出会いは「ダンスとオカリナ」のコラボレーション。
それは、2011年の震災の年だった。
リハーサルまでは順調に進んでいたのに、オープニングセレモニーが始まる前にその事故は起きた。
広い会場内が一瞬のうちに暗闇に包まれ、静寂が訪れる。
音と、明りのない世界…
そんなアクシデントが起きたパーティーにダンス音楽の演奏者として来ていたのが、
まだ十代の初々しい弓場さつきさんとピアニストの後藤智美さん。
そのパーティーは、我が梅本ダンスチームと山梨のダンス連盟が総力を挙げて開催したもの。
大勢のスタッフ、出演者、そして参加者が固唾をのんで修復するのを待ったのだが…
原因は”雷”が変圧器に落ちたもので、直ちに回復は不可能という予想だにしない事態に。
このパーティの最大の目的は、その日を最後に山梨を離れる一人の青年の送別とカップルで踊る最後のダンスを
披露する”宴”
ラストダンスが踊れない…
やがて、オカリナの音色が響き、ラストダンスが始まる。
音源がなければ電子ピアノの音も出ない、しかしオカリナの音色は響く。
真っ暗闇の中、蠟燭淡い光と、ところどころにおかれた懐中電灯の光が、二人を照らす。
こうして「タイムセイグッバイ」でスローホックストロットを…
「人生のメリーゴ―ランド」でウィンナーワルツを踊りきる。
ダンスとオカリナのコラボレーション、本当に幻想的なシーンだった。
28日は、その弓場さつきさんの第5回目のオカリナリサイタル。
あれから5年、十代だった弓場さんも24回目の誕生日を迎え、一回りも二回りも成長した。
今年は、オカリナ・ピアノに加え、山梨在住のバイオリン・ビオラ・チェロ奏者と共演する。
どんな演奏を魅せてくれるのか、とても楽しみだ。