報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「週末くらいは穏やかに」 2

2024-11-11 20:14:42 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月11日08時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・愛原の部屋→洗面所]

 私はいつもよりゆっくり目に起きた。
 枕元に置いたスマホのアラームを止め、ベッドから起き上がる。
 カーテンの隙間からは朝日が差し込んでおり、昨日の曇天から打って変わって今日は晴れるようである。
 部屋を出て、洗面所に向かう。
 4階には後付けされた水回りがあって、それを使っている。
 この建物が建った当初、4階には何の水回りも無かったそうだが、その後に洗面所が設置され、トイレが設置され、そして私の代でシャワールームを設置した。
 元々は6畳間があったそうだが、それを潰して水回りとしている。
 なので4階の部屋はリサと私の部屋、そして納戸のみとなった。
 居住スペースたる3階と4階は部屋が限られているが、実は事務所フロアの2階には部屋が1つ余っている。
 コンクリート剥き出しの6帖から7帖くらいの広さで、図面には『倉庫』と書かれている。
 ところが倉庫自体は1階のガレージ、エレベーターの横にもあり、倉庫としてはそこだけで事足りるのである。
 3階や4階も、収納スペースは充実しているし、屋上にはプレハブの物置まであったりする。
 当初はそこを仮眠室として活用することも考えたが、あまり有用性を感じなかったので、結局は空き室のままとなっている。

 愛原「ん?」

 そんなことを考えながら洗面所に行くと、その隣のシャワーブースからシャワーの音が聞こえた。
 どうやらリサが使っているらしい。
 後付けで設置したシャワールームの為、独立した脱衣所が存在しない。
 洗面所の前に脱衣カゴを置いて、そこを仮の脱衣所としていた。
 脱衣カゴを見ると、これから使用するであろうバスタオルしか入っていなかった。
 つまりリサのヤツ、部屋からここまで全裸で来たということだ。
 鬼形態になると羞恥心が弱くなるというが、家の中だからと言って全裸はちょっとな……。
 とにかく時間をズラす為、私は先にトイレに入った。
 ちょうど便意もあったからだ。
 もちろん4階のトイレも洋式。
 当初から設置されていた2階や3階のトイレはタンク付きだが、こちらのトイレはタンクレスである。
 その分、新しいということだ。
 壁に取り付けられたボタンを押すと水が流れ、僅かな水を流して、あとは一気に排水口に吸い込まれるタイプのトイレである。
 家庭用でも節水タイプや簡易水洗トイレなどで、このタイプは見られる。
 用を足していると、僅かに聞こえていたシャワーの音が消えた。
 そろそろ使い終わったかな?
 こんな朝にリサがシャワーを使う理由は、ただ1つ。
 『夜中や朝に汗をかいたから』である。
 表向きには変な夢を見て寝汗をかいたというものだが、他にも裏の理由として、オ○ニーして汗をかいたからというのもある。
 特にリサ、性欲が強い時には体臭が強くなる傾向がある。
 それを洗い流しているのかもしれない。
 私がトイレから出ると、リサはバスタオルを1枚だけ巻いてシャワールームから出て来た。

 リサ「あ、先生、おはよう」
 愛原「おはよう。着替えもついでに持って来ればいいのに……」
 リサ「どうせ、わたしの部屋、すぐそこだし」
 愛原「いや、まあ、そりゃそうだけどさ。今まで来てた服は?」
 リサ「汗かいたから着がえる。だいぶ臭いも付いちゃったからね。……使う?」( ̄ー ̄)
 愛原「い、いや、いいよ!ちゃんと洗濯しろよ!」
 リサ「そう?」

 リサは残念そうな顔をすると、タタタッと自分の部屋に走って行った。

 リサ「いえー!」

 そして部屋に入る直前、バスタオルを取って全裸の後ろ姿を私に披露したのだった。
 あれ……私だけにしてくれてるんだよな?
 他所でやったらマズいぞ……。

[同日08時30分 天候:晴 愛原3階ダイニング]

 

 着替えて来たリサは、今度はエンジのブルマを穿いていた。

 愛原「今日、友達来るのに、その恰好で?」
 リサ「うん。皆、もう知ってるから」
 愛原「そ、そうか」

 

 今朝の朝食は、ハムエッグ。
 それにパンとサラダと、コーンスープが出て来た。
 だいたい、週末の朝は洋食になることが多い。
 平日はだいたい御飯食で。

 愛原「友達は何時ごろに来るんだ?」
 リサ「10時。レイチェルも来る」
 愛原「レイチェルもか」

 私は邪魔にならないよう、どこか出かけてようかな……。
 どうせ日曜日だし……。

[同日12時00分 天候:晴 東京都江東区森下 パチンコ三栄ホール]

