働く女子！

近所のドラッグストアへ買いものに出かけた。

もちろん激混みである。

年明けから店は開いているが、年内にこれだけは買っておかなければという焦燥感が客を駆り立てる。

アルバイトの女の子が社員の品出しの指示を受けていた。

高校生と思われるその子は「はい、わかりました。ありがとうございました」と元気に答える。

珍しいな。

ここのバイトは男子高校生が多いのだが、どいつもこいつも、もっさりしてちんたらして

「いらっしゃいませ」の一言もない。

思春期特有のかったるさ、やる気のなさを垂れ流しながら仕事をしている。

てきぱき動けば学校で浮くのは分かるが、ここは職場である。

職場ではバイトだろうがなんだろうが、一生懸命働かなくてはいけない。

わたしも高校生の頃からバイトをしていたが、とにかく面白くて仕方なかった。

学校ではぱっとしないわたしだったが、職場では覚えがよいといっては褒められ

仕事が速いといっては褒められた。

怒られた記憶なんかない。

もちろん、若いから可愛がって甘やかしてくれたんである。

それでも働くことは面白いことだと思った。

わたしが、大学へ行かなかった理由は色々あるが、

高校生のときに働く楽しさ、稼ぐ面白さを知ったことも理由のひとつだ。

だから今みたいに大学全入時代だといって、

掛け算もろくすっぽできないような子供を大学に入れようとしている親を見ると

勉強する気がないのなら、手に職のひとつも付けさせて働く喜びを教えてやれよ、と言いたくなる。

こういう無駄な進学のために子供手当てがどうのと言われてもね。

閑話休題。

わたしは、そのハキハキ女子に興味が湧いて彼女の近くに行ってみた。

するめを見るふりをしながら近付くと、すぐに気配に気付き

「いらっしゃいませ！」と言いながら、品出し用の箱が邪魔にならないように片付ける。

（なかなかやるわ）

作業に集中しすぎたり、逆に注意力散漫だったりするとお客さんの邪魔になっても気付かない。

一生懸命品出ししながらも、周りに気を配る・・・

（この子、出来る！）

箱をどけてくれたので、ありがとうとお礼を言うとこちらを向いて満面の笑顔。

エクセレント！

働く女子、ありがとう。

わたしもまた明日から一生懸命働くよ。

ぶれっぱなし

「ぶれない」という言葉をよく耳にする。

初めて耳にしたときから耳障りな言葉だと思っていたが

世の中では１００％に近いくらいよい意味で使われている。

「XXさんは、ぶれない信念でここまでこられたわけですね」

「ぶれない気持ちが大事だと思います」

「何があってもぶれないと頑張りました」

そんなにいいことか、ぶれないって。

わたしは、ぶれない人が怖い。

何かを強く信じる人が怖い。

自分の考えは間違ってないか？と常に不安を持たない人が怖い。

自分の意見を盲信する人は、対立する他人の意見に耳を貸すのだろうか？

わたしはすぐに考えがぶれる。

傍からそうは見えないかもしれない。

自分が正しいと思うことをはっきり口にして、時に強引な意見を言うと思われているだろう。

しかし内心はいつも、正しいと思う自分に疑いを持っているのだ。

意見は間違っていないにしても、正しいと信じきってはいけないと思う。

もしかしたら他にもっとよい意見があるかも、

ひょっとしたら自分の考えにはどこかおかしなところがあるかもと

疑わなかったら、いつか間違ったことを考えても間違いに気付かないだろう。

白黒はっきりしたことでさえ、決め付けるのは難しいが

ましてはっきりしないことであるなら、白か黒か決め付けたり信じたりするのは危険だ。

誰の立場から見るか、どの角度から見るかで、物事は全く違う面を持つ。

そんなことをいちいち考えていたら何かを決定することなど出来ないというかもしれないけれど。

「ぶれない人」は「自分は間違いを犯すかも」と疑わない人ではないだろうか。

ぶれっぱなしのわたしが言うのもなんだが。

恋よ来い？

少し前に新聞で読んだのだが、なんだかの調査で（いい加減だな、わたし）

１９歳から３４歳までの未婚の男女で、交際相手のいない人がやたらといるという結果が出たそうだ。

わたしも交際相手のいない未婚女性だが、この調査の対象年齢からはすでに外れている。

むっ。

不況のせいで結婚できないのだろうとかなんとか言われるけれど、そうかなぁ。

貧しくても結婚しちゃう人はしちゃうしな。

なんのかんのと言っても、結婚に魅力は感じないからしないんじゃないかな。

「出会いがない」っていうけれど、そうかなぁ。

若い男の子に聞いてみると、とにかく理想が高い。

出会いは結構あるみたいだけど、選り好みばっかりしてる。

それと「運命の出会い」みたいなものをやたら期待していて

劇的な恋を求めすぎてる。

運命って言うけど、同じ時代に生きて、同じ場所にいるだけで運命だと思うんだけどね。

だってほんの２０年ずれたって恋愛対象にはならないことが多いわけだし。

まして１００年前の人とかどんなに理想の相手でも死んでるわけだし。

同時代に同世代で身近にいる人に、もっと運命を感じてもいいと思うんだけど。

そういう意味でいうと、同級生とか幼馴染とかまさに運命だと思うんだけどね。

職場恋愛って、いかにもお手頃と思われがちだけど、

同じ職場に未婚の男女が居合わせるって、結構難しい確率だしね。

すごく魅かれないと駄目、じゃなくて、ちょっといいなと思ったら付き合ってみる・・・

そうしたらどんどん魅かれていくってこともあるんじゃないのかなぁ。

とかいったって。

わたし、しばらく恋愛なんてしてないわけですが。

ま、いいんです。

どうせ調査対象からは外れてるんだから。

老後の楽しみにでも取っておきますわ。

サンタさん、わたしにもプレゼントくれるの？

買い物に来た幼い兄妹が、飾られたツリーの前ではしゃいでいたので

クリスマスのプレゼントは何かな？と聞いてみた。

兄はゲームの名前を挙げ、妹はキティちゃんのおもちゃだと答えた。

そう、いいわね。

「お姉さんは？」

え。

まさか聞き返されるとは思わなかった。

兄の問いかけが頭の中でリフレインする。

お姉さんは・・・

わたし、何か欲しいものある？

まさかサンタに何かもらえると思ってなかったし。

物欲薄いしな。

なんだろうねえ。

それから今日までずっと、何が欲しいか考えていた。

寒くなってきたから、耳あてが欲しいな、とちょっと思った。

毎年買おうかどうか迷ってるうちに暖かくなってしまうんだけど。

なぜ？

母が言った。

「あんたの好きなあれ、買ってきたよ」

なに？

「朝、食べるの」

だからなに？

「ほらあれだよ、シリカゲル」

食べられないね。食べたら喉が渇くだろうね。

「あはは。ほら、牛乳かけて」

正解はコーンフレーク・・・