梅さんのかわら版.umelog

甲州市~甘草屋敷

プレバト~金秋戦決勝!

2020-11-13 10:22:01 | プレバト俳句

錦秋戦2020を制したのは千原ジュニア…大番狂わせだった。
突然言葉が降りてくる…俳句とはこういうものなのだ。

1位 千原ジュニア  痙攣の吾子の吐物に林檎の香
2位 横尾渉(Kis-My-Ft2)  流星のターミナル三分で蕎麦
3位 梅沢富美男  火恋し形見の竜頭巻く深夜
4位 千賀健永(Kis-My-Ft2)  震源の時計台無音の夜長
5位 立川志らく  谷崎のエロス潤目鰯の骨
6位 藤本敏史(FUJIWARA)  月光のひとつぶ受信電波時計
7位 三遊亭円楽  弁慶が時計している村芝居
8位 森口瑤子  秋てふや夢の途中に時計鳴る
9位 中田喜子  婚破れ振子響くや夜半の秋

「7時過ぎの時計」みんないろいろな方向で作っている。
志らくを除いて4位以下は素直に時計という言葉を入れて作っているので、
非常に分かりやすい。
今回破調は2・4・5位と3つ、やっぱり多いかな

今回は1位の千原ジュニアと梅沢富美男に焦点をあてて、
鑑賞してみよう。

  痙攣の 吾子の吐物に 林檎の香  千原ジュニア
”果物は美味しく詠む”という俳句の基本からすると、
梅沢はこの句は解せないと言っている。

これはよく分かるし、夏井さんもそれを認めている。
しかし、この句のリアリティから、無季として詠んで欲しいと言っている。
そこまで言い切るほどこの句を高く評価しているのだ。

以前umeさんは、”柘榴の実 牙を剥くかに 裂け初めぬ”
という句を作って、主宰の先生にこういう句は好きではないと、
暗に注意された。
柘榴をこのように表現してはいけないのだとその時肝に銘じた。

 子の皿に 塩ふる音も みどりの夜  飯田龍太
 良夜かな 赤子の寝息 麩のごとく  飯田龍太

龍太に子どもを詠んだこのような名句がある。
のっぴきならない場面を詠むか、
その後の安堵した場面を詠むか…

 火恋し 形見の竜頭 巻く深夜  梅沢富美男
亡くなった実兄のことを思って詠んだもの。形見の時計のねじを巻いているシーンだ。
定型句で分かりやすいし、とてもいい句だと思う。

 亡き父の 秋夜濡れたる 机拭く 飯田龍太

この句は、飯田龍太句集『麓の人』に収められた、「父死す」という連作のひとつ。
飯田龍太の父、蛇笏は、1962年の19月3日に逝去した。
父の遺品の机、それは、俳人飯田蛇笏の句作を知り尽くした机でもあった。
その机を丁寧に清めるという、哀悼の句。

俳聖の龍太の句と比べるのは龍太ファンに怒られそうだが、
この句を比べてみよう。

梅沢の巻いている時計は、自身が贈ったローレックスの時計、
龍太の拭いていたのは蛇笏の使っていた机
この違いだろう。梅沢はローレックスを強調していたが、
時計そのものではなく、兄と共にしてきた苦労の時間経過を、
詠むという作り方もあったのだ。

灯し継ぐという言葉がある。
これから兄の劇団を継いでいくという時間経過と決意。
 灯し継ぐ 形見の竜頭 巻く秋夜  添削ume

参考までに勝手に添削してみた。






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