報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

小説の途中ですが、ここで臨時の反論文を掲載致します。

2018-09-09 20:59:57 | 日記
 厳虎独白というブログのことを知らない閲覧者の方には申し訳ありません。
 本日は小説の更新をお休み致します。
 この記事では、厳虎独白の管理者に対する反論を書かせて頂きます。

 厳虎さんへ。

 当ブログの宣伝をして頂き、ありがとうございます。
 取りあえず……。

>んっ?氏が事実と相違することをそちらのコメント欄にたびたび書いていたことを知っている。あるいは山門入り口氏が憶測だけで無責任なことを書いていたのも知っている。

 これはコメントを書いた人達の責任であって、私の関知するところではありませんね。
 何故なら、事実かどうかを私が確認できるわけないじゃないですか。
 いちいち疑っていたら、コメント欄を閉鎖しなくてはならなくなる。
 投稿者が「あれはこうですよ」と書いて、私の知らない内容だったら「ああ、そうですか」となるに決まってるじゃないですか。
 もし厳虎さんが「それは違う!」と仰るのなら、反論しに来ればよろしいかと。
 もっとも、山門入り口さんはもう行方知らずですがね。
 んっ?さんなら今でも御覧になってますから、反論しに来られたら如何でしょう?
 もっとも、厳虎さんの方が不利になっても私は制限を掛けませんよ?
 それは厳虎さんのこのブログと同じですね。

 ああ、そうそう。
 私のハンドルネーム『雲羽百三』なんですが、これは国鉄(JR)103系のパンタグラフ付き先頭車(または最後尾)の車両の記号から取ったものですよ。
 厳虎さんの地元では走ってませんでしたか?
 京浜東北線の103系は編成が長いので無かったかな?
 南武線や横浜線なら6両または8両なので、クモハ103が連結されていたかもしれません。
 なので本来、トチロ〜さんが私のことを「モモさん」と呼ぶのは間違いです。
 ただ、このハンネを使い始めた当初は正確な読みまでは紹介していなかった為に、「ももぞう」と呼ぶことも可能でした。
 その為、トチロ〜さんがそう呼ぶことをあえて指摘しなかったわけです。
 好きなように呼んでくれってことですね。

 厳虎独白とは、管理人・厳虎さんが好きに物を言うブログでしょう?
 で、そこに書き込んでくるコメント投稿者に対して、一切の制限をしないと。
 例えそれが汚い言葉を吐いて来る人間であったとしても、ですよね?
 このブログも似たようなものですよ。
 当ブログのコメント欄の内容に御不満があったようですが、先述したように、もし我慢ならぬことがあれば、どうぞ書き込みに来て頂きたい。
 それで相手が何も返して来なかったら、厳虎さんの方が正しかったということでいいじゃないですか。
 そしたら、私からも管理者として注意しますよ。

 厳虎さんの所はトチロ〜さんが反論して下さったので、私からは何も申し上げに行くことはありません。
 別に私個人としては、厳虎さんとケンカしたいわけではないので、そこは誤解なさらぬようにして頂きたいのです。
コメント (39)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“魔女エレーナの日常” 「鈴木の怖い話」

2018-09-08 19:10:52 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月27日21:00.天候:雷雨 東京都江東区森下 ワンスターホテル1Fロビー]

〔「……関東地方全域で大気の状態が非常に不安定となっており、東京都心では夜半過ぎに掛けて雨が非常に強く降る所があります。道路冠水などには十分注意してください。また、東京都全域で雷、強風注意報が発令されており、落雷や突風にも注意が必要です。続きまして……」〕

