新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

英国人の女性論

2014-03-12 09:53:56 | コラム
Shakespeare got it wrong!

昨日のアメリカの女性の地位論に次いでUKの人と語り合った一寸した思い出を。

1970年の未だアメリカの会社に転身していなかった頃に、英国の大手製紙会社の営業のマネージャーと懇談したことがあった。この頃には欧米の諸国の文化が何たるかをほとんど認識していなかった。そのために、この初めて出会った英国人の高飛車ともとれる態度に驚かされた。

先ずは"England"という名称。英国即ち"England"だと思っていたので、そう言うと「間違っている。我々は"United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland"である。Englandはその一部だ。即ち、"UK"と言え」と厳しい表情で指摘された。知らなかった。彼は日本に来て最も不愉快なことは「貴方はアメリカ人かと訊かれることだ」と怖い顔で言った。

当時の私はある事情があって、その縁もゆかりもない会社のお手伝いを依頼されていたのだった。そして、日本の見込み客との夕食会を午後6時に設定したところ、言うなれば激怒されてしまった。理由は「そのお客との会談を4時半に終える予定では、ホテルに戻ってシャワーを浴びて髭をそり直して着替えをする時間が取れないではないか」であった。そして私に下された命令は「7時に変更せよ」だった。

こういう夕食会前の作業を"wash and shave"か"wash and change"と言うのだと教えられた。知らなかった。それが会食前の礼儀らしいと知った。なるほど1時間はかかるようだと、後に実際にアメリカの会社に変わって経験して解った。

さて、女性論だが、彼とは個人的に語り合う時間があり、話しが偶々女性論になった。私は「我が国では女性は弱いのだという認識がある。UKではどうなのか。Shakespeareは"Frailty, thy name is woman!"と言っているではないか」と英文学を専攻したことになっていながら、唯一覚えているシェークスピアの一節を引用して尋ねてみた。

それを聞いた彼は大笑いして、"Shakespeare got it wrong!"(シェークスピアの思い込みで間違っている)と真っ向から否定した。余り冗談を言うような人物ではないと思っていたが、意外な一言だった。そして、それから後は雰囲気が和らぎ(当時はただ英語が話せるだけだった私でも)色々と楽しく語り合ったのだった。ここで学んだことは「UKでも女性は弱い存在ではない」という事実だったのだろう。