[4月24日10時00分 天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]
臨時休校となった月曜日、リサは愛原や高橋と共に車で新橋に向かった。
免許の点数も残り少なくなった高橋の運転の為、愛原は高橋に慎重な運転を求めた。
その甲斐あってか、往路は特に警察の取り締まりを受けることもなく、また、駐車場も新橋駅前の地下駐車場を利用した為、駐車禁止の取り締まりも受ける心配は無くなった。
愛原はスーツを着ていたし、リサは学校の制服を着ていたが、高橋は相変わらず私服。
しかし、いつもの恰好である。

リサ「新しい制服、無事ゲットだよ。ありがとう」
善場「それは良かったです。卒業まで今年度中とはいえ、大事に着てくださいね」
リサ「もちろん、わたしはそうしてる。敵対者が、気を使ってくれればねぇ……」
高橋「まあ、使うわけねぇな」
リサ「だよね」
会議室に通され、各々椅子に座る。
善場「今日はお集り頂き、ありがとうございます。本日は、先日にリサが手に入れた鍵のことについてでございます」
モールデッド化した1年生男子生徒、城ヶ崎。
校舎の屋上から飛び降り自殺を図った前生徒会長の弟である。
愛原「鍵の出所が分かりましたか?」
善場「こちらで調査しましたところ、鍵のロゴマークは、かつて日本アンブレラ100%出資の子会社、アンブレラ・ロジスティックスという運送会社の物に酷似していることが分かりました」
愛原「そうだ!思い出した!霧生市の研究所、そこの駐車場に止まっていたトラックに描かれてたヤツだ!」
リサ「それで何となく覚えてたんだね」
善場「今は日本アンブレラから資本が切り離されて分社化し、本流の『UL運送』と、一部のドライバー達が独立して設立した『ユー・ライン』という、どちらも運送会社ですが、その2つに分かれています。そして、アンブレラ・ロジスティックスの倉庫部門だった所も独立して、『傘森倉庫』という会社になっています」
愛原「佐川急便とか、ヤマト運輸に資本を買われたわけではないんですな」
善場「そのようですね」
愛原「その城ヶ崎さんは、その旧アンブレラ・ロジスティックスに関係が?」
善場「東京中央学園のデータベースを確認したのですが、特にそういった物は見受けられませんでした。両親とも、日本アンブレラとは全く関係の無い仕事に就いています」
愛原「んん?」
善場「日本アンブレラのデータベースを確認しましたが、そちらにも『城ヶ崎』という名前の関係者はありませんでした」
愛原「じゃあ、何で彼はその鍵を持っていたのでしょう?」
リサ「拾った?」
高橋「ボコして分捕った」
善場「……この場合、リサの意見の方が現実的ですね」
愛原「拾ったってどこで?」
リサ「それは知らないよ。まあ、学校か家の近くとかじゃないの?」
善場「私が想定しているのは、『斉藤早苗からもらった』なのですがね」
愛原「まさか……!?」
リサ「まあ、有り得るね。元々“トイレの花子さん”だったんだから、それに化けて……」
愛原「まさか、今もそこにいるってんじゃないだろうな?」
リサ「それはないでしょw 今はもう幽霊じゃないんだから」
高橋「お前は先生の仰る事を否定するのか?」
愛原「だけど、本来の予定では、旧校舎の2階に行くはずだったんだよな?」
リサ「まあね」
善場「……皆さんに御依頼があります」
愛原「何でしょう?」
善場「この鍵を持って、東京中央学園上野高校・旧校舎の探索をお願いします。もしかしたら、この鍵で開く何かがあるのかもしれません」
愛原「分かりました。すぐに行って参ります」
善場「私共は城ヶ崎家に行ってみたいと思います。何か分かりましたら、御連絡を」
愛原「了解しました」
会議はものの30分程度で終わった。
[同日11時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
リサ「学校休みなのに、学校に来ちゃうなんて」
愛原「これなら、俺もお祓いに行けば良かったかな」
さすがにもうお祓いは終わっているらしく、関係者の姿は無い。
車を来客用駐車場に止めると、愛原は現校舎の事務室に向かった。
愛原「お疲れ様です。PTA会長の愛原です」
事務員「愛原さん?お祓いなら、もう終わりましたよ」
愛原「分かっています。予定としては、明日からは生徒も通常通りですね」
事務員「そうです。それで、何か用ですか?」
愛原「ちょっと鍵を貸して欲しいんです」
事務員「鍵?どこの?」
愛原「教育資料館です」
事務員「教育資料館?そんな気軽に……」
愛原「政府機関からの『捜査協力依頼書』です」
事務員「えっ!?」
警察関係者が、施設の監視カメラを確認したい時によく持って来る書類だ。
今はもう警察手帳の提示だけでは、施設関係者はカメラの映像を見せない為。
捜査令状があれば問答無用で応じなければならないのだが、その手続きは猥雑である。
そこで、法的拘束力は無いものの、責任の所在を明確にする為の書類が折衷案として出され、それが『捜査協力依頼書』である。
愛原「今日は探偵として参りました。よろしく御協力お願い致します」
事務員「……わ、分かりました」
愛原は無事に鍵を借りることができた。
尚、捜査協力依頼書の発行元は、NPO法人デイライトではなく、警察庁になっている。
だが、善場の本来の所属元がそことは限らない。
善場の口ぶりからして、警察庁の上部組織の国家公安委員会、もしくは更にその上の内閣府である可能性を愛原は指摘している。
愛原「よし、行こう」
リサ「“トイレの花子さん”がいた場所は知ってるから、わたしが案内するよ」
リサは愛原と高橋を先導すると、旧校舎たる教育資料館へと向かった。
