まりはな屋

地方都市で、清貧生活  

徒労の見本

2008年08月07日 21時33分32秒 | 箸が転んでも
父が「ペンのインクが無くなったので、替え芯があったら買ってきてくれ」と言う。

とても書きやすいペンだから使い続けたいという。

年を取って、段々とわがままで気難しくこだわりの強くなってきた父。

だからといって特に優しくしたり顔色をうかがったりはしていないのだが

ペンくらいで満足するのなら探してあげよう、と近所のホームセンターに出かけた。

ペンの種類も替え芯の種類も多く、何がなんだか分からない。

自力で探したいが、ペン売り場でペンを取り出すのは気が引ける。

李下に冠を正さず。

ここはひとつ、店の人に頼もう。

しかし結局取り扱いがなく、街に買い物に出たときに探そうと思って数日が過ぎた。

ロフトで探すが見つからない。

替えどころか、本体さえない。

文房具屋のほうがいいのだろうか。

しかし一軒目の文房具屋では、ないと言われた。

もう一軒行ってなかったら諦めよう。

昔からある大きな文房具屋に行くと、本体のほうはすぐ見つかった。

ということは替えもあるはずだ。

店員さんにペンを見せると、パッと見ただけで替え芯を出してきた。

愛想はよくなかったが、なかなかプロフェッショナルである。

一応本体も買い、替え芯を5本買って家に帰り

父にペンと替え芯を渡しているところに母が帰ってきた。

「どうしたの?」

これこれこういうわけだと、わたしがいかに苦心してこれらを手に入れたか語って聞かせると

「そのペン、家にいっぱいあるけど」

えっ?

引き出しからなんと30本も取り出してきた。

なにかの景品に使った残りだという。

せっかく親孝行に酔いしれていたというのに。

喜劇のオチのような結果になってしまった。
コメント
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