 エレーナ:「ここにいないで、さっさと部屋に戻りなよ」
 鈴木:「エレーナこそ、宅急便行かないの?」
 エレーナ:「こんなゲリラ豪雨の中、行けるわけないじゃない」

 ロビーのテレビで気象情報を見ていた鈴木。
 因みに今日、エレーナは夜勤ではない。

 オーナー:「ハハハハ。それじゃ、2人で鈴木さんの部屋かエレーナの部屋に行ったら?」

 フロントにいるオーナーが笑い掛ける。

 エレーナ:「冗談でしょう?男と2人きりでいたりしたら、襲われるじゃないですか!」
 鈴木:「襲って良かったの?」
 エレーナ:「アホか!ダンテ一門の魔女全員敵に回すよ!?」
 鈴木:「マリアさんだけは許してくれそうだけどね」
 エレーナ:「くっ……」

(マリア:「え?鈴木なんかに襲われて処女喪失したの?……憐憫!」)

 エレーナ:「……てなこと言いそう」
 鈴木:「まあまあ。俺はしばらくここにいるよ」
 エレーナ:「全く」
 鈴木:「せっかくだから飲み物買って来よう。エレーナ、何飲む?」
 エレーナ:「コーヒーでいい。ブラックで」
 鈴木:「了解」

 鈴木はロビー片隅にある自販機コーナーへ向かった。
 そこには缶ジュースや缶ビールの他、紙コップのコーヒー自販機もある。
 ドトールのマークが目立つスリムなタイプ。

 鈴木:「お待たせ」
 エレーナ:「どーも。せっかくだから、何か面白い話でもして」
 鈴木:「面白い話?そうだなぁ……」
 エレーナ:「あ、日蓮正宗とか顕正会の話はツマンネーからナシな?」
 鈴木:「じゃあそんなに面白いネタ無いや」
 エレーナ:「あ、そ。じゃ、私もう寝るから」
 鈴木:「ああ、うそうそ!怖い話で良かったら、一応あるよ!」
 エレーナ:「おっ、マジで?それなら聞きたい!」
 鈴木:「そうかそうか。実はこれは俺が高校生だった頃に体験した話なんだ。実は俺の高校に『飴玉婆さん』という、いかにも魔法使いといった感じの恰好をした婆さんが……」
 エレーナ:「その婆さんなら若返りの魔法使って、今そこのレストランで働いてるよ?」
 鈴木:「は!?」
 エレーナ:「稲生氏の高校にも行ってたらしいけど、魔法薬としてゴルフボール大のキャンディーを配ってたら、無礼なアホ男が現れたもんで、そいつを痛い目に遭わせたって話じゃない?」
 鈴木:「稲生先輩の高校でもやってたのか!……じゃあ終わり」
 エレーナ:「他には無いの?」
 鈴木:「えーと……。それじゃ、サンブラ茶って言う名の不思議なお茶の話……」
 エレーナ:「うちの先生が開発した薬だね。お茶のようにして飲むんだけど、すっごくマズいらしいね。飲むとサンブラの木に体が寄生されて、もちろん自我や理性は保ったままなんだけど、老廃物は根こそぎ養分として食べてくれるから、寄生されたらもう一生トイレに行かなくて済むようになるってよ」
 鈴木:「これもエレーナ絡みだったのか……。じゃあ、これも終わり」
 エレーナ:「他には?」
 鈴木:「俺の高校、合宿所を1つ持ってるんだけど、これがまた出るわ出るわの怪談話。特に多いのが妖怪『逆さ女』の話で……」
 エレーナ:「稲生氏の高校にいたヤツかな?稲生氏も含めて、霊力や腕っぷしの強い有志の連中がボコボコにしたらしいよ。なに?その後、鈴木の高校に逃げ込んでたのか。今は魔界に逃げたらしいけどね」
 鈴木:「……稲生先輩、何者!?」
 エレーナ:「アタシと同門だよ。まあ、組は違うけど。他には?」
 鈴木:「えーと……。あ、そうだ。『七不思議を全て知ると、悪いことが起こる』という話は?」
 エレーナ:「内容的にはベタな法則だね。鈴木の母校では、何があった?」
 鈴木:「俺の時は何も起こらなかったな。ただ……」
 エレーナ:「ただ?」
 鈴木:「7人来るはずだったのに、6人しか来なくて拍子抜けしただけだった。しかも下校時刻とっくに過ぎても残ってたんで、後で先生に怒られたっけな」
 エレーナ:「それは随分と平和的というか、呆気無く終わったね」
 鈴木:「そうなんだ。あれ以来、七不思議の会はやってない。俺も顕正会に入って、それどころじゃなくなったしな」
 エレーナ:「その、来なかった7人目はどうなったの?」
 鈴木:「だから知らねーよ。集まりに誰が来るか、集まってみるまで分からないシステムだったからな。その集まったメンバーも、まるで他校から来たかのように、全く名前も顔も知らない連中ばかりだったよ」
 エレーナ:「そういうことは重要じゃないけどね」
 鈴木:「ん?」
 エレーナ:「私の見立てでは、その7人目は殺されたと思う」
 鈴木:「何だって!?」
 エレーナ:「私の見立てだけどね。ま、あなたは無事で良かったね」
 鈴木:「それもダンテ一門が関わってるのか?」
 エレーナ:「日本では関わってないと思うね。ただ、外国では関わることもある」
 鈴木:「どういうことだ?」
 エレーナ:「外国でも降霊会みたいなことが流行っている地域はあってね。それを目ざとく見つけるヤツがいるわけよ。で、恐怖を演出してやるってなことをすることはある。私は無いけどね。ま、私らはアンタ達に怪談ネタを提供する側だってことよ」
 鈴木:「それは稲生先輩からも聞いたけど……。でも、幽霊とかの類は無いだろう?」
 エレーナ:「それは無いね。悪魔とかの類は別だけど」
 鈴木:「顕正会を体験して、日蓮正宗にいたりすると、幽霊の出て来る怪談話は信じられなくなるんだよなぁ……」
 エレーナ:「でも実際、稲生氏は体験してるよ?」
 鈴木:「ああ。何か、初恋の人が悪霊になって襲って来たってヤツ?本当かなぁ……?」
 エレーナ:「ウソだったら、仙台まで行ったりしないよ」
 鈴木:「何だか逆に羨ましくなっちゃうな」

