まりはな屋

地方都市で、清貧生活  

悪い女

2019年03月23日 00時20分00秒 | 日々雑感
「悪女」という歌も、子どもの頃はよく分からない歌だった。

「マリコ」という人が悪女なのかと思ったら違うし

マリコに電話をかけたり「あなた」に電話をかけたり

人間関係がさっぱりわからないが、なんだか悲しい歌だなーと思っていたのではないだろうか。

だろうか、というのは初めて聴いたのが昔過ぎて、ホントのところはよく覚えてないからだ。

ある程度大人になって、大体の意味は分かったのだが

歌の主人公はたぶん同棲中で、二人はわりと付き合いが長いのだと思う。

彼に、他に好きな子が出来てしまった・・・

若い頃に分からなかったのは、だったらさっさと別れればいいのに

なぜ他の男と遊んでいるふりをして、向こうから愛想尽かしをされるように仕向けているのだろうということだった。

ある程度の年になって、こういうことなんだろうなと考えたのは

ひとつは付き合っている男のため。

彼は、たぶん優しくて(こういうときの優しさは残酷なんだけど)

好きな彼女(きっと二股)のことをひた隠しにし、今の彼女(歌の主人公)に別れを告げられずにいる。

だからこちら(歌の主人公)が浮気しているように見せかけて、彼が自分をフリやすくしてあげている。

でも、本当は自分のためじゃないだろうか。

彼女は、彼が単なる浮気ではなく、自分から気持ちが離れていることを知っている。

遅かれ早かれ別れを告げられるけれど、彼は新しく好きな子ができただけで彼女を嫌いになったわけではないので

きっと別れるときにも「君を嫌いになったわけじゃない」なんて

生殺しみたいな別れ文句を口にするだろう。

そんな中途半端な別れを告げられたら、彼女はどこかでずっと期待し続けてしまうだろうと思う。

嫌いになったわけじゃないんだから、もしかして戻ってきてくれるかも?

そんなことはないと十分すぎるほど分かっているのに、それでも心のどこかで期待してしまうだろう。

期待するたびに彼女は、そんなわけないのに・・・とみじめな思いをする。

ならばいっそ、期待なんてできないくらいの別れ方をした方がましだ。

浮気をして朝帰りをしたように装い、挙句に相手が呆れるような暴言。

「悪い女」になれば、彼が自分に別れを告げやすくなるばかりか、自分を嫌いになるだろう。

呆れられて嫌われて別れれば、よりが戻るかもなんて愚かな期待は決してしない。

甘い期待の入り込む余地のないほど、徹底的に関係を壊してしまったほうがよい。

そうやって別れなければ、自分はずっと引きずることになるから。

「行かないで」って口にしても行ってしまうこと、本当は分かってる。

だから、わたしのことを嫌いになって・・・

悲しい歌だけど、誰も悪くないのがやるせない。
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やっぱり、くたばっちまえ

2019年03月19日 21時51分33秒 | 日々雑感
「ザ・カセットテープミュージック」という番組を楽しみにしているのだが

今、手元にカセットテープを残している人はどのくらいいるのだろう。

実はわたし、結構残しているのである。

しかもいまだにラジカセで聴いているのだ。

半世紀も前に友人からもらった、80年代のヒット曲を集めたテープがあるのだが

これは、その友人が編集したものだ。

そう、昔は自分好みに編集したテープというものがあったのだ。

今だって、好きな曲だけダウンロードして聴いている人は多いだろうけど

テープ編集の手間といったら、DLの比ではなかった。

しかもカセットレーベルやインデックスに凝ったりして。

昔の曲を聴いていると、リアルで聴いていた時には

あまり意味が分かっていなかったり、勘違いしていた歌がある。

シュガーの「ウェディングベル」という曲があるのだが

当時は子供だったため、「昔の彼女を(しかもフッた?)結婚式に呼ぶひどい男の歌」だと思っていたのだ。

しかし、大人になってから聴きなおしてみたら、たぶんこの彼女の片思いなのである。

思わせぶりな態度を取ったひどい男のように歌われているけれど、

それも片思い特有の妄想というか勘違いというか。

それで「くたばっちまえ」はないだろう、と思ったけれど

ああそうか。

彼女はもちろん分かっていたのだ。

片思いだったことも、勝手な期待をしていたことも。

彼女がやりきれないのはそこじゃない。

この男は彼女の気持ちにまったく気づいていなかったのだ。

だからこそ、親しい友人か後輩か知らないけど、平気で彼女を結婚式に呼んだのだ。

彼女が腹立たしいのはそこである。

鈍感だから?

いいえ、彼女に関心がなかったから。

彼女を恋愛対象として見たことがなかったから。

一度でも彼女をその対象としてみたならば、どんなに鈍い男でも

(俺に気があるのでは?)と思うはずである。

多くの男は、うぬぼれ屋でちょっとしたことで勘違いするのに。

それすらなかったなんて。

いや、知ってて知らぬふりをしていたとしたら?

だって面倒くさいから。

友達だよという駄目押しのために結婚式に呼んだとしたら?

ああ、わたしだって言うだろう。

くたばっちまえって。




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