新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

商社マンとの月例懇談会 #2

2014-03-15 09:05:30 | コラム
性善説信奉国の問題点他:

商社マンとは昨日、紙パルプ業界の沈滞を語り合う以外に、お互いに海外経験者としての意見交換を行った。

彼が嘆き、当方と意見が一致したことの一つに「韓国と中国の我が国を貶めんとする言動は目に余るし、不快である」があった。彼は「何もこれらの二国に限らず我が国以外の性悪説を建前とする諸国には『これは言わなくとも察してくれるだろう』であるとか『我が国のこの好意と善意の資金なり物資の提供をこの国は必ず評価して何時かはそれに報いてくれるだろう』とか 『友好関係は必ず維持氏我が国を貶めることなど言わない』と言った類いの甘い期待は禁物である」と指摘した。

こういうことを言う背景には、彼は中近東に駐在の経験があり、その間に欧州やアフリカやインドにも出張する機会があったし、私はアメリカを主戦場としてアジアと東南アジアを数ヶ国歩き、ともに各国の文化と経済の実情に触れてきた経験がある。特に性善説の不利な点は、往々にしてその反対の思考体系を持つ連中に付け込まれる危険性が高いの明らかである。

次がベースアップと昇給だった。巷間伝えられているように円安に後押しされて政府の要望通りに組合の要求に応じられる輸出依存度が高い業種もある。だが、彼が最近広範囲の業界を歩いていて見聞きしたことに「今日でも静かに希望退職を募っている企業があり、意外にも独身者が気軽に応じている現象」があるそうだ。換言すれば「人減らしを緊急に実施せねばならぬ業種や会社が、未だにないしは現在では、ある」ことだ。

彼とともに行った憶測は(異論は出るだろうが)「もしも社員の絶対数を減らしておけば、多少でもその分を昇給なり何なりに回して、引き留めておきたい社員を引き留める策が講じられるのではないか」というものだった。彼と何時も一致する見解に「我が国では未だに過剰設備を抱えて供給過剰状態からの脱却に難渋してるか、業績に比して過剰と言える人員を抱えている企業が、特に流通分野には多いのではないか」がある。これらの2点を基に考えれば、人員整理を企図する経営者がいてもおかしくはないのかも知れない。

最後は経営者の劣化という説の考察だった。これには賛否両論があるだろうが、彼が見る限り歴然とした事実は「世代間の人生観の違い」であるそうだ。別な視点に立てば、一時「ディジタル・デバイド」と揶揄されたPCを扱えない世代と、生まれた時からディジタル化された機器に取り囲まれて成長してきた世代(=バブルを知らず低成長時代に成長してきたとも言える)との間のギャップが大きすぎることだそうだ。

彼等はうんと働いて資金を蓄えて車でも何でも好きなものを買って人生を明るく楽しくやっていこうなどという意欲が彼等以前の世代ほど猛烈ではなく、50歳台である彼とは明らかに一線を画しているという。恐らく40歳前後から下は別な価値観で生きていると思う。そうでもなければ、何時何処にいてもあれほどスマホなるものでゲーム如きに熱中しLINEで語り合う等で、月に数万円ないしはその倍以上を平然として使ってしまう経済観念などは、最早想像も出来ないと嘆いて見せた。

即ち、彼は「そういう世代を配下に持ってこの長引くデフレ傾向の景気と戦っていく必要があることを察してくれ、ないしは高齢者の貴方に解りますか」とも言っているのだ。彼等には最早我々の時代の「猛烈サラリーマン」等というな「懸命働こう。会社のために」のような概念は存在しないのだと考えた方が適切らしいということ。

その辺りは愚息たちからも聞かされている。私にはこういう傾向と世代間の違いがあらゆる業界と職種に蔓延しているか否かなどは解らないし、解る訳もない。だが、時代の感覚が違ってきたことはいくらか解る気がすするのだ。