 鈴木はコーヒーを啜りながら言った。

 エレーナ:「恐怖体験したいの?」
 鈴木:「じゃなくて。稲生先輩には、そういう初恋の経験があるんだ。だけど、俺には無かった。特盛ですら、初恋の相手はいたのになぁ……」
 エレーナ:「後で悪霊になって襲われるよりはマシだよ」
 鈴木:「ま、そうなんだけどさ。で、実質的に初恋の相手はエレーナだってことさ」
 エレーナ:「そりゃどーも。だけど魔女ってのは、基本的に恋活も婚活もしないもんでねぇ……」
 鈴木:「もっとも、最近の恐怖体験は、キミやキミの後輩に襲われる悪夢を見させられたことだけどね」
 エレーナ:「ちゃんと支払い期限は守れよ?今度は命の保証は無いからな?」
 鈴木:「はい」

 ダンテ一門の魔道師の前では、ちょっとやそっとの怪談話や都市伝説はただの戯れ言なのであった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“大魔道師の弟子” 「嵐の直前」

2018-09-08 10:17:01 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月27日18:00.天候:曇 埼玉県さいたま市中央区 稲生家]

 シャワールーム無断使用事件の犯人は、マルファで決まりだった。
 本人があっさりゲロった。
 マルファはかつてエレーナと同じような金髪セミロングだったはずだが、イメチェンで切ってみたとのこと。
 門内一の自由人として知られるマルファだが、魔道師としての年齢は相当なものである。
 イリーナが齢1000年超えであり、それより階級が1つ下なだけということは……。
 「お土産」と称して、宗一郎が隠し持っていた贈答品である高級洋酒を1本持って帰って行った。

