報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「ケンショーの逆襲」

2016-04-19 21:11:20 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月27日17:57.天候:晴 JR大宮駅 稲生勇太&マリアンナ・ベルフェ・スカーレット]

 稲生達を乗せた高崎線電車が、さいたま新都心駅を発車した。
 この駅は埼玉スーパーアリーナの最寄り駅で、顕正会を始めとして、エホバの証人などの新宗教団体が大会を開くこともある。
 その駅を出れば、大宮はもうすぐそこである。

〔まもなく大宮、大宮、お出口は左側です。新幹線、宇都宮線、埼京線、川越線、東武野田線とニューシャトルはお乗り換えです〕

 宇都宮線だと大宮駅9番線に入る関係で、ポイントを渡る際の減速と大きな揺れがある。
 それに対し、高崎線はそのまま真っ直ぐ入線する。
 これは8番線が本線で、9番線が副線だからなのだが、何故このような扱いになるのかというと、鉄道の歴史が大きく関係している。
 今でこそ大宮から南は宇都宮線(東北本線)だが、実は上野から北は高崎線の方が開通が早い。
 大宮駅に乗り入れたのも、高崎線が1番最初だった。
 その為、後から開通した宇都宮線は副線扱いとなり、大宮駅の前後でポイントを渡らされるという扱いを受けている。
 地下鉄も最初に開通した路線は比較的浅い所を走っているように、鉄道の世界では最初に開通した鉄道会社や路線がモノを言える世界なのである。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく大宮、大宮です。お客様に、お知らせ致します。川越線は指扇駅で発生しました車両点検により、15分ほどの遅れが発生しているとの情報が入っております。ご利用のお客様は、駅の案内にご注意ください」〕

「あの単線区間で15分も遅れたら大変だなぁ……」
 稲生は苦笑いしていた。
「そうなのか?」
「マリアさんは乗ったことが無いから分からないと思いますけどね。ま、別に僕達が乗るわけではないので……」
「いや、そうじゃなくて……」
 電車が大宮駅に到着する。
 埼玉でも1番大きなターミナル駅なので、ここで下車する乗客は多い。

〔「尚、川越線は指扇駅で発生しました車両点検により、遅れが発生しております。ご利用のお客様には大変申し訳ございませんが……」〕

 他の乗客が何やら電話している。
「あー、もしもし。俺だけど、何か川越線が15分遅れてるみたいだから、ちょっと遅れそうだわ」
 駅の放送や他の乗客の会話、稲生の反応を見たマリアは……。
(15分の遅れって……そんなに大騒ぎするほどのものなのか???)
 と、思った。
(師匠と昔乗った“ユーロスター”なんか、15分くらい遅れたくせに『ON TIME.』扱いになってたぞ?)
「川越線15分の遅れ。マジキチだし!」
「埼京線も影響受けて、5分以上遅れてるしー」
(5分遅れで!?)
「マリアさん、どうしました?」
 日本人乗客達の反応にマリアは、
「Why Japanese People!?」
 と、厚切りジェイソンの叫びを上げた。

 尚、英仏海峡トンネルを通る“ユーロスター”もそうだが、アメリカの全米旅客鉄道公社(通称、アムトラック)もまた15分前後のダイヤのズレ程度では『ON TIME.』なのだそうである。

[同日18:02.天候:晴 JR大宮駅東口→タクシー車内 稲生&マリア]

 改札口を出て駅東口のタクシー乗り場に移動する2人。
「いや、ゴメン。何か、取り乱して……」
「まあ、日本人は『電車は時間通りに走って当たり前』と思っているので……。僕達からしてみれば、ニューヨークの地下鉄の各駅停車が、回復運転の為にいきなり急行電車になることに『Why American People!?』と叫びたくなると思います」
「いや、多分それは私も叫ぶと思う」
 もちろん運転士が勝手に各駅停車を急行にするのではなく、一応ちゃんと指令センターからの指示で行うのだが……。
 イギリス人からしてみても、理解しがたい運行管理なのだそうだ。
「もっと正確に、『Why New Yorkers!?』と叫んであげよう」
「あ、なるほど」
 そんな話をしながら、2人は駅前からタクシーに乗り込んだ。
 大宮駅の東西タクシー乗り場にいるタクシーの9割は黒塗りである。
 稲生達が乗ったタクシーは、大宮でも希少価値となった白い帽子を被っている運転手が乗っていた。
「すいません、寿能町のレストラン◯◯までお願いします」
「はい」
 タクシーは駅前を出発した。
「ここから遠いのか?」
「いや、だいたい10分くらいで着けると思います」
 マリアの質問に稲生が答えた。
「行ったことがあるの?」
「ええ。父さんの知っている人がやっているお店で、たまにそこで外食するんですよ」
「ふーん……」
「顕正会本部が近くにあるので、僕が顕正会活動をしている時は一切連れて行ってくれませんでした」
「そうなのか」
「日蓮正宗の信仰をしている時でも、あんまり連れて行ってくれなかったなぁ……」
「それが今や……」
「一応、今は認めてくれたのかな」
「それだといいな」
「ええ……」

