わったら入浴しなさいね」
 リサ「はい……」

 そして、エレベーターを降りる。
 リサは急いで自分の部屋に入り、そこから金ピカのカードを持って来た。
 カードの表面には、“赤いアンブレラ”のロゴマークがペイントされている。

 リサ「これだね!?」
 愛原「そうそう」

 そして、先ほどの納戸に戻る。
 外側の金庫を開けると、内側の金庫を指さした。

 愛原「これだよ、これ!この金庫を開けたいんだ!」
 リサ「これは……霧生市の研究所にもあったヤツだね!」
 愛原「知ってるのか?」
 リサ「見たことある。これを開けるの?」
 愛原「そう!」

 私が大きく頷くと、リサはカードキーを差込口に差し込んだ。
 昨今の交通系ICカード読取機等のような、非接触式ではない。
 果たして、リサのカードで金庫は解錠された。
 その中に入っていたのは……。

 愛原「USBメモリーだ」

 金庫の中には、USBメモリーが1つ入っていた。
 これ1つを探す為だけに苦労したものだ。

 善場「これは私共で預かっておきます。この件も踏まえて明日、高橋被告に聞いてみることにします」
 愛原「……一応、中身を見ても宜しいですか?」
 善場「そうですね……。一応こちらで確認して、愛原所長方でないと分からないと判断される物がありましたら、そこでその部分を確認して頂きます。これは重要な証拠だと思われますので」
 愛原「そうですか」

 少し残念な気がした。
 確かに、公的機関に渡した方が良いのは分かるが、何だか手柄を横取りされたみたいで……。
 いや、そんなことは無いのだが。
 仮にこの場に善場係長がいなかったら、結局後で報告する事になるのだから、その手間が省けたのだから。

 善場「それよりこの金庫、下の段もあるようです。これは開けられませんか?」

 USBメモリーが入っていたのは上の段。
 下の段は引き出しになっており、そこには鍵が掛かっていた。
 鍵自体は普通の鍵のようだが、どこにも見当たらない。
 もちろん、鍵の在り処など検討も付かなかった。

 善場「まあ、いいでしょう。この件も明日、高橋被告に聞いてみることにします」
 パール「……もしかしたら……」
 愛原「ん?」
 パール「この程度の鍵なら私、開けられるかもしれません」
 愛原「えっ?」
 善場「ほお……」

 パールはキーピックを持って来た。

 善場「ピッキングの技術を持つこと自体は違法ではありませんが、悪用は厳禁ですよ?」
 パール「分かってます」

 とはいえ、パールはセミプロ。
 開けるのに10分程度掛かった。
 でも、開いた。

 パール「開きました!」

 これで何も無かったら、骨折り損のくたびれ儲けだな。

 愛原「ん?」

 だが、何か入っていた。
 それは……。

 リサ「ブルマだ!」

 それは一着の紺色ブルマだった。
 リサのだろうか?

 愛原「お前のか?」
 リサ「うーん……サイズ的には、わたしのっぽいけど……」

 リサは中等部の時から、私に見せつける為にブルマを穿いている。
 当然ながら、中等部の物はもうリサのサイズには合わない。
 東京中央学園では、中等部も高等部も、体操服はスクールカラーに合わせた緑である。
 ブルマ廃止後も、ジャージやハーフパンツは緑のままである。
 しかし、スカートの下に穿く物用として紺色ブルマも販売されていた。

 リサ「紺色のヤツは何着もあるから、どれだったかなぁ……」
 愛原「一着無くした記憶は?」
 リサ「いやあ……無いね。他の色は数着しか持って無いから、そのうちどれか1つでも無くなったらすぐ分かるけど、紺色はねぇ……」

 私がブルマをよく見て見たが、特に怪しい物は無いようだ。

 パール「先生、ほどほどに。見た目が変態さんです」
 愛原「おっと!」
 リサ「先生、わたしが穿いているヤツ、あげようか?」

 リサは今自分が穿いているブルマに手を掛けた。
 顔はからかうような表情だ。

 愛原「な、何を言ってるんだ、お前達!」
 善場「何でそれがここに入っているのか分かりませんが、何も無いなら、これで探索は終了としますよ」
 愛原「あ、はい」
 善場「一応、現場保存の為、しばらくはこの金庫には手を付けないでください。何度の扉は閉めて頂いて結構です」
 愛原「分かりました」

 私は取りあえずブルマだけ回収すると、金庫の扉を閉めた。
 閉めるとオートロックが掛かるようだが、またリサのクランクやカードキーで開ければ良い。

 リサ「汚れてはいないみたいだけど、一応、洗っておくね」
 愛原「そうするといい。あとは、お前がさっきまで着ていた服や下着も自分で洗えよ?」
 リサ「う……はーい」

 こうして善場係長はUSBメモリーだけ回収すると、事務所をあとにしたのだった。
コメント
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