 マリア:「結局何しに来たんですか、あの人は?」
 イリーナ:「まあまあ。これでも結果的にアタシを助けてくれたんだよぉ。許してあげてね」
 マリア:「助けてくれた?」
 イリーナ:「廃鉱まで逃げたら、そこが反政府ゲリラのアジトだったみたいで、危うく殺されるところだったんだから」
 マリア:「それで?」
 イリーナ:「廃鉱とはいえ、宝石のかけらはそれなりに残っていたみたいで、それをマルファが暢気に集めに来たわけ」
 マリア:「助けに来たわけじゃないんですね」
 イリーナ:「武装ゲリラ達が、『何だオマエは?!』って感じでマルファにマシンガンやらガトリングガンやら一斉掃射したんだけど……」
 マリア:「ま、あの様子じゃ蜂の巣にはならなかったようですね」
 イリーナ:「蜂の巣になったのはゲリラの方。あのコの着ているローブ、攻撃を全てそっくりそのまま敵に返すという効果があるからね」
 マリア:「うわ……」
 イリーナ:「ついでにアタシも宝石探し手伝わされた上、勇太君んちにまで付いてきたってわけ」
 マリア:「超絶自由人!」

 と、そこへ玄関のインターホンが鳴る。

 稲生勇太:「寿司の出前、来たかな。はいはーい」

 勇太はお金の入った封筒を手に、玄関に向かった。

 ポテンヒット:「毎度どうも!寿司屋ポテンヒットです」
 勇太:「はい、ご苦労さまです」
 ポテンヒット:「特撰盛り込み3人前ずつ、“大石”と“報恩”ですね」
 勇太:「はい、大丈夫です。それじゃ、お金がこちらに……」
 ポテンヒット:「寿司桶は後で取りに行きますから、外に出しといてください」
 勇太:「分かりました」

 勇太は寿司桶を手にダイニングに向かった。

 勇太:「先生、マリアさん、夕食ですよー」
 イリーナ:「了解」
 マリア:「今行く」
 イリーナ:「ゲリラと言えば、ゲリラ豪雨に注意しないとね」
 マリア:「また来るんですか?」
 イリーナ:「むしろこれからがメインよ。今夜は外に出ないことね」
 マリア:「分かりました」

 ダイニングに行くと、既に稲生家の面々が椅子に座っていた。

 宗一郎:「さ、先生、どうぞこちらへ」
 イリーナ:「お気遣い無く、勇太君のお父さん」
 宗一郎:「後でまた占い、よろしくお願いしますね」
 イリーナ:「ええ。もちろんですわ」

 イリーナの占い的中率は、ほぼ100%である。
 その為、噂を聞きつけた政財界の大物がイリーナに依頼してくるほどだという。
 もっとも、マルファほどではないが、イリーナもまた気紛れ。
 ノリが良くないと依頼には応じない。
 稲生宗一郎にあっては、勇太という逸材を提供してくれたこともあり、ほぼ無条件で占っているわけだ。
 こればかりは、仏法が霞んでしまう。

 勇太:「マリアさん、本当に大丈夫なんですか?生魚は苦手だと……」
 マリア:「いや、大丈夫」
 勇太:「無理しなくていいんですよ」

 1人前多く頼んだのは、勇太やイリーナが良く食べることを見越してのことだった。

 イリーナ:「今夜はゲリラ豪雨がやってきますので、家の外には出ないでください」
 宗一郎:「さっきから天気予報でやっていましたが、やはりそうなんですね」
 勇太:「何だかタイムリーですね」
 イリーナ:「ホラーな展開ですよ。こういう時、妖怪からの襲撃がよくあったなぁ」
 宗一郎:「あの頃は大変だったな。威吹君がいたからこそ、だ」
 イリーナ:「私の予知では、そういうホラーチックな展開はございませんので、どうぞご安心ください」
 宗一郎:「それなら安心です」

[同日20:00.天候:曇 稲生家]

 意外とマリアは一人前を普通に食べた。
 少しずつトラウマを克服できることの表れであろうか。

 イリーナ:「そうですわねぇ……。ここは1つ、マイケル建設に依頼すると良いでしょう」
 宗一郎:「そうですか!」
 イリーナ:「沖浦工務店は費用を必要以上に削減する余り、作業が杜撰です。厳虎土建は創価建設におもねることで、後に爆発事故を起こします」
 宗一郎:「さすがです!ではすぐにマイケル建設に発注するよう、明日の役員会で提言します」