臨時休校となった月曜日、リサは愛原や高橋と共に車で新橋に向かった。
免許の点数も残り少なくなった高橋の運転の為、愛原は高橋に慎重な運転を求めた。
その甲斐あってか、往路は特に警察の取り締まりを受けることもなく、また、駐車場も新橋駅前の地下駐車場を利用した為、駐車禁止の取り締まりも受ける心配は無くなった。
愛原はスーツを着ていたし、リサは学校の制服を着ていたが、高橋は相変わらず私服。
しかし、いつもの恰好である。

リサ「新しい制服、無事ゲットだよ。ありがとう」
善場「それは良かったです。卒業まで今年度中とはいえ、大事に着てくださいね」
リサ「もちろん、わたしはそうしてる。敵対者が、気を使ってくれればねぇ……」
高橋「まあ、使うわけねぇな」
リサ「だよね」
会議室に通され、各々椅子に座る。
善場「今日はお集り頂き、ありがとうございます。本日は、先日にリサが手に入れた鍵のことについてでございます」
モールデッド化した1年生男子生徒、城ヶ崎。
校舎の屋上から飛び降り自殺を図った前生徒会長の弟である。
愛原「鍵の出所が分かりましたか?」
善場「こちらで調査しましたところ、鍵のロゴマークは、かつて日本アンブレラ100%出資の子会社、アンブレラ・ロジスティックスという運送会社の物に酷似していることが分かりました」
愛原「そうだ!思い出した!霧生市の研究所、そこの駐車場に止まっていたトラックに描かれてたヤツだ!」
リサ「それで何となく覚えてたんだね」
善場「今は日本アンブレラから資本が切り離されて分社化し、本流の『UL運送』と、一部のドライバー達が独立して設立した『ユー・ライン』という、どちらも運送会社ですが、その2つに分かれています。そして、アンブレラ・ロジスティックスの倉庫部門だった所も独立して、『傘森倉庫』という会社になっています」
愛原「佐川急便とか、ヤマト運輸に資本を買われたわけではないんですな」
善場「そのようですね」
愛原「その城ヶ崎さんは、その旧アンブレラ・ロジスティックスに関係が?」
善場「東京中央学園のデータベースを確認したのですが、特にそういった物は見受けられませんでした。両親とも、日本アンブレラとは全く関係の無い仕事に就いています」
愛原「んん?」
善場「日本アンブレラのデータベースを確認しましたが、そちらにも『城ヶ崎』という名前の関係者はありませんでした」
愛原「じゃあ、何で彼はその鍵を持っていたのでしょう?」
リサ「拾った?」
高橋「ボコして分捕った」
善場「……この場合、リサの意見の方が現実的ですね」
愛原「拾ったってどこで?」
リサ「それは知らないよ。まあ、学校か家の近くとかじゃないの?」
善場「私が想定しているのは、『斉藤早苗からもらった』なのですがね」
愛原「まさか……!?」
リサ「まあ、有り得るね。元々“トイレの花子さん”だったんだから、それに化けて……」
愛原「まさか、今もそこにいるってんじゃないだろうな?」
リサ「それはないでしょw 今はもう幽霊じゃないんだから」
高橋「お前は先生の仰る事を否定するのか?」
愛原「だけど、本来の予定では、旧校舎の2階に行くはずだったんだよな?」
リサ「まあね」
善場「……皆さんに御依頼があります」
愛原「何でしょう?」
善場「この鍵を持って、東京中央学園上野高校・旧校舎の探索をお願いします。もしかしたら、この鍵で開く何かがあるのかもしれません」
愛原「分かりました。すぐに行って参ります」
善場「私共は城ヶ崎家に行ってみたいと思います。何か分かりましたら、御連絡を」
愛原「了解しました」
会議はものの30分程度で終わった。
[同日11時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
リサ「学校休みなのに、学校に来ちゃうなんて」
愛原「これなら、俺もお祓いに行けば良かったかな」
さすがにもうお祓いは終わっているらしく、関係者の姿は無い。
車を来客用駐車場に止めると、愛原は現校舎の事務室に向かった。
愛原「お疲れ様です。PTA会長の愛原です」
事務員「愛原さん?お祓いなら、もう終わりましたよ」
愛原「分かっています。予定としては、明日からは生徒も通常通りですね」
事務員「そうです。それで、何か用ですか?」
愛原「ちょっと鍵を貸して欲しいんです」
事務員「鍵?どこの?」
愛原「教育資料館です」
事務員「教育資料館?そんな気軽に……」
愛原「政府機関からの『捜査協力依頼書』です」
事務員「えっ!?」
警察関係者が、施設の監視カメラを確認したい時によく持って来る書類だ。
今はもう警察手帳の提示だけでは、施設関係者はカメラの映像を見せない為。
捜査令状があれば問答無用で応じなければならないのだが、その手続きは猥雑である。
そこで、法的拘束力は無いものの、責任の所在を明確にする為の書類が折衷案として出され、それが『捜査協力依頼書』である。
愛原「今日は探偵として参りました。よろしく御協力お願い致します」
事務員「……わ、分かりました」
愛原は無事に鍵を借りることができた。
尚、捜査協力依頼書の発行元は、NPO法人デイライトではなく、警察庁になっている。
だが、善場の本来の所属元がそことは限らない。
善場の口ぶりからして、警察庁の上部組織の国家公安委員会、もしくは更にその上の内閣府である可能性を愛原は指摘している。
愛原「よし、行こう」
リサ「“トイレの花子さん”がいた場所は知ってるから、わたしが案内するよ」
リサは愛原と高橋を先導すると、旧校舎たる教育資料館へと向かった。
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