[1月24日13時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]
ピッ♪ピッ♪ピッ♪と、加湿機能付き空気清浄機がアラームを鳴らす。
東京の冬はとても乾燥するので、それを防ぐ為に、事務所内には加湿機能付きの空気清浄機を導入している。
加湿用の水タンクが空になったことを知らせるアラームだ。
高橋「あ、俺、水入れてきます」
愛原「ああ、頼むよ」
高橋が席を立ち、空気清浄機から水タンクを取り出す。
そして、給湯室に向かって行った。
そのタイミングで、事務所の電話が鳴り出す。
パール「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます」
善場「NPO法人デイライト東京事務所の善場です。霧崎事務員、愛原所長は御在席でしょうか?」
パール「少々お待ちくださいませ」
パールは電話を保留にした。
パール「愛原先生、デイライトの善場主任から電話です」
愛原「ああ、分かった」
私は自分の机の電話を取った。
愛原「お電話替わりました。愛原です」
善場「善場です。お疲れ様です」
愛原「いつもお世話になっております」
善場「昨日申し上げましたリサの歯科検査についてですが、詳細が分かりましたので、これからファックスで送らせて頂きます。確認のほど、よろしくお願い致します」
愛原「分かりました」
善場「何か質問がございましたら、いつでも御連絡ください」
愛原「承知しました」
電話連絡はこれだけ。
因みにメールではなく、ファックスにしたのは、ネットからの流出を恐れてのことだろう。
電話を切ると、すぐに複合機からファックスが受信された。
愛原「来た来た……」
私がファックス用紙を手に取って確認すると、リサの歯科検査の場所が紹介されていた。
愛原「うーむ……」
高橋「どこなんですか?」
愛原「埼玉県さいたま市中央区のとある歯科医院だ」
高橋「普通の歯科医院っスか!?」
愛原「そう、だね……。しかも、場所が斉藤元社長の家とか、『鬼の棲む家』の近くだわ」
高橋「凄い偶然っスね。作者の行動範囲の狭さが浮き彫りに出てますよね」
雲羽「大きなお世話だ!」
愛原「そこに土曜日の午後、来て欲しいらしい」
高橋「土曜日ですか……」
愛原「営業してないのかな?」
高橋「俺、調べてみますよ」
高橋は自分の机のパソコンで、ネット検索してみた。
すると、ファックスに書かれている歯科医院のサイトが見つかった。
本当にそれだけを見ると、普通の歯科医院である。
『院長紹介』のページで、眼鏡を掛けた壮年の院長が笑顔で写っている。
高橋「このオッサンがリサの牙を抜くんスか?」
愛原「分からんな。それより、営業時間は?」
高橋「えー……あっ、土曜日は昼までですよ。で、日曜・祝日は休みっス」
愛原「なるほど。一般の患者の治療が終わった後で、リサの検査をやるんだな」
高橋「BSAAの関係者っスかね?」
愛原「分からんが、全くの無関係ってことはないだろうな。例えば、協力者とか……」
私は2枚送られてきたファックスのうち、もう1枚を確認した。
そちらが、むしろ歯科検査の概要が書かれている。
詳細は極秘なので、当日でないと説明されない。
愛原「うわ、抜くの1本だけじゃないんだ……」
私自身、親知らずを抜く治療をしたことがあるので、その大変な気持ちは理解できた。
あれはキツかった。
治療が終わっても、しばらくは痛くて、口が大きく開かないのだ。
高橋「この際だから、あいつの危険物の牙、全部抜いてもらいましょうよ」
愛原「サンプルが欲しいだけだから、そんなには抜かないだろうが」
だいたい終わるのが、夕方頃になるかもしれないとのことだ。
サンプル採取に際して、特に食事制限は無い。
昼食は取ってもいいし、終わった後で夕食を食べてもいいらしい。
まあ、辛い経験をすることになるリサの為に、昼と夜は美味い物食わせてやろう。
高橋「車、出しましょうか?」
愛原「そうだな……。帰り、迎え頼むよ。行きは俺とリサで、電車で向かう」
高橋「分かりました」