 タクシーはしばらく東の方向に走り、産業道路を左折した。
 名前は産業道路だが、片側1車線の県道である。
 進路を北に変えて、またしばらく進む。
「えーと……レストランは……。あー、確かあの辺だったかな。すいません、運転手さん、次の信号を右に曲がってください」
「…………」
 しかし、白い帽子を深く被り、眼鏡を掛けた運転手からは何の反応も無い。
「あ、あの、すいません。次の信号を……あっ!?」
 タクシーは稲生が指定した交差点を通過してしまった!
 交差点の先には、確かに目的地のレストランがあった。
 あそこで両親が先に待っているはずだ。
「ちょっと!行き過ぎましたよ!?早く戻って……」
「……行き先変更。行き先は地獄の1丁目でいいかぁ?あぁっ!?」
 運転手は深く被っていた白い帽子を浅く被り直した。
「わあっ!?お、お前はぁーっ!?」
「ケンショーブルー!?」
「テメーら!よくも先日は崇高で大感動の総幹部会を台無しにしてくれたな!あぁっ!?おかげでイエロー先生は、ぎっくり腰で日曜勤行に出られなくなっちまったんだぜっ、ああっ!?」
「やっぱりそうだったのか!」
「これからテメーらにはケンショー本部に行ってもらって、たっぷり落とし前つけてもらうからよー!覚悟しときなっ、ああっ!?」
「落とし前だって!?」
「ケンショー本部には、男子部がテメーらの歓迎の準備をして待ってるぜ、ああっ!?取りあえず、ユタには全治3ヶ月の罰を大聖人様に代わってお仕置きだぜっ、ああっ!?」
「な、何だってー!?」
「で、マリアには俺達の慰み者になってもらうぜ、ああっ!?たっぷりチ◯ポしゃぶらせた後、輪姦(マワ)しまくって妊娠させてやっからよー!じゃ、頼んます!」
「ふざけるな、キサマ!」
「マリアさんには絶対に触れさせない!」
 魔道師達、激しく抵抗する。
 が、ブルー、アクセルをガシガシ踏みまくり、蛇行運転のオンパレード。
「わあっ!?」
「ぎゃっ!」
 更には急ブレーキに急発進まで。
 リアシートで振り回される稲生達。
 当然、周囲の車からはクラクションの雨あられだが、ブルーは全く気にせず、再び対向車線に出る。
「わあっ!ぶつかるーっ!?」
 だが、ぶつかる直前にブルー、また元の車線に戻った。
 タクシーとぶつかりそうになった対向車は驚いて急ハンドルを切ったため、それはガードレールに激しく衝突した。
「ウヒョヒョヒョヒョヒョ!俺の運転テクとSEXテクは最高だぜぃ、ああっ!?」
 マリアは車酔いを起こして、抵抗できなくなった。
「マリアさん!?しっかりして!」
「き……気持ち悪い……」
「ウヒョヒョヒョヒョ!ユタよぉ!堕落した宗門なんかよりケンショーの方が正しいって分かったか、ああっ!?」
「何だと?」
「もし今ここでオメーがケンショーに戻るってんなら、落とし前はチャラにしといてやるぜ、ああっ!?そこのマリアも俺様の紹介で入信するってんなら、もう文句は無しだぜ、ああっ!?俺様の大慈大悲で、センセーには言っといてやるぜ、ああっ!?」
「ざっけんな!!」
 稲生、後ろからブルーを羽交い絞めにする。
「何しやがる、てめっ!?ああっ!?放しやがれ!!」
 羽交い絞めにされていても、手や足は動くはずなのだが、稲生の手から青白い光が出ていた。
「何てこった!ハンドルもブレーキも効かねぇ!おい!何しやがる、放せ!!」
 その時、マリアはついに嘔吐した。
 タクシーはまるで自動運転装置つきのように、ある場所へ直行した。

