報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「帰りの旅」 2

2025-02-07 15:23:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日11時35分 天候:晴 群馬県高崎市八島町 JR上越線530M電車・先頭車内→JR高崎駅]

 

 私達を乗せた電車は吾妻線から上越線に入った。
 ここから4両編成の電車が賑わいを見せて来る。
 『渋川』とか、『高崎』という表示を見ると、何故か『NHKみんなのうた』に出て来た“北風小僧の寒太郎”を思い出す。
 私が小さい頃の思い出だったが、その歌の背景のアニメは素朴なものだったが、それが却って子供の記憶に残ったものだ。
 雪の中、SL牽引の客車列車が走るシーンがあり(昭和50年代の歌だったから、地方ではまだSLが現役だった路線もあったか)、母親から教えてもらったが、国道の白看板に座る寒太郎のシーンでは、『渋川○×km』『高崎○×△km』という表示があり、あれは国道17号線の事だと。
 ということは、あの汽車ポッポはこの上越線だったのかもしれない。

 リサ「暑いな……」

 寒太郎に出て来た汽車ポッポ、恐らくオハ35系とか、オハ10系とかだったのだろうが、どちらも冷房設備は無い。
 それに対して現在の211系電車は冷房がガンガン入っている。
 また、梅雨晴れの暑い日差しが入って来る為、窓にはブラインドが下ろされていた。
 UVカットガラスが導入され、グリーン車以外はブラインドが省略された最近の車両とは違う。
 それでも暑がりのリサは、ブラウスの第2ボタンも外そうとした。
 リボンは着けておらず、第1ボタンは当たり前のように外している。
 ギャルJKなどは第2ボタンも外して当たり前なのだろうが、そうするとブラも見えてしまう。
 いくらリサの今着けているブラがカルバンクラインだと言っても、さすがに他人に見せるわけにはいかない。
 私は既にリサに第2ボタンを外すことを制している。

 愛原「もうすぐ着くから待ってろ」
 リサ「はーい……」

 どうして盛夏服としてポロシャツが導入されたのかが分かった。
 あれはスケブラやブラスジは出やすいものの、構造上、ボタンを外した所から直接ブラチラすることは滅多に無いからである。

〔「まもなく終点、高崎、高崎です。7番線に到着致します。お出口は、左側です。電車到着の際、ドアは自動で開きます。ドア付近にお立ちのお客様は、開くドアにご注意ください。お降りの際、車内にお忘れ物、落とし物をなさいませんよう、よくお確かめの上、お降りください。スマートホン、Suica、日傘などのお忘れ物が多く出ております。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 自動放送ではなく、車掌の肉声放送が流れる。
 この電車には、自動放送設備が無い。
 いずれはこの吾妻線も、自動放送装置付きのワンマン列車になるのだろうが、やはり昔ながらのテイストは風情がある。
 そして、電車は高崎駅のホームに入線した。
 ドアチャイムなどなく、バッと両開きのドアが開く。
 立っていた乗客を先頭に、ぞろぞろと降りて行く。

 

〔「ご乗車ありがとうございました。高崎、高崎、終点です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。7番線に到着の電車は、折り返し、11時44分発、普通列車、長野原草津口行きとなります」〕

 私達も暑いホームに降りた。
 別にリサは太っているわけではない。
 ……とはいえ、最近は体が成長してきたのか、割かしムッチリしてきた感はある。
 リサの母親とされる斉藤玲子も、上野医師の手記では、14歳の時点で、『お椀のような胸を持っていた』と書かれている。
 チラッと見た限りでは、上野医師との子作り記録映像を撮影した時点で今のリサと同じ17歳くらいだったようだが、かなり体つきがグラマーになっている。
 リサがそんな母親の遺伝子を色濃く継いでいるのなら、彼女の体型もそうなるはずだ。
 ただ、Gウィルスによって成長ホルモンが阻害されている為、成長が遅くなっているだけだ。
 エスカレーターに乗って、コンコースに上がる。
 新幹線乗り場に向かう途中にトイレがあり、そこに立ち寄ることにした。

 愛原「ずっと我慢してたのか?」
 リサ「だって、あの電車のトイレ、和式なんでしょう?」
 愛原「そりゃそうだが……」

 それでさっきからリサ、ずっと黙ってたのか。

 トイレを済ませた後は、その隣にある駅弁屋に立ち寄った。
 約束通り、ここで昼食の駅弁を買うことにする。
 私はせっかく高崎駅に来たのだからと、『だるま弁当』を所望した。
 リサはというと、チャーシュー弁当を選んだ。
 これはブランド豚『榛名ポーク』を使用したチャーシューを4枚弁当に乗っけたものだという。
 肉好きのリサが選びそうなものだと思った。
 飲み物はホームの自販機で買うことにする。
 この暑い中、なるべく飲み物も冷えているうちに飲みたい。
 新幹線コンコースに入る前に、新幹線のキップを買わなければならない。
 改札口の手前に、指定席券売機がある。
 改札外にあるそれと違うのは、まずここまでのキップが回収されることである。
 それから、目的地までのキップを購入することになる。
 東京までは1時間弱だから、自由席のキップを購入した。
 出て来たのは乗車券と特急券が1枚に纏められたキップ。
 『高崎→東京(山手線内)』と書かれていた。
 乗車券は東京駅で新幹線を降りた後、山手線とその内側を走る中央線の駅ならどの駅の改札口を出ても良いというキップである。
 もっとも、東京駅で完全に降りる予定だがね。
 急ぎなので、東京駅からタクシーに乗り換えて事務所に戻るつもりだ。
 2枚出て来たキップのうち、1枚をリサを渡すと、それで新幹線への自動改札口を通過した。

 愛原「12時4分発、上越新幹線“たにがわ”410号に乗ろう。あれは多分、空いている」

 2つ隣の越後湯沢始発であり、冬場なら更にその隣のガーラ湯沢始発となり、スキー客でそれなりに賑わうのだろうが、夏場はそうでもない。
 尚、上毛高原駅は【お察しください】。

 リサ「13番線だって」
 愛原「じゃ、もうホームに上がるか。……っと、その前に!」
 リサ「ん?」

 新幹線コンコース内にある土産物店。
 そこに私は立ち寄った。

 リサ「『お土産なら要らない』って善場さんに言われたんじゃなかったっけ?」
 愛原「違う違う。パールにだよ。あいつには酒がいいだろう」
 リサ「お兄ちゃんには?」
 愛原「残念ながら、酒の差し入れは禁止されている」

 再逮捕されたということは、拘置所から再び警察署の留置場に戻ったということだ。
 今度はどこの警察署にいるのやら。
 帰ったらパールに確認することにしよう。

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