[同日16時00分 天候:晴 同地区 同事務所]
リサ「ただいま」
リサが帰って来た。
愛原「お帰り。実力テストの方はどうだった?」
リサ「まあまあかな。赤点は無いと思う」
愛原「付属の大学に行くんだから、学内テストで赤点は困るぞ」
リサ「分かってる」
愛原「ところで、昼は何食った?」
リサ「豚肉生姜焼き定食」
愛原「ん!?豚肉が重なっちまったか……」
リサ「ん?夜も生姜焼き?」
愛原「いや、違う。トンカツ定食だそうだ」
リサ「何だ。肉が食べれるなら、それくらい大丈夫だよ」
愛原「そ、そうか。それでだな、善場主任から連絡があったんだ。これを見てくれ」
私は善場主任から送られてきたファックスを見せた。
リサ「これ……1本だけじゃないんだ」
愛原「そうなんだよ。ヘタすりゃ全部抜かれるかもしれない」
リサ「うえ……」
リサはあからさまに嫌そうな顔をした。
牙自体は抜かれても、またすぐに生えてくるだろう。
しかし、抜くプロセスがキツいわけである。
そりゃ、昼過ぎに始まって夕方に終わるわけである。
愛原「食事制限は無いそうだから、昼と夜は美味いもん奢ってやるよ」
リサ「うん……ありがとう」
リサは死んだ目で答えた。
一応、概要にはサンプル採取に当たり、なるべく麻酔を使用すると書かれていた。
まあ、人間の抜歯のような感じで行うとのこと。
書かれてはいないが、それでもBOWにどれだけ麻酔が効くかは未知数だろう。
リサ「まあ、いいや。ここでわたしが暴れたら、先生に迷惑が掛かるだけだもんね」
愛原「す、すまないな」
リサ「いいよ。それよりね、レイチェルが注文してた明るい青のブルマが届いたってよ」
愛原「そうなのか」
リサ「トレーニング用に穿くにしても、さすがにこの季節は無理だろうね。レイチェルは普通の人間だし」
愛原「まあ、だろうな」
リサ「後で画像送ってもらうから、先生にも見せてあげるね」
愛原「ああ、ありがとう」
リサはやや重い足取りで、今日は階段ではなく、エレベーターで4階に上がって行った。
ピッ♪ピッ♪ピッ♪と、加湿機能付き空気清浄機がアラームを鳴らす。
東京の冬はとても乾燥するので、それを防ぐ為に、事務所内には加湿機能付きの空気清浄機を導入している。
加湿用の水タンクが空になったことを知らせるアラームだ。
高橋「あ、俺、水入れてきます」
愛原「ああ、頼むよ」
高橋が席を立ち、空気清浄機から水タンクを取り出す。
そして、給湯室に向かって行った。
そのタイミングで、事務所の電話が鳴り出す。
パール「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます」
善場「NPO法人デイライト東京事務所の善場です。霧崎事務員、愛原所長は御在席でしょうか?」
パール「少々お待ちくださいませ」
パールは電話を保留にした。
パール「愛原先生、デイライトの善場主任から電話です」
愛原「ああ、分かった」
私は自分の机の電話を取った。
愛原「お電話替わりました。愛原です」
善場「善場です。お疲れ様です」
愛原「いつもお世話になっております」
善場「昨日申し上げましたリサの歯科検査についてですが、詳細が分かりましたので、これからファックスで送らせて頂きます。確認のほど、よろしくお願い致します」
愛原「分かりました」
善場「何か質問がございましたら、いつでも御連絡ください」
愛原「承知しました」
電話連絡はこれだけ。
因みにメールではなく、ファックスにしたのは、ネットからの流出を恐れてのことだろう。
電話を切ると、すぐに複合機からファックスが受信された。
愛原「来た来た……」
私がファックス用紙を手に取って確認すると、リサの歯科検査の場所が紹介されていた。
愛原「うーむ……」
高橋「どこなんですか?」
愛原「埼玉県さいたま市中央区のとある歯科医院だ」
高橋「普通の歯科医院っスか!?」
愛原「そう、だね……。しかも、場所が斉藤元社長の家とか、『鬼の棲む家』の近くだわ」
高橋「凄い偶然っスね。作者の行動範囲の狭さが浮き彫りに出てますよね」