 その場所とは……。

[同日18:15.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区・盆栽町 ケンショーイエロー、ケンショーレッド、ケンショーブルー、稲生、マリア]

 大宮の高級住宅街にある豪邸。
「いつつつつ……。全く。とんだ災難じゃわい」
「ぇ父さん、ぇ寄る年波もあるってことだよね?」
「やかましい、レッド!先生と呼ばんかい!」
「ぇでも、ここは自分の家だしぃ……」
「文句言ったら、オマエもセピアと同じく地下室住まいじゃぞ!?」
「ぇええっ!?ぇそ、それだけはっ……!」
「分かったら、早いとこあの小僧共を捕まえるんじゃ!大事な総幹部会を台無しにしおって!」
「ぇそれならイエロー先生、ぇブルーが、ぇタクシーで捕まえたって、ぇ報告があったよ?」
「おおっ!さすがはブルーじゃ!久方ぶりに幹部に据えたかいがあったというものぢゃ!」
「ぇケンショー本部に、ぇまもなく到着するらしいってさ」
「着いたら、あの小僧共は本部の地下牢に監禁しておくのぢゃ。ワシ自ら、大聖人様に代わって罰を下してやろうぞ!」
「はい」
 すると、外から何かバキバキという音がした。
「ん?レッド、今何か音がしなかったか?」
「ぇ何か、ぇ壊れる音ですね」
「早いとこ調べろ!」
「はい」
 レッドが立ち上がって中庭に出るのと、生垣からタクシーが突っ込んでくるのは同時だった。
「わあーっ!?」
 タクシーは真っ直ぐ、イエローが療養している部屋に突っ込んでくる。
 レッドはイエローを見捨てて逃げた。
「こりゃっ!レッド!どこへ行く!?わ、ワシも連れて……わあああああっ!!」

 ガッシャーンと大きな音がした。
 タクシーは家のガラス戸を突き破り、イエローを轢き【以下略】。
 更に隣の部屋の壁に突っ込んで、やっと止まった。
 尚、隣の部屋に避難していたレッドも崩れた壁の下敷きになったという。
「り、料金は……現金のみたぜ……ああっ?じゃ、頼んます……」
「誰が払うか、ボケッ!!」
 稲生、完全にブチギレていた。

 この大騒ぎで、残念ながら食事会は中止になってしまったという。
 稲生にはケガが一切無かったのだが、マリアの体調が悪化してしまったのもあった。
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“大魔道師の弟子” 「東京から埼玉へ」

2016-04-18 21:12:26 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月27日17:16.天候:晴 JR上野駅 稲生勇太&マリアンナ・ベルフェ・スカーレット]

〔次は上野、上野。お出口は、左側です。新幹線、高崎線、宇都宮線、常磐線、地下鉄銀座線、地下鉄日比谷線と京成線はお乗り換えです〕

 御徒町〜上野間は距離が短い為、日本語放送の後で英語放送が鳴るのだが、それが言い終わる前にもうホームに差し掛かってしまう。
 ホームドアが山手線全駅に設置されたこともあって安全性は高まったのだが、電車が止まってからドアが開くまで、一呼吸二呼吸のブランクが発生するようになった。
 地方で押しボタン式の半自動ドアを実施している線区があるが、それと長さは同じかもしれない。