 応接間で占いをしてもらう宗一郎。
 客間では……。

 勇太:「あれ、いいのかな?」
 マリア:「いいんじゃない?師匠の商売だし」
 勇太:「まだ外は静かですね」
 マリア:「もう少し遅い時間に降るってことだろ。……ああ、あった。水晶球に。こんな小さい表示、見落とすって」
 勇太:「表示が出るんだ……」

 因みに勇太、本科として水晶球占いを習ってはいたのだが、いかんせん……スマートフォンで十分対応できてしまうという現状に【お察しください】。

 マリア:「今日は早めに休んだ方がいいかもよ」
 勇太:「そうですか」
 マリア:「私も後で2階(のシャワールーム)使わせてもらう」
 勇太:「わ、分かりました。ゲリラ豪雨、そんなに被害が大きいんですか?」
 マリア:「この辺は大丈夫だと思うけどね」
 勇太:「それも分かるんですか?占いで」
 マリア:「占いというより、師匠がいる時点でそんなに危険じゃないってことだろ」
 勇太:「でもさっきまで、紛争地帯にいたんでしょう?」
 マリア:「紛争地帯よりは安全?」
 勇太:「いや、そりゃそうでしょ」
 マリア:「ま、そういうわけだから。明日には晴れる」
 勇太:「被害が無かったら、明日は都内にでも出てみますか」
 マリア:「家庭用プロジェクター……」
 勇太:「あ、忘れてませんでしたか。いいですよ。見に行きましょう」

 マリアの趣味、人形作りにプラスして映画鑑賞も入りそうな勢いである。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“大魔道師の弟子” 「帰省2日目」 5

2018-09-06 19:04:44 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月27日15:40.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区吉敷町 MOVIXさいたま]

〔「……タカオ、どうするの?これから」「もちろん、家に帰るさ。帰りのグレイハウンドバスのチケットは既に確保している」「社長、さすがにもうバス特攻はやめてくださいね?」「今度はニューヨーク市の市営バス1台弁償しなきゃいけなくなるなぁ!ハッハッハ!」「そういう問題じゃありません」〕

 主人公の敷島家を乗せたヘリコプター、昇り始めた朝日に向かって消えて行き、そこで映画は終わる。
 あとは壮大なBGMと共に、エンドロールが流れた。

 稲生:「おお〜……!」
 マリア:「…………」

 そして場内が明るくなる。

 稲生:「いやー、ホラーもいいですけど、たまにはこういうSFアクションも面白いですね」
 マリア:「私の人形にもAIを搭載したら、もっと完璧に動くようになるかしら?」
 稲生:「ダメですよ、それは」
 マリア:「そうかな?」
 稲生:「マリアさんの魔法で十分です」
 マリア:「そ、そう?」

 稲生達はシアターの外に出た。
 上映が終わると、トイレが混雑するのはベタな法則。
 男子トイレですら並ぶほど。

 稲生:「SFも観たから、次は魔法を扱った作品でも観たいですね」
 マリア:「また今度ね」
 稲生:「先生に頼んで、“魔女の宅急便”でも再生してくれないかなぁ?」
 マリア:「主人公がホウキ乗りで薬師系という時点で、何かムカつくからいいや」

 多分、エレーナのことだろう。

 マリア:「ハリーポッターの方がいい」
 稲生:「ハリーポッターねぇ……」
 マリア:「主人公が男という時点で、勇太みたいだ」
 稲生:「でも僕、眼鏡は掛けてませんよ?」
 マリア:「そんなのは些事だから」
 稲生:「魔法列車というより、冥鉄電車なら既に何度も乗ってますが?」
 マリア:「いや、だからそこじゃない」

 MOVIXの外に出る。

 稲生:「今ならマルチタイプやボーカロイドについて語れそうですね。どうです?ちょっと近くのカフェにでも……」
 マリア:「そうだな。……ていうか……」
 稲生:「はい?」
 マリア:「何か、雨が降りそうなんだが?」
 稲生:「そういえば、随分湿っぽいですね。あれ?ゲリラ豪雨が降るのは夜のはずじゃ?」
 マリア:「タイミングがズレたかなぁ……?ここは1つ、もう帰った方がいいかもしれない」
 稲生:「うー……」
 マリア:「まだ休暇は続くんでしょ?多分明日は晴れるだろうから、明日にしよう」
 稲生:「分かりました」
 マリア:「家庭用プロジェクター、是非見てみたいからなぁ」
 稲生:「あ、それは忘れてなかったんですね」
 マリア:「もちろん」

 ホームシアターのことである。
 まあ、マリアの屋敷には、それこそミニシアターを作っても良さそうな部屋はあるのだが。

[同日16:00.天候:雨 埼玉県さいたま市中央区]

 稲生達が足早に家に向かっている時だった。
 ついに稲生の頭に大粒の雨が当たった。

 稲生:「うわっ!?家まであとちょっとなのに!」
 マリア:「Damn it!Too fast!(ちくしょう!やっぱタイミングずれてた!)」

 走る2人。
 空はどんどん暗くなり、雷鳴が轟き始めた。

 稲生:「マリアさん、今のセリフ!」
 マリア:「Huh?What?(え?なに?)」
 稲生:「さっきの映画のアリス敷島と同じこと言ってましたよ!?ほら、黒いロボットに囲まれるシーン!」

 マリア、自動通訳魔法が切れたことに気づいたか、ペンダントの魔法石を握る。

 マリア:「アメリカ人と一緒にするな!私の英語の方が発音正しい!」
 稲生:「日本語は似たようなものですって!」

 雨もどんどん強くなってきた。
 そして、ようやく家に辿り着く。

 稲生:「ふぇーっ!エラい目に遭った!」
 マリア:「いや、全く!」

 因みに映画の中で、アリスなどが英語で喋るシーン(その際は字幕あり)があったので、今の稲生達のやり取りがあるのだ。

 稲生:「早く中に入りましょう」

 稲生は持っていた家の鍵で玄関のドアを開けた。
 そして、中に入ると……。

 稲生:「あっ!?」
 マリア:「なに?」

 玄関にブーツがあった。
 それはイリーナのだった。

 稲生:「イリーナ先生、来てたんだ」
 マリア:「ええっ?」

 するとリビングの方からイリーナがやってきた。

 イリーナ:「お帰り、2人とも。お邪魔させてもらってるよー」

 イリーナはにこやかな顔になっていた。

 稲生:「先生、いつ来られたんです?言ってくれれば、お迎えに行きましたのに」
 イリーナ:「あなた達が映画観てる間だよ。せっかくの映画デートを邪魔しちゃ悪いと思ってね」

 家は全て施錠されているはずなのだが、イリーナほどの大魔道師になれば侵入可能である。

 イリーナ:「それより、降って来たねぇ」
 稲生:「ええ。急いで帰って来ました」
 イリーナ:「それでもずぶ濡れね。早いとこ着替えておいで」
 稲生:「はい」

 実はブーツはもう1つある。
 リビングからもう1人、魔道師が顔を出した。

 マルファ:「本当だ!ずぶ濡れ!マリアンナちゃん、かわいいピンクのブラだね!」

 それはイリーナとは1つ階級下である、ハイマスターのマルファ。
 弟子は1人も取っていない。

 稲生:「えっ!?」

 稲生は男の本能として反射的にマリアの方を見た。
 マリアも慌てて胸を隠したが、稲生の方が一瞬早かった。
 うむ。正しい男の反射神経である。

 イリーナ:「いいから、アンタはジュースでも飲んでな」
 稲生:「マルファ先生もおいでで。後でお茶のお代わりを……」
 マルファ:「うんうん。ありがとう」
 イリーナ:「いいから、着替えてきて。この自由人は私がリード繋いでおくから」
 稲生:「はーい」
 マリア:「Yes,sir.(はいはい)」