 私は菊川駅から地下鉄で1駅隣の駅前にあるパチンコ店に来ていた。

〔リーチ!〕

 愛原「よっし!」

〔スーパーラッキー!〕

 愛原「よっしゃー!」

〔輝く~♪マリンブルー♪やーっと出会えたサマーターイム♪ミラクルーマリンパワー♪せーので飛び込もう♪ゴー♪ゴー♪レッツゴー♪シーストォリィ~♪……〕

 久しぶりにやると当たるなぁ……。
 もっとも、高橋はこれだけでなく、他の台やスロットでも荒稼ぎするのだが。
 と、そこへ私のスマホが鳴る。
 リサからのLINEで、『そろそろお昼だけど、どうするの?』ということだ。

 愛原「パチンコで当たったし、ハンバーガー御馳走するよ。皆の分もな」

 と、返信すると、『すぐに菊川駅に向かう!』とのことだった。

 愛原「ちゃんと体操服から私服に着替えろよ」
 リサ「分かってるよー」

 とのこと。
 ちょうど当たりの波も弱くなってきたので、この辺りが潮時だろう。
 2時間ほどパチンコ屋で過ごしてしまった。
 私は持ち玉を精算し、カウンターに向かった。

 愛原「全部交換で」
 店員「はい、ありがとうございます」
 愛原「ところで、景品交換所はどこにあるの?」
 店員「申し訳ありません。私は存知ないのですが、お客様方、皆様あちらの方に行かれてるようでございます」
 愛原「ははっ、そうか。ありがとう」

 三店方式だ。
 本来なら違法スレスレのシステムだから、店員は知らないことになっている。
 だが、そこは公然の秘密ってヤツだ。
 私は言われた通りの方向に向かった。
 まあ、大抵は裏路地にあったりするんだがな。
 地方の広い駐車場を持つパチンコ店だと、景品交換所だけ別の建物になっていることが多いので、見た目には、全く違う経営母体が運営しているように見えるわけだ。

 愛原「よしよし、黒字黒字」 

 私は現金に交換すると、そそくさとそれを財布にしまった。
 いくら大食らいのリサや、育ち盛りのJK達が何人かいると言っても、まだ手元には残る計算だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「週末くらいは穏やかに」

2024-11-11 12:11:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月10日19時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 愛原「ご馳走様。俺は腹一杯だが、リサはどうだ?」
 リサ「腹八分目って言うからね」
 愛原「やっぱりそうか……」
 リサ「あっ、洗い物はわたしがやるー」
 パール「そうですか。それでは、私は先生に食後のコーヒーを……」
 愛原「悪いな」

 もちろん、自分の食器くらいはキッチンに持って行く。

 パール「ところで先生、思ったより長い時間、事務所にいらっしゃったようですが……」
 愛原「ああ。顧客の1人から、不動産関係の調査の話があってね。今は高橋がいなくて人手不足状態だから、あんまりすぐには受けられない感じだとは話したんだけど……」
 パール「もしアルバイトが必要なら、私の知り合いを紹介しますよ?マサほどの人脈はありませんが、何人かくらいなら頼めます」
 愛原「ありがとう」
 リサ「わたしも『魔王軍』手配するー!」
 愛原「高校生のバイトじゃ、色々と制約があるからなぁ……」

 コーヒーメーカーで作ったコーヒーができたので、パールはそれを入れてくれた。
 事務所の方では顧客にすぐに出せるよう、ネスカフェバリスタを設置しているが、家用はコーヒーメーカー。

 愛原「ありがとう」
 パール「実は先生、私、金曜日にマサの所に面会に行きました」
 愛原「ああ、何か言ってたね、LINEで。どうだった?」
 パール「マサは相変わらずでしたが、手紙を出したそうです、こちらに」
 愛原「金曜日に出したから、月曜日に届くのか?」
 パール「はい。それを読んで頂きたいとのことです」
 愛原「拘置所は手紙の検閲をするから、あんまり変な事を書いていると差し止めされるぞ」
 パール「そこはギリギリのチキンレースでしょう」
 愛原「面会の時、何か言ってなかったか?“コネクション”の事とか?」
 パール「そこは何も……。私もそれとなく、『先生方がその辺りを気にしてる』と言ったのですが、マサのヤツ、目を泳がせるだけで、何も言いませんでした」

 真相を話すと、例え拘置所でも消されるってか。

 パール「あと、『アネゴに“青いアンブレラ”に来ないかって勧誘されたことがある。先生にバレると思って断ったけど、むしろ受けてた方が良かったのかもな』と言ってました」

 実は私、高野君が“青いアンブレラ”のメンバーだと分かった時、もしかして高橋も……?と、疑ったことがある。
 だが、そんな証拠は全く見つからなかったし、面と向かって高野君に聞いたが、堂々と否定されたので信じていた。
 ただ、あの時の高野君、含みのある表情をしていたが、そういうことだったのか。
 『高橋は“青いアンブレラ”のメンバーではない。けども、誘ったことはある』と。
 “青いアンブレラ”は表向き、“赤いアンブレラ”が世界中に蒔いてしまったバイオテロの種を回収し、発芽していたらそれを引き抜き、草木になっていたらそれを伐採するという活動内容である。
 つまり、バイオテロが発生したら、それを鎮圧しに行ったり、それを起こそうとするテロ組織があったら、それを潰しに行ったりするのが目的だ。
 そう、BSAAと活動内容が被るのである。
 BSAAは今や国連軍の一派となっているが、“青いアンブレラ”は世界的な民間軍事会社に過ぎない。
 そして当然ながら日本では、民間軍事会社の存在は認められないので非合法である。
 現時における世界的なバイオテロ組織である“コネクション”とは、敵対関係になるはずだ。
 噂では、“コネクション”の総帥も元“赤いアンブレラ”らしい。
 もし高橋が“コネクション”のメンバーだったとしたら、“青いアンブレラ”に移るということは……あー、裏切り行為で殺処分か。

 愛原「まあ、“コネクション”も裏切り者には厳しいだろうからな、それは仕方が無い」

 仮に例え闇バイトだったとしても……ん?
 闇バイトってさ、基本的に単発、短期のバイトじゃないか?
 私が高野君に聞いたのは、だいぶ前の話だぞ?
 その時から既に高橋が“コネクション”の関係だったとしら……闇バイトどころじゃないかもなぁ……。

 愛原「あいつは暫く、拘置所に入っていた方が安全かもしれん」
 パール「先生?」
 愛原「どうせ日本の裁判ってのは遅いんだ。もちろん執行猶予が付くように努力はするが、安全の為にもな……」

 私はコーヒーを口に運んだ。
 それにしても高橋のヤツ、どんな手紙を送って寄こすのだろう?

 愛原「リサ、後で『足ツボ』マッサージよろしく」
 リサ「りょーかい!」

 リサが唯一、人間の血肉を摂取することを黙認されている行為。
 指先を変化させて、血中老廃物と血液を摂取するのである。
 こちらとしては、多少血液を吸われても何がどうなるというわけでもなく、結果的には老廃物は吸い出されて、血液はサラサラになっているという寸法だ。
 但し、酔っ払っている場合は別。
 血中アルコールをリサも吸い取ることになる為、リサ自身も酔っ払う。
 そして、“鬼ころし”以外の酒を摂取すると悪酔いして、想定外の変化を起こしてしまう為、禁止されている。

[同日22時00分 天候:晴 愛原家3階リビング]

 
(画像はBluesky“こんいろ保存会”様より)

 リサ「お風呂出たよー」
 愛原「おーう」

 バスルームからリサが出て来た。
 体操服とブルマは換えたのだろうか?
 見た目は同じ色合いだが……。

 愛原「入浴剤、どうだった?」

 私は足柄サービスエリアで、お土産用の入浴剤を買っていた。
 箱根湯本温泉のそれをモチーフにしたものらしい。

 リサ「うん、本物の温泉に行きたくなった」
 愛原「そうか。まあ、本物の温泉自体は先日、既に入ってるんだがな」
 リサ「ああ、あれ。まあ、そうだねぇ……」

 富士宮市内で一泊したスーパーホテルには大浴場があり、しかも天然温泉とのことなのだが、リサ的には拘束されていた場所から出たばかりということもあり、疲労の方が強くて、あまりゆっくり入れなかったようだ。

 愛原「高橋に執行猶予が付いて、無事に出て来られたら、お祝いに皆で温泉旅行にでも行くか」
 リサ「いいねぇ!」
 愛原「というわけで、次は俺が入ることになるな」
 パール「どうぞ、ごゆっくり」
 リサ「わたしの残り湯、楽しんでねw」
 愛原「何だそりゃ……」

 私は呆れながらバスルームに向かった。

 リサ「あ、でも、わたしは先生の残り湯に浸かりたかったなー」

 という言葉を背にしながら。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする