[3月31日14:58.天候:晴 JR大宮駅→パレスホテル大宮 3号機のシンディ、敷島孝夫、1号機のエミリー、平賀太一ファミリー]
敷島とシンディは大宮駅新幹線ホームにいた。
これから新幹線に乗ろうというのではない。
これから新幹線でやってくる旧友一家を出迎える為だ。
〔「14番線、ご注意ください。“やまびこ”46号、東京行きの到着です。お下がりください。東北新幹線、東京行きの到着です」〕
眩く青白いヘッドライトを輝かせて、エメラルドグリーンのE5系車両が入線してくる。
敷島達の立っている場所に、8号車が止まった。
〔「ご乗車ありがとうございました。おおみや〜、大宮です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。14番線の電車は……」〕
大宮で降りる乗客達の中に、件の人物達がいた。
敷島:「平賀先生!奈津子先生、お久しぶりです!」
列車から降りてきたのは平賀太一と、その妻で奈津子。
その夫妻の幼い姉弟のお守りをするエミリーがいた。
平賀:「やあ、敷島さん。お招き頂き、ありがとうございます」
平賀が笑みを浮かべて、旧友と握手を交わした。
奈津子とも併せて、彼らは元は南里研究所の職員でもあった。
敷島:「礼は、うちのアリスから改めて言わせますよ。言い出しっぺはアイツだから」
平賀:「まあ、自分らも興味はありましたからね。いい機会でした」
敷島:「お子さん達も大きくなって……。いくつになりました?」
奈津子:「未来(みく)が5歳で、海斗(かいと)が4歳です」
敷島:「もうそんなになりますか。いやあ、月日の経つのは早いですな。じゃ、ホテルまでご案内します」
平賀:「こりゃどうも、気を使ってもらっちゃって……」
敷島:「いや、いいんですよ。これから先生には、もっともっとお世話になりますから」
平賀:「東京側でも、自分やナツのゼミの卒業生を敷島さんの所に協力させたいと思っているんですが、卒業後に就職となると、なかなか思うようには……」
敷島:「いや、大丈夫ですよ。デイライト・コーポレーションさんで、だいぶお世話になっています」
平賀:「なるほど……」
敷島達がそんな話をしている中、
未来:「おねーちゃん、だれ〜?」
海斗:「えみりーそっくり」
平賀の子供達がシンディに興味を持ったようだ。
シンディもまたエミリーと同じ高身長なので、だいぶ屈むことになる。
表情に乏しいエミリーと違い、満面の笑みを浮かべて、
シンディ:「私はエミリーの妹で、シンディと申します。よろしくお願いしますね」
シンディの過去のメモリーで、しっかり『抹殺対象』に該当する未来と海斗。
例え幼子であっても、かつての敵の身内とあらば、抹殺対象になる。
無論、今はそんなことはない。
未来:「しょっとがん、だせるー?」
シンディ:「えっと……申し訳ありません。私、ショットガンは搭載してませんのよ」
海斗:「かえんほーしゃきはー?」
シンディ:「か、火炎放射器?!」
シンディはエミリーを見据えた。
エミリー:「火炎放射器・出してやれ」
無表情で妹機に命令する姉機。
シンディ:「アタシゃ姉さんと違って、近接用の武器は無いって!」
エミリーは敵と組み付いての近接戦を得意とする為、銃火器なんかも近距離用のものが多い。
対してシンディは遠距離からの攻撃を得意とする為、ライフルやマシンガン、パイソン(を改造したもの)を搭載している。
敷島:「おーい、何やってんだー!?早く行くぞ!」
シンディ:「は、はい!」
エミリー:「イエス。敷島・社長」
敷島:「シンディ、すっかりお子さん達に懐かれてるみたいですよ?」
平賀:「エミリーと同型の姉妹機ですからねぇ……。個人的には、あまりシンディに懐いて欲しくな……」
奈津子:「あなた!」
平賀:「……おおっと!」
敷島:「まあ、今のシンディは大丈夫だと思いますが……」
大宮駅西口から出て、ぺデストリアンデッキを進む。
敷島:「しかし、先生方であれば、グリーン車で来ることも可能だったのでは?」
平賀:「チビ達がいますからね。グリーン車で小さい子が騒ぐことに批判的な風潮が強いですから」
敷島:「うーむ……」
パレスホテル大宮と言えば、さいたま市でも指折りの高級ホテルである。
敷島:「あんな高級ホテルに、一泊だけってのも勿体ないですね」
平賀:「いや、自分が予約したわけではないので……」
平賀は首を傾げた。
恐らくロボット未来科学館が平賀夫妻を顧問にする為、接待のつもりで予約したものと思われる。
敷島の手には、フロントに渡すだけで良いクーポン券が握られている。
平賀達の部屋は家族向けの部屋で、ただのツインルームではないらしい。