 マリアは着替えのある客間に、稲生は2階の自分の部屋に向かった。
 そこで気づく。
 マルファの容姿が白い肌の白人である上、金髪のショートボブであることを。
コメント (17)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“大魔道師の弟子” 「帰省2日目」 4

2018-09-06 10:13:16 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月27日11:30.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区新都心 ロイヤルホスト]

 先に昼食から取ることにした稲生とマリア。

 マリア:「やはり、夜からゲリラ豪雨が降るみたい」
 稲生:「夜ですか。夕方じゃなくて?」
 マリア:「いや、夜だね」

 マリアはテーブルの上に置いた水晶球で占ってみた。

 稲生:「うーむ……そうですか」
 マリア:「もっとも、私も修行中の身。どこまで当たるか分からないよ?師匠みたいに、時間単位で当てられたらいいんだけど……」
 稲生:「先生の占いは当たり過ぎて逆に怖いですからねぇ……。取りあえず、日が暮れる前に帰るのが無難ってことですかね」
 マリア:「そういうことになるかな」
 稲生:「それじゃ、取りあえず今日のところは映画でも観て、少しコクーンの中でも歩いてから帰りましょうか」
 マリア:「そうしよう」

[同日13:00.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区吉敷町 MOVIXさいたま]

 昼食を終えて、早速映画を観に来た魔道師2人。
 まだ、シアター入場には時間がある。
 チケットだけ先に購入すると、稲生はポップコーンなどを買いに行った。

 店員:「それではこちら、ハーフ&ハーフのダブルコンボとコーラMサイズ2つになります」
 稲生:「どうもー」

 稲生はポップコーンやコーラを手にすると、マリアの所へ戻ろうとした。
 そこへ、これから観る作品の予告編が流れて来る。

 稲生:(お、これから観る“劇場版アンドロイドマスター”の予告編だ。いや、でもこれは観ないようにしよう。前情報無しで観るのが作り手への礼儀だと、僕は思う……)

 だが、そんな稲生の思いとは裏腹に……。

 マリア:「勇太、見て!私、予告編でテンション上がっちゃって、先にパンフ買っちゃ……」
 稲生:「この外道ッ!!」
 マリア:「ヒィッ!?」

 マリアがパンフを大きく開くながらやってきたので、稲生はマリアの手の上からバンッとパンフを閉じた。
 当然、びっくりするマリア。

 マリア:「え……なに?今、外道って……」

 稲生は息を整えると言った。

 稲生:「あ……ああ……違いますよ。『外道』とは仏教用語で、仏教徒以外を指す言葉ですから。マリアさん、元クリスチャンだし。ほら、僕は日蓮正宗信徒なもんで、『内道』ね。そういう意味ですから……」
 マリア:「いや、明らかにそんな穏やかなニュアンスじゃなかったぞ!?」
 稲生:「だってマリアさん、パンフなんてネタバレの宝庫じゃないですか!いいんですか!?よく鑑賞前に見るよね!?って、買うよね!?」
 マリア:「あー、私は別にネタバレ平気だから。むしろ、推理小説をラストから読む方だから」
 稲生:「マジですか……」
 マリア:「だって、しょうがないだろ。さっきも私、占ったけど、魔道師って未来を先読みする存在だぞ?ネタバレくらい、どうってこと無くなるさ」
 稲生:「う……それもそうか」
 マリア:「まあ、勇太のそういう所、嫌いじゃないよ」
 稲生:「えっ……?」
 マリア:「勇太は仏教徒で良かったね」
 稲生:「そうですか?」
 マリア:「私は普通の人間だった頃、旧約聖書を主に経典とするカトリック教会で洗礼を受けたわけだけど……」