〔うえの〜、上野〜。ご乗車、ありがとうございます〕

 稲生達は電車を降りて、更に進行方向の階段を登った。
 新宿の後で錦糸町に移動した2人。
 マリアのお目当ては買い物だった。
 見た目はごく普通のディスカウントショップ。
 しかし、店の奥には魔法具を取り扱う売り場があって……。
 まあ、マリアが買ったのは着替えの服などであったが。
 稲生が買ったのは、魔法具売り場の所にアルカディア・タイムスあったのでそれ。
 ダンテ一門の魔道師達はアルカディア王国でも名うての集団であり、何かあるとよく新聞記事になっていた。
 それはイリーナが宮廷魔導師を務めたことがあり、今ではポーリンが宮廷魔導師を務めている。
 これは日本で言うなら、宮内庁の長官のような地位である。
 二期連続でダンテ一門からそのような高官を出したことで、更なる注目が集まっていた。
 そんな時に、あの不祥事である。
「『ダンテ門流、内紛発生か?』『嫉妬に狂った魔道師達!』『幸せは誰のモノ?』……こりゃまたセンセーショナルだ。作者愛読の夕刊フジみたい」
「まあ、タブロイド判の時点でアレだけどね」
 マリアも苦い顔をしていた。
 被害者がマスコミの晒し者にされることは、人間界も魔界も変わらない。
「あ、ちょっと待ってください」
 階段を上がって中距離電車のホームに向かうコンコースの途中で、稲生は家から電話が掛かって来たことに気づいた。
「?」
「家から電話です」
「ああ」
 稲生は着信のあった自宅の電話に掛け直した。
 その間、マリアはアルカディア・タイムス英語版を見ていた。
 被害者の顔写真として、マリアが写っている。
 その写真の写り具合がとても悪い。
 今よりずっと顔色の悪かった時に撮った写真が使われていた。
(私……こんな顔してたんだ……)
 目の周りを見ても、ほとんど生気が無い。
 もっとも、加害者達として掲載されているクリスティーナ達も目つきは良くなかった。
(これじゃあ、確かにキリスト教会から魔女狩りに遭ってもおかしくはないな……)
「……うん、それじゃ」
 マリアが自分達のことについて考えているうち、稲生は電話を切った。
「マリアさん、ちょっと大変なことになりました」
「なに?何かあった?」
「父さんがゴルフから早く帰ってきたので、今夜は外で食べようと言うんです」
「ああ、親子水入らずってヤツか。いいよ。私は留守番してる」
「あ、いや、そうじゃないんです。マリアさんも是非一緒にということです」
「そうなのか?いいの?」
「ええ。で、問題はその先なんです」
「ドレスでも着て行かなきゃいけない?」
「いえっ、そこまで硬いレストランじゃないんで。そうじゃなくて、場所がケンショー本部の近くなんです」
「はあ?」

[同日17:31.天候:晴 JR高崎線847M電車内 稲生&マリア]

 低いホーム13番線に移動した稲生達。
 低いホームというのは、中央改札口から入って正面にあるホームのことである。
 高いホームが左手の階段やエスカレーターを上がった所にあるのに対し、フラットな場所にある為、『地平ホーム』と呼ばれることもある。
 昔は長距離列車の発着場であったが、その長距離列車が軒並み廃止になって以降、上野始発・終着の中距離電車が主に使用している。
 稲生達はその上野始発の高崎線普通列車に乗ったというわけだ。
 長い15両編成の先頭車まで行くのは、稲生の趣味か。
 マリアは文句を言わず、ちゃんとついてきたが。

〔「まもなく13番線から17時31分発、高崎線普通列車の前橋行き、まもなく発車致します」〕

 ボックスシートもある先頭車だが、座ったのはドア横の2人席。
 稲生的にはマリアと体が密着できる上、マリアもまたこうすることで、見知らぬ男が隣に座って来る心配も無い。
 井沢八郎の“あゝ上野駅”をアレンジした発車メロディがホームに鳴り響く。

〔13番線、ドアが閉まります。ご注意ください〕
〔「前、オーライです。13番線、ドアが閉まります。ご注意ください」〕

 ドアが閉まって、中距離電車はゆっくりと走り出した。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は高崎線、普通電車、前橋行きです。前5両は、途中の籠原止まりです。……次は、尾久です〕

 アルカディア・タイムスによると、総師範のダンテ・アリギエーリは、このような不祥事に関わった者全員に厳正な処分を下し、今後綱紀粛正を図ると表明しているという。
『……処分については今月中に行うとしている』
 で、記事は締められていた。
「私達は……師匠クラスともなると、世界を影から動かすことも行っている。魔界では政権の中枢にいたりすることもできるし、本当は適当なことはできないんだ」
「そうですよね。今はまだ信じられませんけど……」
「まだユウタは入門して日が浅いからね。そういう私も、頭でしか分かっていない」
「そうなんですか?」
「今のところ、まだ師匠のような境地に至れる自信が全く無い。確かに私は免許皆伝は受けた。受けたけども、やっぱりまだまだ分からないことだらけだ」
「マリアさんでさえねぇ……」
「だからなんだろうね。魔道師に悠久とも言える時間が与えられているのは……」
「はい」
「で、どうする?御両親は先にレストランで待ってるんだそうだね?」
「電車でアクセスしようとすると、大宮公園駅で降りた時点で顕正会員と遭遇する恐れがあります。まだ、総幹部会の時のアレが残ってるでしょうからねぇ……」
 見つかったら、きっと襲って来るに違いない。
「私の魔法で、ケガぐらいさせておく?」
「い、いや、もう少し平和的に行きましょう。幸い、父さんが駅からタクシーに乗っていいと言っていたので、今日はお言葉に甘えようと思います」
「そうか」