雲羽「大きなお世話だ!」
愛原「そこに土曜日の午後、来て欲しいらしい」
高橋「土曜日ですか……」
愛原「営業してないのかな?」
高橋「俺、調べてみますよ」
高橋は自分の机のパソコンで、ネット検索してみた。
すると、ファックスに書かれている歯科医院のサイトが見つかった。
本当にそれだけを見ると、普通の歯科医院である。
『院長紹介』のページで、眼鏡を掛けた壮年の院長が笑顔で写っている。
高橋「このオッサンがリサの牙を抜くんスか?」
愛原「分からんな。それより、営業時間は?」
高橋「えー……あっ、土曜日は昼までですよ。で、日曜・祝日は休みっス」
愛原「なるほど。一般の患者の治療が終わった後で、リサの検査をやるんだな」
高橋「BSAAの関係者っスかね?」
愛原「分からんが、全くの無関係ってことはないだろうな。例えば、協力者とか……」
私は2枚送られてきたファックスのうち、もう1枚を確認した。
そちらが、むしろ歯科検査の概要が書かれている。
詳細は極秘なので、当日でないと説明されない。
愛原「うわ、抜くの1本だけじゃないんだ……」
私自身、親知らずを抜く治療をしたことがあるので、その大変な気持ちは理解できた。
あれはキツかった。
治療が終わっても、しばらくは痛くて、口が大きく開かないのだ。
高橋「この際だから、あいつの危険物の牙、全部抜いてもらいましょうよ」
愛原「サンプルが欲しいだけだから、そんなには抜かないだろうが」
だいたい終わるのが、夕方頃になるかもしれないとのことだ。
サンプル採取に際して、特に食事制限は無い。
昼食は取ってもいいし、終わった後で夕食を食べてもいいらしい。
まあ、辛い経験をすることになるリサの為に、昼と夜は美味い物食わせてやろう。
高橋「車、出しましょうか?」
愛原「そうだな……。帰り、迎え頼むよ。行きは俺とリサで、電車で向かう」
高橋「分かりました」
[同日16時00分 天候:晴 同地区 同事務所]
リサ「ただいま」
リサが帰って来た。
愛原「お帰り。実力テストの方はどうだった?」
リサ「まあまあかな。赤点は無いと思う」
愛原「付属の大学に行くんだから、学内テストで赤点は困るぞ」
リサ「分かってる」
愛原「ところで、昼は何食った?」
リサ「豚肉生姜焼き定食」
愛原「ん!?豚肉が重なっちまったか……」
リサ「ん?夜も生姜焼き?」
愛原「いや、違う。トンカツ定食だそうだ」
リサ「何だ。肉が食べれるなら、それくらい大丈夫だよ」
愛原「そ、そうか。それでだな、善場主任から連絡があったんだ。これを見てくれ」
私は善場主任から送られてきたファックスを見せた。
リサ「これ……1本だけじゃないんだ」
愛原「そうなんだよ。ヘタすりゃ全部抜かれるかもしれない」
リサ「うえ……」
リサはあからさまに嫌そうな顔をした。
牙自体は抜かれても、またすぐに生えてくるだろう。
しかし、抜くプロセスがキツいわけである。
そりゃ、昼過ぎに始まって夕方に終わるわけである。
愛原「食事制限は無いそうだから、昼と夜は美味いもん奢ってやるよ」
リサ「うん……ありがとう」
リサは死んだ目で答えた。
一応、概要にはサンプル採取に当たり、なるべく麻酔を使用すると書かれていた。
まあ、人間の抜歯のような感じで行うとのこと。
書かれてはいないが、それでもBOWにどれだけ麻酔が効くかは未知数だろう。
リサ「まあ、いいや。ここでわたしが暴れたら、先生に迷惑が掛かるだけだもんね」
愛原「す、すまないな」
リサ「いいよ。それよりね、レイチェルが注文してた明るい青のブルマが届いたってよ」
愛原「そうなのか」
リサ「トレーニング用に穿くにしても、さすがにこの季節は無理だろうね。レイチェルは普通の人間だし」
愛原「まあ、だろうな」
リサ「後で画像送ってもらうから、先生にも見せてあげるね」
愛原「ああ、ありがとう」
リサはやや重い足取りで、今日は階段ではなく、エレベーターで4階に上がって行った。
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