報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「土曜日の東京中央学園」

2023-10-19 14:56:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月21日09時30分 天候:雪 東京中央学園上野高校 校長室]

 東京中央学園上野高校の校長室には、校内の至る所に仕掛けられた防犯カメラの映像が確認できるモニタが並んでいる。
 かつて東京中央学園では、至る所で怪奇現象が頻発し、生徒や教職員に多大な影響を与えていたことがあった。
 そこで学園では至る所にカメラを仕掛けた上で、その現象を捉えることにしたのだが、実際に映っていても何の手立てもできなかった。
 その怪奇現象も、特異菌のせいだったことが発覚し、滅菌・消毒作業が行われて、怪奇現象は最初から無かったのように起こらなくなった。
 今では七不思議の全てをリサが牛耳っていることもあり、彼女さえ抑え込めば、学園の平和は確保できるはずであった。
 なので、リサ率いる『魔王軍』がブルマ復活運動を展開しても、「生徒の意思を尊重する」という名目で黙認していた。

 

 校長「うーむ……」

 校長は体育館の中のカメラをモニターに映し出した。
 そこではリサ以外のクラスが体育の授業を行っていて、女子はバレーボールが行われていた。
 東京中央学園の体育館は空調が完備されており、外は少し積もるかもしれないと言われるほどの雪が降っているが、体育館の中は暖かいと思われる。
 その中にあって、バレーボールという激しい運動をしているせいか、1人の女子生徒は長袖のジャージを脱いで、半袖の体操着の緑色のブルマになっていた。
 他校もそうだろうが、長袖のジャージの下は半袖の体操着を着用する校則になっているからである。

 三上「何だか、昔に戻ったみたいですなぁ……」

 校長室の中にいた生活指導教師の三上が、苦笑して校長に言った。

 副校長「しかし、校長。いくら全校生徒の3分の1が希望したとはいえ、我が校だけ時代に逆行するのは如何なものかと思われます。ここは1度、学園理事会にて再度議題に取り上げられるべきではないでしょうか?」

 女性の副校長が意見具申をした。

 校長「うーむ……」
 副校長「ジェンダーレス、男女平等教育が叫ばれる中で、男女を隔てていたかつての体操服に戻すのは、些か問題があるかと」
 三上「ですが副校長、かつてはあれが全国の小中高では標準の体操服だったのです。けして奇抜な恰好をしているわけではない上、生徒達の希望ということもあるので、そこまで目くじらを立てる必要も無いのでは?」
 副校長「三上先生!あなたは男性だから分からないかもしれませんが、女子のブルマーという物は……って、校長先生!聞いてますか?さっきからずっと唸ってばっかりではありませんか!」
 三上「まあまあ、副校長。落ち着いてください。ほら、中にはハーフパンツのコもいますから……」
 校長「……あのコ、校則違反……」
 副校長「こ、校長先生!?」
 三上(オマエの趣味か!)
 校長「うーむ……。(やはり、ブルマに限る……)」
 副校長「校長先生!今のはどういう意味ですか!?」
 校長「多様性が求められる世の中だ。昔のような体操服を着たいというのも、多様性の1つではないかね?」
 副校長「そ、それは……」
 校長「多様性の世の中に合わせ、我が校の制服や体操服にも多様性を持たせ、その中から生徒や保護者に選ばせるという方式に理事会は決めたはずだが?」
 副校長「そ、それはそうですが……」
 校長「それで今のところ、何のトラブルも無いのだから、わざわざ学園理事達に時間を取らせる必要は無い」
 三上「その通りです、校長先生!」
 副校長「三上先生!」
 三上「おっと……」
 校長「購買部には、生徒達が好きなデザインの体操服が選べるよう、配慮させなさい」
 三上「ははっ!すぐに担当部署に……って、ああーっ!」

 その時、三上が別のモニタを見つけて大声を上げた。

 副校長「何です、三上先生?急に大声で……」
 三上「また愛原達が、今度は副校長先生のBMWをーっ!」
 副校長「ええーっ!?」

[同日同時刻 天候:雪 同学園・駐車場]

 女子レスリング部長「相撲部には勝ったみてーだが、アタシらはそうはいかねーぜ?」
 リサ「望むところ!」
 女子レスリング部2年生「部長、行きましょう!愛原はそっち持って!」
 リサ「オッケー」
 部長「よっしゃ、野郎ども!副校長のBM、反転させっぞ!」
 女子レスリング部員「おーっ!」

〔「駐車場に屯ろしてるそこの連中!直ちに職員室まで来るように!!」〕

 部長「げっ!」
 女子レスリング部2年生「何故にバレたし!?」
 リサ「いつの間にか、カメラが増えてる!?」

[同日13時00分 天候:雪 同学園・生徒指導室→食堂]

 三上「次の月曜日までに反省文書いて持ってくるように!分かったか!」
 リサ「はい!」
 三上「書いて来なかったら停学だぞ!」
 リサ「分かりましたっ!」

 尚、リサだけ生徒指導室に呼ばれたもよう。
 リサの場合、2回目なので。

 淀橋「ま、魔王様、ご苦労様です……」
 小島「生徒指導室に何回も呼び出されるなんて、どこのヤンキーですか……」

 『魔王軍四天王』の2人が迎えに来てくれた。

 リサ「うるさい。あーあ……せっかくのハンバーグが……」
 淀橋「そう言うと思って、食券買っといたよ」
 リサ「マジで!?」
 小島「あと、御飯も大盛りでしょ?今はさすがにもう売り切れてるからね。ヨドの言う通り、先に買っといて良かったよ」
 リサ「2人とも、ありがとう!早いとこ食べに行こう!」

 3人は学食に向かった。

 淀橋「それにしても、今度は女子レスリング部とケンカなんて……」
 リサ「わたしの『折伏』。今度は女子レスリング部にブルマ穿かせる。……まあ、失敗したけど」
 小島「そりゃあねぇ……」

 学食に着く。
 尚、学食の入っているスペースには、購買部の売店もある。
 そこでは体操服も買えるのだが……。

 リサ「あれ?ブチョー」

 女子レスリング部の部長と2年生の副部長がいた。

 女子レスリング部長「ま、まあ、アタシももうすぐ卒業だし?記念に1着くらい買っといてもいいかなぁ……なんて」

 部長はブルマの注文票をリサに見せた。

 部長「これを書いて、あそこのレジの人に渡せばいいんだろ?」
 リサ「そう。あなたは?」
 副部長「練習着代わりとか、或いは下半身が冷えた時に、スパッツ代わりに使えるんじゃないかと思って」
 リサ「『折伏』成功」

 リサは『いいね』のポーズを『四天王』の2人にした。

 淀橋「ハハハ……」
 小島「さすがは魔王様……」

 2人は苦笑するしか無かったようだ。

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