 電車が低いホームから地上へと這い上がり(と言っても、低いホームが地下にあるわけではない)、車内に夕日が差し込んで来た。
「E231系だとブラインドが無いから、少し眩しいですね」
 一応、UVカットガラスにはなっているのだが。
「でも、きれいな夕日だと思う。森の中だと、あまり日が差さないからね」
「それでも、飯田線沿線や篠ノ井線沿線にあった頃よりはマシだと思いますよ」
「そうかな?」
「ええ。少なくとも朝日は差し込んでくるおかげで、朝の勤行はやりやすくなりました」
 初座の勤行で東を向く為。
「それならまあいいけど」
 電車は夕日の中を北に向かって進む。
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本日の雑感 0417

2016-04-17 23:04:07 | 日記
 熊本近辺では余震が相次いでいる。
 先ほども、被災地ではまた震度4の揺れが発生したようだ。
 顕正会員は、くれぐれも便乗勧誘をしないように。
 愛国 清澄さんのブログにもコメントしたが、顕正会員は常に誓願という名のノルマに追われている。
 そんな時、常日頃から他国侵逼・三災七難の恐怖を煽られて来た会員達が、正にその震災発生に際し、一気にノルマを達成させるチャンスとむしろ喜ぶことは、元顕ならだいたい想像がつくだろう。
 そしてそれはつまり、私らも通って来た道であるということなのだが。
 自分達が浅井センセイにお応えする為のことだけを考えているため、そこに被災者達を救ってあげたいという慈悲は微塵も無い。
 あってもそれは、勧誘の為の駆け引き。つまり、表向きだ。
 だから私も、他の元顕信徒さん達も、顕正会員のそんな便乗勧誘をやめろと呼び掛けているのである。

 佐藤芳明さんと仰る法忍寺支部法華講の方が、急に連絡を取りたいとのコメントを寄せて下さったが、あいにくと意図が分からないので、今現在ご要望にお応えしかねている状態だ。
 佐藤さんは山門入り口さんの所にも出入りされていた方で、どうやら学会員との法論に負けたとのこと。
 背景がよく分からないので調べてみたが、法忍寺さんは東京の八王子にあるらしい。
 これで何となく分かった。
 お寺のある場所自体が、学会でも重要な施設のある所の近くなのだ。
 御宗門は今、学会への折伏を鼓舞しているが、法忍寺さんの場合、鼓舞されなくても、立地条件的に創価学会と戦わざるを得ない状況に立たされているのだろうと推測した。
 尚、私は元学会員ではないし、今現在、学会員から何か困ったことをされているというわけでもないので、私は学会員への相手は消極的である。
 もし佐藤さんが河童さんみたいなのを相手にしていたとするならば、もう相手にしないことをお勧めしたい。
 学会内部の、んっ?さんみたいな方が必ず近くにいるだろうから、その人に任せておけば良いかと。
 それとも、んっ?さんを折伏しますか?多分、勝てないと思います。

 私ら元顕は現役の顕正会員は相手にするけれども、学会員についてはほぼノータッチである。
 武闘派の中には元顕で学会畑を歩いたことが無いのに、学会に立ち向かっている勇敢な人達もいるけれど。
 恐らく、現役顕正会員時代でも、学会員を積極的に相手にしていたのだろう。

 というわけで佐藤芳明さんにおかれましては、もう少し連絡を取りたいという意図についてご説明頂ければと思います。
コメント (8)
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“大魔道師の弟子” 「都営地下鉄新宿線」

2016-04-16 21:36:15 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月27日13:08.天候:晴 都営地下鉄森下駅・新宿線ホーム 稲生勇太&マリアンナ・ベルフェ・スカーレット]

 昼食を終えた稲生達は、再び地下鉄の駅へと下りた。
「昼食、松屋は手ェ抜いちゃいましたかね?」
「いや、そんなことは無い。イギリスには、ああいう店は無いし」
 と、マリア。
 まあ、それはそうだろう。
 日本から見て、イギリスはあまり美味い料理は無いというイメージだ。
 人によっては、ローストビーフ以外美味い物は無いと言うほどだ。

〔まもなく1番線に、各駅停車、新宿行きが、短い8両編成で到着します。白線の内側まで、お下がりください。急行の通過待ちは、ありません〕

 電車が轟音を立ててやってくる。
 都営新宿線は乗り入れ先の京王線も含め、1372mmという特殊な軌間を使用している。
 これは都電荒川線もなのだが、魔界高速電鉄にこの手の電車が走っていないのは、ひとえにこの軌間の路線が無いからである。
 但し、人間界において、第二種鉄道事業者として人間界を縦横無尽に走る冥界鉄道公社(幽霊電車または幽霊列車を運行)にあってはこの限りではない。
 もちろんこんな真っ昼間から幽霊電車が走っているわけがなく、ちゃんとした都営地下鉄の車両がやってきた。

〔1番線の電車は、各駅停車、新宿行きです。森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです〕

 昼間ということもあってか、8両編成でも車内は空いていた。
 2人は最後尾に乗り込む。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 都営新宿線はワンマン運転をしていない為、最後尾に車掌が乗っている。
 いちいち停止位置の良し悪しを確認してドアを開け、乗客の乗り降りに際して最後まで安全確認をするのは日本では当然のことだが、先進国であっても、あまり外国ではそこまで拘っていないらしい。
 電車が走り出す。

〔この電車は各駅停車、新宿行きです。次は浜町、浜町。お出口は、右側です〕
〔This is the local train,bound for Shinjyuku.The next station is Hamacho.〕

「マリアさんの出身国はハンガリーでしたよね?」
「ええ」
 生まれてすぐに移民としてイギリスに渡った。
 なのでマリアとしては、ハンガリー人という自覚は無い。
 民族的にはマジャル民族であり、スコットランド人とは全く違う。
 日本人から見れば、同じ白人にしか見えないのだが。
 白人は白人同士で、何やら色々な民族差別があるらしい。
 マリアがイギリスで迫害を受けたのはその為。
「ネットでブダベストの地下鉄の映像を見たんですが、駅は新しくてきれいなのに、やってきた電車が旧ソ連製の古い車両だったのにはびっくりしましたよ」
「ああ。まあ、元々はソビエト連邦の国だったからな……」
 マリアは苦笑した。
 その古さたるや、魔界高速電鉄地下鉄線でも運用されているほど。
 日本の銀座線や丸ノ内線などと同じく、軌間が標準軌であり、第3軌条方式であることから、一緒になって運用されているのだろう。
「乗務員がただ運転してるだけ、ドアを開け閉めしているだけなのにも驚きました」
「そんなもんさ」
 車掌は前部運転室に、運転士と一緒に乗る。
 駅に到着すると客用のドアを開け、ついでに乗務員室のドアも開けるのだが、ホームに降りて安全確認などしない。
 駅の発車サイン音と自動放送が鳴ったら、適当にドアを閉める。
 恐らく乗客が挟まれても、再開閉しないのだろう。
 だからなのか、誰も駆け込み乗車はしない。
「ところで、これからどこへ行くの?」
「新宿です、新宿」
「新宿……」
「帰りの交通手段のメドが付いたので、これからちょっと行ってみようかと」
「ふーん……?」
「帰りは夜行バスでもいいですか?」
「いいよ。ユウタに任せる」
「ありがとうございます」

[同日13:35.天候:晴 新宿高速バスターミナル 稲生&マリア]

 ※この時点ではまだバスタ新宿は開業していないので、稲生達が行ったのは新宿西口ヨドバシカメラ前の方である。

「では3月30日の23時ちょうど発で、白馬八方まで大人2名様ですね?」
「はい」
「中央高速バス、アルピコ交通便で9Aと9Bです。お会計が……」
 バスターミナルの発券カウンターで、稲生は夜行バスの乗車券を買った。
「ユウタ」
 マリアは自分のローブの中から財布を出すと、クレジットカードを出した。
 アメリカンエクスプレスのゴールドカードからして、イリーナから貸与されているものだろう。
 イリーナ本人はプラチナカードやブラックカード(プラチナカードの更に上を行く、最高ランクのカード)を持っている。
「あ、すいません。支払い、カードでお願いします」
「はい」
 乗車券を買って、2人はバスターミナルをあとにした。
「帰りは、このバスターミナルから乗るの?」
「そうですね」
 座席表からして4列シートであるようだが、マリアと一緒ならむしろ稲生的には大歓迎であった。
「じゃあ、帰りましょう」
 2人は再び新宿駅に向かった。
「それにしても30日出発とは……」
「やっとそこが2人分空いている日でしたからね。助かりました。……あ、それまで僕の家に泊まっていけばいいですよ」
「何だか、申し訳無いな」
「いやいや、いいんですよ」
「ところでユウタ」
「何ですか?」
「まだ、時間はあるか?」
「ええ、ありますけど……」
「ちょっと、寄って行きたい所があるんだけど、いいかな?」
「あ、はい。いいですよ。どこですか?」
 マリアはローブの中から、英語版の地図を出した。
「ここ」
「えー……錦糸町?」
「そう」
「それなら、中央・総武緩行線で1本ですね。これはまたどうして?」
「ワンスターホテルのオーナーみたいに、魔道師に色々と縁のある人間がいる。それに会いに行くだけだ」
「なるほど。それじゃ、行ってみましょう」

 稲生達はJR新宿駅に移動し、そこから中央・総武緩行線に乗った。
 こういうルートも、稲生みたいな鉄ヲタだからパッと出たわけで、特に外国人には分かりにくいだろう。
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“大魔道師の弟子” 「東京を過ごす」 

2016-04-15 19:05:17 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月27日11:00.天候:晴 東京都区内某所・日蓮正宗正証寺 稲生勇太&マリアンナ・ベルフェ・スカーレット]

 春季総登山といっても、支部総登山ではないので、多くの信徒が大石寺に向かったわけではなかった。
 駐車場には大原タクシーが止まっていて、お寺の集会室に行くと大原班長がいた。
「やあ、帰ってきたんだね。お疲れさん」
「大原班長、あの時はありがとうございました」
「今度からは邪教徒達からの布施は受けないようにね」
「はい、気をつけます」
「あ、あのっ……!」
 マリアが前に出た。
「仲間の救助に協力してくれて、ありがとうございました」
「ああ!あの、聖ジャンジョン教会が連れて行った外人さんのお友達?無事で良かったね」
「はい。本当に、ありがとうございました」
 と、マリアは言ったが、
(あまり面識の無いヤツだったんだが、被害者は被害者だしな……)
 と、思った。
(多分、フレデリカに唆されて、ユウタの後ろを監視してただけだったんだろうな)
 とも。
「藤谷班長は?」
「あの人は御登山中だよ」
「そうでしたか。藤谷班長にもお礼を言っておきたかったんですが……」
「それなら、私から言っておくよ」
「すいません、ありがとうございます」
 稲生は最後に、本堂へ御題目を唱えに行こうと思ったが……。
「あ、稲生君」
 そこへ折伏推進委員会の委員長が話し掛けて来た。
「折伏、ご苦労さんね。じゃあ、これに書いてもらって。お嬢さん、日本語分かる?」
「はい?」
「は?」
 委員長が持って来たのは入信願書。
「いや、違いますよ、マリアさんは!」
(凄い宗教だな……。確かに、これなら魔女狩り集団も形無しかもしれん……)

[同日11:40.天候:晴 東京メトロ池袋駅・丸ノ内線車内 稲生&マリア]

〔「お待たせ致しました。11時40分発、新宿行き、まもなく発車致します」〕

 稲生達は池袋駅に移動し、そこから丸ノ内線に乗り込んだ。
 エレーナにも世話になったことだし、彼女にも礼を言いに行くことにしたのだった。
 慌てて正証寺から逃げ出した感はあるが。

 発車メロディが鳴り響き、ホームドアと電車のドアが自動で閉まる。
 丸ノ内線は全駅ホームドアが設置されてからワンマン化された。

〔東京メトロ丸ノ内線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は大手町、銀座、赤坂見附方面、新宿行きです。次は新大塚、新大塚です。……〕

 魔界高速電鉄(アルカディア・メトロ)1号線は丸ノ内線の池袋〜大手町間と、路線図がよく似ている。
 第3軌条方式である所もそっくりだ。
 稲生はスマホで、長野までの帰りの足を検索していた。
「ふーむ……。“ムーンライト信州”はしばらく運転しないか……。ならば……」
「いいルート、見つかりそう?」
「もうちょっと待っててください」
「こういう時、ユウタがいると頼もしいな」
「いえ、大したことないです」
「いやいや。今走ってるルートだって、私は全然分からない」
「マリアさんはイギリス人ですから、なかなか東京の地下鉄は分からないでしょう」
 日本人であっても、東京の地下鉄の複雑さは上級者向けである。
 差し当たり、地下鉄のキップをJRの券売機で買おうとするような人は乗るのをやめた方がいいだろう(作者、秋葉原駅で目撃済み)。
「僕が素でニューヨークの地下鉄に乗れと言われたら、間違い無くパニクります」
「私もムリだ」
 マリアは笑みを浮かべた。