部屋に荷物を置いて、ホテル内のカフェラウンジに移動する。
奈津子:「子供達はエミリーが見てくれています」
敷島:「エミリーなら、メイドロイドの代わりになれますしね」
4人用の席に向かい合って座るが、シンディは座らずに、敷島の斜め後ろに立っている。
手を前に組んで、いかにも社長秘書といった感じだ。
敷島はコーヒーや紅茶を注文した後で、書類を出した。
敷島:「長旅の後で恐縮ですが、明日のことについて打ち合わせを……」
平賀:「いよいよ明日オープンですもんね。ロボット未来科学館」
敷島:「ええ。デイライトさん肝煎りの」
ロボット・テロ組織、KR団の攻撃により半壊したデイライト・コーポレーション・ジャパン埼玉研究所。
会社上層部は機密性の高い研究・開発については、更に埼玉の山奥(秩父市内)に集約するとし、半壊した旧・研究所については大幅リニューアルして、一般向けのパビリオン施設としてオープンすることを決定した。
平賀夫妻も、その記念式典の来賓として招かれた次第である。
子供達も連れて来たのは、ついでにその科学館で遊ばせるつもりでいたからだ。
平賀:「明日の式典には敷島さんも?」
敷島:「私は来賓ではなくて、むしろ式典のセレモニーを行う側として参加します」
奈津子:「ミクが来るんですか」
敷島:「デイライトさんがどうしてもというので、まあ、平日ということもあって、ミクも空いてましたから」
平賀:「自分達の大学はもう春休みだからいいものの、敷島さんの会社は4月1日は忙しくないんですか?」
敷島:「幸い金曜日ですからね。入社式は4日に行うことにしましたよ」
奈津子:「一気に10人以上も新入社員が入りますものね」
敷島:「おおかたの研修は親会社でやってくれましたから、あとの細かい点については後々……」
平賀:「アルエットの修理は終わったんですね」
敷島:「ええ、何とか。さすがは、そこはアリスですね」
奈津子:「萌は元気で動いてますか?」
敷島:「ええ。科学館の目玉は、正にその萌とアルエットですから、彼女達には頑張ってもらわないと、ですよね?」
平賀:「全くですね」
その時、敷島の斜め後ろに立つシンディのメモリーから、何故かクワを振るう芋掘りロボット、ゴンスケの姿がロードされた。
もちろん、ゴンスケも科学館の展示品となる。
施設内のイモ畑で取れたジャガイモやサツマイモは、館内で有効に活用される予定とのことだ。
敷島とシンディは大宮駅新幹線ホームにいた。
これから新幹線に乗ろうというのではない。
これから新幹線でやってくる旧友一家を出迎える為だ。
〔「14番線、ご注意ください。“やまびこ”46号、東京行きの到着です。お下がりください。東北新幹線、東京行きの到着です」〕
眩く青白いヘッドライトを輝かせて、エメラルドグリーンのE5系車両が入線してくる。
敷島達の立っている場所に、8号車が止まった。
〔「ご乗車ありがとうございました。おおみや〜、大宮です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。14番線の電車は……」〕
大宮で降りる乗客達の中に、件の人物達がいた。
敷島:「平賀先生!奈津子先生、お久しぶりです!」
列車から降りてきたのは平賀太一と、その妻で奈津子。
その夫妻の幼い姉弟のお守りをするエミリーがいた。
平賀:「やあ、敷島さん。お招き頂き、ありがとうございます」
平賀が笑みを浮かべて、旧友と握手を交わした。
奈津子とも併せて、彼らは元は南里研究所の職員でもあった。
敷島:「礼は、うちのアリスから改めて言わせますよ。言い出しっぺはアイツだから」
平賀:「まあ、自分らも興味はありましたからね。いい機会でした」
敷島:「お子さん達も大きくなって……。いくつになりました?」
奈津子:「未来(みく)が5歳で、海斗(かいと)が4歳です」
敷島:「もうそんなになりますか。いやあ、月日の経つのは早いですな。じゃ、ホテルまでご案内します」
平賀:「こりゃどうも、気を使ってもらっちゃって……」
敷島:「いや、いいんですよ。これから先生には、もっともっとお世話になりますから」
平賀:「東京側でも、自分やナツのゼミの卒業生を敷島さんの所に協力させたいと思っているんですが、卒業後に就職となると、なかなか思うようには……」
敷島:「いや、大丈夫ですよ。デイライト・コーポレーションさんで、だいぶお世話になっています」
平賀:「なるほど……」
敷島達がそんな話をしている中、
未来:「おねーちゃん、だれ〜?」
海斗:「えみりーそっくり」
平賀の子供達がシンディに興味を持ったようだ。
シンディもまたエミリーと同じ高身長なので、だいぶ屈むことになる。
