新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

商社マンとの月例の懇談会

2014-03-14 19:19:45 | コラム
消費税率引き上げ前の紙類の荷動きは終わった:

彼は「紙類の物流の流れから見れば、景気回復というかアベノミクスの効果は遺憾ながら未だしと言わざるを得ない感あり」と見ていた。即ち、前月の会談時と同じだった。本来は今月末まで変われ続けるはずだったコピー用紙とティシュやトイレットペーパーの消費税率引き上げ前の買い気配は終わってしまって、市場は閑散としている感があると言う。別段珍しい話でもない。

換言すれば、印刷媒体からの需要は紙の価格が低位安定気味である以上、ユーザーは何も今月中に慌てて手配してこないという意味だそうだ。事実、円安で輸入紙は上がったが、国産紙はそこまでの勢いはないというか、回復基調にはないということらしい。

実は、「会談前に新宿駅西口のイヴェント広場で展開されていた都下のJAの即売会場でアンケートに答えて買い物用の布製バッグを貰った」という話をしたところ、彼は化石燃料の輸入で大きな利益を挙げている商社の一員として言えば「スーパーやコンビニ等がレジ袋を有料にしていく傾向は止まらないだろうから、その事態に備えておくその手のバッグを準備する必要があるだろうと指摘してくれた。極めて理解しやすい事態だが、この界隈でも既に有料にしているスーパーのチェーンはある。

「アジアの新興国のメーカーは、この円安と各国の内需の低成長で対日輸出攻勢をかけたくとも、円安と我が国の国内価格と対抗するのは難しく、極めて苦しい立場に追い込まれている」と実情を語ってくれた。安倍内閣の賃上げの要望を各産業界が何処まで受け入れて実行するかも大きな問題だが、その昇給というかベースアップが何処まで消費(内需の促進)に結びつくかの見通しは立っていないという。

ここまで回顧すると如何にも彼は相変わらずの悲観論を述べているかの如きだ。だが、そのような弱気で語っていると言うよりも、寧ろ淡々として現状を語っているというか、一種諦めの感を述べていたと聞こえた。言うなれば、紙パルプ産業界が置かれた立場は一般経済の回復を待つ以外に自力で盛り返せる手段がないという捉え方を聞かせてくれたのである。

先日、カリフォルニアから昨年の夏以来の一時帰国したSM氏が「シアトルでの一戸建ての家の家賃を漸く約20%ほど引き上げたと言っていた」と知らせたところ、「近頃にない朗報である。アメリカが長引く民主党政権下の不況から立ち直ってくれる兆候に聞こえた」と少し元気を取り戻していた。彼と一致した意見は「紙の市況は底を打って久しいものがあるが、問題はどれほど早く景気が回復して我らが業界まで上昇気流がやってくるかだろう」だった。