 ということは洗礼名もあったはずだが、稲生は知らない。
 魔女のミドルネームは契約した悪魔の名前を付ける、デビルネームを付けることになっているからだ。

 マリア:「パンフどころの騒ぎじゃなく、ガンガン未来を予言しているネタバレの本だから」
 稲生:「死海文書なんか、未来予知し過ぎて、もはやアニメのネタレベルですもんね。それなら、過去の事ばっかり書いている日蓮大聖人御書の方がいいですね。『御供養ありがとう』とか『いい加減、そろそろ久遠寺に来い』とか」

 そんなことをしているうちにシアター入場の時間となり、稲生達は中へと入った。
 もちろん、それですぐに始まるわけではない。

 稲生:「そういえばマリアさんと映画来るの、久しぶりですね」
 マリア:「そうだな。それで思い出したんだけど、さっきのパンフのやり取り……」
 稲生:「はい?」
 マリア:「多分この作品を見てくれてる読者は、『またネタの流用?』とか思ってるぞ?」
 稲生:「マリアさん、ネタバレはしょうがないですけど、メタ発言はやめてくださいね」
 マリア:「それとさっきの外道とか内道とかの話……」
 稲生:「はい」
 マリア:「ブッダの伝記物はロードムービーとかの類になるのに、イエス・キリストの伝記物はどうしてもスプラッターになるな」
 稲生:「磔の刑を食らう時点で、どうしてもクライマックスはそうなりますよね」
 マリア:「日蓮大聖人とかは映画にならないの?」
 稲生:「何か昔、あったみたいですけどねぇ……。(萬屋錦之助が日蓮大聖人の役をやったヤツ……)あとは、戸田会長が主役の映画を創価学会が昔作ったって聞いたことがあります」

 “人間革命”の実写映画版。
 但し、宗門との蜜月期間に作られた為、宗門をとてもよく持ち上げる描写が多々あり、到底『日顕宗』呼ばわりする今の学会内で上映できるはずもなく、かといって宗門側も今さら破門団体の映画を宗内で公開できるはずもなく、蚊帳の外の顕正会がそんなデータを持ってるはずもなく、完全にお蔵入りとなっている。

 マリア:「あ、そうだ。家庭用プロジェクターって知ってる?ちょっと興味あるんだけど」
 稲生:「ああ、知ってますよ。1万円ちょこっとで映画館みたいな臨場感が味わえるってヤツでしょう?でも、それこそ魔道師の幻覚魔法で何とかなりません?」
 マリア:「でもそれ、大抵ホラーしか観れないから」
 稲生:「イリーナ先生にすっごく頼んだら、ハリポタ1本くらい再生してくれないかなぁ……?」

 と、ここで上映開始のベルが鳴る。
 もちろん、最初はCMというか、映画泥棒の話が出てくるのだが。
 この辺はポップコーンでやり過ごす魔道師達だった。

〔「広布の戦士!ケンショーレンジャぁぁぁぁぁっ!!」チュドーン!〕

 稲生:「プハッ!?」
 マリア:「ブッ!」

 ……やり過ごせるほど、世の中甘くなかった!

〔「スクリーンの前の皆!俺は修羅の戦士、ケンショーブルーだぜっ!あぁっ!?まさかテメェらは、この映画を盗撮しようってんじゃねーだろーな!?あぁっ!?」「いいですかー?映画泥棒は、正に本門戒壇の大御本尊に仇なす行為と同じことなんですね。ソッカー首領のダイ・サークを見て御覧なさい。映画泥棒をするだけでは飽き足らず、自分で映画まで作ってしまった。これは御本尊様を偽造することと同じ行為なんですね」「クフフフフフフ……。映画の盗撮はいけませんよ。私は女性のスカートの中だけしか撮りません。ええ」「ぇそれではですね、ぇそろそろ時間も無くなってきましたので、ぇそろそろ上映開始と、ぇいきましょ」〕

 稲生:「何これ?」
 マリア:「確かにこれは注目するなぁ……」

 尚、ケンショーレンジャーの出番は10分ほど続いたという。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする