報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「新幹線で帰京へ」

2025-02-07 22:00:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日12時01分 天候:晴 群馬県高崎市八島町 JR高崎駅・新幹線ホーム→上越新幹線2410C列車・1号車内]

 

 駅弁とお土産を買い、ホームに上がる。
 上越新幹線“たにがわ”号は、東海道新幹線で言う所の“こだま”号のような列車である。
 東北新幹線で言えば“なすの”号か。
 速達列車の補完的な役割を果たす区間運転の各駅停車であるが、冬はスキー列車という側面も持っていたりする。
 リサが同乗するので、先頭の1号車の辺りで列車を待つ。
 その前に自販機で飲み物を買うのは忘れない。
 私はほうじ茶にしたが、リサは麦茶にした。

〔ピン♪ポン♪パン♪ポン♪ 13番線に、12時4分発、“たにがわ”410号、東京行きが、12両編成で、参ります。この電車は、各駅に止まります。グランクラスは12号車、グリーン車は11号車、自由席は1号車から7号車です。尚、全車両禁煙です。まもなく、13番線に、“たにがわ”410号、東京行きが参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 上越新幹線というと、かつてはオール2階建て新幹線Maxで運転されていたこともあったが、今はそれも全廃され、北陸新幹線と同様のE7系で運転されるようになった。

〔「13番線、ご注意ください。上越新幹線上り、“たにがわ”410号、東京行きの到着です。終点、東京までの新幹線各駅に止まります。自由席車両は1号車から7号車です」〕

 眩いヘッドライトと共に、“たにがわ”410号がやってきた。
 予想した通り、車内はあまり乗客がいない。
 むしろ、この駅から賑わう感じだ。

 
(この画像は下り列車で撮影されたもの。故に作中の上り列車とは、座席の向きが逆である)

 先頭車の1号車に乗り込み、2人席に座る。
 リサには窓側に座らせ、私は通路側に座った。

〔「御案内致します。この列車は12時4分発、上越新幹線“たにがわ”410号、東京行きです。終点の東京まで各駅に止まります。自由席は1号車から7号車、指定席は8号車から10号車、グリーン車は11号車、グランクラスは12号車です。発車までご乗車になり、お待ちください。終点の東京には、この列車が先に到着致します」〕

 座席に座ると、テーブルを出して駅弁とお茶を置いた。

 

 私が買ったのは『だるま弁当』。
 高崎駅の名物と言ったらこれだろうな。
 尚、蓋が貯金箱になっているところは昔から変わらない。

 

 リサが買ったのはチャーシュー弁当。
 地元のブランド豚、榛名ポークの豚肉を焼いた物が4枚ご飯の上に載っている。

 愛原「昨夜の夕食で牛肉のステーキを食べたんで、今日は豚肉か」
 リサ「そうそう」

 食べているうちに発車の時間になり、ホームから微かに放送が聞こえてくる。
 乗客がデッキに出入りする度にそこのドアが開くと、大きく聞こえてくる。

〔13番線から、“たにがわ”410号、東京行きが発車致します。次は、本庄早稲田に、止まります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 発車メロディが流れて来た。
 これは布袋寅泰氏のGreat Messengerを発車メロディにアレンジしたものだ。
 下りホームでは、『さらば青春の光』が流れる。
 これは氏が高崎市出身に因んだものだという。
 そして、甲高い客扱い終了合図ブザーと共に、車両のドアが閉まる。
 高崎駅ではホームドアが無い為、車両のドアが閉まると、列車は静かに動き出した。

 リサ「新幹線で帰るなんて、修学旅行みたいだね」
 愛原「ましてやリサは、制服姿だから尚更だな」
 リサ「今回は私服の方が良かったって少し後悔」
 愛原「ああ……まあ、しょうがない」
 リサ「ねぇ、先生」
 愛原「ん?」
 リサ「帰ったら、手紙書くんでしょう?」
 愛原「そうだな。報告書の前に、先に手紙を書いた方がいいかもな」
 リサ「書いたら、わたしが出しに行くよ」
 愛原「そうか?」
 リサ「書いたら教えてね」
 愛原「ああ。でもそれってつまり、事務所にいるってことだろ?」
 リサ「まあね」

 いつもは日曜日の事務所は閉めているのだが、私の事務作業の為に、帰宅したら特別に開けるつもりだ。

 愛原「宿題とかやれよ」
 リサ「事務所でやるよ。事務所の方が集中できる」
 愛原「そうなのか」

 自分の部屋より事務所の方が勉強に集中できる。
 リサは学習塾や予備校などにある自習室での勉強が向いているのかもしれない。

[同日13時00分 天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR上越新幹線2410C列車・1号車内→JR(東日本)東京駅]

 列車はダイヤ通りに走行していた。
 天候は晴れとしたが、東京に来ても、何だか少し曇が多くなってきた。
 もしかしたら、また夕方とか夜とかは雨が降るのかもしれない。
 本当に梅雨だ。
 7月にはなったが、まだ気象庁からは梅雨明け宣言は出されていない。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪ まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線、京葉線と地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お降りください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 東北新幹線とは違う曲の車内チャイムが流れる。
 秋葉原のトンネル出口からヨドバシAkibaが見えれば、東京駅はもうすぐだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、東京、東京です。21番線の到着、お出口は右側です。お降りの際、お忘れ物、落とし物の無いよう、よくお確かめください。本日もJR東日本、上越新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 愛原「どれ、降りる準備するか」
 リサ「はーい。新幹線だとあっという間だね」
 愛原「しょうがない。何度も言うように、今回は仕事なんだから」
 リサ「まあね」

 仮に夏休みに夏期講習に参加するのか、あるいは合宿に参加するのかは未定だが、その後なら息抜きと称して旅行に行ってもいいかなと思っている。
 列車がホームに停車し、ドアが開くと私達はホームに降り立った。
 その時、太陽が雲に隠れたが、それどもムシムシッとした梅雨の空気であった。

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