[同日12:15.天候:晴 東京都江東区森下・ワンスターホテル 稲生&マリア]

 ドヤ街としても知られた森下地区。
 今となっては簡易宿所としてのドヤから、ビジネスホテルに昇格した店舗が多い。
 ワンスターホテルもその1つ。
 なので規模は小さく、料金も安い。
 その為か、バックパッカーなどの外国人利用者が多い。
 エレーナは、そんな世界各国を旅行するバックパッカー達から情報を仕入れているというわけだ。
 外国人バックパッカーのほぼ全員、日本語が喋れない。
 かといって、英語が通じるかと言えばそうとも限らない。
 そこでマルチリンガルのエレーナは、このホテルでも重用されていた。
 同じく住み込みでホテルを経営しているオーナー夫妻は普通の人間なのだが、魔道師と何かしら縁があるようだ。
 エレーナが住み込みで働いているのも、そのツテによるものである。
 “魔女の宅急便”の主人公は、ひょんなことからパン屋に住み込みで働くようになったが、過去にも今にも似たようなことをしている魔女はいるということだ。
「いらっしゃいませ」
 ホテルに入ると、中途半端な時間ということもあり、ロビーには誰もいなかった。
 フロントにはオーナーが1人いるだけである。
「こんにちは。僕達、ダンテ一門の魔道師の者ですが、エレーナと今会えますか?」
 すると60代のオーナーは申し訳無さそうな顔をした。
「ああ、エレーナですね。まだ、魔界から帰って来てないんですよ」
「あ、そうなんですか?」
「ええ。もし急用でしたら、ポーリン先生の方に……あ、いや、ちょっと待ってください」
 オーナーはフロントの上にある、防犯カメラの映像を切り替えた。
 そして、フロントからも見えるエレベーターを見る。
 ホテルは5階建てだが、エレベーターを見るとB1の表示がある。
 宿泊客は行けないようになっているようだが、エレベーターがそこまで降りて、また上がって来た。
「ただいまぁ……。あっ!」
「エレーナ!」
 魔界から帰って来たばかりで疲労の色を残したエレーナが稲生達を見て驚きを隠せなかった。

 ロビーで互いの状況を確認しあう。
「近く、一斉に処分が大師匠様から言い渡されると思うよ。多分、来月にならないうちにね」
「クリスティーナ達はどうなる?」
「私の見立てでは破門、除名処分だね」
「……だろうな」
「それって、どういうことなんでしょう?」
 稲生が疑問を投げかけた。
「ダンテ一門を抜けて、他門に行くということですか?」
「それは無いな」
「うん、無いね。いい、稲生氏?魔道師の寿命が物凄く長いことは知ってるでしょ?」
「ああ」
 人間を辞めて魔道師になると、肉体の成長・老化が極端に遅くなる。
 その理由については、明らかにされていない。
 肉体を交換することによって、例えばイリーナの場合、1000年以上も生きている。
 イリーナの場合は5回ほど肉体を交換しているので、1つの肉体が200年ほどの計算だ。
 あくまでもそれは平均であり、使用する肉体によってはもっと長く使用することができるという。
 普通の人間が100歳以上生きるだけでも凄いことなのに、魔道師になれば余裕でその2倍、無理しても3倍生きられるわけである。
 それが破門、除名になるということは……?
「いきなり肉体が朽ち落ちて死ぬってことだね。だから死刑と同じ」
「ええっ!?」
「あいつら、確か100年以上生きてるもんね」
「確かそうだな」
「稲生氏。日蓮正宗を破門、除名になってもいきなり死ぬことはないでしょう?だけどね、魔女の世界は違うからね?」
「……! (;゜Д゜)」
 稲生は口をあんぐり開けていた。
「ようこそ、魔道師の世界へ。稲生勇太」
 エレーナは魔女の目つき(瞳孔が開き、瞳の色が薄くなって、中央の黒い点が目立つ)になった。
「真面目に修行している分には、悪いようにされない。一緒に頑張ろう」
 マリアもまた同じような目つきになった。
「は、はい。よろしく……お願いします」
 そう言うしかない稲生だった。

 魔道師の修行をしていても、日蓮正宗の信仰は並行して行って良いようだが……。
 魔女狩り・魔女裁判の都合で反キリスト教は多いが、それとは無関係の仏教なら大目に見られているようである。
コメント (1)
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