表情に乏しいエミリーと違い、満面の笑みを浮かべて、
シンディ:「私はエミリーの妹で、シンディと申します。よろしくお願いしますね」
シンディの過去のメモリーで、しっかり『抹殺対象』に該当する未来と海斗。
例え幼子であっても、かつての敵の身内とあらば、抹殺対象になる。
無論、今はそんなことはない。
未来:「しょっとがん、だせるー?」
シンディ:「えっと……申し訳ありません。私、ショットガンは搭載してませんのよ」
海斗:「かえんほーしゃきはー?」
シンディ:「か、火炎放射器?!」
シンディはエミリーを見据えた。
エミリー:「火炎放射器・出してやれ」
無表情で妹機に命令する姉機。
シンディ:「アタシゃ姉さんと違って、近接用の武器は無いって!」
エミリーは敵と組み付いての近接戦を得意とする為、銃火器なんかも近距離用のものが多い。
対してシンディは遠距離からの攻撃を得意とする為、ライフルやマシンガン、パイソン(を改造したもの)を搭載している。
敷島:「おーい、何やってんだー!?早く行くぞ!」
シンディ:「は、はい!」
エミリー:「イエス。敷島・社長」
敷島:「シンディ、すっかりお子さん達に懐かれてるみたいですよ?」
平賀:「エミリーと同型の姉妹機ですからねぇ……。個人的には、あまりシンディに懐いて欲しくな……」
奈津子:「あなた!」
平賀:「……おおっと!」
敷島:「まあ、今のシンディは大丈夫だと思いますが……」
大宮駅西口から出て、ぺデストリアンデッキを進む。
敷島:「しかし、先生方であれば、グリーン車で来ることも可能だったのでは?」
平賀:「チビ達がいますからね。グリーン車で小さい子が騒ぐことに批判的な風潮が強いですから」
敷島:「うーむ……」
パレスホテル大宮と言えば、さいたま市でも指折りの高級ホテルである。
敷島:「あんな高級ホテルに、一泊だけってのも勿体ないですね」
平賀:「いや、自分が予約したわけではないので……」
平賀は首を傾げた。
恐らくロボット未来科学館が平賀夫妻を顧問にする為、接待のつもりで予約したものと思われる。
敷島の手には、フロントに渡すだけで良いクーポン券が握られている。
平賀達の部屋は家族向けの部屋で、ただのツインルームではないらしい。
部屋に荷物を置いて、ホテル内のカフェラウンジに移動する。
奈津子:「子供達はエミリーが見てくれています」
敷島:「エミリーなら、メイドロイドの代わりになれますしね」
4人用の席に向かい合って座るが、シンディは座らずに、敷島の斜め後ろに立っている。
手を前に組んで、いかにも社長秘書といった感じだ。
敷島はコーヒーや紅茶を注文した後で、書類を出した。
敷島:「長旅の後で恐縮ですが、明日のことについて打ち合わせを……」
平賀:「いよいよ明日オープンですもんね。ロボット未来科学館」
敷島:「ええ。デイライトさん肝煎りの」
ロボット・テロ組織、KR団の攻撃により半壊したデイライト・コーポレーション・ジャパン埼玉研究所。
会社上層部は機密性の高い研究・開発については、更に埼玉の山奥(秩父市内)に集約するとし、半壊した旧・研究所については大幅リニューアルして、一般向けのパビリオン施設としてオープンすることを決定した。
平賀夫妻も、その記念式典の来賓として招かれた次第である。
子供達も連れて来たのは、ついでにその科学館で遊ばせるつもりでいたからだ。
平賀:「明日の式典には敷島さんも?」
敷島:「私は来賓ではなくて、むしろ式典のセレモニーを行う側として参加します」
奈津子:「ミクが来るんですか」
敷島:「デイライトさんがどうしてもというので、まあ、平日ということもあって、ミクも空いてましたから」
平賀:「自分達の大学はもう春休みだからいいものの、敷島さんの会社は4月1日は忙しくないんですか?」
敷島:「幸い金曜日ですからね。入社式は4日に行うことにしましたよ」
奈津子:「一気に10人以上も新入社員が入りますものね」
敷島:「おおかたの研修は親会社でやってくれましたから、あとの細かい点については後々……」
平賀:「アルエットの修理は終わったんですね」
敷島:「ええ、何とか。さすがは、そこはアリスですね」
奈津子:「萌は元気で動いてますか?」
敷島:「ええ。科学館の目玉は、正にその萌とアルエットですから、彼女達には頑張ってもらわないと、ですよね?」
平賀:「全くですね」
その時、敷島の斜め後ろに立つシンディのメモリーから、何故かクワを振るう芋掘りロボット、ゴンスケの姿がロードされた。
もちろん、ゴンスケも科学館の展示品となる。
施設内のイモ畑で取れたジャガイモやサツマイモは、館内で有効に活用される予定とのことだ。